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2026/08/05

最近観た映画メモ「暗闇でドッキリ」


Amazonプライム、「MGM+」に課金。すぐ退会するつもりが2ヶ月目の期限が迫る。せっかくなのでこの機会にピンクパンサーシリーズを観ておこう。しかし、よく見たら、なんと「ピンクパンサー2」が「現在ご利用いただけません」になってる! え〜! まあ、観れるだけ観て退会するか……。

そもそもMGM+に課金したのは「西部悪人伝」(1969年)を観るためだったのだが、続編 「大西部無頼列伝」(1970年)もまだ観てないのに、期限はあと5日。う〜ん、もう一ヶ月延長するか。

っていうか、サブスクの二段重ねのこういった「チャンネル」を少々いまいましく感じてた。でも、「500円払えばチャンネル内の映画にはそれ以上の課金がない」ってけっこうお得に思えてきたのも事実。めぼしい映画はたいてい300円〜500円の有料だから。

●暗闇でドッキリ(1964年) 1:42 アメリカ Amazonプライム

「ピンクパンサー・シリーズ」の第二作。前作(数年前に観た)では主人公ではなかったクルーゾー警部が主役に昇格。スピンオフのような位置づけで、宝石ピンクパンサーは無関係だし、ピンクパンサーのテーマも流れない。

監督:ブレイク・エドワーズ、出演:ピーター・セラーズ、エルケ・ソマー、ハーバート・ロム他。

パリの富豪バロン邸で起きた殺人事件を、クルーゾー警部が捜査。しかし、状況から明らかに犯人と思われるメイドのマリアに一目惚れしてしまい、彼女を釈放してしまうが……という話。

今となっては、のんびりテンポのほのぼのコメディだけど、面白かった! 昔テレビで観たと思ってたけど、初見だった。繰り返しギャグや状況のエスカレーションも笑える。弟子のケイトーも登場。まだ「スローモーション」はないけどw

やはりハーバート・ロムのドレフュス部長が最高w 先日観た「第七のヴェール」(1945年)では、ハーバート・ロムは童顔のすごい美男子の精神科医だった。今作ではまだその面影があるけど、以後のシリーズではどんどん壊れていくw

っていうか、11年後にシリーズが再開された第三作以降の印象が強いためか、セラーズをはじめ主要キャストがめちゃ若く見える!

定番の、容疑者全員を集めて「この中に犯人がいる!」からの展開、こんなの見たことないw いいのか、これ?w 冒頭の「暗闇の中、抜き足差し足、入れ替わり立ち代わり」が結末を示唆してるようだけど、冒頭を見直してみてもよくわからなかった。でも、絵面はとても洒落ててイイ。

・ヌーディストクラブの全裸楽団にヘンリー・マンシーニ本人も混じってるか調べたw どうも出演してないらしい。でも、サックス奏者が彼ではないかという説もあるそう。

2026/07/30

最近観た映画メモ「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」


●アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ(2025年)3:18 アメリカ Disney+

(前半でボロクソ書きますけど、後半では評価してますのでw)
前作は苦手だったけど、今作は「史上最高額級にお金がかかった映画」とのことで、とりあえずざっと観ておくか、と。しかたなく、Amazon prime ビデオでレンタル課金500円。ところが、ガーン! Disney+にもあったのだった! もったいないorz まあ、3時間超を急いで観なくていいのはマシw

監督:ジェームス・キャメロン、出演:サム・ワーシントン、スティーヴン・ラング他

シリーズ第3作。ジェイク一家は人間の子であるスパイダーをハイキャンプに送り届けるために旅に出る。パンドラの神のような存在エイワに裏切られたと信じるアッシュ族と組んだクオリッチ大佐が、一家に立ちはだかる……という話。

彼らが異星人ってことはすっかり忘れられ、擬似インディアンも通り過ぎ、「都合のよい、絵になる未開人」でしかなくなってる。(サイズと肌の色を除けば)体も精神構造も文明への理解も人類とほぼ同じw だったら、普通に人間対人間の話のほうがスッと入ってくるのに。

また、前作からさらにパワーアップしたキラキライルカ絵志向。青い海中でクジラと戯れ、蛍光色あふれる暗い森、空には虹色に光る帆船などなど、行くところまで行ってて思わず笑ってしまうw

また、始まってすぐ、家族の揉め事や若者の無理解で過剰に感情を揺さぶってくる。もうその時点でかなり不快w

とはいえ、僕の好みとは違うけど、こういう映画をきっちり大ヒットさせるキャメロンはすごいw

あと、前作もそうだったけど、一歩引いて見るとジェイク一家は「世話になった人々を災難に巻き込む、迷惑な居候家族」でしかなく、観客としては居心地が悪いw

……で、一時間ほどすぎたところから、クオリッチ大佐の人間味が出てきて面白くなる。第3作までは大佐の成長物語では? 「スター・ウォーズ」が実はダースベイダー=アナキン・スカイウォーカーの物語だったように、ひょっとすると「アバター」はクオリッチ大佐の話なのかもしれない。

クライマックスの「上向きの浮力が利いてる中での戦い」はかなり新鮮! 火と岩が飛び交う中での格闘シーンは、あ!この迫力でムスタファのアナキン対オビ=ワンを描いたらすごいぞ、などw

・いやしかし、パンドラのあらゆる部族や生物が結集して人間/スカイピープルと大決戦に臨む……って、前2作でもやってなかったっけ?w

・「やたら感情を揺さぶってくる」といえば、ジェイクが自ら「原因」を取り除こうとするシーン。これはキツかった! でも結局、予想通り「揺さぶっただけ」なんだよなあ。

・学者のおっさんもイイ。この「侵略戦争」の根本、損得や信念で動いている人間たちのドラマのほうが躍動感がある。あの人たち、どうなったんだろう?

・何にしても長い!w 3D上映前提の、映画というより遊園地アトラクション映像の長大版ではあるけど、だからこそ、もっと短めに濃くまとめてもよかったと思う。

・みんな大好き、パワーローダーw

・冒頭部分を他のディスプレイと見比べた結果、Meta Quest 3で鑑賞(全編ではないけど半分以上)。多少疲れるものの、緻密な大画面でほぼ映画館のように観られる。配信映画用としてもっと普及してもおかしくないし、3D版も配信してほしい! キャメロン監督にとっても、今後のVR没入映画の下地作りとしても有効だと思う。

2026/07/25

最近観た映画メモ「雪風 YUKIKAZE」


少し惜しかったり引っかかりが残る映画ほど、映画メモを書くのが楽しくて、長文になってしまうw

●雪風 YUKIKAZE(2025年) 2:00 日本 Amazonプライム

幸運艦と呼ばれ、太平洋戦争を最後まで生き抜いた駆逐艦「雪風」。ミッドウェー海戦から戦艦大和に同行した沖縄特攻作戦、そして戦後までを描く。

監督:山田敏久、出演:竹野内豊、玉木宏、奥平大兼他。久しぶりに田中麗奈を見たけど、そこそこ歳を重ねた和装姿の彼女には「昭和の大女優」のような風格があって驚いた。

雪風の戦歴自体が興味深いので退屈はしなかったけど、不完全燃焼な感じ。こういった日本の戦争ものではたいてい、故郷に残した妻や子供、恋人の話に時間をかけて感動要素にするけど、この映画では割とあっさり描かれている。

それが盛り上がりに欠ける原因だとしたら、ベタではあっても、やはりそういう要素は必要なのかもしれないな(まあ、そうやってどの映画もだいたい同じ印象になってしまうのだがw)。

ところが、終戦→引き揚げ船としての描写からエンドタイトルまでの約10分間の、唐突な感動要素のてんこ盛り! しまいには「泣ける映像」+主題歌フルコーラスw 「地味だが良作」で済んだところをぶち壊し。

CG/VFXは少し物足りない。派手な見栄えより現実っぽさを優先したのか、立体感が乏しくて少し違和感がある。海面に船が上滑りしたりするし。

それ以上に不満なのは、見たい構図をぜんぜん見せてくれないこと。駆逐艦の映画なんだから、低い視点からの海上を疾走する雪風の雄姿をもっと堪能したいのに。

もしかすると、VFXでは波がうねる海面の描写の技術的ハードルが高く、そうしたカットを避けたのかもしれない。(「男たちの大和/YAMATO」(2005年)でも、戦艦大和の横からの全体ショットが極端に少ないのはがっかりだった)

艦上の人物のシーンでも、そこが雪風のどの部分なのかを示す全体ショットがなく、艦全体の大きさや空間がつかみにくい。構造物の一部だけを再現した小さなセットで撮っている感じ。

