2024/02/03

最近観た映画メモ「妖星ゴラス」他


壮大な題材の割に、なぜか3本とも1時間20分台という短さ。どれも、面白さはそれなりだけど、ネタの宝庫なため、メモが長くなるw

「日本の昔のカラー映画」という興味もあって、やはり短い(1時間16分)高倉健主演の「高度7000米 恐怖の四時間」(1959年)など何本か見ようと思ったのだが、たまたま「宇宙人東京に現わる」を先に見てしまったため、「突如出現した天体が地球にぶつかる軌道で近づいてくる、どうする人類」を続けて3本観ることに。

●宇宙人東京に現わる(1956年)1:26 日本 U-NEXT

各地で飛行物体が目撃され、謎の怪物も出没。天文学者が究明にとりかかり、マスコミは騒ぎはじめる。ついに友好的なパイラ星人が人間の姿を借りて接触してくる。原水爆やそれ以上の危険物質を開発した地球人に警告をあたえた上、新天体Rが地球に衝突することを知らせてくれるが……という話。

監督は島耕二。脚本は黒沢作品などの小国英雄。俳優はめちゃ若い川崎敬三くらいしかわからない。色彩指導と異星人デザインが岡本太郎。

映画として面白いかどうかより、興味深さが上回る。アメリカのSF・怪奇映画などを参考にしたんだろう。「子供向け」を微塵も意識してなさそう。

初期のウルトラシリーズの感じに似てるのは、円谷プロがこれをお手本にしたんだろうな。っていうか、無数の作品がこの映画を原型としたため「見慣れすぎててどこがすごいかわからない」のアレかも。

パイラ星人たちの会議など明らかにコメディっぽいけど、どういう姿勢で見ればいいのか一瞬迷う的な箇所があったりw 以下箇条書き。

・カラー作品。時代的には「地球最後の日」の5年後、「宇宙戦争」の3年後、「ゴジラ」の2年後、「禁断の惑星」と同じ年、「モスラ」の5年前。

・岡本太郎デザインのパイラ星人。ヒトデ型着ぐるみは面白いけど布製で人が入ってるのがまるわかりなのが残念なのだが、目のあたりがアップで映るとよく出来たディテールで感心する。さすがだ。

・渋谷行きの電車、「新町」という駅、どこだろう?と思ったら架空の駅名。ロケ地は井の頭線の高井戸駅だそう。翌年の「純愛物語」に同じ駅が映ってる。
https://x.com/hiyajisu/status/928600507614076928?s=20

・飲み屋「宇宙軒」の、のれんの太陽キャラとかも岡本太郎作らしい。

・人工衛星の話がしきりに出てくるけど、1956年は初の人工衛星スプートニク1号が飛ぶ前年。

・苅田とよみ、SKD出身の女優とのことだけど、検索してもあまり情報がない。一時期しか映画女優をやってなかったのかも。ものすごく「時代」な容姿。ハリウッド女優のような風格がある。

・子供と動物の描写がものすごく定型的で笑ってしまうw 特に校庭のオルガンで歌うって「カルメン故郷に帰る」にも似たシーンがあった。

・戦後10年のちょっと裕福な家庭の家の中がカラーで鮮明に映るのが非常に興味深い。テレビが置いてあるのだが、テレビ放送開始の2年後くらい。軽井沢?のテニスコートなどの描写も上流な感じ。このすぐ後に例の「テニスコートの出会い」があるわけで、的確。

・「カルメン故郷に帰る」(1951年)以降、1956年時点での日本のカラーの映画ってどのくらいあったんだろう?と検索したらこんなページが。けっこうあるらしい。

●地球最後の日(1952年) 1:22 アメリカ Amazonプライム

小学生ときにテレビで見たことあるはずだけど、ロケットの描写以外はほとんど覚えてなかった。

突如出現した大小2つの天体ベラスとザイラが地球にぶつかる軌道で接近。ノアの方舟のように巨大ロケットを作って地球に似た星ザイラに移住すれば、種としての人類は生き残れるかもしれない……という話。

主人公のパイロットと博士の娘とその彼氏との三角関係的なものを絡めたりとか、「生き残るためにごく少数選ばれる人々、残される人々」のいくつかのドラマが良い。自分が人類にとって価値あるのか?とか、自分は残る!とか、「新世界は若者のものだ」とか、定番のいろいろ。

巨大な星ベラスが接近してくる様子はぎりぎりにならないと描写されない。それも「妖星ゴラス」や「宇宙人東京に現わる」のような赤いギラギラ光るミニチュアの撮影ではなく、マットペインティングで3段階くらいのサイズ。比較的地味。

ちょっとネタバレになるけど、ロケットで到着した星ザイラの風景(マットペインティング)。ピラミッドにしか見えないものが2つ見えたり、山にダムのような大きな四角い穴がある構造物があったり、知的生命体が住んでるように見えなくもないのはわざと? としたら、到着した人類は侵略者に?

