2020/02/11

最近観た映画メモ「太陽の王子 ホルスの大冒険」他

大量に追加した70年代作品に取り掛かる前に、60年代の追加分を先に見ちゃうシリーズ。「モスラ」以外は60年代の東映アニメ。「ガリバーの宇宙旅行」を観た時点で、「太陽の王子 ホルスの大冒険」と「長靴をはいた猫」がこの時代の東映アニメの頂点と知り、遡って「わんわん忠臣蔵」から観てる最中。

●モスラ(1961年)

ザ・ピーナッツの小美人はよくテレビで紹介されてたけど、映画そのものは一度も見たことがなかった。こういう怪獣映画は基本的に苦手だから。すごく面白くはなかったけど、ツッコミどころ含めてネタの宝庫だってのはよくわかった。

総合的には「キングコング」の要素の組み替えでできてるよね。南の島の探検、小美人が見世物にされるとか、モスラは本能的に小美人を追い求めてるだけで悪意はまったくないとか。そういえば、役割を終えたモスラはどうなっちゃうんだ?って気になったw ネルソン役のジェリー伊藤の悪い顔がパックンに似てて
おかしかったw

1961年の東京、茶色っぽくてガチャガチャしてて、なんかみすぼらしいなあw ミニチュアが超精巧に再現しててそのへんが強調される。それにくらべ、ロリシカ国(アメリカとロシアの合成語)の描写やミニチュアが雑なのは、勝手に変更したラストがコロンビア映画(日米合作ということになってた)からボツを食らって急遽撮り直したもので、本多猪四郎監督も「このシーンについて予算が少なく手抜きの結果になった」と言ってるそう。

小美人も、「身長30cmの人間」に見せようとするカメラアングルの工夫がほとんどなかったのが残念。原住民の描写とダンスはものすごくイヤだったw

あと、ナウシカの王蟲の元ネタなわけだけど、宮崎駿が渋谷の映画館でモスラを見て、外に出たらさっき破壊された渋谷の街!って件。せいぜい1990年以降の渋谷しか知らないので、どこがどこなのかよくわからなかった。モスラが来る前に夜景が映る実写カット、もしかしてセンター街入り口あたり?と思って検索したらやはりそうらしい。右のビル、街頭ビジョン含めてQフロントに受け継がれてたんだ! 大盛堂書店もある。

あと、その夜景の左側にハーケンクロイツが見えるのは何なんだ? 映画の看板かと調べたら、1961年1月公開のドキュメンタリー映画「我が闘争」ってのがある。看板の右端が「が闘争」と読めなくもない。


●ガリバーの宇宙旅行(1965年)

東映アニメ。たぶん4才頃か、アニメ画面で構成された絵本を買ってもらってて、内容も絵も大好きだった。後にSFビジュアルに惹かれる原点になったのかもしれない作品なんだけど、なぜか今まで本編を観たことなかった。

絵本「小学館の絵文庫/ガリバーの宇宙旅行」
https://aucview.aucfan.com/yahoo/200482699/

孤児の少年テッドが老ガリバーと宇宙旅行に出かける話。テッド少年を演じるのが当時別格の大スターだった坂本九。しかし、大人の声じゃぜんぜん合わなく、最後まで慣れなかった。人気タレントに声優をやらせる走りか? 挿入歌も歌ってる。音楽は冨田勲。

僕的には数分で読み終わるおもしろい絵本を1時間20分に水増しされた感じだった。う〜ん、映画としてはたしかにつまらないw

評価的にもイマイチ。制作中からあまりのつまらなさにスタッフたちが逃げ出し、別の作品に移動してしまう始末。入社2年目の動画マンにすぎなかった宮崎駿の意見でラストが変更されたのは有名だけど(絵コンテを勝手に書き換えたそう)、その宮崎でさえ「最悪の作品と思ってる」ってw あちこちにミュージカルっぽい見せ場らしいものがあったりするけど明らかに精彩を欠いており、なんか本気で取り組んだ感がないのは確か。

あの輝くラストシーンがなければ本当に最悪の作品になったのかも。作画もしたそうで、あの20秒間だけモロに宮崎駿作品っぽい。っていうか、絵空事的紙芝居な全編の中で、あのシーンだけ人間の感触があって生々しい。ただ、ラストの後にもうひとつオチがあるのは知らなかった(絵本には無かった気がする)。

ロケットやロボット、青い星の都市や宮殿などのデザインはとても洗練されてて、動きも含めて好き。トラクタービームの効果もいいし、ロボットの壊れ方なんかCGアニメーション時代の表現を先取りしてたりする(これも宮崎駿が作画したそう)。

そういえばSFアニメーションとして未来感や宇宙を表現したものって、これ以前には無かったかも!と思ったけど、そっか、「鉄腕アトム」や「宇宙家族ジェットソン」でさえ何年も先行してたわ。

後の宮崎作品に引用されてるっぽいカットがあったりする。「未来少年コナン」の冒頭のロケットのデザインや飛び方なんか同じだったり。ロボットの大群が攻めてくるところなんか巨神兵だし、ロボノイドっぽかったりする。クライマックスはギガントに入り込んだコナンたちを思い起こさせるし。

