失効しそうなポイントを消費するための、新しめの映画を観る特集の前半。4本中3本が実話ベース。
グリーンブック(2018年)
アリータ:バトル・エンジェル(2019年)
フォードvsフェラーリ(2019年)
リチャード・ジュエル(2019年)
●グリーンブック(2018年)
実話ベース。1962年、黒人ピアニスト、ドン・シャーリーのトリオの南部へのツアーの運転手兼ボディガードとして雇われることになった差別主義者の男。尊敬を集める天才ピアニストとしての扱いはステージ上だけ。理不尽な差別を当たり前のように受ける姿を目の当たりにする。自らもイタリア系として蔑視されたり、経験を通して考えを改めていく話。
ピーター・ファレリー監督、ヴィゴ・モーテンセン(アラゴルンの人!)、マハーシャラ・アリ。脚本のニック・ヴァレロンガは主人公の息子。ドン・シャーリーに取材して書いたそう。
めちゃくちゃ良かった。品位と孤高のドンと、粗野で教養のないトニーの組み合わせが絶妙。お互いに影響を与え合って成長する。後半、差別が強い州に突入して怖い結末が待ってるのかと思ったら、これってクリスマス映画なのね。よかったよかった。ウルウルしちゃったよw いい映画だ。
基本的にコメディ調だし、人権的な視点も「メリーに首ったけ」の監督ってことで納得。リベラル全開って感じだけど、「白人が黒人を助ける」点でやはり賛否あって、リベラルの中でも分断が起きたそう。
コパカバーナってナイトクラブ、よく映画に出てくるね。先日の「フレンチ・コネクション」も冒頭に出たし、「グッド・フェローズ」にも。
●アリータ:バトル・エンジェル(2019年)
ジェームズ・キャメロン製作・脚本、ロバート・ロドリゲス監督、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ。木城ゆきとのマンガが原作。医師のイドが空中都市からのゴミ捨て場から拾った少女サイボーグを修復、アリータと名付ける。記憶を失っているが、どうやら300年も前の技術で作られた最強戦士だったらしい。。。という話。
面白かった。純粋に娯楽映画としてはいい出来と思う。続編が作りやすそうな終わり方する、というより、テレビシリーズの第一回って感じ。アクションすごいし、アリータの造形もよく出来てて違和感ない。
ただなんちゅうか、良くも悪くも、ものすごくマンガな内容だなあ。原作は読んでないけど。ものすごい大量のサイバーパンクSFやバトルマンガの要素が出てきて大いに楽しませてくれるけど、いちいち全部に説得力が無い。アリータの衝動に置いてけぼり食うし、モーターボールと熱狂する人々自体が空虚な存在な気もする。
クリストフ・ヴァルツは無駄遣いな感じがw マハーシャラ・アリは「グリーンブック」とぜんぜん違うキャラクターで、さすが俳優だなあと思った。あと、もうブレードランナー的な未来像から離れるほうがよくない?
●フォードvsフェラーリ(2019年)
ジェームズ・マンゴールド監督、マット・デイモン、クリスチャン・ベール。元レーサーでカーデザイナーのシェルビー(コブラを作った人)にフォードから「ル・マン24時間レースでフェラーリに勝ちたい」との依頼が来る。エンジニアでドライバーのマイルズと共に大仕事に挑む、という話。
燃えた。めちゃくちゃ面白かった。二人の男のプロとしてのプライドと責任と友情。敵はフェラーリではなく、フォード内部にあり。フォード2世もエンツォ・フェラーリも食えないジジイでカッコいいw 副社長のあのアイアコッカ(芸人のゴリそっくり)なんかほとんど主役。マイルズの奥さんはいい人だなあ。レースの描写もド迫力で大満足。
ただ、ル・マンのその後は余計だったのでは? テロップと写真で良かった気がする。なんかあれで熱狂が冷めすぎちゃう。
http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/
●リチャード・ジュエル(2019年)
クリント・イーストウッド監督、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツなど。アトランタ五輪の爆破事件の際、爆発物を発見して多くの人を救った警備員の男リチャード・ジュエル。しかし、プロファイルの「第一発見者が怪しい&爆弾犯人はこういうタイプ」にめちゃくちゃ当てはまるため、FBIはジュエルを容疑者とみなし、記者に漏らしてしまう。彼の家にマスコミが押しかけて大騒ぎに。ジュエルは旧知の弁護士ワトソンに連絡を取るが、、、という話。
地味かもしれんけど、めちゃくちゃ良かった。冤罪というか陥れられる話なのに、人を信じてる地に足がついた視点があって、安心して観られた。リチャード・ジュエル、1996年当時34歳なのだが、僕も生年がいっしょなので他人と思えないw こいつアホなんじゃないか?くらい朴訥で、おデブでちょっと変人の男が、立派な人間になりたいと願いつつ、過去の人生もいろいろありつつ、どうしようもなく現実社会でもがいてるんだよなあ。。こういう人物描写は好き。「15時17分、パリ行き」でも実在の人の今までを描写するところあった(本当に本人たちだけどw)。
サム・ロックウェルも良かったし、東欧からの移民らしい頼りになる秘書のニーナ・アリアンダがめちゃイイ。あと、顔面グーパンチくれてやりたいクソ記者のオリヴィア・ワイルドもいい味出てる(事実ではない色じかけの演出が問題になったニュースは覚えてる)。結末にちゃんと役割があればよかったのに。FBIのジョン・ハムは風格があってクリストファ・プラマーの若い頃みたい。主役のポール・ウォルター・ハウザーももちろんイイ。みんな「現実にいる人」な感じなのに、キャシー・ベイツだけ、「映画に出てる女優」な感じでちょっと浮いちゃってた気がする。
イーストウッドに話が行く前は、レオナルド・ディカプリオとジョナ・ヒルが主演・製作で進んでたそう。そっちも見たかったなw
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