また「無報酬」ってところについ反応しちゃうけど。こないだ天王寺区タダ働きデザイナーの件があったばっかしなのにな。いや、ボランティアならそれでもかまわんと思うけど、今回は「日本中の優秀なクリエーターにひと肌脱いでもらうべきだ」、べきだ、だよ。べきだ〜。
500億円投入って、ハリウッドの大作映画2〜3本分の予算で何か効果を期待するほうがオカシイ! だいたい、日本アニメは激安放映料で繰り返し世界中で放映されてた中で育った人たちが、その「ありふれた安物」の中に価値を「発見」したんじゃん。ジャパンはクールだぞって自分からねじ込んでどうする?? シラケるばかりだと思う。
何を危惧してるかというと、外国人が見て超ダッセー動きかもしれない「クールジャパン」のくくりに、僕らも含まれちゃうんだぞ! がんばって自力で世界進出しようとしてる僕を含む日本のアーチストたちが、その一味と否応なく思われてしまうのはイヤだーー! 「クールジャパンだとさwww」って広まっちゃった後、どんな顔して世界に出て行けばいいんだ?
もちろん「クールジャパン」はマンガやアニメやゲームに限らないわけだけど、牽引力の大きな柱ではあるだろう。国からそんなもん文化じゃないと冷遇され無視され続けたからこそ、ここまで栄えたのだー。少なくともその文化の基礎を作った一人であるはずの手塚治虫に国民栄誉賞を上げてからの話だっ。
だいたい、「クールジャパンはトニー・ブレアがやったクールブリタニアのパクリ」って先日知ってひっくり返ったわ。もう全部なしにしろ〜〜〜!!
イギリスには「かつて世界を制したのに没落した国、でも音楽やファッションで世界を席巻しててカッコイイ!」というイメージがあった。 クールブリタニアとわざわざ言い始めたのは90年代半ばなのね。グラフィックデザイン以外の分野で90年代に何か目立った動きがあったかどうか、記憶にないなあ。
日本も同じくブイブイ言わせたのに没落したけど、アニメやキャラクターをはじめ料理やファッション、いろんな文化で世界を席巻。外国から見た今の日本の印象って、たぶん僕が80年代くらいに抱いていた「イギリスってカッコイイ!」と重なるんだろうな。
日本のコンテンツの輸出額は2008年以降激減してるらしく、「クールジャパン」自体もう手遅れと思われるけど、この分野での没落をなるべく遅らせるにはやはり国が何かやらなきゃいけないのかもしれん。
で、クールジャパンって具体的に何やろうとしてるわけ? と思って、Wikipediaのクールジャパンの項のリンクの「日本ブランド戦略」のPDFを見ると、けっこうまともなこと書いてあるじゃん。「海外から人材受け入れて将来の担い手として育成」まであったりする。志はまともでも、実際に動くとグダグダになっちゃうのかなあ。
※余談。先週、「クールジャパン」「無報酬」に関連して、「イラストレーターカタログ本で掲載料を取られる、無報酬を通り越して払って載せてもらうのか! ひどい」って話が広まった。「いや営業用カタログ本に掲載料を払うの当然」って実例を挙げて抵抗を試みるも、あまりの浸透の広さにぐったり。しまいにゃ「お前はいったい何と戦ってるんだ?」な気分に。わかってる人はわかってるんだから放っておこう、スルー力が試される。
「カタログ本掲載料商法」を支持するわけじゃないけど、権威とか実績とか関係なしに、お金さえ払えば載せてくれるカタログ本は、むしろ若い人の味方でもあるんだよ。 「お金の前では平等」を否定すると、昔の年鑑みたいに「権威」しかなくなっちゃうよ。
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