2024/09/12

最近観た映画メモ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」他



●ザ・クリエイター/創造者(2023年) 2:16 アメリカ Disney+

2070年、AI勢力が起こしたロサンゼルス核爆発をきっかけに脱AIした西側世界。しかしニューアジアではAIを推し進めており、人類対AIの戦争となっている。ニューアジアが全ての兵器を無効にするという最終兵器を開発したという情報。その最終兵器を破壊し、開発者=クリエイターを暗殺するため乗り込んだ西側の特殊部隊の隊員が目にしたのは……という話。

監督:ギャレス・エドワーズ、出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ジェンマ・チャン、渡辺謙など。

これは……いろいろ入ってる。「ターミネーター」「AKIRA」「攻殻機動隊」「ブレードランナー」「ベトナムやイラク戦争」「日本のハイテクイメージ」「エヴァンゲリオン」「子連れ狼」などなど。エドワーズ監督の「オレが考える最強の現代ビジュアルSF」って感じか。僕もずっと見たいと思ってた「80年代以降のSFビジュアルの完成形」は確かにかっこいいけど、見慣れてしまってる感はある。

監督は日本大好きとのことで無邪気に渋谷スクランブル交差点っぽい通りも出てきたり、悪気はないだろうけど、アメリカ人から見た「ベトコンとか不気味で恐ろしいアジア」はアジア人からすればちょっと引っかかる。

「AIは悪」から始まるけど、主人公が属するアメリカは次第にはっきり「悪役」として描かれる。女性だけどハウエル大佐はほとんど「アバター」のクオリッチ大佐とかぶる。ただ、「核爆発をAIのせいにされた」や「AIは平和に暮らしたいだけ」って根拠がないけどなあ……。

・クライマックスからラスト、感動させるための仕組みが見えすぎてしまってちょっと醒める。

・エドワーズ監督自身が「ローグ・ワン」ラストの「ダースべイダー無双シーン」でやったのと同じく、「たまたま扉が開かなくなった」を盛り上げ/感動に利用するのはあからさまな二番煎じではw

・漢字・日本語やカタカナをあちこちに配置してあって、欧米人的にはかっこよく見えるんだろう。しかし、それっぽく見えるだけでテキトー。勘亭流とかw 日本人デザイナーを一人雇ってもらって……と思ったけど、「ブレードランナー」的な味のあるヘンテコ日本を目指したのかな。

・8600万ドルはぜんぜん超大作の制作費ではなく、こういったビジュアルSF映画としては非常に低予算らしい。エドワーズ監督は自分のルーツである自主制作映画の方法を取り入れて安く上げたとのこと。

・AIアンドロイドの設定がよくわからなかった。ニューアジアでは人間とAIが共存してるとのことだけど、あれだと人間たちはAIにこき使われてるようにしか見えない。

・アレは宇宙に浮いてるのか成層圏なのか?距離感がよくわからない。

●ワールド・ウォーZ(2013年) 1:56 アメリカ・イギリス Netflix

もしも、ゾンビがヨタヨタ歩きではなく、全速力で突っ走って襲ってきたら? 予告編がすごかったし、そのうち観ようと思ってるうちに10年たっちゃった。ブラピ「ブレット・トレイン」の前に見てしまおうということで鑑賞。

監督:マーク・フォースター、制作・主演:ブラッド・ピット。

危険地域の仕事を引退して家族と暮らす元国連職員ジェリー。ある朝、一家はクルマで街に出かけると、突然ゾンビの大暴動に出くわす。ジェリーの能力が必要な国連と軍は家族ごと助けるが、彼はゾンビウイルスの謎を解く科学者のお供として危険地域に派遣されることに……という話。

めちゃくちゃ面白かった! ゾンビが襲ってくる様子はほとんど津波。前半は頭おかしくなるほどの「動」だけど、後半は無音の「静」という対比。オチというか対処法も面白かった。

この映画の7年後に世界は大きなパンデミックを経験したわけで、今見ると当時よりも怖いかもしれない(最悪の時期の地獄絵図を思うと、よく乗り切ったもんだと思う)。

●エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年) 2:19 アメリカ Netflix

夫や娘や父親のゴタゴタ、人生に疲れ果て、経営する破産寸前のクリーニング店の税金申告の不備で追い詰められた中年女性エヴリン。突然、夫に別世界の夫が憑依し、並行世界・マルチバース全体の運命を揺るがす強大な敵との戦いを託されてしまい……という話。

監督:ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート。出演:ミシェル・ヨー、ステファニー・スー、キー・ホイ・クァン他。あの鬼婆のような怖いおばさん、誰かと思ったらジェイミー・リー・カーティスでびっくりしたw

面白かった! 人生で選択するたびに生成されるマルチバースに少しずつ違った無数の自分が存在していて、それぞれの人生があったり、経験を借りたり。別バースにジャンプしたりの表現が完璧!

スピード感のあるアニメのようなタイミングやカンフーアクション、表現の飛躍、お下劣ネタとか、あまりに上手くて爆笑。「優しさ」の強調もいいし。ソーセージw ベーグル、石、キョロ目シール、といったアイコンが多くて楽しい。ピクサー作品のパロディもよかったw

ストーリーはめちゃ単純。ほとんど「表現」だけで進行する。後半、娘との絆を取り戻す感動ポイントへの着地は少々クドいけど。

無数の並行世界に別の選択をした自分が存在するとしたら、この人生も悪くないよ、ちゃんと生きないとね的に元気が出る映画でもあったり。

・ミシェル・ヨーがだんだん浅野温子に見えてきたw

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