2011/05/31

板タブがなぜかとても描きやすい

マウスパッドの話とも重なるのですが、最近、板タブのペンを持つ手の力の加減が、使い始めて19年にして初めてわかってきたような気がしてたところです。力を抜いて、直角に近い角度で描いてます。

今までも、調子のいいときは「紙に描いてる以上に快適」と思うこともあったけど、「手の慣れ曲線」と「やる気曲線」がグラフ上で交差する付近だけが「すげー描きやすい!」だった。本当に描きやすいと思えるのはその数時間だけ。

描き始めた最初は描きにくいけど、手が慣れるにしたがって快適な状態に変化し、それが手の慣れが進みすぎて快適に描ける状態以上に先走る感じになり、快適でない状態に戻る。それがいつものパターン。ところがここ10日くらいは安定してずっと描きやすい。なんだろ?

おかしいなと思ってあらためて紙や液晶タブレットやiPadで試し描きしてみたりしても、やはり板タブがダントツに描きやすい。今だけかな? そういう状態は数時間で消えるのが普通だったけど、今のところ持続してる。

何だろうなあ? ペンをすごく軽く握って垂直に近い角度で描いてます。おまけに、上記のマウスパッドを使うと、今まで苦労してきたのがウソのように描きやすく感じる。どうしたんだ?>僕。

2011/05/30

個人の記録、人類の記憶

十数年前、たしかデジタルイメージのメーリングリストの投稿で開陳したアイディア。当時としては半ばSFのアイディアくらいのつもりだった。

「こんなに一生懸命作ってるデジタル作品なのに、死んだらデータはどうなっちゃうんだろ?」「HDDや光ディスクはせいぜい数年〜数十年しか保存できない」「自分の作品データに限った話じゃなく、人類全部の活動がデジタルにどんどん記録・蓄積されていくのに、そのデータをまとめて保存したり利用する仕組みがないじゃないか!」「個人のデジタルデータは個人が生きた証しや軌跡。個人のデジタルデータを永久に保存する機関があったらいいなあ」ってものです。

ブロードバンド普及途上だったし、データセンター的なものを知らなかった当時のアイディアですが・・・。

「月に一度、データの光ディスクをその機関に宅急便で送る。あるいは引き取りに来る」
「送付が続いている間、料金を払い込む」
「ディスクの送付か支払いが滞ったら亡くなったものと見なし、収集完了」
「大容量の光ディスクにまとめて保存。倉庫で保管」
「契約により、死後50年だか70年だかの著作権保護期間以後、蓄積されたデータは一般に閲覧できたり研究などに利用できる。」
「死後すぐに公開していいなら、料金は安めに設定」
「世界中の複数箇所にコピーを保管する。できれば月面や火星や衛星軌道上などにも置く」
「個人の全記録はお墓に代わるもの。言うなれば、個人ユースのピラミッドや古墳みたいなもの。そのピラミッドを何十億、何百億と集めた、人類全部の記憶・記録、そしてパブリックな知的財宝の山」

・・・というような考えでした。現在なら、ディスクの送付や保管などという手間のかかることはしないですね。もちろんクラウド方式でしょう。では、最初の部分を以下のようにアップデートしてみます。

「基本的にはレンタルサーバーのようなサービス」
「クラウド的に、仕事や生活や活動の中であらゆる個人データの保管に利用する」
「サーバーにアクセスがなくなって一定期間たったら、亡くなったものと見なし、収集完了」
・・・以下は同じです。

で、ふと考えてみると、専用の機関や企業でなくてもインターネット自体がそれかもしれないし、GoogleやEvernoteなどのサービスは特にそうなのかもしれない。僕が現在のブログに引っ越したとき考えたのは、「あらゆる情報の収集・整理を目指すGoogleのサービスであるBloggerなら、ブログのデータは半永久的に保存するつもりに違いない」ってことだったし。

Evernoteなんか「人生の全てを記録する」ってコンセプトだからかなり近いかもしれない。画像その他のファイルだってアップできるし。同様に、完全に定着したサービスといえるYouTubeやFlickr、はたまたfacebookやTwitterなども、個人の記憶・記録を永久に残すものになるかもしれない。特に、閲覧するのにパスワードがいらず誰でも見られるものは、アップされた時点から人類の記録として機能してるわけで。

