2024/03/04

最近観た映画メモ「不思議惑星キン・ザ・ザ」他



●不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年)2:12 ソ連 U-NEXT

これはめちゃくちゃ良い! 日本では1991年公開。カルト映画として話題になってたけど未見だった。30年以上もたって今さらだけど、ハマってしまった。シュールな脱力系SFコメディ。

モスクワに住む男マシコフ。妻に買い物を頼まれて街に出たら、自称異星人の男が持っていた転送装置にうっかり触ってしまい、いっしょにいた学生ゲデバンとともに異星に飛ばされてしまう → キン・ザ・ザ星雲の砂漠の惑星プリュク。外見は人間の異星人たち、奇妙な習慣や文化、支配階級、地球のマッチが非常に高価な貴重品だったり。二人は地球に戻れるのか?……という話。監督/脚本 ゲオルギー・ダネリヤ。

物語の先がまったく予想つかないのは貴重な体験。異星人は基本的に「クー」としかしゃべらない。途中で用語集が提示されたりする。お話的にはダレる部分はなくもないけど、これも一度見終わってしまえばネタの宝庫。全部面白い!

当時のソ連の風刺らしいのだが、具体的に何をおちょくってるか徹底的にわからなくして検閲を通ったらしい。というか、人類そのものの風刺なんだろうな。

砂漠の異世界は強い実在感。「こんな別世界があって、彼らが暮らしていて、今もそのまま続いてる」って感じは「スター・ウォーズ」以来の感覚。後半で出てくる植物の世界は天国みたい。

二人の異星人は最初は汚いおっさんたちとしか思えないけど、次第に親しみがわいてくる。汚い異星人のひとりエブゲーニー・レオノフは没後に切手になるくらい有名な俳優とのこと。他にもいっぱい出てくる支配層含めた異星人たちも、その環境・社会で(つまりソ連?)、それぞれ一生懸命生きてる感があって愛しくなるw 

 特に、囚人箱w 入れられてあきらめちゃってる感じがなんとも言えない味が。「ぼのぼの」の「しまっちゃうおじさんにしまわれちゃう」みたいな感じかw

野蛮でローテクっぽいけど実は超ハイテクな世界。あの変な釣鐘型の乗り物もいいな。主人公たちが乗るのは無骨で汚いけど、他の人たちの乗り物はちょっと美しかったりする。

特撮は、乗り物をピアノ線(ちょっと見える)で吊って動かしてる程度なんだけど、アメリカや日本の特撮を見慣れた目には「特撮だぞ。すごいだろ!」って押し付けがなく、画面になじんでて自然。「都心」の巨大空気袋の風景もシュールでなかなかかっこいい。砂が流れ込むシーンは特撮ってより原寸大の本物? かなり迫力がある。

「この人たち何やってんだろうねw」って雰囲気のときに鳴り続ける「ピッポッピ、ピッポッピ」って音楽が可愛らしくてオカシイw 音楽はギヤ・カンチェリというクラシックの作曲家。テーマ曲も変な歌も、とても良い(「マーマ、マーマ」の歌は、冒頭にテレビに映ってる昔の映画がオリジナルだそう)。

・2016年に30周年でGoogleドードルにもなってたのね。
https://doodles.google/doodle/30th-anniversary-of-film-kin-dza-dza/

●クー!キン・ザ・ザ(2013年)1:36 ロシア・ジョージア U-NEXT

ゲオルギー・ダネリヤ監督が自らリメイクしたアニメ版。アニメーションの監督はタチアナ・イリーナ。音楽はギヤ・カンチェリ続投。

人物の設定を少し変えてあるけど、大筋はほぼ同じ。雪のモスクワ。有名チェリストと甥のDJ志望の若者、異星人の持っていた転送装置にうっかり触って砂漠の惑星ブリュクに飛ばされてしまう、という話。

異星人とわかる姿にしてるからか、実写の「汚いおっさんたちがよくわからないことやってる、あの感じ」は出ない。かわりに、キャラクターの役割やストーリーが多少わかりやすくなってる。上映時間が短くなって密度も上がってる。

実写版では表現できなかったものがいろいろ、たぶん監督がもともと思い描いていたであろうものがアニメーションならでは、やりたい放題に実現。巨大スケールの背景や、小さいロボットや変な形の異星人など。

アニメーションは簡易なものかと思ったら、かなり凝ってる。デフォルメされた人物の細かいニュアンスの動きなどちょっと感動するほど。3DCGもうまく使って立体感のある表現になってたり。

・ある選択を迫られるシーンがないのはちょっと残念。

・実写版もそうだったけど、崇め奉られている統治者ペジェ様がほんわかニコニコ浮世離れした神様みたいなのがおかしいw

・エブゲーニー・レオノフが演じた異星人の声優は、息子で人気俳優のアンドレイ・レオノフとのことで、写真見るとそっくり!

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