2010/02/28

グラフィック薄氷大魔王[209] WACOM intuos4のワイヤレスモデルが登場!


intuos4のBluetoothワイヤレスモデルが出ました! USBケーブルの代わりにBluetoothでワイヤレス接続できる高性能タブレットintuos4。さっそく、デジクリに書くために実機をお借りしまして、しばらく使ってみてます。


味も素っ気もなく言ってみると、「Mサイズのintuos4が外観も描画性能もそのままにワイヤレスになっただけ」。・・・本当に、ワイヤレスになっただけなんですが、その点がスゴスギルのです。

性能やファンクション等の機能も有線版intuos4と同じ。縦横サイズは数ミリ小さく、厚みは少し大きい。描画面のサイズも少し小さい。重量はスペック上はなぜかワイヤレスのほうが少し軽いです。Bluetooth FAVOの時は、有線FAVOより分厚く重かったんです。

バッテリーはまだ使い切ったことがないですが、スペック上は(本体ファンクションディスプレイの表示をオフの状態で)18時間とあります。Bluetooth FAVOは25時間でした。実は、ワイヤレスのintuosを出してほしいとしつこく要望してたのですが、無理と言われてました。主な理由はintuosはFAVOより電力消費が格段に大きいためバッテリー搭載が困難とのことでした。

うれしいことに、intuos4ワイヤレスはバッテリーが簡単に着脱できるようになってます。予備のバッテリーを数個用意しておけば、長時間使い続けられる。(Bluetooth FAVOでは、開けにくいフタをこじ開け、引きちぎれそうな極小電源コネクタのケーブルを注意しながら接続する必要がありました。)

USBコネクタもついており、パソコンに接続して充電もできます。おもしろいのが、そのまま通常のUSB接続タブレットとして使えること。パソコンのBluetoothをオフにしても使えます。充電は市販のUSB式のACアダプタでも可能だそうですが、予備バッテリー用の専用充電器も発売してもらえば充電時も含めて完全ワイヤレスにできるぞ。

続きは

補足■デジクリ本文には「布製のキャリングケースが付属」とありますが、配送用に古いノベルティを使い回したものだそうで、勘違いしました。キャリングケースは付属しません。

2010/02/24

■グラフィック薄氷大魔王[211] 「ヤンス!ガンス!」フィギュア制作実況中継

■グラフィック薄氷大魔王[211]
「ヤンス!ガンス!」フィギュア制作実況中継

吉井 宏
───────────────────────────────────
先月末、約10日間にわたって、「ヤンス!ガンス!」のフィギュアを作ってました。先週書いたように、3D立体出力サービスサイトのインタビューのために作ったわけですが、「ヤンス!ガンス!」の宣伝にもなるからと秋元きつね氏のすすめで、Twitterに制作実況中継してました。

< http://twilog.org/tweets.cgi?id=hiroshiyoshii&word=YGフィギュア >

INTER-CULTURE < http://inter-culture.jp/ >

3D立体出力物が届いてから、表面処理〜塗装〜完成までの制作過程は、この実況中継にほとんど全部書いてあります。ここ(デジクリ)では、実況に書かなかったことや補足を書きます。

○3D立体出力用のデータ

ヤンスとガンスの3Dモデルは、実際にアニメーションに出てくるのと同じものです。ポスターと同じポーズの3Dモデルを細かくポリゴン分割した上で多少の手直しを加え、Cinema4Dから書き出したSTLフォーマットで渡しました。出力したものは一体あたり、十数万ポリゴンです。それでも出力物にはポリゴンのカクカクが見えるところがありました。もう一段階分割すれば滑らかになりますが、それだとデータ量が4倍になるため、出力に時間がかかりすぎるとのことでした。

○出力物について

スリーディー・システムズ社の大きなマシンによる出力物の表面には細かい等高線状の段々がある。0.15mmピッチでの出力とのこと。以前使ったDimensionsというマシンは0.26mmで、相当ボコボコしていたのにくらべれば、かなり滑らかな印象。素材はABS樹脂の一種だそう。