ところで、「戦争の悲惨さを描く」ははずせないにしても、雪風の場合は「どうかしてるくらい幸運な艦/不死身の艦」という誰もが知ってるイメージがあるんだから、少しは娯楽映画に振ってもよかったと思う。もっといえば、痛快さを出してもよかったのではないか?と。そんな題材、珍しいんだから。

せめて、爆弾や魚雷をひらりひらりとかわし、真っ白な水柱や水煙の中からビショビショになりながら無傷で姿をあらわす雪風! みたいな描写でもあれば。(それが、三角定規を構えた艦長が叫ぶ、ではねえ……)

・「ゴジラ-1.0」(2023年)で雪風の活躍を堪能しただけに、本作にも期待していた。あちらは寺内正道艦長まで本人そっくりに再現するほど力が入っていた。

・唯一の「戦果」シーン。巡洋艦への砲撃や空母への魚雷命中は事実ではなさそう。実際には攻撃自体はあったが、命中は確認されず、戦果を誤認して報告したらしい。

・不発のロケット弾、海に捨てればいいだけでは?と思ったら、捨てたとき爆発すると危険なのかな。しかし、作業を大勢で見守るのはいかがなものかw

●親父が「雪風が建造されてるところを見た」と言ってた、の件

1972年頃。ブームだったプラモデル、ウォーターラインシリーズの「雪風」(当時100円!)を作ってたら、親父が「神戸で『雪風』が建造されてるところを見たことがある」と言い出した。

当時小学4年生だった僕でも「時代が合わないんじゃね?」 と違和感があったものの、へ〜!そうだったんだと半分だけ納得してた。

数年前にその謎が解けた。親父が見たのは海上自衛隊の護衛艦「ゆきかぜ」だったのだ。

親父は1952年に開校した神戸商船大学の一期生だった。「ゆきかぜ」は神戸の造船所で1954年に起工、1955年に進水しており、時期がぴったり一致する。そういうことだったのか! なるほど〜。

ちなみに、この自衛艦「ゆきかぜ」、長門勇主演の映画「駆逐艦雪風」(1964年)では旧海軍「雪風」役として撮影に使われている。1985年に除籍、翌年に海没処分された。

2026/07/22

最近観た映画メモ「落下の解剖学」



●落下の解剖学(2023年) 2:32 フランス Amazonプライム

「プロジェクト・ヘイル・メアリー(2026年)」のザンドラ・ヒュラー主演。賞を取りまくってる映画なんだけど、第76回カンヌ国際映画祭では、本作が最高賞のパルム・ドール、同じくザンドラ・ヒュラー主演の「関心領域」(2023年)が次点のグランプリを受賞とのこと(つまり、彼女の主演作がカンヌの1位と2位)。人を突き放すような独特の魅力があり、こりゃもう引っぱりだこだろうなあ。

監督:ジュスティーヌ・トリエ、出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー他

フランスアルプスの山荘で、作家サンドラの夫サミュエルが転落死する。第一発見者は、弱視の息子ダニエルと愛犬スヌープ。事故か自殺か、それとも殺人? サンドラに疑いがかけられ、裁判が始まる。夫婦間の確執や、作家志望でもあったサミュエルの内面までもが暴かれていく……という話。

さすがの見応え! 面白かった。つかみどころがなく不安にさせられる女性作家の態度、証拠として提出された夫婦の言い争いの録音、過去の過ちが次々にえぐり出される過程など、どれも目が離せない。

11歳のダニエル少年の、弱視ながらもつらい現実に一生懸命に立ち向かう姿もいい。練習しているピアノの上達によって時間の経過を表現するなど、演出も凝ってる。

ボーダーコリーのスヌープも重要な役! 俳優犬のメッシくんはカンヌでパルム・ドッグ賞(最優秀犬賞)を受賞! 瀕死のシーンが迫真すぎて、「何かヤバい薬飲ませたんじゃ?」と心配になったけど、そのシーンの訓練風景の動画を見て、演技とわかってホッとしたw

ただ、やはり2時間半は長すぎるかなあ。僕がせっかちすぎるんだろうけどw

・フランスを舞台に、ドイツ人である主人公が裁判で言語に苦労するのがテーマの一つらしいんだけど、日本語吹き替え版で観たのでそのへんは不明(途中、原語版に切り替えたところ、主人公が英語で、検事がフランス語で話してた)。

・冒頭で夫サミュエルが最大ボリュームで流すクソやかましい音楽は、僕の大好きなスティール・パン。確かにやかましいw そういえばドラマ「誰にも言えない」で佐野史郎が聴いてたのもスティール・パンだった。陽気なのに不穏。ちょっと病んでる人が聴くのにピッタリなイメージなんだろうか?w 

2026/07/19

最近観た映画メモ「ひつじ探偵団」


●ひつじ探偵団(2026年) 1:49 イギリス・アメリカ Amazonプライム

イギリスの田舎町。羊飼いのジョージが何者かに殺されてしまった! 賢い羊のリリーを中心に、犯人探しがはじまる。ジョージが毎晩羊たちに読み聞かせていた推理小説の探偵のように……という話。

監督:カイル・バルダ、出演:ヒュー・ジャックマン、ニコラス・ブラウン他。

面白かった〜。動物がしゃべる系のコメディ。ミステリーとしてはユルユルなんだろうけど(もう一捻りあると思ったw)、ほのぼの楽しめた。CGやパペットを駆使して作られたという羊たちが本当によくできてる。生きてるとしか思えない。それぞれキャラ立ちしてるし。リリーをなでたくなったw

普通にiPhoneなども出てくる現代の話なんだけど、どう見ても「昔ながらのイギリスの田舎町のミステリー」感があるのが面白い。善良に見える7人の容疑者(遺言書に書かれた人たち=利害関係のある人たち)にも、それぞれ暗くて嫌な面がある。閉鎖的で陰険な村社会。ジョージはけっこう大変なところで暮らしてたのねw

・監督のカイル・バルダはILMやピクサーで数々の有名作品に関わり、その後「ミニオンズ」などの監督を務めた人。キャラの活かし方を心得てる!

・ヒュー・ジャックマン、え〜〜!もったいなくない??と思ったけど、前半や回想シーンなどで羊たちに向ける暖かい笑顔を見て、ああ、ピッタリだ、と思った。

・巡査役のニコラス・ブラウンは地味すぎて、中盤でようやく「え?この人が主役の人間なんだ??」と認識したほどw

2026/07/17

最近観た映画メモ「プロジェクト・ヘイル・メアリー」



●プロジェクト・ヘイル・メアリー(2026年) 2:36 アメリカ Amazon

SNSではずいぶん話題になってたけど、ネタバレを避けてたため、ほぼ前知識ゼロ状態で見れた。「ライアン・ゴズリング主演で、孤独な宇宙飛行士の話」ってだけ。

監督:フィル・ロード&クリス・ミラー、出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー他。「LOST」などで好きな中国系俳優ケン・レオンも出てる(吹き替えの声がおじいさんすぎるw)。

宇宙船内で一人目覚めたグレース。「教員の僕が、何でこの船に乗ってるんだ?」……太陽エネルギーを食い荒らす未知の微生物が増殖し、地球だけでなく複数の恒星系に危機が迫っていた。なぜか被害を免れている星がある。以前の実績を買われてスカウトされた彼は、その秘密を探るために何光年も旅してるのだった。ある時、異星人と思われる別の宇宙船に遭遇し……という話。

面白かった。「故郷の危機を救う、心温まるファーストコンタクト&バディもの」って感じか。現在の状況と、宇宙船に乗ることになった経緯が並行して語られる。

同じ原作者アンディ・ウィアーの「オデッセイ」(2015年)と同じく、明るく前向きであろうとする主人公の独り言で物語が進む感じ。全編ほのぼのしてて、極端に怖かったりドキドキする場面はないけど、キューッとする感動シーンはいくつも用意されてる。

まあ、ちょっと長すぎるか。同じ内容で1時間半にまとめたら、もっと楽しめたと思う。あと、あと、あの異星人、人気者にしようという作り手の意図がちょっと過剰かなあ……。

ザンドラ・ヒュラー、見たことあると思ったら「関心領域」(2024年)の収容所長ヘスの妻役! 後半ではかなり冷徹な決断があったりして、キャラ的に合ってるのかも。

ハードSFっぽい顔をしたファンタジーなんだろうけど、惜しいのは、中盤以降で無重力と遠心力による重力の描写があるのに、前半では重力の描写にまったく無頓着なこと。リアリティラインを統一してくれないと、違和感が残る。(追記/わからなかったけど、前半では目的地に接近して減速中で重力が発生してるとのこと)

