「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ 落穂拾い編」は80年代の途中で止まったままだけど、70年代の「あ、これも忘れてた!」映画を3本まとめて観た。
●狼よさらば(1974年) 1:33 アメリカ U-NEXT
スーパーの配達人を装った強盗に妻を殺され娘を再起不能にされた建築家のポール、穏やかな平和主義者だった彼が、夜な夜な犯罪者を射殺してまわる処刑人へと変貌。NY市民は英雄視するが、警察は彼を追う……という話。
主演チャールズ・ブロンソン。ディノ・デ・ラウレンティス製作。「大いなる眠り」のマイケル・ウィナー監督の作品リストでこれを見つけ、「なぜか見てなかった映画を見るシリーズ」の代表!と加えた。チンピラの強盗役にめちゃ若いジェフ・ゴールドブラム!
増加する凶悪犯罪に手が回らない警察が「アマチュア刑事」(vigilante/自警団員とか犯罪者に私的制裁を加える人。吹き替えでは「幻の狩人」だそうで、そのほうがいいな)で犯罪が急減してることを認めざるを得なくなり、それを踏まえた対応になる、というあまり見たことのない展開。
相手はほとんど街のチンピラたちなので、実はめちゃプロ級という銃の腕前が役不足になってる感じで、「やったー!」感が少ない。それでもシンプルに面白かった。人気シリーズ化したのも納得。
・NY遠景に公開前年の1973年春にオープンしたばかりのワールドトレードセンターが映る。ディノ・デ・ラウレンティス的には1976年の「キングコング」で新ランドマークとして大フィーチャー。僕もそれで知ったかも。
・音楽はハービー・ハンコック。76年頃に放送された「ジョーズ」にあやかったスペシャル番組をカセットに録音してしばらく聞いてたんだけど、それに使われてた音楽だ! びっくり(7:30くらい)。別の曲も10年前に判明してて、ジョン・バリー「The Dove」(1974年)のサウンドトラックだった。
・「デス・ウィッシュ」(2018年)としてリメイクされてる。監督はイーライ・ロスで、ブルース・ウィリス主演(失語症で引退する直前かと思ったら、これの後、2022年3月までに33本も撮ってる!どんだけw)。
●ブラジルから来た少年(1978年) 2:05 イギリス U-NEXT
パラグアイで生き残っているナチスの残党たち。新米ナチハンターのアメリカ人青年の無謀な盗聴により、ヨーゼフ・メンゲレはじめナチス残党たちの会議が録音される。知らせを受けたベテランナチハンターのリーベルマンが調査を開始するが、恐るべきナチス復興計画が明らかになっていく……という話。
監督フランクリン・J・シャフナー、音楽ジェリー・ゴールドスミス。気が狂ったようなワルツのテーマ曲がイイ。
アメリカの良心グレゴリー・ペックが悪役(元ナチス収容所の医師ヨーセフ・メンゲレ)って意外だったけど、ローレンス・オリヴィエと共演できるなら何でもやる!って引き受けたそう。ホントうれしそうに悪役やってるw (本物のメンゲレは公開翌年にパラグアイで死亡したのが判明する)。
ローレンス・オリヴィエはユダヤ人のナチ・ハンター役なんだけど、前年の「マラソンマン」では元ナチスのこわーい医師を演じてる。
ヒトラー役で有名な2人、ブルーノ・ガンツ、ギュンター・マイスナーが出てるのも運命的。ジェームズ・メイスンだってロンメル将軍だったしw
めちゃくちゃ面白かった。すごい俳優ばかりで「特上の風格」があって楽しめた。こういう感じの映画、すごい好き。内容的には、今となってはかなりユルく見えてしまう医学SFだけど。もともとネタバレしてたし、誰だって「少年」の正体は途中でわかってしまうと思う。でも、わかった上でも面白かった。あの少年役、誰かに似てるんだけどなあ。。
・ジジイ同士の無様な格闘シーン、明らかに笑わそうとしてるように感じたのだが……?
・不気味な子供たちが出てくるSFってことで、なぜか「光る眼」(1959年と1995年)と混同してた。そっちも観てみるか。。
・屋根付きの橋は「マディソン郡の橋」と同じもの?と思ったらぜんぜん小さい。「Zook’s Mill Covered Bridge」という橋らしい。「ビートルジュース」にも屋根付き橋が出てくる。あの橋は別の場所に保管され、「ビートルジュース2」では新しく作られたそう。
●スローターハウス5(1972年) 1:43 アメリカ U-NEXT
カート・ヴォネガットの自伝的小説の映画化。自分の人生の過去と現在と未来や妄想の世界を目まぐるしく行き来するビリー・ピルグリム。ドレスデンの捕虜収容所が爆撃されたり、裕福な家の妻と結婚して社会的に成功していたり、四次元人に誘拐されてどことも知れぬ星に女優といたり……。
監督 ジョージ・ロイ・ヒル。主演のマイケル・サックスって「続・激突カージャック」(1974年)で連れ回されるかわいそうな若い警官! 音楽はグレン・グールドの演奏が使われている。
カンヌで賞を取るなど評価は高いらしいけど、同監督の「ガープの世界」(1982年)ほどには面白くはなかった。グールドの音楽と合わせてしみじみ味わう感じかな。(突然コメディタッチになるシーンもあったけど)
・残念なのは、メイキャップや体型などによるビリーの年齢の描き分けが不十分で、若い頃と中年の頃とか見分けがつかないこと。
・時間の切り替えショットは最初のうちは新鮮だけど、すぐ飽きてしまってウザく感じてしまう。
・ヴァレリー・ペリンって「スーパーマン」(1978年)以来! 色っぽい役担当女優ってイメージだったけど、ダスティン・ホフマン主演の「レニー・ブルース」(1974年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされたことがあるらしい。ちょっと観てみたくなった。
・(未読の)原作は当時焚書事件が起きるほど物議を醸したらしいけど、映画では今となっては何がヤバかったのかよくわからない。
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