名前がテッドやマック、ガリバー、街のシーンはパリ風など、無国籍というよりは完全にヨーロッパ風味なのに、「地球の食べ物は?」と聞かれたテッドが「ラーメン、カツ丼」とか答えるのがオカシイw 冬の歌のシーンでかまくらとか出てくるし、水風船のひとつが達磨だったりw あと、地球はどんな世界か聞かれて歌う中で、中途半端に社会問題を提示してたりするのが少々ウザかった。

ちょっとネタバレ。宮崎駿の意見で変更されたというラスト。よく考えたらおかしい、というか唐突。「ロボットの反乱から逃げ出してきた宇宙人(=人間)たちとその王族」と説明されてるのに、宇宙人たちもロボットってことに変わってる。「ロボットの格好をしてる人間」と見破ったとか言ってるけど、もともと人間じゃなかったっけ?というw

●わんわん忠臣蔵(1963年)

東映アニメ。普通に時代劇の忠臣蔵を犬のキャラに置き換えたものだとばかり思ってたら、ぜんぜん違ったw 雪の中の敵討ちではあるんだけど。動きがこなれてない上に、無駄な手数感というか楽しませようとするあまりの空回り感はあった。手数のほとんどが盛りだくさんの軽いギャグだけど、先日書いた「面白いリアクションだけでは面白くならない」の範囲に収まってて、効果的とは思えなかった。

あと、街の背景の無数の看板の文字がテキトーすぎて萎えるw まだこの時代には細部に無駄に凝るような発想はなかったんだろう。でもまあ、「ガリバーの宇宙旅行」よりはしっかり面白かった。入社したての宮崎駿が動画として参加したらしいけどクレジットには出てない。

●サイボーグ009(1966年)

東映アニメ。63分と短い。実は「サイボーグ009」って子供の頃に再放送かなんかでチラッと見た程度で、まともに観たことがない。興味を惹かれないというか、最初から好みじゃなかったんだろうな。

テレビアニメに先行する劇場第1作ってことで、サイボーグ009のエッセンス的なものが見られるかもと思って観始めたのだが、、、、う〜〜〜ん、こりゃひどい。全シーンが作画崩壊といっても言い過ぎではないくらい。今時の高校生の個人制作アニメでももうちょっとマシだろうと思う。本当に映画館で公開したんだ。。。

Wikipediaに面白い話が出てた。59年に手塚治虫の身代わりで派遣された東映動画「西遊記」の制作現場を見た石森章太郎が「このまま入社してアニメやりたい!」と言い出した。ところがスタッフに「マンガを続けなさい。そのうち原作を買いに行くから」。それで実現したのがこの作品。この後、仮面ライダーなどの東映の特撮番組へ繋がっていった、と。

●太陽の王子 ホルスの大冒険(1968年)

東映アニメ。高畑勲監督。宮崎駿もレイアウトで本格的に参加。たしか、高校とき創刊されてときどき買ってた「アニメージュ」なんかのアニメ雑誌で、別格としてよく取り上げられてた。1978年時点での日本アニメ史上最高の作品って感じで。へえ、そんなアニメがあるのかとか思ってたけど、観る機会は無く。その後、大塚・宮崎・高畑の名前が気になるようになってから、そういった凄腕の人たちが作り上げた傑作という認識に。先日の高畑勲展でもフィーチャーされてた。

お話は面白かった。ヒルダ、いいねえ。声は市原悦子だったのか! 「アナと雪の女王」的にディズニーアニメーションスタジオがリメイクしたらピッタリな感じ。途中で脳内でCGに変換して見てたりしたw

東映動画として過去数作のおっかなびっくり感はすでに無く、70年代テレビアニメにも通じるテイスト。ただ、絵が志に追いついてないようで、今の目で見ちゃうとやはり作画崩壊っぽく見えてしまうところも多い(ディズニーの90年代盛り上がりのきっかけになった「リトルマーメイド」(1989年)だって作画崩壊っぽいけどねw)。

あと、狼やネズミたちが村を襲うシーンなど、いきなり静止画のスライドになっちゃうw それから、主役たちと脇役やその他大勢の人たちのキャラクターデザインの統一感が無いのがいちばん気になった。異なるルールでデフォルメされた人物の混在は、違和感ばかり大きい。

ストーリーを追えない小さな子供を楽しませるためか、ちょこまかうろうろするペット/アクセサリー的なかわいいキャラがいくつも登場するのが昔からキライなんだけど、この作品もモロにそう(「ナウシカ」のテトや「千と千尋」の後半もそんな感じ)。

あとやはり、宮崎駿は思い入れが大きかったらしく、後の作品というか主に「未来少年コナン」のシチュエーションや動きをこの映画からいっぱい使ってるね。冒頭の旅立ちなんかほぼ「コナン」と同じ。「ホルス」を観てたら「コナン」の印象がちがっただろうな。あと、飛行石もあった。長い尾を引いて飛ぶ白いオオカミも、何かで同じもの出してたな。

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