・萩尾望都「11人いる!」に出てくる岩石人間「石頭」を思い出した。

・ある超有名映画にちなんだネタがあり、ニコニコしてしまう。

・タイトルが言いにくい。「メイル・ヘアリー」から抜け出せないw

・「ヘイル・メアリー」はたぶん聖母マリア万歳!かなと思ったら半分当たってた。「アヴェ・マリア」に相当し、「最後の手段(神頼み)」の意の慣用句。アメフトでは一発逆転ヤケクソ超ロングパスのこと。劇中でもそう説明される。つまり、タイトルが内容を表してるのに日本では伝わらない。「プロジェクト・のるかそるか」「プロジェクト・イチかバチか」がよかったなw

2026/07/14

最近観た映画メモ「私がビーバーになる時」


●私がビーバーになる時(2026年) 1:44 アメリカ Disney+

幼い頃から祖母に自然との関わりを教わって育った日系人のメイベル。その森が道路工事のために破壊される! メイベルは、動物たちが暮らしていた森を開発から守ろうと、(経緯は省く)ビーバーになって動物たちの社会に潜入するが……という話。

監督:ダニエル・チョン、声の出演:パイパー・カーダ、ボビー・モイニハン、ジョン・ハム他。

子供向け娯楽映画としてはちゃんと楽しめた。かなりのヒットになったそう。メイベルはひたむきとはいえ、かなり危ない人のように見えてしまうけどね。

細部はちがうけど、「アバター」(2009年)と同じ構造。劇中で「アバターみたいなもの?」ってセリフまで出てくるw ということは当然「潜入もの」でもあるので、動物たちのかわいい見た目やのんきな雰囲気と裏腹に、「バレるかバレないか」のサスペンスがうっすら続く(苦手w)。

・爆笑シーンがいっぱいあった。特に、「逆の立場でそれを使われたら?」の展開は抱腹絶倒w

・キャラとしての動物と、人間から見た時の動物が描き分けられてるのがすごくイイ。そして、それはめちゃくちゃ面白い描写なのに、強調してないのはさすが!

・アニメーションの中なのに、現実に動物や生き物と間近で接したら何が起きるかを詳細に描いてて、予想はしてたものの「え??それやっちゃう?」ってシーンがあって驚いた。

・それにしても、「レッサーパンダやビーバーになってしまう東洋系アメリカ人の女の子の話」が、数年で二本もダブるのは大丈夫なのか?w

・ドリームワークスのCGアニメーション映画のような、変に軽薄でパリピっぽい描写は、ピクサーにはあんまりやってほしくないなw

・キャラクターの目の描写がこれまでのピクサーとちがう。黒目に虹彩がなく、ほぼベタの黒丸。人物のアップ時にほんの少し虹彩が見える程度。

◯以下は僕が純真な子供ならそうは思わないだろうけど、気になった点↓

日系人、自然保護と、リベラル系の匂いがきつい。ジョン・ラセターが離れて以降、「レッサーパンダ」は中国系、「マイ・エレメント」は韓国系、他にメキシコやスペインなどなど、スタッフや監督の出自や生い立ちを梃子にした作品が多い(純粋に舞台にしてるだけのこともある)。それが時代や社会を深く描くことに繋がってるのはよくわかるけど、少々鼻につくのは確か。

「坐禅のように自然の音に耳を傾け、心を鎮める」は僕の思う日本人の感覚とは違う(西洋人が想像する東洋思想っぽい)。メイベルはともかく、祖母まで日系人らしく見えないのはどうかと思った。

監督は中国系、主演は韓国系。日本人がどう関わってるんだろうと思ったら、日系人のプロダクションデザイナー、ブリン・イマギレが制作の中心にいたそう(「バグズ・ライフ」(1998年)からの古参)。また、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年)の強い影響を受けてるとのこと。なるほどー。

2026/07/11

最近観た映画メモ「大地震」


新しい映画が続々配信されてて早く観たいのに、Amazonプライムで見つけてしまい、「ネタの宝庫だろう、観たいな」と。次からは新しい映画観ますw

●大地震(1974年) 1:56 アメリカ Amazon

1979年「宇宙空母ギャラクティカ」を観に行った時の併映が「大地震」だった。5年も前の大作パニック映画がなぜ? は、「センサラウンド方式」という音響システムをどちらの映画も使うことから、その方式でヒットした「大地震」との二本立てになったらしい。

監督:マーク・ロブソン、出演:チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディ他。「ゴッドファーザー」のマリオ・プーゾが脚本だったとは知らんかった!

当時、たいして面白くなかったような気がするけど、強く印象に残ったのは……大地震が起ころうってのに、妻を完全にないがしろにした上で、調子に乗って浮気してるチャールトン・ヘストンが明らかに悪役w 浮気先じゃいい人かよ! 何やってんだ??

チャールトン・ヘストンは勤める建設会社社長の娘と結婚したものの、夫婦仲は冷め切っていた。しかも、ヘストンは事故死した同僚の妻(売れない女優)と浮気している、という冒頭。ここからヘストンが妻を殺害し、ヨレヨレのコートを着た冴えない刑事が現れる……という「刑事コロンボ」のエピソードでもぜんぜん違和感ないw 70年代前半のビバリーヒルズの雰囲気も込みで完璧w

(本当は、上記のヘストン周辺と、警官のジョージ・ケネディ周辺、地震研究所の人々、ダム関連の人々を中心に、LAで起きた大地震と人々を描く話ですw)

70年代パニック映画の構造はたいてい、「一般の人々がトラブルや葛藤を抱えて生きてることが描写される。そこへ最後の審判のように災害や事故が起こり、彼らの精神的な断面が白日の元にさらされる。果たして彼らはそれをどう乗り越えるだろう?」というものなので、まあ、とても正しい作り方w

今回観た感想。前半は、上記の時代的な面白さと、観客は地震が来ると知っててのドラマの不穏な雰囲気がとてもいい感じなのに、地震の後は通りいっぺんのパニック描写とミクロな救出劇ばかりになり、つまらなくなる。ヘストンの土壇場での改心も、そんな急に帳尻合わせられてもな〜、という感じw

・センサラウンド方式は「ズドドドド」って腹に響く強力な低音/低周波だった。「大地震」では非常に効果的だったと思う。「ギャラクティカ」では戦闘機がエンジンをふかして飛行する際に「ズドドドド」ってなったと思う。曖昧な記憶だけど、スクリーンの手前に、円筒形だったか大きな装置があった気がする。

・訪ねてきたヘストンに売れない女優が「コーヒー飲む? インスタントだけど」と言う。当時は「アメリカでもインスタントコーヒー飲むんだ!」とだけ思ったけど、今ならわかる。これは、この女優が裕福でないことを示す記号だったんだ。

・地平線まで崩壊した街全体がマットペイントで、ごく一部が実写、みたいなシーンが多いのだが、大地震にしてもちょっと見境なく壊しすぎだろ?って以外は非常によくできてる。

・キャピトル・レコードのビルが崩壊! なかなか良い特撮、と思った直後、エレベーター落下の血飛沫のひどいアニメーション。これ覚えてたwww

・変名でゲスト出演してる酔っ払いがウォルター・マッソー。あんまり面白くないぞ。

・「刑事コロンボ」の匂いがする件を検索してみた。製作のジェニングス・ラングは1977年の「ジェット・ローラー・コースター」(センサラウンド方式採用!)で「コロンボ」の脚本家チーム リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクと組んでる。同じ時代で同じユニバーサル映画でもあるし、かなり近い地層にあったんだろう。

・前年に公開されて大ヒットした「アメリカン・グラフィティ」のポスターが不自然によく映る。と思ったら、同じユニバーサル映画だった。なるほどw

2026/07/09

最近観た映画メモ「帝都大戦」


●帝都大戦(1989年) 1:47 日本 Amazon

4月に「帝都物語」に続いて見始めて中盤でギブアップ。止まってたのをリスタート。最初から見直した。

1945年、戦争末期。ルーズベルト大統領やチャーチル首相など連合国の要人たちを、霊力を強力な電波に乗せて呪い殺すという作戦。それをジャマして連合軍による帝都壊滅を助けようとする加藤保憲。対するは霊力エリートの青年中村雄昴と、前作で生き延び、成長した辰宮雪子……という話。

監督:一瀬 隆重/ラン・ナイチョイ、出演:嶋田久作、南果歩、加藤昌也、丹波哲郎、野沢直子ほか。特殊効果にスクリーミング・マッド・ジョージ、音楽が上野耕路!

