2020/02/29

最近観た映画メモ「M★A★S★H」他

バーバレラ(1968年)
ハロー・ドーリー!(1969年)
キャッチ22(1970年)
M★A★S★H(1970年)
ファイブ・イージー・ピーセス(1970年)

1920年代から古い順に長期間かかって映画を観てきて面白いのは、時代の移り変わりを追体験できること。今回は1968〜1970年だけど、特にベトナム戦争の影響や古い体制からのドロップアウトなど、そういう時代なんだな〜って。

●バーバレラ(1968年)

先日、アカデミー賞のプレゼンターとして登壇した82歳でも元気なジェーン・フォンダが31歳ときのSF映画。フランスのSFコミックの映画化で、60年代後半のお洒落キッチュな感じが全開。

面白いかといえば、ものすご〜くつまらなかったw たぶん、当時、原作コミックをもてはやすような最先端?の若者たちがギャハハハと笑いながら観た映画なんだろうな。っていうか、原作を画像検索すると、もっとあからさまに
大人のお色気路線だし。

ただ、もともと全体のストーリーとかどうでもいい感じで細かいコントの集合みたいに作ってるのはわかるし、キャラ立ちする脇役や悪役が満載なので、一度でも観たことある人が何人かで飲みながらしゃべりつつ観るには最高だと思うw カルト映画みたいな? ネタの宝庫。

冒頭タイトルバックの宇宙服を脱いでいくアレは歌や文字の動かし方含めて、さすがにカッコイイ。「ゼログラビティ」にこれをオマージュしたシーンあったね。
https://youtu.be/FsLa5hAXrMo

主題歌はピチカートファイブの「ベイビィ・ポータブル・ロック」に引用?されてるw
https://youtu.be/pFR_eLgsLg4

デュランデュランってこれの悪役の名前から採ったんだ。

●ハロー・ドーリー!(1969年)

ベトナム戦争の真っ最中、アメリカンニューシネマが旧来の価値観を蹴散らしてた頃、古き良きニューヨークを舞台にした豪華なミュージカル超大作。何をのんきな映画作ってるんだ?って僕だって思うw 興行的には20世紀フォックスとして「クレオパトラ」以来の大失敗だったそう。

ピクサーの「ウォーリー」で劇中に出てくるので興味はあった。主題歌はよく知ってたけど、バーブラ・ストライサンド主演とルイ・アームストロングの歌のシーンがある以外、どんな映画なのか知らなかった。監督がジーン・ケリー! 黄金時代からのミュージカルのスタイルの最後の花火って感じ? っていうか、この映画の失敗がきっかけで「大画面のミュージカル映画は下火に」なったそうw

しかし、そういったこと関係なしに、めちゃくちゃイイ! 冒頭から半分のインターミッションまで1時間16分、息もつかせぬ見せ場の連続だし、セットも衣装もすごい! これは僕がときどき言ってる「完璧映画」の一つかもしれんと思ったくらい。キューブリックがミュージカル映画作ったらこんな感じかもw

特に、帽子屋でのダンスの手ほどき→屋外へ飛び出してダンス→ドーリーの決心→19世紀末ニューヨークの街を再現した超大スケールのパレードシーン→インターミッションまでの約20分がひとつながり! 帽子屋に入るところからだと35分くらいの連続したシーン! すっごいこれ!

後半はちょっとダレるけど、レストランでの一連のエピソードと歌とダンスは究極! まあ、「なんで??」ってラストは唐突に見えるけど。

ストライサンドの顔はあんまり好きじゃないけど、さすが魅せる。ウォルター・マッソーが歌い踊るとは知らんかった。

ヨンカーズって町。ドーリーが乗ったSL列車が水辺や山などを走る素晴らしい映像がタイトルバックなんだけど、遠い町かと思ったら、ヨンカーズってニューヨークの隣じゃんw マンハッタンからでも10km以内。

●キャッチ22(1970年)

ベトナム戦争に対する、変わった趣向のブラックコメディ反戦映画ってことしか知らなかった。すごい俳優たちが続々登場する。オーソン・ウェルズまで!