出力物は光と高温に弱いとのこと。直射日光があたるような場所に置いておくと、たちまち真っ黄色に変色してしまうそうです。まあ、塗装しちゃえば関係ないですけどね。

温度については、暖房の吹き出し口近くに置くと変形してしまうおそれアリとのこと。これが一番困った。なぜなら、洗浄後や塗料を乾燥させるため、高温のドライヤーを使いまくるのがフィギュア制作作業だったりするのです。今回、ドライヤー完全不使用ということで、作業時間がずいぶん延びたのは確実。洗うのにお湯も使わなかったので冷たかったし。

< http://www.3dsystems.co.jp/ >

○表面処理について

ラッカー系のサーフェイサーや液状パテには「ひけ」というものがある。すぐ乾燥するように見えるけど、実際には何日も何週間もかかって溶剤が蒸発し、縮んでしまう。以前、サーフェイサーを分厚く塗ってはサンドペーパーをかけること5回10回、キズや段差がどうしても消えないのはどういうわけだ?ということがありました。また、完成した原型を半年後に見たら、段々が復活してたことも。

なので、作業開始から撮影まで2週間くらいしかない今回は、なるべくサーフェイサーによる段差埋めはしないことにした。つまり、全表面を少し削って磨くのです。サーフェイサーで半ば埋まるはずの段差の分まで削ったので、作業量はたぶん二倍。その他、パーツのつなぎ目にはヒケのないポリエステルパテを使用した。

○筆塗りについて

仕上げのトップコートを除き、スプレーやエアブラシを使わずに筆塗りのみというのが今回の一つのテーマでした。部屋でエアブラシ作業をするのはまっぴらだ。エアブラシは用意や後片付けが面倒。あと、エアブラシは対象の表面よりも、どこかに飛んで行ってしまう塗料が多かったりして、もったいなくて耐えられん。大量に同じフィギュアを塗装するのでなく、一点物として塗るのなら、たぶん筆塗りのほうが確実に塗れるので気がラクです。もちろん、時間は余計にかかります。

○「フィギュア作りはたいへん」について

削って磨いて粉だらけになって洗って、を何度も繰り返し、色を調合して塗ってみていやこの色は違う、再び調合塗り直し、細かいところがはみ出た!修正、あっここ塗り忘れ、洗って片付けた筆と色のビンを取り出してまた作業・・・。非常にたいへんです。

で、ヤンスガンスフィギュア作業の十日前は、ワンフェスに出した「usacco」と「umacco」を5つずつ塗装してたのです。こちらは表面処理なしの塗装のみで3日間くらいかかりました。

今回は出力物だから、自分で粘土やパテを盛って作る作業がない。表面仕上げと塗装だけ。また、「一点物」なので、型取りや複製の工程もない。全部やったら2ヶ月くらいかかるんじゃないか。かかり切りではなかったけど、10日間で済んでよかったです。

フィギュア塗装集中週間が終わった直後は、「もうぜったいフィギュアはやりたくない、少なくとも、自分で塗装するのはやめよう、ちょっと高くても塗装を依頼できる業者もいるみたいだし、そういうところに頼もう。フィギュアの道具や塗料も全部処分しよう」と思いました。

1月後半のクソ寒い中、窓と玄関を開けはなした吹きさらしで塗装作業なわけです。相当寒いです。ユニクロのフリースを上下着た上にジャージを着て、さらにフリースのジャケットを着てました。体力消耗もあったのか、終わったあと10年ぶりに2日間風邪で寝込みました。

で、それから1ヶ月くらいたちますが、ダメですね〜、しんどかったこと、もう忘れ始めてます。出来上がったときの安堵感やうれしさに覆い隠されちゃいます。また、次にやるときは、もっと要領よく速くできるに違いないって確信もわき上がってます。で、またやりはじめると「あ〜、ぜったいやめようって思ったのに〜」って後悔しはじめるんだけど。今回もそうだった。いったい、何度やったらわかるんだ?