「帝都物語/戦争編」の映画化だが、荒俣宏は「原作を読んだ人は怒らないでほしい」と言ってるらしいw 制作費を減らされて構想が崩れ、実相寺監督にも頼めず、スケジュールが押す中、しかたなくプロデューサー自らメガホンを取ることになったとのこと。

当時、映画館に観に行ったのにほぼ記憶がなかったのも合点がいく。記憶に残らないタイプのつまらなさだったんだな。本来はクライマックスに向けて霊的作戦を盛り上げていくべきなんだろうけど、中盤ではほとんど忘れられ、終盤で思い出したように作戦が始まる。

っていうか、丹波哲郎などが連合国首脳を呪い殺そうとしており、嶋田久作/加藤保憲はそれをジャマして連合軍による帝都壊滅を助けるって、どっちもイヤだw 本当にどうでもいい物語w

まあ、「嶋田久作をたっぷり見せてくれる」という楽しみは確かにあるw あの顔と声だけで画面は十分もってしまうw 特殊メイクもなかなか良いです。

・前作のような有名俳優やゲストが大勢登場する「お祭りイベント」でもないので、ふと我にかえって「いったい何を見せられてるんだろう?」って感じにもなる。

・野沢直子、いいじゃん! 癖の強いおばさん女優としてそのままイケた気がする。

・一瀬隆重って当時1つ上の同世代の若者だったのか。その後のプロデュース経歴はJホラーの代表作ばかり! そう思うと、この作品はいろいろ勉強になったんだろうなあ。

・おかしな空白の時間がある。表情をじっくり捉えようとしてるんだろうけど、単に時間が止まってるだけに見える。余韻でもタメでもなく、無駄時間。観ていて何度も蹴つまずいたような気分になる。

・結局、念じたり祈ったりする場面は、それが設定上どんなに強力な霊的バトルだとしても、映像としては「青筋立てて、なんかブツブツ言ってる人」にしかならないんだよなあ。小説では迫力があったとしても。耳なし芳一的に全身にお経を描いた男たちが祈る場面など、思わず吹き出してしまったw

・霊的作戦の隠された意外な目論見は成功するのだが、じゃあ、他の登場人物たちの奮闘って何だったんだ?  これはひどいw

2026/07/07

最近観た映画メモ「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」


●ゆきゆきて、神軍(1987年) 2:02 日本 YouTube

当時からとんでもない映画ということは知ってた。なるべくなら観ないで済ませたかったけど、たまたまYouTubeで無料配信されてると知り、怖いもの見たさで、つい……w

監督:原一男、企画:今村昌平。

傷害致死罪で実刑を受けるなど、ここには書きたくないほどのすさまじい経歴を持つ超危険アナーキスト、奥崎謙三。自分が所属していたことのある部隊で終戦直後に起きた銃殺事件や人肉食をめぐって、異様な熱量をもって当事者たちを問い詰め、真相を聞き出そうとする姿を追ったドキュメンタリー。

奥崎は日本一上官を殴った男と自称。自身は終戦の1年前に捕虜になっている。復員時にも暴力で問題解決してきたなど、歪んだ成功体験を持つ。

話をしに訪れた上官や戦友たちに殴りかかって警察沙汰になるなど、カメラを意識したであろう暴走が目立つ。戦後38年もたって、それぞれ過酷な過去と折り合いをつけているだろう元兵士たちに「責任を取れ!」と怒鳴り、暴れ回る奥崎(ブチ切れてる時以外はとても穏やかな人に見えるのだが)。

裏話を知ると、「ドキュメンタリーって何?」という視点にならざるを得ない。奥崎が関係者の証言を引き出したのはすごいけど、過程がめちゃくちゃすぎる。

奥崎が演技していることが判明したり、原監督に思い通りに撮らせようとして決裂したりもする。さらに、事件の責任者の家族を改造拳銃で襲撃し、殺人未遂事件で懲役12年が確定する。

また、編集者が監督の意向を無視して独自に編集したらしい。最終的に、企画の今村昌平と原監督の意図がどのくらい反映されているのかも不明。

っていうか、原監督は自分の名前でこれが世に出て大丈夫だったのか? 海外の有名監督らも認める「怪物的な映像作品」になってしまったのは確かなので、ドキュメンタリーかどうかは置いといて、これはこれで価値を認められた、ということなんだろう。

(Wikipediaなど読むと、原監督はドキュメンタリーと虚構の境界をあいまいにし、「やらせ」さえ真実を明らかにする手法として使う監督、とのこと)

撮影は1982〜1983年頃とのことで、奥崎は当時62歳。現在の僕よりひとつ下だけど、同世代とはまったく思えない。他の登場人物含め、昔の大人はこんな感じだったなあ。

●全身小説家(1994年) 2:37 日本 YouTube

監督:原一男。小説家・井上光晴の晩年/闘病の5年間を記録したドキュメンタリー。ドラマ部分も少しある。NHK「ファミリーヒストリー」のように関係者のインタビューを通じ、彼の年譜/経歴がほとんど虚構であったことも明らかになっていく。

冒頭からの井上の描写が強烈。1989年時点で63歳、つまり現在の僕と同い年なのだが、若い頃に「嫌だな、ああはなりたくないな」と思った大人の振る舞いのフルセットのような俗物ぶり。「35年前の63歳ってこんなだったのか??」とショックを受けるほどw

しかもモテモテなのがまた嫌だなww 取り巻きの女性たちは、井上がいかに素敵かを夢見る少女のように語る。男性たちさえメロメロw すごい引力だなあ。

とはいえ、奥さんや家族といる場面ではごく普通の男にも見える。外ではそういう“井上光晴”を演じてしまうのだろう。

……というような悪印象からの、癌告知、手術、闘病。それでも彼なりにまっとうに生きようとする描写がかなりキツくてこたえる。彼についてのまとまった印象を持ちにくい分、「ゆきゆきて、神軍」よりも心に強く残る映画かもしれない。

経歴詐称といっても、自分を大きく見せるためではなく、自分の人生そのものを作品化している感じ。「嘘つきみっちゃん」と呼ばれていたそうで、嘘ばかりなのは家族も周囲も薄々知っていたとのこと。

「全身小説家」というタイトルが効いてる。本人にとっては経歴も記憶も空白も、すべて小説の材料だったのかもしれない。しかも、その手法を講演で大勢に紹介してるw

2026/06/29

最近観た映画メモ「奴らを高く吊るせ!」

6月末で配信終了の映画を駆け込みで観るシリーズ第7弾。もうこのへんで打ち止めにしておく。「ピンク・パンサー」シリーズも50年ぶりに観直したかったけど、今回はあきらめた。

●奴らを高く吊るせ!(1968年) 1:49 アメリカ Amazon

テレビ出身のイーストウッドがマカロニウエスタンで映画スターの仲間入りした後の、ハリウッド主演第一作。それも自ら設立した会社による製作で総指揮を取る力の入れよう。

監督:テッド・ポスト、出演:クリント・イーストウッド、エド・ベグリー、ベン・ジョンソン他。ブルース・ダーンやデニス・ホッパーも出てる。日本語吹き替え版、イーストウッドはもちろん山田康雄!

オクラホマ。突然現れた9人の男たちに牛泥棒の濡れ衣を着せられ、裁判もなしに縛り首にされた男ジェド。通りがかった囚人護送中の連邦保安官に助けられる。判事によって無罪と判断され釈放されたものの、合法的に復讐を果たすため、ジェドはかつて務めていた保安官に復職するが……という話。

冒頭で、いきなり超強力な復讐の動機が示される。こりゃもうマカロニウエスタン風に、9人の犯人たちを一人ずつ血祭りに上げていく映画かと思ったら、ぜんぜん違った。そこはアメリカ映画。なんと、「法を守ること」「法の残酷さ」についての映画なのだった。

絞首刑が小さな町のお祭りみたいになっており、その詳細な描写に驚く。その刑に関連して、途中からとんでもない冷血漢に見えてくる判事も、準州に一人しかいない判事、つまり「その上には神しかいない」という立場で、裁きを下さざるを得ないことに苦しむ描写は良かった。

犯人たちも無法者ではなく大半は善良な市民で、一時的な思い込みから私刑/リンチに走ってしまったことも判明。一人の「良心的」犯人の存在もあって、「復讐」については途中から観客的には置いてけぼりを食った感じになる。とりあえず西部劇的には半分決着をつけたものの、「続く」という感じで幕が降りる。