できれば、そういったサービスにはぜひつけてほしい設定がある。「一定期間アクセスがなかったら、プライベートに設定してある全アーカイブをパブリックに公開」機能。それだけ実現するなら、ややこしい機関がなくてもいいや。

残すデータファイルの形式や互換性の問題もあるけど、単にテキストや画像や音声やムービーなどの閲覧用最終データなら何千年後だって大丈夫なはず。そのデータを作るのに使ったアプリケーションのネイティブ形式のファイルは無理だろうけど、それは重要な問題ではないと思う。

個人の記録や記憶が人類全体の巨大な記憶に融合していくのって、手塚治虫の「火の鳥」に出てきた「コスモゾーン」みたいで、ロマンチックだなあ。

TDW_2013

2011/05/25

■グラフィック薄氷大魔王[257] WACOMのiPad用ペンと、手の置き場所問題

■グラフィック薄氷大魔王[257]
WACOMのiPad用ペンと、手の置き場所問題

吉井 宏
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先日レポートしたプリンストンテクノロジーのTouch PenとパワーサポートのSmart Pen。好みとしてはどちらかといえばTouch Penでした。iPadのSketchBook Proを使ったドローイングに大活躍してます。今回はその後入手したスタイラスペン2本のレビューです。

・参考「251回 すごいぞ、iPad用ペン!」
http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110223140200.html

●WACOMの「Bamboo STYLUS」

まさに真打ち登場。WACOMがiPad用のスタイラスペンを作るというのは、ずいぶん要望が多かったらしいです。僕的にはWACOMにiPad用タッチペンを期待するのはちょっと違うんじゃないかなと思ってましたけどね。

Wacm Bamboo STYLUS製品情報 < http://bit.ly/k2C76p >

現物の写真 < http://yfrog.com/hs3n0enj >

見た感じよりも重いです。SmartPenがアルミとすれば、WACOMのは鉄って感じ。高級感があります。先端はTouchPenやSmartPenなどと同類の、中が空洞のゴム球です。

先端の拡大写真 < http://yfrog.com/h7oe3zkj >

直径は6mm。Smart Penよりコンマ数mmくらい細い。この種のスタイラスでは一番細いらしい。先端の柔らかさはTouchPenとSmartPenの中間くらい。どちらかというと軟らか目。僕的にはちょっと軟らかすぎかなと思ったけど、ペコペコする感じは少なくて描きやすいです。

先端の直径が小さいほど小回りが効いて細かい絵が描けるわけですが、WACOMのペンならなんとか7mmくらいの文字が書けます。WACOMだから筆圧が効くとかの仕掛けを期待しちゃいますけど、それはさすがにないです。

先端のゴムは取り替え可能。中空のゴム球タイプのペンは激しく使うと破損することがあるそうで、先端だけ取り替えて使えるなら経済的。後部のクリップも脱着可能です。

5月27日発売だそうです。なんで持ってるかというと、発売前の製品を試してブログとかに書いてねってことなんだけど、自前で買っても勝手に書きますよ。いいもんコレ。僕的には今までプリンストンのTouch Pen PIP-TP2が最高峰でしたが、先端の細さと硬さのバランスでWACOMの勝ち!って感じです。

他社のペンとの比較写真。長さはだいたい同じ。

< http://yfrog.com/h01erykj >

各社のペンの先端部分の写真。先のゴム球のサイズに注目。細めのSmart Penとの差はわずかなのに、とても細く見える。

< http://yfrog.com/gypi9egj >

僕的には、軸がスベスベで滑りやすいのがちょっと惜しい。他のペンはツルツルなので逆に滑らない。なのでボールペンからはずしたグリップをはめてみた。

< http://yfrog.com/gywexiwj >

WACOMとしてはこの種の最高の製品のひとつを作ったことになるわけですが、内心、忸怩たるモノがあったりして。だって、WACOM式のタッチ&ペンがあるわけなのに、別方式の専用ペンなんだから。iPadやandroidタブレットがWACOM方式を採用することをまだ期待してます。ASUSのタブレットPCでWACOMのユニットを採用したものもありますし。

< http://www.asus.co.jp/Eee/Eee_Pad/Eee_Slate_EP121/ >

●太い鉛筆型の「AluPen」

フォーカルポイントコンピュータが販売しているJust Mobile AluPen。
Just Mobile AliPen
http://www.focal.co.jp/products/detail.php?product_id=397