ワンフェス出品作の塗装作業
< http://picasaweb.google.com/hiroshiyoshii/UsaccoUmacco# >

ところで、制作実況Twitterのまとめ記事のリンクはtwilogの検索を利用したURLなわけですが、この方法を思いつくまでの数時間、制作過程の写真をいったいどうまとめようか迷ってました。iWebでページを作ったり、Picasaにアルバムを作ったりしました。Picasaのほうは完成しちゃってます。こちらはTwitterに投稿しなかった写真数点を追加してるし、スライドショー的に見れるので見やすいかも、ってことでリンクしときます。

Picasaウェブアルバム < http://picasaweb.google.com/hiroshiyoshii/pUWcK# >

【吉井 宏/イラストレーター】

先週のMKチャット対談の「魚肉ソーセージやミカンでiPhone操作」の件。以前、僕も検証したことがあるんですが、iPod touchは煮物のイカの足とネギで操作できました。居酒屋でした。水分を多く含んだ材質で、指を通じて電導してることがポイントらしいですね。

「ヤンス!ガンス!」を含む上映会「おれ♡劇場 うるまでるび×秋元きつね×ケロケロキング 上映会とトークライブ」というのが渋谷のユーロスペースであります。僕はこの上映会に関わってるわけじゃないけど、おもしろそう!
< http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=260 >

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

2010/02/17

■グラフィック薄氷大魔王[210] 3D立体出力とモノづくり

■グラフィック薄氷大魔王[210]
3D立体出力とモノづくり

吉井 宏
───────────────────────────────────
ワンフェスとは関係ないですけど、1月後半に大きなフィギュアを作っていました。(株)インクス・エンジニアリングが始めたオンライン3D出力サービスのサイト「INTER-CULTURE」のインタビュー。立体出力や、3D出力されたものについて語るというもので、そのために出力してもらい、ペイントして仕上げたわけです。例の「ヤンス!ガンス!」の主人公の二匹です。

INTER-CULTURE < http://inter-culture.jp/ >
インタビュー < http://inter-culture.jp/Talk/talk-top.html >

完成フィギュア< http://www.yoshii.com/dgcr/YGFigure_045.jpg >

光造形による出力物はかなり滑らか。それでも等高線状の細かい段々があるので、表面を磨いてツルツルにするところから始めなきゃならず、塗装も含めると大変な作業でした。ワンフェスに出品したものの制作と時期が連続していましたので、久々に本格的フィギュア制作地獄に陥ったわけですが、そのへんについては近々あらためて書きます。

で、3D立体出力について。インタビューの中でも話してますので、興味のある人はぜひ読んでいただきたいです。僕も参加している”三次元形状を活用する会”「3D-GAN」という活動をしている(株)ツクルス代表の相馬達也さんという人がいまして、この人が常々言ってることの受け売りに近いですが、3D立体出力には大きな可能性を感じています。

3D-GAN < http://www.3d-gan.jp/ >
相馬さんブログ < http://blog.goo.ne.jp/realfactory >

現在では当然のように、CADデータから3D立体出力の技術を通して工業製品は生まれてるわけです。金型とかも全部そうです。ところが、エンターテインメントなどコンテンツ系で3DCGをやってる人たちは、自分たちがコンピュータの中に作った形を手に取れるように立体出力できることを、知らなかったり興味なかったりします。

せっかく3Dで形状を作れる能力があるのに、自分らが工業製品などモノづくりの世界に直接に関われる可能性を知らずにいる、ということ。「3DCGで形を作れる」というのは、「モノの形を360度方向から隅々まで考えることのできる人」という点で、大きな価値と可能性を持ってるはずなのです。

一方、モノづくりの現場では、世界に誇るものすごい技術を持ちながらも、何を作ればいいのか悩んでいるそうです。コンテンツ業界の「おもしろさや格好良さの追求にしのぎを削っている人たち」かつ「3Dでモデリングができる人たち」を、モノづくりの現場の人たちと引き合わせることができたら、面白いことが起きるに違いない、というのが、「3D-GAN」の活動なのです。

知り合いの原型師さん(っていうか、先日ワンフェスにいっしょに参加したoritaさん)も、最近はZBrushや3D-Coat等の3DCGソフトを使い、デジタルで原型制作をしています。原型師さんってのは粘土やパテを削って粉にまみれたり、塗料やシンナーやエアブラシなど、アナログ作業の極みみたいな職業なわけですが、それがデジタルに置き換わりつつあります。3DCGやCADデータを中国に送って、いきなり試作品ができたりするわけです。