・フルオーケストラの戦争映画みたいな大げさな音楽がちょっとジャマ。かと思えばモロにエンニオ・モリコーネ風の音楽も混在してて微笑ましいw 真似させられたかわいそうな作曲家は誰かと思ったら、「逃亡者」等を手がけたドミニク・フロンティア。「ラット・パトロール」のテーマ曲は中学時に録音して好きだった(「要塞攻略戦」っていうひどいタイトルをつけられてたw)。

・クリント・イーストウッドの映画って、最近の作品まで含めて、半ば強引だけど結局モテモテなシチュエーションがたいていある。このハリウッド第一作目にあたる映画でも、すでにそうだったw

・ブルース・ダーンの憎ったらしい小悪党ぶりが最高。「11人のカウボーイ」(1972年)も良かった。

・デニス・ホッパーの使い方がとても正しくて笑ったw 出てきた瞬間に「あ、こいつ絶対ヤバい」とわかる。っていうか、本人があのイメージで売っていこう!って思ったのかな?w

・あれ?と思った点。判事の部屋のランプと、大尉と呼ばれる犯人のリーダー格の家のランプ。同じものでは? 上部のガラスのホヤの有無の違いはあるものの、小道具の使い回しかも。まあ、当時流行ってたランプの形なのかもしれんけど。


このランプだな。1800年代後半に人気だったランプとのこと。

ガラスのホヤがついたタイプもあった。こちらは電灯だな。どちらも1968年の撮影時点で割とありふれたタイプのレトロ照明器具だったらしい。

最近観た映画メモ「ビー・クール」


6月末で配信終了の映画を駆け込みで観るシリーズ第6弾w
あと1〜2本イケるかな?

●ビー・クール(2005年) 2:00 アメリカ Amazon

先日観た「ゲット・ショーティ」(1995年)の続編。マフィアの取り立て屋から映画プロデューサーになったチリ・パーマー。今度は音楽業界に乗り込む。長期契約で塩漬けにされてた有望な新人歌手を奪い、友人の音楽会社から売り出そうとするが……という話。

監督:F・ゲイリー・グレイ、出演:ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン、ドウェイン・ジョンソン、ハーヴェイ・カイテル他。あっと驚く豪華なゲスト出演陣!

楽しかったけど、世間の評価はイマイチらしい。まあ、コメディにしても軽薄すぎる上にバランスが変というのは確かにあるかもしれない。でもトラボルタがノリノリで、それがなんか幸せな感じするので許すw  音楽業界というかショービジネスの「わお!」って感じをいろいろ見せてくれるし。

「パルプ・フィクション」のオマージュと思われるトラボルタとユマ・サーマンのダンスシーン。シャレでやってる感じで十分なのに、「どうせなら名シーンにしてしまおう」という思惑が見え、ちょっと醒めてしまう。長いしw 後半の歌のシーンもちょっと豪華すぎて、クライムアクションコメディ的にはアンバランスかなあ。

前作から10年もたつと、トラボルタが明らかに老けて見えるのが残念w チリ・パーマーは前作から何年もたってない感じなのに。(っていうか、2005年からもう21年も経ってるって、すごいね。前作からだと31年!)

俳優として売り出し中のドウェイン・ジョンソン、髪の毛と髭がある! 体もそれほどムキムキでない。悪徳音楽プロデューサーのボディガード役だけど、繊細で俳優志望でゲイって役柄。現在のイメージではぜんぜんないけど、確かにもともと面白い俳優なんだなあと好印象。

セドリック・ジ・エンターテイナー演じるカリカチュア化されたギャングスタラッパーの一団が素晴らしいw 全員で一つのキャラとして動いてる。活躍をもっと観たかったw

2026/06/28

最近観た映画メモ「ノスフェラトゥ」他


6月末の「primeでの配信は◯日以内に終了」が多すぎない? ヘルツォーク作品だけでなく、「あっ!これ配信されてるんだ!」って割と最近ウォッチリストに加えた映画(MGM+含む)がごっそり配信終了になってしまう。「ピンク・パンサー」シリーズも観直すつもりだったのに。そこへいくと、U-NEXTの品揃えは強いなあ。そのうち復活しよう。

今回、1979年と1922年の「ノスフェラトゥ」を観たけど、2024年にもリメイクされてる。オルロック伯爵(=ドラキュラ)がなんと「IT」(2017年)でペニー・ワイズを演じたビル・スカルスガルド! 観たい!

もう一本、1922年版の撮影舞台裏を描く「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」(2000年)も面白そう。こちらのオルロック伯爵はウィレム・デフォー! (2024年版にも出てるw)

●ノスフェラトゥ(1979年) 1:47 西ドイツ Amazon

1922年の元祖「吸血鬼ノスフェラトゥ」は小説の著作権を避けた形で作られた、いわばジェネリック「ドラキュラ」なんだけど、1979年にリメイクされた本作では登場人物の名前は変えられておらず、ドラキュラ伯爵やヘルシング教授など本来の名前になっている(他、名前の入れ替えなどある)。1979年時点で著作権切れだったのでそのまま使えたとのこと。

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク、出演:クラウス・キンスキー、ブルーノ・ガンツ、イザベル・アジャーニ他

不動産会社に勤めるジョナサン・ハーカーは、ドラキュラ伯爵から依頼を受け、大きな屋敷を売る契約のためにトランシルヴァニアを訪れる。恐れる村人たちの制止も聞かず、古城へ向かう。不気味な伯爵と面会して契約を交わすものの、ジョナサンは閉じ込められてしまう。一方、伯爵はジョナサンの妻を狙い、急いで出発する……という話。

非常に静かな映画。ゴシック・ホラーの様式美を削ぎ落とした怪奇映画という感じ。ドラキュラ伯爵は、何百年も死ぬことさえできない悲しく哀れな存在として描かれる。

吸血鬼映画というよりも、町に疫病と死が広がっていく様子を描く。冷たい禍々しさが画面を支配する。ネズミだらけの石畳、無数の棺桶、誰もいなくなった町。ドラキュラはペストそのもの。前歯までネズミ! 

・イザベル・アジャーニが美しい! ラファエル前派の絵画のよう。

・最初に「手先/しもべ」となるレンフィールドの俳優の演技がウザ怖すぎるw っていうか、ニコラス・ケイジがドラキュラ伯爵を演じる映画「レンフィールド」(2023年)って、このレンフィールドのことだったのか! 今さら気がついたw

・西ドイツの映画なのにセリフが英語(口の動きも合ってる)なのはなぜだろう?と思ったら、英語版とドイツ語版と同時に撮影され、両方が正式版として公開されたそう。

・町を埋め尽くすネズミが白っぽくて違和感があったのだが、ヘルツォークが撮影用に大量に輸入した実験用ラットは白ネズミだった。それを灰色に染めようとしたことや、輸送中のトラブルで、半数が死んでしまったらしい。他にも動物の扱いに問題があったとのこと。

・クラウス・キンスキーの白塗りの特殊メイクが不気味でなかなか良いんだけど、ライティングの具合によってピンクっぽく肌が透ける瞬間がある。ふっくらした干し柿のようだw

●吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年) 1:34 ドイツ YouTube

監督:F・W・ムルナウ、出演:マックス・シュレック他。

日本語字幕入りバージョンがYouTubeにあったので、確認のためにざっと観てみた。大まかなストーリーはほぼ同じだけど、ノスフェラトゥ=ペストということをはっきり描いている他、ヘルシング教授に相当する人物がいなかったりする。

ヘルツォーク版は構図や演出含めほぼこれを下敷きにしてる模様。影絵の描写もこちらがオリジナル。こちらでは影を使って「触れる」までやってる。

マックス・シュレック演じるオルロック伯爵(=ドラキュラ)の外観や演技はクラウス・キンスキーより人間離れしてて、けっこう怖い。ドイツ表現主義的テイスト全開。どんだけ怖い顔の俳優だろうと画像を検索したら、普通の人でしたw 付け鼻や牙など自分でメイクしたとのこと。眉毛は無いほうがよかったなw

・1922年の白黒映画にしては中間の階調がしっかりあって、かなり鮮明。廃棄を免れたフィルムを元に修復されたのかな。

・最初に「手先/しもべ」となるノック(=レンフィールド)は、こちらでもウザ怖すぎるけど、登場場面は格段に多い。

・ヘルツォーク版を観た後なので画面で何が行われてるかちゃんとわかるけど、無声映画の字幕/インタータイトルだけでは説明不足でわかりにくいかもしれない。

・上で「著作権回避のためのジェネリックドラキュラ」と書いたけど、冒頭でタイトルの次に「小説ドラキュラ、ブラム・ストーカー」と思いっきり出てくる。ドイツ人になじみやすいよう固有名詞をアレンジした「無許可ローカライズ版ドラキュラ」だったという説も。まあ、どちらにせよ裁判には負け、フィルムは廃棄されることになるのだが。

