●ライトハウス(2019年) 1:50 アメリカ U-NEXT
これもまた、登場人物がほぼ二人のみで、ある環境に閉じ込められる映画。監督・脚本:ロバート・エガース、出演:ロバート・パティンソン、ウィレム・デフォー。A24作品。
孤島に灯台守の交代要員がやってくる。ベテランだが人使いの荒い老人と、給料のため屈辱に耐える新人の若い男。過酷な毎日、共に謎の過去を持つ二人は衝突を繰り返す。予定の4週間は過ぎたが、嵐のため交代要員は来ない。閉じ込められ続ける二人の精神は崩壊していく……という話。
面白いとか怖いとか通り越して「すげげげ」だった。白黒のスタンダードサイズが非常に狭くて圧迫感ある。現実と幻想が入り混じる。全部妄想かもしれない。嫌ったらしく絡んでくる狂気な画面、後味も悪い。
3通り読める。「初老の男が狂ってる」「若い男が狂ってる」「両方とも狂ってる」。「シャイニング」(1980年)で、ジャックが二人いる状態というかw
・映画なのに小説を読んでる感がある。頭に浮かんだイメージを辿るような。
・邦題、なぜ「灯台」にしなかったんだ? 「ライトハウス」じゃ灯台より英語の辞書が思い浮かんでしまうw
●スター・ウォーズ アコライト シーズン1 全8回(2024年)
シーズン1のみで打ち切りが決まったため、宇宙のふたりっ子に続きはない orz
銀河帝国の支配の約100年前、ジェダイの黄金期。辺境の惑星で密かに暮らす、ジェダイとは別の形でフォースをあやつる「魔女集団」。そこで育てられていた強いフォースを持つ双子の女の子が、シスの台頭のきっかけになる……という話になる予定だったらしい。
情を捨てることが必須なジェダイは、ある意味ひとでなしの冷血漢。宗教的エリートとして幅を利かせてる何千人のジェダイと評議会。そんな共和国の体制に反感を持つ者たちが増え始めていた……って感じ。そのへんの不穏な空気はうまいこと描かれてて悪くないです。
キャラクターのスピンオフのSWドラマは正史にはあまり関係なかったりするけど、「アコライト」はシスの台頭と共和国/ジェダイの衰退っていう重要な動きが描かれてるため、重みがある(「キャシアン・アンドー」も反乱軍の水面下の活動開始の話で重みがあった)。
打ち切りが残念に思えるほどにはおもしろかった。予告編の印象では「最近多い腰の入ってないチャンバラカラテアクションとナンチャッテ東洋ニンジャ要素」がひどくて見る気しなかった。けど、それは第一回の冒頭が極端にひどいだけだった。
とはいえ、「ドンパチはもういいからストーリーを進めてくれ」って感じることの多い僕としては、アクションシーンが長すぎてちょっとうんざりした。そのへんは他のSW実写ドラマやアニメーションでも同じく。
主人公が黒人の女の子、主要人物の2人の男が韓国人とフィリピン系のアジア系俳優というポリコレ布陣(他にも目立たないけどLGBT要素もあったり)。アマンドラ・ステンバーグはあまりに現代の女の子っぽいのが気になったけど、白人の双子が主人公だったらと想像すると、今回は黒人で正解かも。イ・ジョンジェはジェダイらしい風格があって良かった。マニー・ジャシントはかっこいいけど底知れぬ怖さ的なものは薄いかな。
・16年前の回想シーン、みんな若返ってるのがすごい。
・SW伝統の「二カ所の戦いを同時進行で見せる」も良かった。
・最終話のラスト、「おおお〜!」 やっぱ続きが見たいなあ。
●リトル・ニモ(1989年) 1:34 日本・アメリカ YouTube
3日間だけYouTubeのTMSチャンネルで配信とのことで、急いで観た。監督:波多正美、ウィリアム・T・ハーツ。
ニモ少年が夢の国スランバーランドから招待を受けて大王の後継に指名され、お姫様と婚約。しかし、ニモは嫌われ者のフリップにそそのかされて、絶対開けてはいけない扉を開けてしまい、封印されていたナイトメアに侵略されてしまう……という話。
東京ムービー新社の藤岡豊「ディズニーに対抗できるフルアニメーション作品を」と、1978年に始まった日米合作アニメの企画が紆余曲折二転三転。高畑・宮崎はじめ、日本の有名クリエイターが関わるも米プロデューサーとの衝突で解雇や辞任。白紙に戻ること数回。そのたびにパイロットフィルムが作り直される。公開されたのが1989年(アメリカ公開は1992年)。超高額の制作費でほぼ大コケ、という「黒歴史」っぽい映画なことはうすうす知ってた。
面白かったかといえば、まあ普通の子供向けおはなしのアニメ映画という印象しかない。でも、アニメーションの絵的にはめちゃくちゃていねいで緻密で、絵と動きを追うだけでも感動する。同じ1989年公開の「リトルマーメイド」よりクオリティぜんぜん高いと思う(リトルマーメイド」は人物が不安定でガタガタしてイマイチな部分が目立った)。公開された1989年は、ジブリ的に「魔女の宅急便」と同じ年。企画スタートから十数年を経て、時代が変わっちゃってる。
ホドロフスキーの実現しなかった「デューン」で集められたメンバーたちの才能が「エイリアン」(1979年)で結実する話が面白いように、「リトルニモ」の制作裏話も面白い。「リトルニモ」のために用意した人材や環境(テレコム・アニメーションフィルム)から宮崎駿「カリオストロの城」(アニメ未経験者を集めたスタッフの練習用w)と高畑勲「じゃりン子チエ」ができ、ジブリ創設へつながっていく。宮崎駿なんか「夢オチとわかってる長編が面白いわけない」と出した代案(もちろんボツ)が「ナウシカ」や「もののけ姫」になったりとかも。
宮崎駿も降板、壮大すぎたアニメ「NEMO/ニモ」映画より面白い制作過程!
・制作総指揮にスピルバーグとかキャスリーン・ケネディとかあるけど、実質あんまり関わってないんじゃないかなあ。ゲイリー・カーツは迷走の元凶だったようだし。
・昔読んだけど内容ほとんど覚えてない「タリスマン」、スティーヴン キングとピーター ストラウブの合作の小説。現実世界と幻想の並行世界が同時進行するやつ。「リトルニモ」も中途半端に夢の世界から現実に戻るんじゃなく、現実世界と同時進行にしたら面白かったのに。ベッドから落っこちるのはそのままでいいから。(今、検索したら、その「タリスマン」がスピルバーグ主導でNetflixドラマの製作が決まったという3年前の記事。ボツったか?)
・「リトル・ニモ』のパイロットフィルム4本がまとめて見れる
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