続・激突!/カージャック(1974年)
シャンプー(1975年)
スター誕生(1976年)
鷲は舞いおりた(1976年)
1970年代半ばともなると、知らない昔ではなく、空気感も覚えてる時代。「現代」と言いたいところだけど、74〜77年あたりは中学生の頃で、40年以上前の大昔なんだけどね。
●続・激突!/カージャック(1974年)
スティーブン・スピルバーグの劇場映画デビュー作(「激突!」はテレビ映画)。続編でも何でもない。77年にテレビで観た当時も面白いと思ったけど、今観たら隅々までめちゃくちゃ面白い! 「激突!」はすごかったに決まってるけど構図はシンプルで特殊。「カージャック」は一般の映画に近く、スピルバーグの上手さが際立つ。
スピルバーグは当時27歳、誰よりも映画にくわしくどう撮ったらどう見えるか知り尽くしてるキレッキレの切れ者監督ぶりが目に浮かぶ。「ジョーズ」以降の活躍がなくても、この2本で映画史に残ったかも。何十本も監督作品観たけど、上の方だろう。実話ベースだけど、原案もスピルバーグ。音楽はジョン・ウイリアムス。
テキサス。犯罪歴のため福祉局に小さい息子を養子に出されてしまったゴールディ・ホーン。軽罪で服役中の夫を脱獄させ、息子を取り戻すべく
シュガーランドの里親の家へ向かう。途中トラブルでパトカーを乗っ取ることになり、警察に包囲されながら、というか、無数のパトカーや野次馬を引き連れながらの道中となる。って話。未熟なバカップルを見守る警察の隊長の目が暖かい。
ギリギリ、アメリカンニューシネマの時代なので、「バニシング・ポイント」や「ダーティ・メリー クレイジー・ラリー」のように最後は破滅なんだろうと覚悟しつつハラハラ。とはいえ、バカでやかましいゴールディ・ホーンを中心に、賑やかなお祭りのようなのんきなコメディタッチが楽しい。だからこそ、急転直下のシリアスな展開にズッシーンとくる。
マスコミや子供達やおばちゃん、クーポン件、話を知って駆けつける二台の精鋭パトカー、勝手に襲撃に来るバカオヤジたち、壺をそっと隠すなどなど、その他無数の小ネタがいっぱい仕込まれてて、どれも全部楽しい。
●シャンプー(1975年)
売れっ子美容師が資産家夫人や愛人や女優の卵などあっちこっちつまみ食い。自分の店を持つ野心はあるのだが、どう見てもいいかげんだし、バカだし、銀行には融資を断られるし。資産家夫人の助言でそのダンナに融資してもらおうと近づき、あるパーティに出ることになり、、、。ってとりとめなくあっちこっち行く話。
モテモテ男の挫折。最近観てすごい良かった「ハロルドとモード」のハル・アシュビー監督だからって期待しすぎたか、最後までノレなかった。これは製作・脚本・主演のウォーレン・ビーティの映画なんだろう。ただ、物語を引っぱる力は弱いけど、それぞれのシーンの表現はよく出来てて面白い。
ジュリー・クリスティとリー・グラントの区別がつきにくく、混乱する。女優の卵のゴールディ・ホーンはやっぱイイ。キャリー・フィッシャーのデビュー作なんだけど、最初の「スター・ウォーズ」の頃に何かで読んで覚えてた「母親とつきあってる美容師を誘惑する女子高生を演じてた」って、これかー! w
すでにウォーターゲート事件後の世界なんだけど、ニクソンの大統領選挙に向けた応援パーティやテレビニュースとか空虚な感じで描かれる。そういえばあの爆弾騒ぎ、字幕には「爆弾」の一言も出てこないけど、まあ爆破予告の電話とかあったんだろうなくらいには読み取れる。最近チラッと見た「相棒」の再放送で似たようなシーンがあったな。
若者のパーティではやたらビートルズが流れるけど、最初と最後はザ・ビーチボーイズの「素敵じゃないか」で挟んで締めてる。75年の映画的にどうだろ?と思ったら、ニクソンが当選した大統領選挙は68年11月か、なるほど。
●スター誕生(1976年)
