2024/02/28

最近観た映画メモ「フレンチ・ディスパッチ」他


予定されてる仕事やイベントの準備が本格的に始まらないうちに、リストに入ったまま放ってある映画を観てしまおうとがんばり中。

●クライ・マッチョ(2021年)1:43 アメリカ U-NEXT

テキサス。かつてロデオのスターだった老人。どん底から救ってくれた恩人の頼みで、彼の13才の息子をメキシコから連れ帰る仕事を請け負う。その子はひどい母親から逃げ出し闘鶏場に入り浸る不良になっていたが、なんとか説得し、国境へ向かう……という話。

監督・主演 クリント・イーストウッドにしては、全編のんびりほんわか、ほのぼの映画。少年との交流など、なんとなく「グラン・トリノ」に似てるため、きっと何か恐ろしい事件が起こるに違いないって、ずっと待ち構えちゃって損した。

豊かなストーリーがあるわけでもないので、映画的に刺激が少ないというかぬるい感じはある。ただ、普通に見てて、きつい事件が起きそうに思える不穏なフェイントはいっぱいあるから、期待を裏切る形でわざと徹底的にほのぼのさせてるのかも。

長い人生で、いろんなことを学び、何でもでき、不幸もどん底も経験し、超人/聖人のようになった理想的老人が、最後に自分の居場所を見つける(ちょっとあっけに取られるw)。

・荒野の映像がやたら美しくて映画的。ゆるく流れるカントリーミュージックやメキシコの歌が心地よい。

・「マッチョ」とは少年が連れてる鶏の名前。つまり、「鳴け!マッチョ」。マッチョは大活躍!

・多田野曜平の、山田康雄風に寄せた吹き替え。歳を重ねた重みまであって本当に見事。見事すぎて悲しくなってくるw 半分は字幕で見た。

・すごい紆余曲折の映画。1988年にイーストウッドに持ち込まれたけど「若すぎる」と辞退。ロイ・シャイダーで撮影されたものの未完。2003年にシュワちゃんが主演を承諾した直後にカリフォルニア州知事当選で流れ、退任後の2011年に再スタートするがスキャンダルで中止。で、2020年にようやくイーストウッドが……だそう。

●トゥモローランド(2015年) 2:10 アメリカ Disney+

FBでときどき流れてくる「不死身の少女が人間業じゃないスピードで走ってクルマを追いかけてくる」動画を調べたら、この映画だった。

ディズニー作品、ブラッド・バード監督、ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン他。謎の少女役のラフィー・キャシディはオードリー・ヘップバーンを子供にしたような不思議な美しさ! 音楽はマイケル・ジアッチーノ。

女子高生ケイシーはある妨害活動をして逮捕される。出所時に荷物に紛れ込んでいたバッチを触ると、別次元の未来都市トゥモローランドへ行けることを知る。それを仕込んだ謎の少女アテナは、1964年のニューヨーク万博でトゥモローランドに誘った少年(追放されて、現在は初老になっている)と会わせ……「選ばれた君が世界を救う!」な話。

全編めちゃくちゃ面白かった! あれよあれよというまにいろんなところへ連れてってくれる。要素が多い! アトラクション風味! 未来都市は1964年のニューヨーク万博時に考えられていた未来、レトロフューチャーの完璧な描写。僕らの世代が子供の頃にイメージしてた「未来」ってこんなだった。

ディズニーランドのトゥモローランドに血肉をつける映画なんだろう。後半で極端に説教くさくなったり「世界中の夢を持った人々が」の部分は立ち位置上、仕方ないか。

冒頭に出てくるニューヨーク万博の「イッツ・ア・スモールワールド」。あれ?と思ったら、ユニセフが作った万博用アトラクションがオリジナルで、ディズニーランドはそれを利用してるんだそう。

●フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2022年) 1:47 アメリカ Amazonプライム

ウェス・アンダーソン監督。「アステロイド・シティ」を観ようと思ったら、前作を観てなかったので急遽入れた。ものすごいキャストたち、ベニチオ・デル・トロ、ビル・マーレー、フランシス・マクドーマンド他、おなじみ超主役級俳優たちが大挙出演、ほとんどチョイ役扱いの人もw

架空の雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の編集長が亡くなり、遺言どおり廃刊が決まった。最終号に掲載されたいくつかのストーリー「自転車による町のレポート」「服役中の天才画家と看守/モデルの女性」「学生運動の英雄と、宣言書の校正を頼まれた記者」「警察署長とお抱えシェフと誘拐事件」、プラス、編集長と編集部員たちの描写……という話。

画家の話が圧倒的に面白かった反面、以降の話はちょっと退屈だった。しかし、とにかく画面の密度がすごくて眼が離せない。セットの作り込みと、人物の配置、カメラの動き。どのくらい一発撮りなのか知らんけど、とんでもない手間暇かけた映像。アニメーションに変わるところもよかったw

エンドタイトルのたくさんの表紙(The New Yorkerのようなイラスト)がどれもこれもよく出来てて、画集がほしくなる。
https://eyeondesign.aiga.org/how-wes-andersons-creative-team-designed-the-beautiful-and-bizarre-magazine-for-his-latest-film-the-french-dispatch/


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