2020/06/24

最近観た映画メモ「ROMA/ローマ」他

前回みたいなポイント消化とはあんまり関係ないけど、新しめな映画の続き。

BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(2016年)
ベイビー・ドライバー(2017年)
ROMA/ローマ(2018年)
500ページの夢の束(2017年)

●BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(2016年)

ディズニー作品。スティーブン・スピルバーグによるイギリスの児童文学の映画化。ロンドンの孤児院で暮らす少女ソフィーが巨人BFGを目撃してしまい、巨人の国に連れ去られる。そのBFGには人間たちの夢を司る能力があり、優しかった。しかし、巨人の国ではチビと呼ばれるほど小さく、他の大巨人たちは人間をつかまえて食べる悪者。ソフィーは狙われる。。。とかいう話。音楽はジョン・ウイリアムス。

おもしろかったかというと、そうでもないかなw スピルバーグ的にもパッとしない感はある。子供の目線で観るべき映画なんだろう。ものすごく児童文学的というか絵本的で、大人の理屈やツッコミが野暮な感じ。たぶん原作の雰囲気の忠実な映像化なのかな。映像的には完璧。最初、身軽に飛び跳ねるBFGにちょっと違和感あったけど、表情なんかも含めてぜんぜん慣れる。

セットや風景などほとんどCGだろうけど、ほんとによくできてる。宮殿のシーンなんか、文字を読んで子供の頭に浮かぶ映像そのまんまみたい。まあ、そうやって具体的に詳細な映像として見せてしまっていいのか?問題はあるけど。

BFGをパフォーマンスキャプチャで演じたマーク・ライランスは、「ブリッジ・オブ・スパイ」の人! ソフィーを演じる子供はたぶんグリーンバックばかりで演技したんだろうけど、すごく自然に見える。えらい。

ただ、「A.I.」のハーレイ君みたいに、誰が見てもすっげ〜〜!と思わせるような演技でも外見でもないし、他に大スターが出てるわけでもないので、むしろ完全なCG映画にしちゃっても良かったんじゃないかなあ。「タンタンの冒険」のようなスピルバーグの「実写映画をCGで撮る」的アプローチはけっこう好きなんだけど。

ところで、検索してたら、1989年にアニメーション映画として「BFG」が作られてるのね。YouTubeにフルムービーがあった。ざっと観てみると、ほぼスピルバーグ版と同じ。原作通りなのかもしれないけど、このアニメを下敷きにしてるのかも。キャラも悪者巨人以外は似てるし、他デザインも踏襲してる。女王はモロにエリザベス女王になってるw スピルバーグ版のクライマックスで軍隊やヘリコプターが出てくるのは彼的な味付けなのかと思ったら、このアニメにもあった。
https://youtu.be/rJ86qPEsmK8

●ベイビー・ドライバー(2017年)

強盗逃し屋ドライバーのベイビー、幼少の頃の両親を失った自動車事故の後遺症の耳鳴りを克服するためにいつもイヤホンで音楽を聴いている。失敗の賠償のためにしかたなく強盗に加担している。ようやく完済できた!と思いきや、やはりそういうわけにはいかないのであった、、、という話。

苦手な潜入もの的な怖さやトゲトゲしい犯罪者たちの言動。こういう映画はあんまり得意じゃないけど、映像も音楽もアクションも確かにめちゃカッコいい。ずっと音楽が鳴ってて、役割がある。半ばミュージカル仕立て。リズムや歌が映像とシンクロ。

エドガー・ライト監督。フィルモグラフィ見たら監督や脚本の代表作はけっこう見てる。好きなタイプの監督。主演のアンセル・エルゴートは「キャリー」(2013年)のエスコート役の! ケヴィン・スペイシーは相変わらず怖いw ジョン・ハムは「リチャード・ジュエル」のFBI役で観たばかり。やっぱ風格ある。

カセットテープやiPodの扱いがカッコいい。特にiPodのくるくるカチカチはあんないいものだったのにね。タッチパネルなんてせせこましくて風情も何もあったもんじゃないw 音楽専用の機器って存在が良かったんだよ。

前半で出てくるアジア系の男(ラニー・ジューン)。プロフィールちらっと見たら「LOST」に出てたとあったので、てっきり韓国人カップルのジン(ダニエル・デイ・キム)と思った。さすが俳優、雰囲気ぜんぜん変えてるなあと思ったら、別人だったw 似てるよねえ?

