カイロの紫のバラ（1985年）
恐怖の報酬（1977年）
ブラック・サンデー（1977年）
サスペリア（1977年）
カプリコン・１（1977年）
●カイロの紫のバラ（1985年）
U-NEXTで「あと10日」となってたので80年代作品だけど先に観た。ウディ・アレン監督、ミア・ファロー、ジェフ・ダニエルズ。実の妹ステファニー・ファローも妹役で出てる。
30年代、不幸な結婚生活を送るウエイトレスが何度も通う映画。銀幕からあこがれの人が現実世界に出てきて、いっしょに逃げ出す。銀幕の中では物語を進められず待機とか、プロデューサーやその役をやってた俳優たちが事態収拾に乗り出すが、その俳優とも恋に落ちてしまう。って話。
面白かった！ 軽めのコメディでファンタジー。音楽も映像も完璧、1時間22分で短くしっかりまとめてる。映画の中と現実世界を行き来する感じがとても自然。30年代トーキー映画の再現もイイ。ミア・ファローって85年の撮影当時40歳だけど、こんなにかわいらしい！
●恐怖の報酬（1977年）
1980年の日曜洋画劇場で観たはず。ウイリアム・フリードキン監督。ロイ・シャイダー主演。タンジェリン・ドリーム音楽。南米、油井火災の消火に使うニトログリセリンを4人の男が2台のトラックで運ぶ大筋はオリジナルと同じ。異なる点は、テロリストや犯罪者だったりして逃亡中の4人の男たちが町に流れ着くまでを克明に描いてる。
あれ？違う映画を見始めちゃったかな？って心配になるくらい前半が長いw トラックが出発してから回想シーンや会話からだんだん明らかになるほうが面白かったと思うけどなあ。順番に見せすぎというか。
ロイ・シャイダーの表情が絶品。ジャン・ギャバンとリノ・バンチュラを合わせたようないかにもフランス人なブリュノ・クレメールは「メグレ警視」の人か。
全体の描写も素晴らしい！ オリジナルは乾いた埃っぽい風景だったけど、こちらはジャングルと湿地と雨と嵐。吊り橋のシーンなんか圧巻スギルw 古今東西いろんな映画の中でも「立ちはだかる困難」としてこれ以上のシーンは他に無いかも。っていうか、トラックの行程は人生そのもの。断崖絶壁、上り坂、分かれ道、迷い道、吊り橋、倒木、、と報酬。同乗者は家族や仲間、もう一台のトラックは同じ目的を共有するライバルでもあるし。
77年の公開当時、北米以外では監督に無断で約30分カットされたバージョンが公開されたそうで、僕が観たのも短縮版の上にテレビ用にさらにカットされたものだったんだろう。たぶん、前半の長い人物紹介がカットされて冗長な感じはなくなってたかも。53年のオリジナル版もカットされたそう。ただ、オリジナル版もフリードキン版も「ニトログリセリンを運ぶ恐怖」だけのシンプルな映画ではなく、男たちの人生を描く映画の後半がトラックの話って捉え方が正しいのかも。
一つ謎が残る。テレビで見た記憶にあるラストシーンは、エンドロールと重なる感じで真っ暗な中に吹き上がる油井火災の炎が爆破によって消火される映像。53年のオリジナルには無かったのでこちらがそうだろうと思ってたら、その映像は無かった。あれ？？ もしかして、短縮版では到着した後のバッドエンドにつながるシーンはカットされてて、代わりに消火の映像を付け加えたか？ でなきゃ、決着ついたことにならないもんね。。。
他にも短縮版にあって完全版に無いシーンがあるそうなので、たぶんラストの吹き上げる炎の消火は記憶通りなんだろうな。
https://youtu.be/LuONMSE0mJM
●ブラック・サンデー（1977年）
ジョン・フランケンハイマー監督、ロバート・ショウ、ブルース・ダーン、マルト・ケラー主演。ジョン・ウイリアムス音楽。「ジョーズ」がきっかけでロードショー誌を読み始めた頃、ロバート・ショー主演の新作ってことで大きく宣伝されてた。脅迫状により、日本公開が中止になったのは覚えてる。
ベトナム戦争で捕虜になって苦労したのに祖国に裏切られたと思っている男。パレスチナのテロリスト、特にイスラエルとアメリカに恨みを抱く女と共同で、大統領も見にくるマイアミの新年スーパーボウルで飛行船を使った大量虐殺テロを計画。組織から止められても二人は運命共同体となっており、幾多の困難をものともせず着々と計画を進めていく。阻止に動くのはイスラエル特殊部隊で多くのテロリストを抹殺してきた少佐。。。という話。
面白かった！ こんなに苦労したんだから成功してほしいw いや、8万人の命を救え！ っていうか、二人のアメリカに対する深い恨みと追う男、能天気なスーパーボウルのお祭り騒ぎの対比がイイ。「彼女にそうさせた」ってのは9.11でも言われてたことで、警鐘でもあったわけか。PTSDのベトナム帰還兵の映画はいろいろあるけど、「タクシードライバー」や「ディア・ハンター」と同時期で、大きな社会問題だったんだろうな。