第二次大戦後期、イタリアの小島にあるアメリカ空軍基地。登場人物全員が頭おかしい。頭のおかしい将校に出撃回数を無制限に増やされてて頭がおかしくなりつつある主人公。最も頭がおかしいのがジョン・ボイト。

同じシーンをあちこちにバラバラにして構成したり、時間が戻ったり交錯したり、現実か妄想か、混乱させる造りになってる。狂気は十分伝わったし、ラストシーンも素晴らしい。けど、あんまり面白くはなかった。

基地や滑走路などメキシコにわざわざ作った上に、本物の爆撃機B-24が十数機登場。海への爆撃シーンや、頭おかしいやつが自分の基地を爆撃させる夜間シーンの原寸大の迫力はすごい! 他の戦争映画では見たことないくらいの大スケール。あと、エグすぎる人体破壊描写も。新しい映画含めいろんな映画でそういう描写は見てきたけど、初めて「ウッ」ってなったくらいキツい。

●M★A★S★H(1970年)

ロバート・アルトマン監督、ドナルド・サザーランド、エリオット・グールド主演。「キャッチ22」と並んで戦争の狂気を描いた映画と言われるらしいけど、同じく、ベトナム戦争をわざわざ避けて別の戦争を舞台にしてる。

朝鮮戦争の野戦病院に配属された外科医たちのメチャクチャな行動。過激な悪ふざけの数々。サザーランドだけでなく全員がヒドイw なのに、外科医としては凄腕であり続けるところがやけにカッコよかったりして、コントラストになってる。で、戦争という状況が彼らの行動をそうさせてるだけで、実は根本には非常に人間的に温かいヤツってわかってくるのがイイ。

後半、「何の映画だっけ?」くらい脱線するし、それがクドいほど長かったりして呆れ果てるw ちょっとキツめだし、ストーリーはほぼ無くてエピソードの羅列だけど、おもしろかった。「ナッシュビル」のようにグダグダに巻き込まれる感がイイ。東京からの米軍向け放送で当時の日本語の歌がいろいろ聴けるのがおもしろい。最後の晩餐、最近観た映画では3本目だよw

●ファイブ・イージー・ピーセス(1970年)

ジャック・ニコルソン主演のアメリカンニューシネマ。上流階級の音楽一家で育って才能もあるのに全部捨ててドロップアウトし、日雇いみたいな肉体労働してる男。全部いいかげんに生きてきたせいで、居場所がなくなっていき、何度も逃げ出さざるを得なくなってる。

自分勝手でトゲトゲしい乱暴者なのだが、そうせざるを得ないのは自分のせいってわかってるのに、何ともできない。モラトリアムというか、自分探しさえできない感じの中ぶらりん。抜け出すきっかけになりそうな出来事もあるんだけど、やはり逃げ出すw

煮え切らず共感しづらい男だけど、誰もが抱えてるだろう何ともならない生きづらい感じを最大限に増幅したように迫ってくる。何とも居心地の悪い映画だけど、ズシンときた。

「アラスカは清潔」の女や食堂の融通の効かないウエイトレス、難しい話ばかりしてクソ腹の立つインテリおばさんとか、おもしろかった。ストーリーは薄くて、エピソードの羅列な感じ。「キャッチ22」や「M★A★S★H」もそうだし、これの前作に相当する「イージーライダー」もそうだった。

恋人役のカレン・ブラック、先日観た「華麗なるギャツビー」にも出てたけど、めちゃくちゃウザくて良かったw

タイトルは、劇中で弾かれる5つの(比較的やさしい)ピアノ曲を指すらしい。ハイソなクラシック曲とド演歌カントリーソングの対比もw
https://inagara.octsky.net/five-easy-pieces#i-2

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