もちろん、見た目優先の3DCGは、プロダクトデザイナーが使う3D-CADに正確さや繊細さの面では劣ります。でも、相馬さんの話では、とりあえず三次元の形状が作れる、ってことだけでも大きな力になることは間違いないとのこと。SHadeでもLIGHTWAVEでも六角大王でもなんでも、作ったものは出力可能なんです(データ形式の変換は必要ですが)。

「INTER-CULTURE」のオンライン立体出力をはじめ、3Dプリントサービスの環境が整い始めてます。出力機も価格が安い機種が出てきてるし、HPも3Dプリンタに参入するそうです。おもしろくなってきてます。

●先週の「intuos4ワイヤレス」について訂正

「布製のキャリングケースがついてくる」と書きましたが、写真のケースは配送用に以前のノベルティを再利用したものだそうです。布製ケースは付属しません。

【吉井 宏/イラストレーター】

オリンピックのスノボ選手の件。母校が応援をやめるとか、なんでこう極端になっちゃうんだろう。態度が悪いのは確かに見てて不愉快だったりするけど、品行方正を求められない種類のスポーツをオリンピックの種目としてひとくくりにしちゃうこと自体に無理があると思う。オリンピックになじまない派手で危険なスポーツの祭典もやったらいい。X Gamesだってあるわけだし。ところで、以前からすごく違和感があるのが、国際大会に出るような選手の口調が、異様に品行方正っぽくなっちゃうこと。宇宙飛行士の会見のような話し方。もっと普通にしゃべれないのかな? あと、「感動を与えたいです」。それだけでブブーッ!


●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

2010/02/10

■グラフィック薄氷大魔王[209] WACOM intuos4のワイヤレスモデルが登場!

■グラフィック薄氷大魔王[209]
WACOM intuos4のワイヤレスモデルが登場!

吉井 宏
───────────────────────────────────

intuos4のBluetoothワイヤレスモデルが出ました! USBケーブルの代わりにBluetoothでワイヤレス接続できる高性能タブレットintuos4。さっそく、デジクリに書くために実機をお借りしまして、しばらく使ってみてます。

< http://tablet.wacom.co.jp/store/campaign/intuos4wireless/ >

味も素っ気もなく言ってみると、「Mサイズのintuos4が外観も描画性能もそのままにワイヤレスになっただけ」。・・・本当に、ワイヤレスになっただけなんですが、その点がスゴスギルのです。

性能やファンクション等の機能も有線版intuos4と同じ。縦横サイズは数ミリ小さく、厚みは少し大きい。描画面のサイズも少し小さい。重量はスペック上はなぜかワイヤレスのほうが少し軽いです。Bluetooth FAVOの時は、有線FAVOより分厚く重かったんです。

バッテリーはまだ使い切ったことがないですが、スペック上は(本体ファンクションディスプレイの表示をオフの状態で)18時間とあります。Bluetooth FAVOは25時間でした。実は、ワイヤレスのintuosを出してほしいとしつこく要望してたのですが、無理と言われてました。主な理由はintuosはFAVOより電力消費が格段に大きいためバッテリー搭載が困難とのことでした。

うれしいことに、intuos4ワイヤレスはバッテリーが簡単に着脱できるようになってます。予備のバッテリーを数個用意しておけば、長時間使い続けられる。(Bluetooth FAVOでは、開けにくいフタをこじ開け、引きちぎれそうな極小電源コネクタのケーブルを注意しながら接続する必要がありました。)

USBコネクタもついており、パソコンに接続して充電もできます。おもしろいのが、そのまま通常のUSB接続タブレットとして使えること。パソコンのBluetoothをオフにしても使えます。充電は市販のUSB式のACアダプタでも可能だそうですが、予備バッテリー用の専用充電器も発売してもらえば充電時も含めて完全ワイヤレスにできるぞ。

