2024/03/11

最近観た映画メモ「フリードキン・アンカット」他



●デリカテッセン(1991年) 1:39 フランス U-NEXT

バブル末期、上京した直後。この映画の「ブタの看板」のビジュアルの広告はあちこちに出てたし、話題になってたのは覚えてるけど、未見だった。デリカテッセン(洋風のお惣菜屋さん)という呼び方はこれで知った。

ジャン=ピエール・ジュネ監督は、この10年後に「アメリ」でヒットを飛ばす。出演、ドミニク・ピノン、マリー=ロール・ドゥーニャなど。

核戦争後、荒れ果てて食糧難のパリに一軒だけ残った肉屋。求人広告を見てやってきた元ピエロの男。肉屋の店主は人を誘い込んでは「肉」にして売っているのだ。しかし、店主の娘は元ピエロの男に恋をしてしまう。肉屋のあるアパートの奇妙な住人たちや地底人の出現などなど……というブラックコメディ。

キャラクターで魅せる映画って感じ。ストーリーは大枠としてはあるけど、変な住民たちの描写だけで十分おもしろい。特に、頭の中に聞こえる声に誘われるまま、何度もピタゴラスイッチ的からくりを作って自殺を試みる奥さんが最高w

・色調や撮り方など「アメリ」に共通するテイスト。「アメリ」にもアパートのあれこれあったし、ほほえましい小ネタやちょっとグロネタなども共通。4年後の「ロスト・チルドレン」(1995年)でパワーアップしてるらしいのでそのうち見る。

・なんとなく「未来世紀ブラジル」っぽいところがあると思ったけど、レビュー見るとそう思った人多いみたい。たぶん地底人がデ・ニーロたちを思わせる? 細かい仕掛けやネタを凝った映像で見せるのはテリー・ギリアム作品と共通するかも。

・ほぼアパートだけで完結する映画だけど、屋根から地下まで立体的に使うのが面白い。

・核戦争後人類滅亡の危機の最中なのに、新聞もテレビ(白黒だけど)もあるのがおかしいw

・音楽やリズムを使った演出。チェロとミュージカルソーのデュエットは甘くて耳に残る。

・ほぼ同じ撮り方のブーメランネタって何か最近見たような気がするけど何だっけ?

●フリードキン・アンカット(2020年) 1:47 アメリカ U-NEXT

「フレンチコネクション」(1971年)、「エクソシスト」(1973年)、「恐怖の報酬」(1977年)などのウィルアム・フリードキン監督のドキュメンタリー。コッポラ、タランティーノ、ウェス・アンダーソンなども出演。

豪快なおっさんだなあ! 「ホドロフスキーのDUNE」(2014年)のホドロフスキーと同じくらい、話が楽しい。「俺は1テイク主義。リハーサルなんて臆病者とバカのためのものだ」w ヌーベルバーグに影響を受けてて、撮影中のハプニングとか積極的に取り入れるのは知ってたけど、そこまで徹底してたとは。

ドキュメンタリータッチというか、カメラの前で起きる「現実」を撮ってる。準備は念入りにやるけど、撮影は一回きり。俳優に「もう一度やらせてくれ」と言われて撮り直すこともあるけど、テイク2は現像しないってw それであの生々しさが出るんだ。

リテイクの鬼キューブリックの完璧主義とは対極。キューブリックは60年代から究極のホラーを撮りたいと思ってたそうで、「エクソシスト」を撮りたかったけど時間がかかることから辞退、実現しなかったそう。

「ヴァチカンのエクソシスト」(2023年)の主人公のアモルト神父の話が!「悪魔とアモルト神父 現代のエクソシスト」(2017年)というドキュメンタリーを撮ってる。

●キートンの大列車追跡(1926年) 1:47 アメリカ U-NEXT 

ウィリアム・フリードキンが「最高の追跡映画」と言ってたので見てみた。サイレント映画。断片はときどきSNSに流れてくる。当時としては超大作だったけど興行的には失敗したくらいは知ってたし、もともとマイリストには入れてた。

1861年、南北戦争が始まった。機関士のキートンもガールフレンドの手前、入隊志願するが不合格となる。一年後、北軍部隊が南部の列車を奪って橋を破壊し、南軍の補給路を断つ作戦を決行。その列車の機関士のジョニー、休憩で降りていたところを列車を奪われ、たまたま乗っていたガールフレンドも拉致されてしまう。キートンの追跡が始まる……という話。

始まって13分ほどでキートンの孤軍奮闘の大追跡が始まる。ガールフレンドを救出した後は、今度は二人で追跡から逃げる逃げる。ものすごい数の何軍北軍の兵士たちが映る迫力の戦闘シーン、有名な蒸気機関車転落シーンはもったいないくらいあっさり落っこちる。

スピード感が乗ってるところとか、面白い部分はめちゃくちゃ面白いんだけど、なんか地味なギャグのためにテンポが寸断されるのはもったいないなあと思った。

鉄道と電信がこの時代に使われてる?と思って検索したら、南北戦争のときに大きく発達したんだそう。アメリカの鉄道の歴史のウィキペディアには、この映画の元ネタとなった「アンドリュース攻撃」も記述されてる。実際には雨のために橋に火がつかず破壊工作は失敗したんだそう。

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