2013/12/17

大型作品集中制作、ひとまず終了

8月後半から先週にかけて実家で2ヶ月かかって47cm〜90cmの立体作品を7点制作しました。普通の仕事もしながらなので、実質的にはたぶん40日程度。スピード重視だったので不満点はいろいろあるものの、とりあえず、よくやった>自分。というか、バカじゃねーの? が半分くらい。

●作業とクリエイティブの核心

立体制作は本当に時間がかかる。例えば、塗装。一回分のマスキングをする時間で、平均的なTDWキャラの一個や二個作れちゃう。二ヶ月間フルパワーでTDWを作ったら、少なくとも180個の新作ができちゃうんだよ。TDWは単に作業ではなく、僕にとってクリエイティブの核心に近いもの。7個の素人仕事の立体作品 vs.180個のプロCG作品。う〜〜ん、もったいない。かな?

●失敗に慣れたかも

どんなひどい失敗をしても一段階に戻ればなかったことにできるデジタル作業のありがたみをひしひしと感じる毎日でした。アナログ立体制作は失敗できないプレッシャーが常にのしかかる。

一つの工程で最低一つくらいは大きな失敗をする。どんな注意しててもやっちゃう。とはいえ、失敗したりしてもちっとも慌てなくなった自分に気がつく。以前は一つ失敗するたびに「もうダメ。サイテー。帰りたい。」とか落ち込んでいたけど、平気になってきたw

そりゃ、一瞬は動揺もするけど、即、諦観。時間はかかるけど補修や修正は可能なんだよね。何しろゼロから作ってるものなんだから。気持ちを気長におおらかに保つのだ。放っておけば自然に治癒するわけじゃなし、完成させるつもりがあるなら、どっちにしろ補修しなくちゃならんのだ。


最近の失敗といえば、仕上げの最終工程のクリアラッカーをスプレーしてる最中、地面に敷いたブルーシートが風でまくれ上がって塗装面にベッタリくっつき、剥がしたら下地まで取れちゃった。その部分を下地からやり直すハメに。同様に、片面をスプレーし終わって反対側をやってたら、乾燥が足りずに段ボールに敷いていた布にくっついたり。

一番キツかったのは、最後の最後。本体と足が別々のパーツになってる作品(高さ90cm)を、仮組みして写真を撮っておこうと強力両面テープで接着して立たせてたら思いっきりぶっ倒してしまい、足パーツを床に落っことした。ボコッと4cmくらいの凹みと十数cmのヒビが・・・。補修に丸一日かかったよ〜。

例の「ガラス繊維を入れてしっかりFRPすると重いから落っことしたら壊れる。表面を樹脂で固めるだけなら軽く仕上がる。強度はないけど落っことしたら壊れるのはFRPだって同じ」に則って、表面がガラス繊維なしの樹脂だけのもの。やっぱ壊れるよね、ってこと確認できましたw

●冬という敵

気温35度と5度じゃ世界がまるっきり違う。気温が低いと立体制作に不都合なことがいろいろある。まず、樹脂がなかなか硬化しない。硬化剤をたっぷり入れても「本当にこれ硬化するのか?」って不安になるくらい時間がかかる。一晩おけば一応は固まるんだけど。8月なんか1時間でカリッカリに硬化してたから。

塗装も同様。なかなか乾かないので次の工程に進めなくてイライラする。夏は3工程イケたところが冬は1工程くらい。表面は乾いても中は溶剤が残ってるので、マスキングテープを剥がす跡が付いてしまう現象に悩まされた。1〜2日じゃ中まで乾かないねえ。あと、寒いとスプレーの圧力が低い! 「気温10度以下では使用不可」とか書いてあったりする。

溶剤臭のため窓開けっ放しで冷房入れられない猛暑よりはマシだけどさ。夏は何かするたびに全身全霊で気合いを入れないと体が動かなかったもんなあ。というわけで、たぶんこういう立体制作に適した季節は、5〜6月、10〜11月くらいかな。年に4ヶ月くらいしか快適に作れないかも。

●立体と平面

しばらく立体の作業をやった後、ちょっと紙と鉛筆でラクガキしてみたりして思うのは、「平面に鉛筆で描くのってどんだけラクなんだよ!」。塗装作業中に下敷きに使ってる段ボールに筆で描いてみると、やはり「キャンバスが平らって異常に描きやすい!」。同様に、デジタル仕事でペンタブで3Dの作業してもラクなんだよな〜。なぜって、ペンタブもディスプレイも平面だから。

●パソコン環境

今回は23インチ液晶ディスプレイを実家で購入したので、東京の仕事部屋にいるのと同じくらいはかどったし、快適だった。ドローイングやペイント中心の仕事はたまたま少なく、キャラクターのモーション付けやレンダリングがほとんどだったため、せっかく持って行ったCintiq Companion Hyblidは一度も接続しなかった。

数十個のモーション付けと1000pixel角程度のレンダリングを数千フレームやりましたけど、MacBook Airでぜんぜん大丈夫だなと思った。そりゃ多少は時間かかるけど、レンダリング時間なんて全作業の1割もないわけで。その間にアナログ含めて他の作業ができるし。速いマシンだとレンダリング中も気持ちを切り替えられず、手持ち無沙汰になって時間をムダにすることが多いかも。

●大型作品はラクか?

今まで、小さいフィギュアを工作したり塗装するのがめちゃくちゃしんどかった。基本的に不器用なので、大きくすればラクなんじゃね? ってことで、だんだん大きくなってきた経緯があります。今回は最大で90cm。大きけりゃ大きいほどラクってのはちがったみたいw

作業そのものは常に拡大サイズでやってるみたいなもんでラクだけど、向きを変えるのがめんどくさい。よっこらせ! だもんね。ひっくり返して見る頻度が少ないので、あれ? こんなところに塗り残しが! とか。う〜ん、やはり快適に作れるサイズは30〜40cmくらいまでだろうなあ。

作っていたのは、容積で言えば10センチ大のフィギュアの数百倍だもん。小さなフィギュアを10個くらい複製して「また部屋が狭くなる」とか思ってたくせに、今回は合わせて数千倍の容積を作っちゃったのでした。どうするんだこれ?

●オチみたいな話

ところで先週、『「大型作品集中制作をなぜ始めたか?」の根本的な部分がひっくり返りそうな可能性が。来週には結論出てるかも・・・。』と書きましたが、その結論が出ました。「なぜ制作を始めたか?」は「海外の展覧会に招待されたから」だったのですが、参加を辞退することになりました。えええ!

まだまだ準備が進行中の展覧会なので、どういう事情で? って話は自粛しますが、先方の見通しが甘かったし、予期できなかったこちらも甘かった。う〜ん。

とりあえず、最初から「以前からやりたかったまとまった数の大型作品制作をする、いい機会ができたぞ」と考えてましたので、制作はムダでもないし落ち込んでもいません。普通じゃできないようなムリヤリの強行軍をやったおかげで、短期間で新作7点、既存作品と合わせて9点の大型作品が出来たわけです。「来年の○○○に出そう!」とかいろいろ目論見もあります。楽しみ〜。

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