YouTube「WY日本語字幕FILM」。パブリックドメインとなった古い映画に字幕をつけて配信してる。すごい映画がいっぱい! 「吸血鬼ノスフェラトゥ」はたった3週間前のアップだった。
https://www.youtube.com/@wysubtitles

2026/06/25

最近観た映画メモ「アギーレ/神の怒り」



●アギーレ/神の怒り(1972年) 1:33 西ドイツ Amazon

観たはずだけど、調べると日本公開は1983年2月。その頃は就職の直前で映画に行ける状況じゃなかった。としたら、80年代後半にビデオを借りて観た可能性も。猿だらけのシーン他、いくつかのシーンは記憶にあったし。

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク、出演:クラウス・キンスキー他

16世紀のアマゾン奥地。黄金郷エルドラドを探し求めるスペインの大探検隊がついに行き詰まる。行くか戻るか、偵察のため少人数の先遣隊を編成、川下りに臨む。副官アギーレは異常な執念に取り憑かれているし、過酷な自然と原住民の襲撃で隊員は次々に減っていく……という話。

凄まじい映画だった。「フィツカラルド」と違い、こちらはストーリーを「楽しむ」箇所はほとんどなく、陰惨な強行軍のみ。もう一回観たい!とはならないなw 絶望的な状況にアギーレの狂気だけ空回り。こちらのクラウス・キンスキーは可愛げゼロ。

「手付かずの自然の力に対して西洋の人間の野望のちっぽけなこと!」を堪能する映画。冒頭の険しい山の行軍はほんとスゴイ。あそこだけでも観る価値あり。

・「フィツカラルド」と対になってるんだろうな。アマゾンの大河を上ったり下ったり、執念が高じて半分頭イカレた男をクラウス・キンスキーが演じたり、伝説の神々と間違えられたりも。

・異教徒を人とも思わないスペイン人、ひでーよ。。。

・細部にこだわらないヘルツォーク監督へのツッコミとしては、「現代のヘアスタイルのおじさんたちが海パン姿で筏を操ってるぞ」くらいかなw

・「ドローンもない時代に筏の周囲を二周する視点」は、普通にモーターボートで撮ってるんじゃないかな? 航跡っぽく水面が乱れてるように見える。

・ああそうか、あの長槍って「地獄の黙示録」でオマージュされてた。

2026/06/20

最近観た映画メモ「フィツカラルド」


当時からずっと観たかった「フィツカラルド」。割と最近Prime Videoで見つけ、そのうち観るつもりだったのだが、「primeでの配信は14日以内に終了」って出てしまい、急いで観ることに。

●フィツカラルド(1982年) 2:37 西ドイツ Amazon

「船頭多くして船山に登る」、あのビジュアルで思い出してしまうw とりあえず、「船が山を登る」って点はネタバレではないものとします。

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク、出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ他。

天然ゴムによる好景気(ゴムブーム)に沸く二十世紀初頭のペルー。アマゾン奥地の町にオペラハウスを建てることを決意した男フィツカラルド。その資金を手に入れるため、まず、大きな蒸気船を買う。その目論見とは、ゴムの輸送方法がなく誰も手を出さない地域の河に、山越えさせた船を浮かべて輸送に使えば、大儲けは確実……という話。

(僕もずっと勘違いしてたけど、「未開のジャングルのど真ん中にオペラハウスを建てよう!」という話じゃないです。ゴムブームで栄えたペルーの地方都市にオペラハウスを建てようという話ですw)

めちゃくちゃ良かった! 特別な映画を観てる感が大きく、終始圧倒される。「つかみ」的なものとして、ちょっと長めにオペラを映してるんだけど、それがもう圧巻! 嫌ったらしい有力者のおっさんも圧巻!

っていうか、クラウス・キンスキーの顔自体が圧巻w 「オペラハウスを建てるぞ!」「船を山越えさせるぞ!」すごい熱量のキャラ。こちらまでやみくもに元気が出てしまうw 強烈な変人ではあるものの、様々な試練に翻弄され、そのたびに見せる表情に可愛らしさまで感じてしまう。

これ、土木工事映画w なぜか地元のインディオたちが大勢で協力してくれるんだけど、「300トンの蒸気船を実際に山越えさせるにはどうしたらいいか?」を説得力ある形で見せてくれる。っていうか、映画を撮影するために本当に山越えさせた一部始終のドキュメンタリーみたいなもんで。

蒸気船が本当にゆっくりゆっくり山を登っていく様子は、思わず「おお〜〜〜!」って声が出てしまうw

最終的にはフィツカラルドの目論見通りにはいかないのだが、思わぬ形で夢を実現。これが本当に幸せそうで、こちらとしても「よかったねえ、よかったねえ!」ってなってしまうw いいラストだなあ。

娼館の主人役のクラウディア・カルディナーレは愛人なんだけど、キンスキーのクドったらしさを中和する役割のようで、ホッとする。有力者のおっさんも、船長も機関士もコックもみんないいキャラ。

ヘルツォークは映像で魅せてくれるけどキューブリック的な完璧主義者ではないようで、主なツッコミどころは次の通りw
・遠景に普通のビルがw
・ボートの船外機が現代風
・急流のシーンの船にスタッフが乗ってるのが見えるぞw
・それほど必要と思われないいくつかのミニチュア撮影が残念。
・二人の肖像画がひどすぎるw

ところで、ヘルツォーク監督。「シャイニング」撮影中のキューブリックところに来て、ジャック・ニコルソンに「フィツカラルド」への出演を直談判したらしい。

あと、ダニー少年の三輪車の耳障りな音に悩んでたキューブリックに、「いいじゃんこの音!」って採用させたのがヘルツォークだそう。いや、僕的には走り回る三輪車の木の床とカーペットの響きの違いはすごくいいなあと当時思った。

ヘルツォーク、映画芸術の巨匠で小難しい文化人かと思ったら、「マンダロリアン」のドラマに出てたんだ。「孫が喜ぶから」だってw 見覚えあるわ。大滝秀治っぽい俳優だなとは思ったけど、気がつかなかった。

●「Burden Of Dreams」(1982年)1:26  YouTube

メイキングドキュメンタリーがYouTubeにあったので見た。ざっとメモ。原題「夢の重荷」w

河を遡る点で「地獄の黙示録」(1980年)を思い起こさせたけど、ドキュメンタリーもそのメイキング「ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録」(1991年)と合わせて語られるそう。

撮影キャンプが地元の争いに巻き込まれて移動せざるを得ず、主演俳優ジェイソン・ロバーズが赤痢で降板、目玉だった助手役のミック・ジャガーも降板して脚本書き直しなど、とんでもない困難が次から次へと。こりゃもう、映画自体が「困難を乗り越える」そのもの。

メイキングを観ると、「ジョーズ」のスピルバーグも「地獄の黙示録」のコッポラも、死ぬほど大変な目に遭いながら、映画をなんとか「完成」までたどり着かせてるんだなあ。執念!

同じ外観の船を3つ用意、一つは座礁してしまって雨季待ち、一つは山を登りかけて立ち往生、残りの一つで命懸けの急流の撮影。すごいギリギリ!

カルロス・フィツカラルドという実在のゴム富豪がモデルとのこと。ただし、実話としては30トンの船を分解して山を越えたのを、ヘルツォークは船を300トンにして分解せずに山を越えさせたというムチャクチャw

映画では数百メートルの坂を登って反対側へ降りるように見えるけど、空撮を見ると、とてもそんな距離じゃない。少なくとも2kmくらいありそう! どんだけ大変な作業だったか!

故障してばかりの中古のブルドーザー一台での工事は難航、引き上げかけた船はずり落ちる。主人公フィツカラルドと監督のヘルツォークが同じく「絶対に船を山を越えさせる!」と一致w その狂気の熱量が映画からはみ出てる。

・インディオたちが「原住民」的ではなく、TシャツやGパンなど洋服を着たりメガネかけてたりサッカーしたり、普通の文明人。1980年代当時では当たり前だけど。

・操舵室にいる青いシャツを着た人を確認。急流のシーンに映ってた人だ!

・休憩中にあやとりしてるインディオの少年! あやとりがペルーにもあるのは知ってたけど、実物初めて見た!

