2〜3月前半に集中的に観た分の映画メモがまだまだある。以前はなんだかんだとしつこく検索したりして時間かけてたけど、今は「キャストとスタッフ」「ごく簡単なあらすじや印象」「ランダム箇条書き」と、割と形式が決まってきてるので、そんなに時間はかかってない。ノって長くなるのもあるけど。
●天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント(2018年) 1:28 ドイツ U-NEXT
107人?のクリエイター(広い意味で)や著名人に「なぜあなたはクリエイティブなのですか?」とシンプルに質問してみたドキュメンタリー。ハーマン・ヴァスケ監督が思いついて以来、30年もかかって集めたインタビュー集とのこと。なので、1995年のデヴィッド・ボウイなどかなり若かったりする。日本人も北野武など数人含まれてる。
歴史上の人物級の人たちもぞろぞろ出てきてびっくりする。個人の思いつきでよくここまでやるw ほとんど「進め!電波少年」のアポなし突撃取材みたいなものもあったり。
原題は「なぜ私たちはクリエイティブなのか? ムカデのジレンマ」。「ムカデのジレンマ」とはマザーグースの一編で、カエルがムカデに質問、「どうやってたくさんの足を動かして歩いてるの?」と。ムカデはあらためて考えてみたら歩けなくなり、餓死してしまった、という寓話だそう。まあ、「偉大なクリエイターたちは努めてクリエイティブであろうなんて考えてない」って意味か?
映画の終盤でなぜその副題をつけたかわかる。「なんてしょうもない質問をするんだ?」とは僕も思ってたw 半分以上のみなさん、困ってるもん。まあ、安易すぎるかもしれないけど同じ質問を大勢のクリエイターに投げかけることで、見えてくるものもある。
突然その質問を投げかけられた著名人がどういうリアクションをするか?という映画かもしれない。唐突な「なぜクリエイティブ?」の答えなんてその場の思いつきの出まかせだろうし。
・ウィレム・デフォーにそんな悩みがあったとはw
・ヴァスケ監督の髪型が荒木経惟に似てるのだが、そのアラーキーも登場!
●SISU/シス 不死身の男(2022年) 1:31 フィンランド Amazonプライム
これもfacebookに動画が流れてきて「見たい!」と思ったのだった。監督 ヤルマリ・ヘランダー、主演 ヨルマ・トンミラ。
第二次大戦末期、フィンランドの荒野。ソ連の侵攻にナチスは焦土作戦を行いつつ撤退中。苦労して砂金の塊を掘り当てたフィンランド軍の退役兵士の老人と愛犬、馬で街へ帰る道中、少人数のナチスに絡まれるがあっさり皆殺しに。その後、老人が金塊を運んでると知って引き返してきた戦車部隊に攻撃される。彼らが埋めた地雷を馬が踏んでしまい、老人は姿を消す。司令部に確認すると、「彼を怒らせるな、一人でソ連兵300人と戦い全滅させたフィンランド最強の不死身の兵士だ」、、、という話。
めちゃくちゃ面白かった。ツルハシ一本のジジイ、強すぎるw リアルな戦争アクションものではないよ。スーパーヒーローものというか、半分以上「悪ノリやりすぎでほとんどコメディになっちゃってるスリラー」の雰囲気。タランティーノとかザック・スナイダーっぽい感じを入れてるし。「第一章」的な区切りの表現とか、力技で拍手喝采に持って行く感じとかw
ヨルマ・トンミラの鬼神というか殺人マシーンぶりがすごい。一人で300人のソ連兵士を、ってのは有名な狙撃兵シモ・ヘイヘのイメージを借りてるんだろう。これ、悪いナチスに対して無双するからスカッとするわけだが、敵に回したらめちゃこわいな。「ノーカントリー」(2007年)のアントン・シガーみたいな。
・老人が犬や馬に優しいところを見せるのって、「SAVE THE CATの法則(いい人として印象づける手法)」そのまんま。話を引っぱるツールとしての黄金とか、虐げられていた者の立場逆転とか、ストーリーがシンプルな分、盛り上げるための構成要素がとてもわかりやすい。
・犬のウッコ、めちゃかわいい!(どうやって帰ってきたんだ?w) 監督の飼い犬だそうで、名前もそのままウッコ。自然を司る神の名だそう。
・ヨルマ・トンミラはもともと有名俳優で、たまたまヘランダー監督の姉が彼と結婚。以来、自作に何本も出演してもらってるんだそう。あと、隊長に最後まで従ったかわいそうな部下の若者は監督の息子。
・あの輸送機はソ連のものだけど、ナチス隊長は自分だけ助かるように取引してたってこと?悪いヤツだなあ。
・「博士の異常な愛情」(1964年)・「バットマン」(1989年)のラストをいただいてるw
・フィンランドはソ連の侵攻による「冬戦争」に敗北後、ナチスドイツの協力を期待して枢軸国側につき、同じくソ連との「継続戦争」を戦っていた。このへんについて、「アンノウン・ソルジャー」も観る予定。
●小さな巨人(1970年) 2:19 アメリカ Amazonプライム
スターログ誌か何かの特殊メイク特集で、121歳の老人になったダスティン・ホフマンの写真を見て以来、ずっと気になってたけど見る機会がなかった。同じ年の「ソルジャー・ブルー」と共に、インディアンの立場から描いた画期的な映画とのこと。アーサー・ペン監督、ダスティン・ホフマン、フェイ・ダナウェイ、マーティン・バルサム他。
「リトルビッグホーンの戦い」の生き残り、121歳のジャックが養老院でインタビューに答える。彼は子供の頃にインディアンの襲撃に遭ったところをシャイアン族に助けられる。インディアンとして成長するが白人との戦いの中で保護され、牧師の家に引き取られる。以来、生々流転。白人社会とインディアン社会を行ったり来たり、伝説のガンマンやカスター将軍と会ったり。いろいろあった末にインディアン居住区で暮らすようになるが、インディアンとの戦いに執念を燃やすカスター将軍の軍隊が、、、という話。
めちゃくちゃ面白かった! 何度も皆殺しに遭う重いテーマの割に半分以上コメディ、ほとんど「ほら男爵」ノリで次から次へと運命に翻弄される男の人生。カスター将軍やワイルド・ビル・ヒコック、バファロー・ビルなど、観客も一緒に西部の歴史を「目撃」する趣向。虐殺されるインディアンの立場だったらどう思うか?というストレートな投げかけ。ベトナム戦争の暗喩でもあったりするようだ。
・ダスティン・ホフマン、この時33歳だけど、16歳くらいを演じて違和感ない。いろんな状況の人物にいちいちなりきってるのは、それだけでもエンターテインメント。見もの。
・121歳の老人の特殊メイクはディック・スミス。昔写真で見た印象はシワシワすぎてイマイチだったけど、映画内ではかなり自然に見えた。ダスティン・ホフマンのジジイ声の演技もいいし。
・チーフ・ダン・ジョージ、「ハリーとトント」(1974年)にも出てたネイティブ俳優。インディアンの人たちの顔はなんかホッとする。
・「死ぬには良い日だ」ってインディアンの死生観を表現したものだそう。あちこちでよく使われてるけど、この映画がきっかけで広まったのかな?
・昔、タミヤ人形改造コンテストの入賞作に「カスター将軍の最期」ってあった記憶が。
・そういえば「地獄の黙示録」のキルゴア大佐(ロバート・デュヴァル)ってカスター将軍だよね。
0 件のコメント:
コメントを投稿