太くて重いです。先端の直径は7.7mmで、Touch Penとほぼ同等です。太軸ペンが苦手な僕的にはいちばん不向きなペンと思いきや、掌を画面につけないで腕を使って描くにはなかなかイイです。重みがあるので画面に押しつけなくても描けます。

●手の置き場所問題について

iPadにすばらしいペンがいくつも登場し、なんとか満足に絵が描けるようになってきたものの、「手を画面に置いて描けない」問題があった。これは簡単に解決できました。長袖なら伸ばして掌の下に敷く状態で描くと大丈夫です。

半袖の季節の今は、スポーツ用の汗ふきリストバンドを使うと便利です。軍手を小指を残して指部分を切り取って使うとかも具合いいんじゃないかな。

リストバンド < http://yfrog.com/gz2trgcj >

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

スピルバーグの新作「タンタンの冒険」の予告編が公開された。実写映画のように見えるけど、実はリアルなCGアニメ。「実写映画も完全にCGで作っちゃえば予算も見えるしスケジュール立てやすいしイイじゃん」って方向かなと。CGアニメって枠をはずしてあくまで「実写映画」としてCG映画作るのはすげ〜アリだと思う。この方向は増えるだろうから日本にとってもチャンス。映画に東洋人の俳優しか出てこなければ欧米一般に売るのはむずかしいかもしれないけど、CGなら何でもアリ。面白さだけの勝負になる。その点「映画ファイナルファンタジー」は出来はともかくちょっと早すぎたかも。
< http://tintin-movie.jp/ >

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REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV >

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2011/05/18

■グラフィック薄氷大魔王[256] 小ネタ集「そっちへ行っちゃダメだ主人公」「津波とカメラ」

■グラフィック薄氷大魔王[256]
小ネタ集「そっちへ行っちゃダメだ主人公」「津波とカメラ」

吉井 宏
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●そっちへ行っちゃダメだ主人公

映画って、主人公が行っちゃダメなほうへどんどん行くでしょ? たいてい動機も気持ちもわかるし必然もあるんだけど、そっちへ行ったらダメだよって方へ行って困ったトラブルに巻き込まれるじゃない? それがどうなるんだろ?ってサスペンスになるんだけど。

見始めた映画を途中でやめると決断しないかぎり、そのトラブルにハラハラしながらつきあわなくちゃならない。ハラハラってのは基本的にイヤな気持ち。わざわざイヤな思いをするために映画見るのって何だろね。

どんな楽しそうな映画でも、やはりたいてい主人公が困ったことに巻き込まれたりややこしい課題を与えられたり、それが解決するまでは基本的にイヤな感じが続く。それが解消したときがキモチイイわけで、それを味わうために映画を観るわけか。イヤな感じが弱い映画はつまらないって言われるんだな。変なの。

●津波とカメラ

津波って、どんなものなのか具体的にはわからなかった。スマトラ地震のときに少し映像はあったけど、それでも動いてる津波ってほとんどイメージなかった。映画によく出てくる津波はたいていサーフィンのビッグウェーブみたいに白い波頭を立てて迫ってくる感じ。あれは違うだろうと思ってたけど。

世界中で異常気象が大変なことになってる! とかいうけど、それは世界中にビデオカメラが行き渡って、映像で見えるようになったからそう感じるだけだと思う。地球としては普段通りなんだろう。ケータイやスマートフォンが発展途上国にも普及していけば、もっとひどい映像がどんどん出てくる。

津波だって、何十年か何百年に一度、ああいう惨状が繰り返されてきたわけで。しかし今回が違うのは、目に見える映像として記録に残る。前々回の津波の記憶が薄れて、「これより下に建てるな」ってのがおろそかに、ってのが今回はないだろう。あの映像が残ってれば。

ところで、以前何かで読んでおもしろいなあと思ったこと。イカやタコの目は、人間の目に匹敵する複雑な構造で非常に高性能。ところが、その高性能な目から入った膨大な情報を処理する彼らの神経や脳は単純すぎて役に立たない。いったい何のためにその高性能な目を持ってるのか? もしかすると、何者かが地球を観察するためにばらまいたカメラなのではないか? ってもの。人類も記録する目を世界中にくまなく持とうとしてるんだなあ。