2026/06/17

最近観た映画メモ「地獄のヒーロー」「地獄のヒーロー2」


●地獄のヒーロー(1984年) 1:41 アメリカ Amazon MGM+

監督:ジョセフ・ジトー、出演:チャック・ノリス、M・エメット・ウォルシュ他。

ベトナム戦争中に捕虜となり、収容所で過酷な体験をしたブラドック大佐。戦後も行方不明の戦友たちの捜索に期待し、ベトナムで行われる戦後処理交渉に随行する。しかし、両政府の役立たずに業を煮やし、単独で捕虜たちの救出に臨むが……という話。

まあ、今の目で見るとアクションも行動もかなりゆるいけど、「単独潜入もの」としては普通に楽しめた。「ランボー2」の亜流みたいなイメージだったけど、実は公開はこちらのほうが半年ほど早い。どちらも当時の「ベトナムにまだ捕虜が残されているのでは?」という疑惑、POW/MIA問題から生まれた作品とのこと。

てっきりチャック・ノリス無双のドンパチ映画かと思ったら、前半は意外とおとなしい。「グリーン・ベレー」(1968年)のサイゴンでの工作員活動パートを思い出した。後半にはかなり派手なアクションシーンがあるけどね。

夜間の捕虜収容所襲撃の時限爆弾の火柱/キノコ雲は、今まで観てきたどんな映画よりもスゴイ! 渦巻く赤く巨大な炎が鮮明。それが何発も何発も大盤振る舞いw

っていうか、なんでこうベトナムというかベトコンを蛇蝎のように憎み、皆殺しにする必要があるのか? 考えてみれば、当時まだベトナム戦争終結から10年たっておらず、湾岸戦争などの前。ベトナム戦争が当時のアメリカ人にとってのリアルな戦争だったんだ。

70年代後半から80年代には「ディア・ハンター」(1978年)、「地獄の黙示録」(1979年)、「ランボー」(1982年)、「プラトーン」(1986年)などベトナム戦争を引きずる映画がいっぱいあった。

傷ついたアメリカ的なテーマが多かったように思えるが、この映画は少し異なるかもしれない。「敗北したあの惨めな戦争に勝ち直したい、せめて一矢報いたい」という願望が見える。

・収容所での過酷な体験と脱出を描く「地獄のヒーロー2」のほうが先に撮られたものの地味だったため、本来は続編である「地獄のヒーロー」のほうがウケるだろうと先に公開されたそう。

・今年3月に亡くなったばかり。チャック・ノリスって殺人マシーンにしては顔が優しすぎるよねw

●チャック・ノリスの 地獄のヒーロー2(1985年) 1:35 アメリカ Prime Video

監督:ランス・フール、出演:チャック・ノリス他。

ベトナム、ブラドック大佐と部下たちのヘリコプターが墜落、行方不明扱いとなる。しかし、戦争終結後も彼らは秘密の捕虜収容所で拷問を受け、強制労働に苦しんでいた。所長のイン大佐はブラドックに戦争犯罪を認めれば解放してやると迫るが……という話。

なるほど、確かにこちらは一見地味かもしれない。しかし、主人公はじめ米兵捕虜たちがひどい扱いを受け続け、ガマンしてガマンして耐え抜いた末の、おりゃ〜〜!反撃〜〜!! は、めちゃくちゃカタルシス! こちらのほうが好みだし面白いと思う。

前作で、なぜブラドックがあそこまで捕虜救出に執念を燃やすことになったのか?が描かれており、1と2をセットで観るのがおすすめ。興行的な理由で公開順が逆転しただけなので、2→1の順で観るほうが楽しめるかもしれない。

主要登場人物が全員キャラ立ちしてて、見応えがある。ベトナム人役には韓国系や日系、中国系と思われる俳優が大勢出演。冷酷な所長のイン大佐役は韓国系のスーン=テック・オー、半分主役みたいな存在で、悪役なのに一番印象に残る。ホー大尉役は日系のベネット・オータ。巨漢のラオは日系プロレスラーのプロフェッサー・トオル・タナカ。

・ただ、あの格闘シーンは、ブルース・リーとの死闘を知ってる人には物足りないだろうな。

2026/06/14

最近観た映画メモ「白鯨」「老人と海」


「白鯨」と「老人と海」と「激突!」と、「ジョーズ」!

小学生の頃、母に「いい映画だから」と情操教育的にテレビで観せられたのが「白鯨」(1973年6月6日・水曜ロードショー)と「老人と海」(1974年8月10日・土曜映画劇場)。さらに翌年、スピルバーグの「激突!」(1975年1月5日・日曜洋画劇場)を観た(こちらは強制ではなく自主的w)。

今思えば、この3本が下地にあったんだから、「ジョーズ」(1976年1月・映画館で鑑賞)を特別に面白く感じたのも当然だったのかもしれない。

●白鯨(1956年) 1:56 アメリカ Amazon MGM+

監督:ジョン・ヒューストン、出演:グレゴリー・ペック、リチャード・ベースハート他。

冒険を求めて港にやってきた「私」は捕鯨船に乗り込んだ。伝説の白鯨に足を食いちぎられ、復讐に取り憑かれたエイハブ船長に率られ、常軌を逸した航海が始まる……という話。

重厚な小説を読んでる感、または演劇っぽさが強い。冒頭、同じような構図で5分も続く神父の説教。ヨナ書の鯨の逸話を大演説。何かと思ったら、この神父ってオーソン・ウェルズじゃん! 圧倒的存在感!

主人公と変な相棒のインディアン、他の船員たちの人間臭さが楽しい。船員として集まった様々な人種の人々が協力して航海する感じは「スタートレック/宇宙大作戦」の先取りのよう。

あちこちに「ジョーズ」のオリジナルっぽいものがあった。鯨が現れて船員たちがにわかに走り回る足元のショットなど典型。小舟が鯨に引っぱられてスピードを上げるシーンと、「ジョーズ」で樽がぐんぐん引っ張られるのも同じ! 巻ロープがすごい勢いでなくなったり、煙を上げるロープに水をかけたりとかのリアリティ! 間接的に鯨の強さや存在感が強く伝わってくる。

正気を失いかけてるエイハブ船長は「ジョーズ」のクイント船長のキャラ付けそのまま。白鯨よりエイハブ船長が怖い!w

それでも船員のほとんどがエイハブ船長についていくのがイイ。一人だけ冷静さを保ってる一等航海士は、スターバックスの名前の元になったスターバック!

当時の捕鯨の様子が詳しく描かれる。切り刻んで煮て油を取って捨てる。こんなことやってたんだなあ……。あと、ラスボス白鯨はじめミニチュア特撮部分は多いけど、本物の捕鯨を撮影した血生臭いシーンもあって、今となっては刺激が強すぎる。

・なんと、脚本はレイ・ブラッドベリだったんだ!

・予言とその実現。小学生で観た時は「すげ〜〜!」って大感動したけど、今見ると、後付けの雑な伏線に感じるw

・グレゴリー・ペック、しっかり老けメイクだけど、この時40歳。「オーメン」(1976年)で60歳か。若返ってるw

・三等航海士を演じてる俳優はハリー・アンドリュースっていうのか。よく脇役で見かけるけど、いい味の俳優だなあ。

●老人と海(1958年) 1:26 アメリカ Amazon

監督:ジョン・スタージェス、出演:スペンサー・トレイシー他。音楽:ディミトリ・ティオムキン。

キューバの年老いた漁師。84日間も何も獲れない日が続いたが、今日は大物が釣り針にかかった! 小舟を延々引っ張り続ける巨大カジキマグロと老人の、三日間に渡る戦いが始まった……という話。

そうそう、有名な「老人はライオンの夢を見ていた」のフレーズってこの作品!……めちゃくちゃ良かった! ヘミングウェイの小説(読んだことない)が原作なんだけど、この映画もずっしりした小説を読み終わった気分。

というのは、冒頭の20分以外、ほぼ老人の内面の声と独り言のみだからだろう。小説の魅力って、主人公の内面を追えることだと思う。まあ、僕は小説は大して読まないけど、スティーブン・キングも筒井康隆も、内面の声が延々書かれてるのが小説ってイメージ。その感じが映画なのに完璧に表現されてる。

聖書のエピソードか何かを下敷きにしているような雰囲気もあり(実際どうなのか知らんけど)、特別な映画を味わってる感もある。

ちょっと意外だったのは、映画が撮られた頃(1950年代)の現代の話として描かれてること。コカコーラ、ジュークボックス、ラジオ、自動車、観光客、野球選手ディマジオの話も。寓話的なイメージから、大昔かせいぜい19世紀くらいの昔話だと思い込んでた。