普段はタブレットをほとんど使わない人が、ときたま引っぱり出してタブレットを接続するような場合、ワイヤレスモデルのほうが手軽でいいかもです。本体の電源を入れたらすぐにBluetooth接続完了し、あとはUSB接続してるのと同じように使えます。

僕的には、メインマシンのMac ProではLサイズのintuos4を使ってますので、intuos4ワイヤレスはMacBook Pro用として使いたい。ノートパソコンって基本的に有線では何も接続したくないんですよ。電源はしかたないとしても、本体もディスプレイもキーボードもポインティングデバイスもワンセットでスッキリしてるのに、USBを繋いだとたんにガチャガチャしてしまう。

タブレットがワイヤレスになったら、ノートパソコン本来のスッキリ感のままでフルに仕事に使える。膝の上で使うのもラクだし、外出先で使うのもいいな。バッグからタブレットを取り出して電源スイッチを入れたら、もうすでに使える状態になってる。ワイヤレスっていいなあ。

intuos4ワイヤレスは2月26日発売で、予約受付中だそうです。

○写真編

ワイヤレスだとどのくらいスッキリするかというと、こんな感じ。これはintuos4ワイヤレスとBluetoothキーボードだけの最小構成。
< http://www.yoshii.com/dgcr/PTK-540WL-01.jpg >

普段使ってるような構成で、BluetoothマウスやBluetoothテンキーをいっしょに並べるとこんな感じ。
< http://www.yoshii.com/dgcr/PTK-540WL-02.jpg >

バッテリー部分のアップ。デジカメのようにバッテリーの着脱が簡単。側面に電源スイッチ等アリ。
< http://www.yoshii.com/dgcr/PTK-540WL-03.jpg >

部品を差し替えると、Bamboo Funみたいなペンホルダーつきになる。このままパソコンバッグに放り込める。
< http://www.yoshii.com/dgcr/PTK-540WL-04.jpg >

布製のキャリングケースがついてくる。USBケーブルやペン立て等も付属。
< http://www.yoshii.com/dgcr/PTK-540WL-05.jpg >

ところで、上にも書きましたが、2005年3月発売のBluetooth版FAVOという製品がありまして、とても気に入ってました。ずいぶん最近になってから、品切れして久しい専用予備バッテリーを、修理扱いにしてもらって新品2個をなんとか入手し、これであと5年や10年はBluetooth FAVOを使い続けられるぞ!と使う気満々でありました。どれほど気に入っていたかというと、この連載の第2回(2005年4月)に「夢のBluetoothタブレット」を書いたくらい。

参考「Bluetooth FAVO 製品情報」
< http://tablet.wacom.co.jp/products/favo3/btw/index.html >

参考「グラフィック薄氷大魔王(2)夢のBluetoothタブレット」
< http://quill.to/hiroshiyoshii62/9ea79290a2 >

まあ、いくら気に入っていてもintuos4の書き味に慣れてしまった現在、5年前のFAVOとなると、最小ON荷重が重すぎてあまり快適とは言えない状態になってきました。それでも、デモなどするときに重宝してました。

8年越しのAppleタブレット登場に続いて、夢がもうひとつ実現! なんか、ようやく21世紀に生きている実感が。

【吉井 宏/イラストレーター】

ワンフェス、ディーラー(出店者)側での参加は初めてでしたが、ちょこちょこ売れたし、楽しかったです。噂には聞いてましたが、「ディーラーダッシュ」。10時の開場と同時に客がなだれ込んでくるのかと思ったら、うわわ〜〜っと目当ての物を買いに猛ダッシュするのは卓から飛び出てきたディーラーの人ばかり。今回は3つのホールを開場後10分間閉鎖することでずいぶん軽減されたそうだけど、それでもすごかった。開場後30分は卓を出ること自体禁止とかにすればいいのに。あと、ディーラー本人は儲け度外視で作ったものを、即ヤフオクで高価で売りさばいてるヤツもなんとか規制できないものか。

●アップルストア銀座、「ヤンス!ガンス!」セミナー
2月12日(金)

LightWave Creators Night vol.6として、「ヤンス!ガンス!」メイキングワークフローセミナーをやります。出演は秋元きつねと吉井宏。親睦会もあります。先月のセミナーよりも多少Mac寄りの話になる予定。

