2024/04/23

最近観た映画メモ「三銃士」他



●地球最後の男 オメガマン(1971年) 1:38 アメリカ U-NEXT

70年代前半の暗いSF映画群で見てなかった一本。原作はリチャード・マシスンで、これが二度目の映画化とは知らなかった。ウィル・スミスの「アイ・アム・レジェンド」(2007年)が三度目の映画化。

中ソの細菌戦争で人類滅亡して2年。研究員だったネビルは自分が開発したワクチンを打って生き延びていた。しかし、感染しても死ななかった人々は真っ白に変色、光を嫌う狂信的ゾンビ集団のようになっている。ネビルは昼間はゾンビ狩りの毎日。ゾンビたちはネビルを悪魔と呼んで夜な夜なつけ狙う……という話。

あれ〜〜? おかしいな。ここ数年で最もつまらなかった部類かもしれない……「無人のロサンゼルス」「一人しかいない生活」の描写はけっこう長く続いてそう悪くないけど、他の登場人物が現れてからの異常なつまらなさ。

・ゾンビたちがおそろいのサングラスとラメ入り黒装束を着てるのにはどうしても笑ってしまうw 肌も髪の毛も白くなってる表現は、粉を振りかけてるようにしか見えない。ヘストン的に「続・猿の惑星」(1970年)の生き残りミュータント集団とかぶる。

・ゾンビと書いてるけど、マシスンはもともと彼らを「吸血鬼が集団で襲ってきたら怖いだろうな」をアイディアとして書いてるそう。

・ぶつぶつ言いながら街をさまよったり暇つぶししたり、ヘストンがあまりかっこよく見えない。なんで出たんだろうと思ったら、自らワーナー・ブラザースに売り込んだ企画だったのか。当時、48歳だけど、もっともっと老けて見える。

・途中やラストの十字架的アレは思い入れ先行すぎて脱力するw

・擦れた映画ファン的には「生き残った人類の本流はゾンビのようになった彼らであって、ヘストンは異端でひどいやつ」って最初から思っちゃうし。

・ヘストンと黒人女性リサとのラブシーンは、当時は相当な過激表現だったはず。検索したら、ハリウッドでは初めてのケースだったらしい。

・(最初の映画化「地球最後の男」(1964年)はこの後で観たので次の映画メモに書きます)

●三銃士(1948年) 2:05 アメリカ U-NEXT

「大いなる眠り」(1978年)を見て気になったオリヴァー・リードを見たい、と「三銃士」(1973年)を見始めたら、期待とちがって現代風の映画だった。「三銃士」という有名コンテンツを初めてちゃんと見るには向かないなと、1948年版を先に観る。配信の画質は悪いけど、カラー作品。

ジョージ・シドニー監督、ジーン・ケリー、ヴィンセント・プライス、ジューン・アリソン他。音楽はハーバート・ストサート、なじみのない名前だけど、作品リストを見ると超絶すごい。「オズの魔法使」(1938年)はじめ、トーキー初期から戦後にかけての名画のほとんどを手掛けてるんじゃないかくらいの。
https://www.allcinema.net/person/294

田舎から出てきた剣士ダルタニャンが思わぬ活躍をして三銃士の仲間に入れてもらい、宰相リシュリューと伯爵夫人の悪巧みをくじく話。

アクションシーンは超素晴らしい!何度でも繰り返し見たい。しかし、ストーリーは好みじゃなくてノレなかった。ざっと、強くて機転が利いてモテモテのダルタニャンが、自分の魅力を武器に女たちを自在に操って宰相ルシュリューの鼻を明かす痛快話。知らんけど「ジェームス・ボンド」や「島耕作」的な?

・なぜダルタニャンがジーン・ケリーなのかは始まってすぐわかる。チャンバラというか剣戟がまさにアクロバティックでリズミカルなダンスのよう、楽しい! 

・楽しい剣戟だけど、ちょっとした小競り合いでも相手をブスブス突いて殺してしまうのはかなり引くw 殺さずに見逃してやると、上司に「何を中途半端やってるんだ、ちゃんと殺せ」って言われてるし。

・ジーン・ケリー36歳。まあ、田舎から出てきた少年or若造には見えないし、筋肉ムキムキで強そうだしw

・剣戟の動きやリズムがほとんどカンフー映画。逆に、ジャッキー・チェンが参考にしてる可能性?(剣戟以外の軽技アクション含め)。 

・屋根の上での高所アクションがほぼ「カリオストロの城」の屋根ジャンプ! このへん宮崎駿取り入れてるね。

●三銃士(1973年) 1:46 アメリカ U-NEXT

リチャード・レスター監督。超々豪華キャスト、マイケル・ヨーク、ラクエル・ウェルチ、オリヴァー・リード、チャールトン・ヘストン、フェイ・ダナウェイ、ジュラルディン・チャップリン、クリストファー・リーなど。音楽ミシェル・ルグラン。

一本の映画として仕上げるはずが二分割、前編をこの「三銃士 王妃のダイヤモンド」、後編を「四銃士 ミレディーの復讐」(1974年)として公開。エンドタイトル前に「四銃士」の予告編が出る。1989年に同じキャストで後日談「新・三銃士」が作られた。

1948年版と同じく、どうでもいいストーリー。コメディタッチとはいえ無駄にドタバタはしゃいでるだけだし、アクションにも魅力がないし。笑いのための細かいアイディアを無数に詰め込んでるのはわかるけど、どれもこれもつまらない。

半分くらいでギブアップ。残りはざっと見たけど、後編の「四銃士」はとりあえず見ない。

なんちゅうか、ほぼ「無能な王と、王妃の不倫のフォローをさせられる(間抜けでかわいそうな)三銃士とダルタニャン」。宰相リシュリューは悪者に見えないし。そういう趣旨のパロディ/コメディとしても、映画的に面白がれる部分がほとんど見当たらない。もしかしたら、「三銃士」を定番として親しんでた人にはウケるのかもしれないけど。

・剣戟は、長い刃物で本気で殺し合いをしたらこうなるんだろうけど、無様なバイオレンスになってしまってて、ぜんぜん楽しくない。ブスブス刺しても「怪我した」で済ませててズルいw

・三銃士たちがほぼチンピラ。因縁をふっかけて決闘に持ち込んだり、倒した相手の財布を奪って金貨を山分けしたり。えええ? いいのか?? なんとなく全体に品がないのは、もしかしたら原作がそういうテイストなのかもしれない。

・最初の目的だったオリヴァー・リードはどうでもよくなってしまったw 骨太な感じは魅力的だけど。

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