スペンサー・トレイシーのほのぼのした外見もあって、少年に世話される穏やかな老人と思ってたら、若い頃は腕力で鳴らした男の中の男だったという描写もある。老いてもボロボロになっても信念を持って戦い続ける男なんだ、と。カッコイイ。戦いを終え、ボロ切れのように眠る老人の姿も清々しい。

・ブルーバック合成が使われた初期の映画のひとつらしい。本物の海でのロケと、空が壁に描かれたスタジオプールの海、それに老人がブルーバック合成された海。ライティングでその場にいるような波からの照り返しがうまいこと表現されてて感心。

・ジョン・スタージェス監督って、「荒野の七人」(1960年)や「大脱走」(1963年)など、大作アクション映画の巨匠のイメージだったけど、こんなのも撮ってたのね。

・「ジョーズ」的には、サメのすごい映像が堪能できる他は直接のつながりは無いかな。唯一、巨大カジキマグロを初めて見た老人のつぶやき「舟より大きい」は、ブロディ署長の「もっと大きな船が必要だ」を思い出した。

2026/06/12

最近観た映画メモ「ティーン・ウルフ」


●ティーン・ウルフ(1985年) 1:31 アメリカ Amazon MGM+

「バック・トゥー・ザ・フューチャー」(1985年)とほぼ同時期の映画で、ずっと観たかったけど機会がなかった。

監督:ロッド・ダニエル、出演:マイケル・J・フォックス、ジェームズ・ハンプトン他。

冴えない高校生のスコット。バスケ部の試合ではミスばかり、あこがれの美人には振られる。このまま父親の金物店で働いて一生を過ごすのは嫌だ! ある日、彼は体の変化に気づく……という話。

なんて見やすい! スッと映画の世界に入れてしまうのは、マイケル・J・フォックスの親しみやすさなんだろうな。

全編ほのぼの青春もので、とてもユルい。「ロッカー前のあれこれ」「酒店で年齢をごまかして」「乱痴気パーティ」「ダンスパーティにあの美人を誘いたい」「わかりきったバスケ試合の流れ」などなど。さすがに見飽きた「米国青春定番シチュエーション」の数々はちょっとダレるけど、初めて見る人もいるわけだし許すw

車の屋根に乗って「サーフィン」にザ・ビーチボーイズがBGMなんて目も当てられない、無邪気すぎるw

紹介ビジュアルでもネタバレしてるから書くけど、普通の映画なら「狼男に変身してしまう秘密」って隠すけど、この映画では思いっきり開けっぴろげw 狼男として人気者になっちゃう。

狼男への変身は一般的な「成長」を暗示するものなんだろうけど、それをオモチャにしてる感があって痛快。

父親の昔のエピソード(教頭先生との確執など)と絡めることで時間的な立体感が出てて、上手い!と思った。

遺伝で動物に変身する体質といえばピクサーの「私ときどきレッサーパンダ」(2022年)があった。こちらは感情や成長に絡める度合いがもっと大きいけど、母親世代のシチュエーションで物語に厚みを出すのは共通してるな。どちらも、変身/成長を受け入れることで周囲との関係が変わっていく話。

◯コメント欄
テーマはちがうだろうけど、ピクサーの最新作「私がビーバーになる時」も動物に変身するねw 解説によると、こちらは「アバター」式の意識の転送らしい。

2026/06/08

最近観た映画メモ「西部悪人伝」


●西部悪人伝(1969年) 1:47 イタリア・スペイン Amazonプライム

50年前に月曜ロードショーで見逃した映画をようやく見れた! 放映は1976年7月26日。その翌日、友達はとても面白かったとのことで盛り上がってて、たいへんくやしい思いをした。その後、FMラジオで主題歌を録音。繰り返し聴いて大好きに。冒頭の決め台詞がカッコイイ。

「ヘイアミーゴ、チェサバータ、アイギョーサ! フフフハハハハ!」

正確な台詞と意味が検索で判明。
「Ehi amico... c'è Sabata, hai chiuso!」
 「おい、友よ…サバタが来たぞ、お前は終わりだ!」というような意味。
「エイ、アミーコ……チェ・サバータ! アイ・キウーゾ! フフフハハハハ!」

監督:フランク・クレイマー、出演:リー・ヴァン・クリーフ、ウィリアム・バーガー他。

ある町で大掛かりな銀行強盗が発生。謎の男=サバタが逃走中の実行犯を一網打尽、金庫も馬車ごと回収される。事件の背景の調査が始まるが、黒幕の三人組は証人を次々に消し、サバタにも刺客を差し向ける……という話。

主人公に復讐や正義など強い動機がなく、淡々と事象を追う感じ。定番の展開が多く、ある程度先が読めてしまう。物語として面白いかといえば微妙だけど、それを補って余りあるてんこ盛りの内容。

リー・ヴァン・クリーフがあまりにカッコよくてウットリしてしまうw 彼が悪党なのか正義なのかよくわからず、混乱する。「悪人伝」っていうから悪いやつかと思いきや、とりあえず違法になるのを嫌うドライなアンチヒーローってとこか。いろんなトリックを駆使するのは面白いけど、人間らしく描かれてないので感情移入はしにくい。人間臭いのは他にいっぱいいるけどね。

キャラの宝庫! 日本の少年マンガを参考にしたのではないかと思うくらい(逆だろうなw)。サバタの仲間は熊のような酔っ払いと「ネコ」と呼ばれる超人的な運動神経の無口なインディオ。バンジョーをかき鳴らす男はウザくて引っかかる。

ワルの三人組は教養ある上流に近い地位の男たちで、一人はマンガ的すぎて笑ってしまう。何人も出てくる刺客はそれぞれ短時間の登場なのに、やけにキャラ立ちしてて、もったいない。マネージャーの母親に怒られながら送り出される太っちょの殺し屋とかw

男ばかりの画面に花を添える的な役割の酒場の女にさえ、「こんなところを抜け出してヨーロッパへ行きたい」とキャラ付けされてることが、ラストでちょっと効いたりする。

・すごい! 「悪役がパイプオルガンを弾く」までやってくれるなんてー!w

・続編「大西部無頼列伝」(1970年)と続々編「西部決闘史」(1971年)と合わせてサバタ三部作とされてる。「大西部無頼列伝」はサバタ役がユル・ブリンナーに交代(三作目で元に戻る)。

・もう一本、同じ頃に同じように見逃してくやしかった西部劇がある。ジェームズ・ガーナー主演の「夕陽に立つ保安官」(1968年)。コメディで「早撃ち0.2秒」とかサブタイトルがついてたような記憶。こちらは配信がなくて残念。

2026/05/26

最近観た映画メモ「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」


●スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー(2026年) 2:12 アメリカ

観てきた。日本語吹き替え版。2023年の「君たちはどう生きるか」以来3年ぶりの映画館。公開されたばかりの映画については書きにくいんだけど、導入部以外、ほぼネタバレなしで書いてみる。心配なら読まないでくださいということで。

監督:ジョン・ファヴロー、出演:ペドロ・パスカル、シガニー・ウィーバー他。

賞金稼ぎのマンダロリアン、ディン・ジャリンと弟子のグローグー。新共和国から請けた新しい仕事は、誘拐・監禁されているという故ジャバ・ザ・ハットの息子の救出だったが、意外なことに……という話。

一話完結のドラマの2回分の内容に時間をたっぷり使ったという感じで、全体で一本の映画という印象は薄い。

ストーリーはほぼ一直線。回想シーンも伏線もない。スター・ウォーズではたいてい(地上と宇宙など)複数の場面が同時進行するけど、今回はそういう構成はない。子供でも100%楽しめるような作りにしてるんだろう。

アクションは本当にすごい! 異様に静かなシーンを作って対比も効いていて、途切れなしに続く派手なアクションは見応えがある。

ただ、いつも言ってる「ドンパチや格闘アクションはもう十分なので、そろそろストーリーを進めてください」的にはちょっとツライ。

グローグー、ほとんどの場面で人形で撮影してる? 動きのぎこちなさがまたカワイイw

ジャバ・ザ・ハットの息子って、映画版の「クローン・ウォーズ」(2008年)でも誘拐されてたよね? と思ったら、同一人物w

非常にシンプルなので、ドラマ版の予習など予備知識は必要なさそう。マンダロリアンという種族や文化の話すら出ず、ファン的には浅く感じるかもしれない。「マンダロリアン」初心者は、興味を持ったらドラマ版を見てねってことか。

・あれって「フレンチ・コネクション」だよねw