2020/02/14

最近観た映画メモ「長靴をはいた猫」他

わんぱく王子の大蛇退治(1963年)
長靴をはいた猫(1969年)
空飛ぶゆうれい船(1969年)
どうぶつ宝島(1971年)

8本連続で観てきた60年代からの東映アニメ、これで一区切り。そういえばすっかり忘れてたけど、僕、東映アニメーションとちょっとだけ接点があったのだった。東映アニメーション研究所の学校案内パンフの表紙イラストを2000年度用と2001年度用の二年続けて描いたことある。2001年に閉所してたのね。2001年度用の刷り上がりが無いのは、結局パンフは刷らなかったのかも。



●わんぱく王子の大蛇退治(1963年)

東映アニメ。日本の神話が題材で見やすい。やはり5才頃に買ってもらった絵本「やまたのおろち」(羽仁進)でスサノオの話には親しんでた。スサノオの声、子役時代の風間杜夫だって! 伊福部昭の神話的な音楽。あからさまにゴジラっぽいメロディもあるけど、ゴジラのテーマ自体がそれ以前に作った音楽の流用だそうなので、もともとそういう作風なのね。

森康二のキャラデザイン全開。奥山玲子はじめ何人かでキャラデザインは手分けしてる。全体的に幾何学的と言っていいほど簡略化されてキッチリしたデザイン。そのせいか、全編で絵の破綻がほとんどなく、完成度が非常に高
く見える。「ガリバーの宇宙旅行」の緑の星の人たちに通じるキャラデザインもあったりする。天早駒いいなあ。

完全フルアニメーションかと思えば、ウサギなどにカートゥーン的なダブらせブラーを使ってたりする。冒頭の蝶が飛ぶところ、CGかと思ったほど! 天鳥船の登場シーンも滑らかでCGっぽい。ロトスコープ使ってるかな?

火の神との対決、天岩戸のシチュエーションでアメノウズメノミコトが踊るシーン、クライマックスのヤマタノオロチとの対決シーン、ほんとによくできてるのに、不自然に長く延々続いてウンザリしてしまうw

↑「作画汗まみれ」で触れられてた。概略「手塚治虫のアニメがラストの対決シーンを1分とかであっさり終わらせるのに対し、東映の映画では山場の大立ち回りは華々しく大サービスする伝統があった。東映に限らずエンターテインメント映画の常道。ヤマタノオロチの対決シーンも元は8分だったのを15分に延ばしてる。」なんだって。なるほど、わざとやってたんだ。

僕的に、洋画でも戦闘シーンやアクションシーンが長すぎるのは苦手で、それよりストーリーを先に進めてくれ!ってイライラすることが多い。サービスのつもりでわざと長くしてるんだったら、あっさり早送りしちゃっていいかもねw

ヤマタノオロチの描写は完全に特撮映画の怪獣。キングギドラかと思ったけど、こちらのほうが3年早い。逆にこのヤマタノオロチがキングギドラに影響与えたのかも。

ええ?また巨大魚と格闘w というか「ホルス」の巨大カマスとの格闘の7年前なのだが。そういえば「未来少年コナン」でも巨大サメと格闘あったな。伝統だw

崖沿いに天早駒に乗るスサノオ越しにオロチを前から捉えたカット。崖もセルで動いててるのは、ナウシカその他で宮崎駿が何度もやってるアングルだ!

●長靴をはいた猫(1969年)

東映アニメ。当時、小学校1年の頃に映画館で「怪物くん」などといっしょに東映まんがまつりで観た。「びっくりしたニャン」の歌! 地球をぐるぐる回るペロたちを絵日記に描いた気がする。

面白かった。大まかには覚えてた。これ以前の作品より絵が格段にこなれてて、安心して見てられる。森康二というか東映動画的な硬めなキャラデザインと、いきいきしたモーションが無理なく結びついた形というか。日本のアニメーションが成熟した段階。スタッフ、すごいメンバー。ペロの表情は大塚康生?
http://www.ghibli-freak.net/naganeko/staff.html

猫やネズミとかちょこまかキャラだらけなのだが、ちゃんと役割があるのでそれほど気にならない。三匹の猫の殺し屋たちがもたもたぐずぐずやってるのがドリフっぽいw クライマックスのアクションの引き伸ばしは多少感じたw

魔王が変身する三つ首竜は「わんぱく王子」のヤマタノオロチ→キングギドラのお返しだなと思って調べたら、キングギドラは59年の「日本誕生」の八岐大蛇が元になってるそう。

塔の上でのアクションは「ルパン三世 カリオストロの城」や「コナン」。ローザ姫が塔から出たときの風はレプカに拷問されてるラナのひるがえるスカート! 宮崎駿、初期の監督作品で今までやってきたことの総おさらいみたいなことやろうとしてたんだなあ。縦の動き、高所で盛り上げるってのも何度もやってる。

音楽は宇野誠一郎。なんかしっくり来ると思って検索したら、「ムーミン」や「ネコジャラ市の11人」など、僕的に「子供時代の正しい音楽」の人だった。ただ、歌のシーンはイマイチ。音楽は良いんだけど、キャラが歌ってるように見えなかった。

●空飛ぶゆうれい船(1969年)

東映アニメ。これも当時、小学1年生ときに映画館で観た。「赤影」の部分立体映画などと同時上映の東映まんがまつり。ゆうれい船ってイメージとちがう話でよくわからず、あまり楽しめなかった記憶。

今回は割と普通に面白かった。ボアジュースのCMで洗脳とか体が溶けるとか、裏の巨悪とか、子供に陰謀とかを意識させる入門編的なw わざわざ輸入ってことにしてるしどう見てもコカコーラの瓶だし、アメリカ式の資本主義に警鐘を鳴らす的な。当時小1の僕にはボアジュースの陰謀は届かなかった模様で、まったく覚えてなかったw

画面的にはもうごく普通の70年前後のアニメらしくなってて、どこにも変な気負いはない。まあ、テレビアニメ的なこぢんまり感はあったけど。予算の都合で使用セル枚数は1万枚と決められてたらしい割にはちゃんと動いてた印象。

渋滞してる街の道路に戦車が現れるシーンって、原画で参加した宮崎駿が「ルパン三世/さらば愛しきルパンよ」でもう一度やってるね。あと、ビルの細かい壊れ方がどう観ても宮崎駿w

60分と短く、あっという間に終わってた。ハマグリw

●どうぶつ宝島(1971年)

東映アニメ。まったく観たことなかった。全編すっごい楽しく面白かった。細かく細かく全部面白い。キャラ全員いきいきしてるし。知らんかった。いいわこれ。

冒頭の黒装束のブタたちがボートを漕ぐ数秒のモーションだけで宮崎駿!って感じw 強いヒロインのキャシーがすんごいイイんだけど、やっぱモンスリーやラナに引き継がれてるな。シルバー船長はそのままポルコ・ロッソ。ドタバタの海賊たちは「コナン」や「紅の豚」や「ラピュタ」なんかに。

山本直純の主題曲がめちゃイイ。「行くぞー、僕らの、パイオニア号」のところがフックになってて、もうずっと頭の中で鳴り続けてるw

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