各国がそれぞれ巨大脱出ロケットを作ったはずなんだけど、そちらは描写されてなくて気になる。到着後、ザイラで土地の取り合いになる?

●妖星ゴラス(1961年)1:28 日本 U-NEXT

僕的に原点の映画のひとつ。小学生ときからテレビで2〜3回は見たはず。「不気味な赤い天体がゆっくり近づいてくる」イメージは、夜空を見るたびに頭に浮かぶくらい強烈だった。

監督 本多猪四郎、特撮 円谷英二。(「ゴジラ」と「地球最後の日」の「ベラス」を合わせて「ゴラス」だろうな)。音楽は伊福部昭ではなく、石井歓(テーマ曲が「ゴジラ」にそっくりなのはわざと?)。僕にもわかる有名俳優がいっぱい出演。特に二瓶正也とか。

「宇宙人東京に現わる」や「地球最後の日」で描かれた、どうする人類?を奇想天外な方法で解決→ネタバレというかまあ有名だろうから書いちゃうけど、「南極に建造した何百個の巨大ロケットエンジンを噴かして地球ごと動かして逃げる」w

小学生当時でも「そんなことしたら空気が宇宙に吹き上がってなくなってしまうし、そもそも噴気が大気圏内に充満しちゃう」とか思ったもんw 今なら「高さ50kmくらいのロケットエンジンを作れば空気に影響は少ないかもしれんけど、地球を動かすような巨大な力で地面を押したら、動くより先に地球が変形して崩壊してしまう」って思う。

あと、ゴラスの引力の影響の高潮・津波の心配より、南極のロケットで地球を動かしたら南に海水が押し寄せるだろう。(地球が動き始めたら、世界のあちこちで人々が斜めになって「おっとっと」とかやるとおもしろいw)

とても真面目でちゃんとした映画って印象。悪い印象はなかったし、おもしろかった。

・こちらも上流階級の家の中が興味深い。一般の女の子の部屋もあったり。

・設定では当時の近未来、1979年〜1982年だけど、隼号の航路図では1976年9月29日出発って書いてある。

・宇宙船内部や南極本部などのセットがしっかりよく出来ててお金かかってる感ある。

・潜望鏡とバンザーイと劇中歌「おいら宇宙のパイロット」はさすがに古すぎる感じする。

・南極の建設シーンのミニチュアがめちゃくちゃ大規模で見応えあるし、津波や山崩れなどの天変地異の特撮もかなりすごい。ラストのお城とかいろんな建物が海面に出てるカット、どうやって撮ったんだ?

・ロケット噴射口の炎の長いショットの最後で燃え殻がポコって転がり出てる。なぜカットしなかった?w

・VTOL機が「ウルトラマン」のジェットビートルに似てると思ったら、同じ木型から制作されたそう=使い回し。そういえば、「ウルトラQ」第一回の怪獣ゴメスがゴジラの着ぐるみの使い回し、画期的な特撮番組の第一回が使い回しでいいのか?と思ったなあ。

・やはり小学生当時でも怪獣出現のシーンは「サービス過剰だ。不要」と思ったものだったw 全体的にちょっと盛り込みすぎな感じはする。唐突な記憶喪失エピソードも不要。

・オチは傑作だけど、無理に地球の軌道を元に戻す必要ないかも。噴射を止めればちょっと揺れた軌道のまま回り続けるんじゃ? 人工衛星軌道で何か放り投げたら、地球を一周回った時点で元の位置に戻ってくるらしい=揺れた軌道。

・地球の六千倍の質量のゴラス、通り過ぎてそのまま太陽にぶつかったらタダじゃ済まないだろうと思ったら、太陽って地球の33万倍の質量! 6000倍の質量のゴラス(55倍)がぶつかってもたいしたことなさそうw

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