最近のレディー・ガガ版も含め、何度もリメイクされてる話。自暴自棄気味のロックスターのクリス・クリストファーソンが、町の酒場で歌うバーブラ・ストライサンドを見出し、半ば無理やりステージに上げて、トップスターにし、結婚までする。なのに。。。という話。
優しさ溢れる破滅。音楽映画なので歌のシーンがけっこう長い。お話的にはマンガみたいな類型的なものなのはしかたないんだろう。キャッキャウフフなシーンも多くてウザいし、行動原理的に「?」なところも多くて乗り切れなかった。そりゃ歌はすごいけどね。
クリス・クリストファーソンだって大スターなんだけど(元々はエルビス・プレスリーがやるはずだったそう)、バーブラ・ストライサンドは最初から貫禄の大スターに見えちゃうw
ロードマネージャーのゲイリー・ビジー、「ビッグ・ウエンズデー」に出てた人。ボリス・ジョンソンみたいでいい人感あふれてるw
●鷲は舞いおりた(1976年)
昔、映画館で観たはずなのだが、日本公開が1977年、中3の夏に本当に映画館に行ったかなあ? と思ってたら、77年の「史上最大の作戦」のリバイバルの同時上映が「鷲は舞いおりた」だったという話がネットで見つかった。「史上最大の作戦」は確かに観に行った。直前に公開の「遠すぎた橋」のヒットを受けて、同様の戦争大作「史上最大の作戦」を急遽リバイバル上映したらしい。
ムッソリーニ救出作戦の成功に気を良くしたヒトラーが、チャーチルの誘拐を指示。すぐ忘れる気まぐれと思われたのだが、いちおう調査してみたところ、たまたまある農村にチャーチルが静養に行くという情報が入り、実現可能かも!って、実行することに、って話。大筋以外ほとんど覚えてなかった。
ジョン・スタージェス監督、マイケル・ケインやドナルド・サザーランドなどすごい俳優ばかり。っていうか、こういう戦争アクション映画に出てくる俳優オールスターって感じ。当時あまりパッとしない出来と思ったけど、意外にもかなり面白かったしよく出来てた。誇り高いシュタイナー大佐と部下の信頼。命をかけて遂行するバカバカしい作戦とバカバカしい結末。
今見て思うのは、60年代の戦争アクションというか工作員潜入映画の70年代版リニューアルなんだなって。ドイツ軍が出てきて小中学生が燃える系の映画の再来って感じ。これ以降「ナバロンの嵐」くらいしかないかも。見せ方が洗練されてて良い。作戦が静かに着々と進行するのと、のどかな田園風景とのコントラスト。ロマンスもストーリーに生かされてて良い。
英語だし、マイケル・ケインはどう見てもイギリス人で、ドイツ人にはとても見えない。あと、空挺作戦の英雄で一目置かれてるのに、通りすがりにユダヤ人少女を助けて逮捕されてしまうのは「ドイツ軍人だけど、この人は悪者じゃないよ」の強調みたいでちょっとあざといw 原作もそうなってるそう。
ドナルド・サザーランドはドイツ人ではなくアイルランド人ってことになっててセーフ。アンソニー・クエイルもどう見てもイギリス人。ヒムラーを演じるドナルド・プリーゼンスは、パッと見プリーゼンスとわからなかったくらいハマってる。ロバート・デュヴァルはいい役。ジェニー・アガターはロードショー誌のグラビアになるくらい人気女優だったけど、調べたら現在まだ67歳。当時20代前半だったんだ(役は18歳)。ちょっと優香ちゃんっぽい。
ラロ・シフリンの音楽は戦争アクションものの定型みたいで、非常に地味。
しかし、潜入ものってキツい。ずっとドキドキハラハラ、はっきり言って不快w 潜入先の普通の人たちを巻き込んで傷つけてしまうのも耐えがたくて見てられない。続きを観るのが怖くて、数分ごとに一時停止して他のことしたり。僕はそれほど映画見るの好きじゃないのかもしれんとも思ったりするw
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