●スーパークールビズ

スーパークールビズって「びんぼっちゃま」みたいのかな?ってみんなそう思うらしいね。ポロシャツやアロハシャツがオーケーだって。便乗して十数年ぶりにアロハシャツを復活しよう! 昔、かっこいいクリエイターは皆アロハシャツを着てた。それにあこがれて、98年くらいまでは夏はアロハシャツばかり着てたんだけど、ふと気がつくとアロハシャツを着てる人がほとんどいなくなってることに気づき、恥ずかしくなってやめたのでした。肌に密着するTシャツより涼しくすごせます。

●超強力無尽蔵発電

そろそろ蒸し暑くなりつつあり、普段の年ならエアコンのドライをかけるところだ。電力不足が予想される今年はさすがにギリギリまでガマンするつもり。仕事はできるだけMacBook Proのみでこなす。サマータイムなんて中途半端なものでなく、昼と夜と12時間完全逆転がいいんじゃないの?

発電をどうするか? 以前からバカ話的に言ってたんだけど、日本の近海には無尽蔵の超巨大エネルギーがあるのに、なぜ利用しないんだろ?って話。黒潮です。時速7.4キロで動く巨大な水の流れに、でかいスクリューかプロペラかタービンを何千個くらい沈めて、ワイヤーで三宅島か八丈島にくくりつけておく。そしたら、日本は電気エネルギーを使い放題なのに。・・・とか思ってたんだけど、検索してみたら、実際にやろうとしてる団体もあるみたい。ぜひ実現を!

●MacBook Proとディスプレイの真っ当なつなぎ方

MBPに外部ディスプレイをつなぐ場合、閉じたままのクラムシェルモードで使ってました。MBPのディスプレイを開いたままシネマLEDと接続してデュアルディスプレイって、いちばん普通のつなぎ方だろう。その場合、外付けキーボードを使うことになる。キーボードが2つ見えてるのがバカバカしい感じがして今までやったことなかった。

ところが、先日Mac Proの修理中にたまたまやってみたところ、慣れるとけっこうしっくり来る。普通に使い勝手のいいデュアルディスプレイ。あと、周辺機器を繋いで使うとき、何本ものケーブルがウジャウジャするのがイマイチだったけど、ディスプレイを開いていればケーブルを後ろにまわせるので見えないのもマル。

でかいディスプレイの必要がなかったらケーブル引っこ抜けば即、単体のMacBook Proとして使えるわけだしね。これ標準スタイルと考えていいかも。この夏はこのスタイルで乗り切ろう。

【吉井 宏/イラストレーター】
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がーーーーん!タバコ工場が被災した煽りを受け、サムタイムライトがついに廃止に。他の銘柄もまとめて多数が廃止された。サムタイムライトは1986年からだから、25年も吸ってた。途中サムタイムスーパーライトに変えた時期もあるけど、それも数年前に廃止。残念。まあ、サムタイムライトが廃止されたら禁煙するかなと以前から考えてたので、ゆるやかにそうしたいと思います。ゆるやかに、ってのが「逃げ」でズルイですね。

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2011/05/11

■グラフィック薄氷大魔王[255] 怒濤の書籍自炊40日

■グラフィック薄氷大魔王[255]
怒濤の書籍自炊40日

吉井 宏
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●集中自炊!

「地震で崩れる紙の本は凶器」ってことで、ものすごい勢いでまた書籍自炊をやってました。崩れるモノがなけりゃいいのだ。上京するときに実家から持ってきた僕にとっての貴重本や高い画集も買ったばかりの本も、惜しげもなく自炊! 4月末までにだいたい終了。40日間で厚さ約5〜6メートル分の自炊。残ってるのは主にScanSnapに入らない大きな本や、自分の作品が載った海外の作品集や記念の本など裁断できない本が大半。

本棚の空きが増えたので、また新しく本を買ったりしてますが、それらもいずれ自炊します。っていうか、部屋の中で、本はすでに圧倒的な存在ではなくなりました。全部合わせても厚さ2メートルくらい。3年前に手つかず状態だった本の山を、古書店に売ったり自炊した結果、たぶん1割以下にまでできた。ここまでよくやった!>自分。