●ROMA/ローマ(2018年)

「ゼロ・グラビティ」などのアルフォンソ・キュアロン監督が、自分の少年時代の記憶を元にした、メキシコシティに住むインディオの家政婦クレオと雇い主の白人中流家庭の話。めちゃくちゃ鮮明で美しい白黒作品。Netflix映画。ローマってのはメキシコシティの地区名。

すんごい良かった。中盤までは、そこそこ大きな邸宅に住み込みで働く若い家政婦と雇い主の家族を極度に客観的に描く「観察日記」的な印象。ぜんぜんハリウッド的な劇映画じゃなく、芸術映画みたいなもんかな?とちょっと退屈しかけた(恋人の男が無修正全裸で棒を振り回すのにはタマゲタw)。

ところが、登場人物たちに訪れるどちらかというと悪い方向の「変化」で不穏な雰囲気が立ち込める。さらにメキシコの学生運動の惨劇もいっぺんに重なってきて、急転直下な感じ。ドキドキがずっと続いて感情を鷲掴みにされる。

登場人物入りの室内全景をゆっくりパンするカメラや、すごい長い横移動ショットが印象的。やはり「客観的」な感じが逆に登場人物たちの心情を浮き上がらせる。

映画館に行くシーンがいくつかあり、「大進撃」(テレビでやってたのは知ってるけど見たことない)と「宇宙からの脱出」(テレビで何度も見ててハードな宇宙映画として大好き)がかかってる。

メイキング「ROMA/ローマ 完成までの道」(2020)もついでに観た。キュアロン監督がどれほどの執念で作ったのかの記録。子供時代の街や家や家具や人々などなど、本人にしかわからない部分まで全部しっかりこだわって再現してるそう。「見えないものも映る」は過去の巨匠たちもみんなやってる、と。ハリウッド型の劇映画も好きだけど、今回は自分が本当に作りたいものを初めて作れた!そう。

台本は無し。その場で指示。主人公の家政婦役の病院でのシーンの、本物の感情を引き出すための周到な準備とトリックには感動した! 家政婦クレオのモデルはキュアロン監督少年時代の家政婦で、以前の監督作品「天国の口、終りの楽園。」にはその本人を家政婦役で登場させたそう。

あと、本編は白黒映画なのに、メイキングではカラーで見れるのがおもしろいw

●500ページの夢の束(2017年)

ダコタ・ファニング主演。サンフランシスコの自立支援施設で暮らす22歳のウェンディ、自閉症だが「スタートレック」に関しては驚異的に詳しく、締め切り間近なスタートレック脚本コンテストに出すため執筆中。最近までいっしょに暮らしていた姉の訪問の際に感情爆発してしまい、締め切りに間に合うように投函できなくなる。そこで、一人でロサンゼルスのパラマウントピクチャーズまで直接届けようと、早朝に施設を抜け出し、絶対に越えてはいけないと言われてた道を横断し、バスに乗り込む。施設の人や姉は大慌てで捜索、、、という話。

良かった。ダコタ・ファニング、自閉症の演技がなかなか説得力ある。道中、小さなドキドキは連続するけど、基本的に登場人物のほとんどは優しくて親身になってくれる。ショーン・ペンの「アイアムサム」(2001年)みたいに優しい世界。ダコタ・ファニングも娘役で出ててブレイクのきっかけになった映画。

この旅が自立への自信になっていく。心を開いてくれた警官とのあの特殊な会話! いいなあ。スタートレックのテレビシリーズってちゃんと見たことないけど、配信にいくらでもあるわけで、そのうち見よう! あと、この映画にもiPodが印象的に登場。ケースつけてるけど、第7世代のiPod nanoかな?

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