< http://www.dstorm.co.jp/info/event/event_text1342.htm >

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

アップルストア銀座「ヤンス!ガンス!」メイキングワークフローセミナー


LightWave Creators Night vol.6として、「ヤンス!ガンス!」メイキングワークフローセミナーをやります。出演は秋元きつねと吉井宏。懇親会(有料)もあります。先月のセミナーよりも多少MacやLIGHTWAVE 3D寄りの話になる予定。

2010年2月12日(金)アップルストア銀座19:00~20:00(開場:18:30)

2010/02/03

■グラフィック薄氷大魔王[208] iPad、発表されて思ったこと

■グラフィック薄氷大魔王[208]
iPad、発表されて思ったこと

吉井 宏
───────────────────────────────────
何度も書いてすみませんが、またAppleタブレットの話です。iPadが発表された今、書かないわけにいかないでしょう。実物に触れてもいないうちから過剰にワクワクしてもアレですが、たぶんiPadは僕が待ち望んでいた「中途半端でなく、徹底して作られたApple製タブレット」に違いない!

いくつか思ったことを書いてみます。

・ユーザーインターフェイスの件

デモ動画を見ると、指での操作が非常に自然で快適に見える。僕はずっと「マウスはパソコン操作に向いてない機器」と言ってきましたが、この操作を経験した人にはその事実が強く感じられるようになるんじゃないかな。なにしろ、「カーソルがない」んだよ! WindowsのタブレットPCの中途半端さの代表はそれかもしれない。従来のWindowsのインターフェイスのまま、マウスでカーソルを動かして目的の箇所に持っていく操作をペンや指でもできるようにしただけ、というところがタブレットPCの限界だったんだ!

・ソファの件

発表のステージで、スティーブ・ジョブズがわざわざソファを用意し、座ってiPadを操作してたけど、やはり、リビングのソファの上で使うことが前提なのだろう。つまり、ソファで読み物したりネットしたり、あるいはYouTubeなど動画を見たりなどを想定していそうです。僕がしつこいほど書いてきた「タブレットPCは首が疲れる、肩が凝る」などは、ソファに座った姿勢なら大丈夫、最適にちがいない。っていうか、うちにはソファがない。

・iPhoneアプリが使える件

iPhoneアプリも全部そのまま使えるとのこと。表示サイズ等倍だと画面の真ん中にぽつんと小さいアプリ画面だけど、倍寸表示もできるとのこと。変なスムージングをかけてくれさえしなければ、特に粗い印象もなく普通に使えるんじゃないかな。画面が小さすぎて本格的に使えなかった数々のアプリが大きな画面で使えるようになるのはうれしい! そのうちiPad用の高解像度版アプリも出てくるでしょう。

・サイズの件

iPhoneみたいにモバイルに特化した用途には、たしかに大き目です。どうしてもポケットに入るモバイルマシンが必要だったら、日本製にもたくさんあるし、そもそもiPhoneやiPod touchでいいんじゃないでしょうか? iPhoneを使ってる人がiPadを持ち歩く必要はあまりないでしょう。iPadは小さいことに意味はないです。僕的には極端に重くならない範囲で12〜15インチくらいあったら見やすくていいなと思います。

・パソコンじゃないと思う件

iPadを残念という意見の大半は、パソコンとして考えてることから来るものだと思う。iPadは基本的に「ビュアー」だと思う。iPhoneアプリを使って相当ややこしいこともできるけど、基本は「何かをディスプレイに映して見るもの」でしょう。iPad一台だけでパソコンの代替をさせるのは無理。

ただ、今までパソコンが必須と思っていた人も、本当にパソコンって必要なのかと考えてみるといいと思う。米国ではパソコンとブロードバンド回線を自宅に持たずにiPhone一台しか持たない人が増えているという。携帯電話とパソコンとブロードバンドを全部持つより格安だから。日本だってパソコン持ってなくて携帯電話だけの人も多い。ほとんどの人にとって、本格的なパソコンは職場にあるものだけで十分。でも、iPadくらいの手軽な機器が家庭にあったら、携帯電話の延長として便利でしょ、みたいな。