●書籍自炊は断捨離じゃない

「自炊=断捨離」的に勘違いしてましたが、真逆です。書籍自炊はモノへの執着の究極の姿と言っていいんじゃないかな。自炊してPDFにするってことは、生涯絶対に手放さない!ってことですもん。本でなくても、思い入れのあるモノでもデジカメで撮っちゃえば捨てる気になれるってのも、やはり執着かも。まあ、執着でもなんでも、モノを減らせられればそれでオーケー。

●iPadの容量が足りない

iPadに自炊書籍を約500冊入れたら容量が足りなくて同期できなくなって困った。iPad2はまだ入手してないけど、128GB版は存在しない。不要な音楽やムービーやアプリを削除すれば多少は空くけど、それでも数十冊増し程度。Acrobatの「ファイルサイズを縮小」を適用すると数分の一程度にできるけど、画質が最低になってしまう。

ファイルサイズを抑えようとPDF最適化の設定をいろいろ変えてみたものの、今まで自炊したPDFの画質と容量のバランスはほぼとれているようで、どう設定を変えてもいい結果にならない。結局、不要なファイルやアプリと、優先順位の低いPDF書籍を削除した。非常に不本意。本棚全部を「たった一台のiPad」に収容できちゃう! ってのが痛快で、それが大きなモチベーションになっているのに。128GB版を早く!

●大型書店と自炊

新しい二子玉ライズに大きな文教堂ができた。広い! 品揃え多い! 駅の反対側にある玉川高島屋の紀伊國屋書店を凌ぐかもしれない。こんな大きな本屋が近所に二つもあるって最高にうれしいことなんだけど、集中自炊してる僕としてはものすごく変で複雑な気分。何百冊を自炊したところで、書店に並んでる本の何千分の一。書店には見たこともない圧倒的な量の本。

あれだけの量の本が並んでるの見ちゃうと、本を自分のものにするってことがバカバカしく思えてくる。所有だの自炊だの、なんちゅう小さい規模で悩んでるのかと。立ち読みで脳に記録しちゃうのがいちばんいいかも。直感像記憶の能力を持ってる人がうらやましい。まあいいや。バカバカしくとも、やりかけた自炊は終わらせる。

●自炊のジレンマいろいろ

・裁断しづらい本。未練たらしく、いちおう確認のために古本の相場を調べてみたりするけど、どれもこれも十把一絡げ値段。昔の月刊スターログなんて相当貴重かと思うでしょ? ところが相場は創刊号ですら千円くらい、何冊か数百円、他は値段がつかない感じ。先日実家の有名雑誌の創刊号コレクションも、調べてみるとほとんどたいした値段ついてないので、処分しちゃいました。

・悩んだ末に裁断しようとしたら、カバー裏に僕宛のサイン発見。あー、本人にいただいた本だった。ダメだ裁断できない〜。

・自炊のため本棚から引っぱり出した本を、「やっぱ切れない」と戻すとき、大きな敗北感を味わう。選別に選別を重ねた上で残ってる本だから、決断がツライ。

●大量自炊の後で見えてくるもの

・紙の本よりPDF済みのほうが圧倒的に多くなってくると、なんでこの本がまだ自炊してないんだ? 的に、気持ちが逆転してくる。PDFのほうが正しい本の形で、未自炊の紙の本は取り残された使えないヤツって感じに。

・実際のところ、紙の本よりも大きなディスプレイで見るほうがぜんぜん見やすくてキレイ。手で押さえてなくていいし、見ながらドローイングしたりできるし、拡大もできるし、検索もできるし。

・結局、手間取って時間を食ってる書籍自炊・片付け・モノ減らし・作品整理・ファイル整理とかって、すべて過去の後始末。そんなものに貴重な時間を取られてる場合じゃない。あっさり断捨離できないのなら、せめて早いとこ片付けてしまって、未来に向かわねば。

【吉井 宏/イラストレーター】
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先週水曜、メインマシンの2008年式Mac Proが壊れた。画面に青いノイズが出て起動しない。アップルケアに入ってたので即修理依頼。金曜夜にピックアップ、返ってくるのに2週間かかるとのこと。この機会に急いで新しいメインマシンを調達せねば! でもGW中、オンラインBTO注文で3営業日かかるとなると、届くのが一週間かかってしまう。困ったな、どうしようかなとモタモタしてたら、日曜に修理完了発送メール。え? そんなに早いの? と思ったら月曜朝9時には届いてしまった。ビデオカード交換のみだったらしいけど、はやっ!!

●iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」販売中
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV >

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