暗い動機の戦いが、割と豪快で明るいアクションスペクタクルになってるのに違和感がないでもなく、ちょっと大味な感じはしたけどね。クライマックスでは当時流行のパニック映画っぽい感じも見える。全体、かなりよく出来てたけど、実写じゃない特殊効果での2回の爆発の描写はめちゃショボくてもったいない。「恐怖の報酬」の爆発はすごかったな。。
ロバート・ショウ、当時50歳なのに、意外なほど激しいアクションする（遠景ではスタントマンだとしても）。とても長い距離を全力疾走するシーンが何度もあった。1年後に心臓発作で亡くなっちゃうのに。。。ブルース・ダーンも怒りのやり場のない神経症な感じがよく出ててよかった。「ランボー」のラストのスタローンみたいに。
マリア像の置物に偽装したプラスチック爆弾がゴロゴロ、って、「LOST」で麻薬を詰めたマリア像がゴロゴロ、の元ネタかな？ カーター大統領のそっくりさんが出てくるね。一瞬だけど、止めて見るとめちゃくちゃ似てるw あと、警備上、飛行機の発着を禁止して、飛ぶのはテレビカメラの飛行船と警察のヘリだけってことになってるのに、資材のヘリコプターがたまたま飛んできたのはツッコミどころ？w
●サスペリア（1977年）
「決してひとりでは見ないでください」、、当時あれだけ話題になってたけどぜんぜん観たことなかった。ニューヨークからドイツのバレエ学校にやってきた女の子が、そこに巣食う何かによって恐怖に巻き込まれる話。
う〜〜ん、「すごい変な映画」って点での魅力はあるけど、面白くないしちっとも怖くなくてちょっと残念。主人公はいろんな出来事に傍観したり巻き込まれてるだけで終盤にならないと自分の意思で動かないし、ばら撒かれる伏線っぽいものの大半が回収されないw ジェシカ・ハーパーはかわいいしサイレント映画みたいな顔と演技は面白かったけどね。
セット美術が作り物っぽく凝ってて美しい。バレエ学校の女の子たちの描写や部屋の様子など、少女マンガっぽくて良かった。精神科の学会が開かれてる建物はBMW本社だよね？w
2018年のリメイクのほうはちゃんとした映画になってるらしいしティルダ・スゥイントンやクロエ・グレース・モレッツも出てたり40年ぶりにジェシカ・ハーパーも出てるけど、観るか未定。
●カプリコン・１（1977年）
公開当時やテレビ放映時、かなり話題になってたし、宇宙開発の陰謀ものってことで興味ありありだったけど、今まで観たことなかった。なぜか終わり近くの空中戦からラストだけ記憶にあったから、テレビでチラッと見たかもしれない。
火星着陸を目指すNASAのカプリコン1号、搭載する装置の重大な欠陥が発覚。NASAの予算が絡む政治的な思惑から、打ち上げ直前に3人の飛行士はある基地に作られたスタジオに連行・脅迫され、そこで偽の中継映像のために演技させられることに。異変に気づく一人のNASA職員と記者。。。って話。
ピーター・ハイアムズ監督、エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン。この二人は、バーブラ・ストライサンドの元夫と現夫w （ジョシュ・ブローリンのお父さんだけどお母さんはストライサンドじゃない）。消されるNASA職員のロバート・ウォルデンが、ハーヴェイ・カイテルとダスティン・ホフマンを合わせたようで好きな感じ。
めちゃくちゃ面白かった！ 巨大組織の陰謀ものとして格調高い作品なのかと思ったら、大衆向け娯楽映画大作に振ってて、予想以上に楽しませてくれる。でなきゃ、テリー・サバラスやガラガラヘビは出てこないよw
NASAは完全に悪者扱い。宇宙やNASAは味付けの一興であって実はそれほど重要な要素じゃなかったりするのに、「こうやって国民をだましてる」っていう元ネタになっちゃった。アポロが月へ行ったのも嘘だろう？的な。キューブリックがアポロ計画で偽の月着陸の映像を撮ったっていう噂もあったしね。
考証はゆるい。だって電波の出どころの時間差問題なんて真っ先になんとかしてあるでしょ。あと、火星から20分もかかって映像が届くってことになってるのに、なんで録画じゃなく危なっかしい生中継でやってるの？とか。
他二人の飛行士はもしかしてヘリに乗ってたのでは？と思ったけど、1日たってるから違うよね？ 無事だったのかな？？
ところで関係ないけど、不時着してから三人が砂漠をさまようシーンは、そのまま「猿の惑星」に繋いでも違和感なさそうだw あと、「象に浣腸する男の話」はどうなったんだ？ 気になるんだけどw
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