・マルチタスクじゃない件

iPhone OSの制約で、将来は可能になるのかなとも思うけど、マルチタスクで操作が重く複雑になるよりも、シングルタスクは軽くてわかりやすくていいんじゃないかな。パソコンで最も頻繁で面倒で混乱の元になるのはアプリの切替なんだし。

・Flashが動かない件

アプリのプラットフォームにもなるFlash。iTunesストアを通さずにアプリの流通が可能になることがAppleの商売の根幹に関わるからFlashを許さない、という風に理解してましたが、リソース馬鹿食い、重くなる、セキュリティなど、軽さが命のモバイル系機器においてはFlashは問題も多いらしいです。ウェブサイトのFlash部分に穴があくのはどうにかしてほしいですけどね。

・カメラがない件

写真を撮ってWebサービスへアップやメール添付、ビデオチャットができない。デジカメから直接Flickr等にアップすることもできるんだから、現状でもなんとかなるかな。たぶん、後の二世代目、三世代目でカメラ搭載するんでしょうね。また分解記事が出てカメラユニット用の空きスペースが発見されるかもしれない。

・日本ではマジに特大iPod touchでしかない件

動画デモの見せ場、iBooksで書籍購入と閲覧、「カールじいさん」や「スタートレック」などの映画を鑑賞。この二つは日本じゃ不可能なんですね。iBooksはアメリカのみ。映画レンタル購入も日本のiTunesストアでやってない。まあ、iPadに限らず、Appleのサービスの魅力を最大限に利用したかったら、英語堪能になった上でアメリカ移住しかない?

・いちばんうれしい件

全面的にiPadバンザイの僕ですが、なにより素晴らしいのは画面が大きくて見やすくなること。iPod touchを愛用してますが、アプリをはじめとする楽しく優れた性能や可能性がいっぱい詰まってるはずなのに、画面が小さくて楽しくないのです。・・・老眼なんてジジイのもので自分には関係ないと思われがちですが、誰でも40歳前後で来ます。そこの30歳代のまだ若者バリバリ気分のキミ!にだってあと数年で来るかもだぞ!

画面が大きくなって見やすく、指でポインティングしやすくなったことだけでもそこらじゅうを走り回りたくなるくらいうれしい! 何だったら、ニンテンドーDSi LLみたいに、iPod touchそのまま忠実に二倍寸に拡大してくれるだけでもよかったくらい。

たぶん、僕は外出用としてイーモバイルの携帯無線LANで使うことになるはず。電話はドコモ。完璧! ドコモがiPadのSIM提供に意欲的なようですが、それも期待!

【吉井 宏/イラストレーター】

ノートパソコンは蓋を開けるのがめんどくさい。iPadはそのへんのメリットも。Macノートはどれも指一本で開くけど、今使ってるHPのノートPCは両手でつかんで下側を固定した上でゆっくりこじ開けなきゃならず、とても面倒。MacBookの感覚で開けようとすると持ち上がってひっくり返りそうになってびっくりする。

●ワンダーフェスティバル2010【冬】に出展します。
2月7日(日)幕張メッセ

・その1、「出力番長とzzz団」ブース(卓番号 D13-09)

出店ディーラー「出力番長とzzz団」の仲間に入れていただいて出展します。「Usacco」「Umacco」「piyora」を出品します。

・その2、「原型データ屋台村」ブース(卓番号 D24-01)

3D-GAN主催の3D立体プリント紹介ブース群「原型データ屋台村」のイグアスさんブースにおいて、yoshii作品の三点の立体出力物を展示します。

< http://www.yoshii.com/wf/ >

●アップルストア銀座、「ヤンス!ガンス!」セミナー
2月12日(金)

LightWave Creators Night vol.6として、「ヤンス!ガンス!」メイキングワークフローセミナーをやります。出演は秋元きつねと吉井宏。親睦会もあります。先月のセミナーよりも多少Mac寄りの話になる予定。

< http://www.dstorm.co.jp/info/event/event_text1342.htm >

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

TDW_1882