2026/09/13

最近観た映画メモ「大西部無頼列伝」



●大西部無頼列伝(1971年) 1:40 イタリア・スペイン Amazon MGM+

義賊サバタはメキシコの革命軍に雇われ、オーストリア人傀儡政府軍のスキメル大佐が輸送しようとしている金を強奪することになった。ところが大佐がその金の横取りを企んでおり、メキシコ人に変装させた部下に輸送隊を襲わせた。サバタたちが奪った荷には砂しか入っていなかった。取り返すぞ!……という話。

監督:ジャンフランコ・パロリーニ、出演:ユル・ブリンナー、イグナツィオ・スパッラ、ディーン・リード、ジャンニ・リッツォ他。

(第一作のメモに「監督:フランク・クレイマー」と書いたけど、これはジャンフランコ・パロリーニの別名。シリーズ3作品とも同じ監督。脚本とプロデューサーも同じ)

今まで観たうちで最もヘンテコな成り立ちの映画の一つかもしれない。

「サバタ三部作」の二作目。ユル・ブリンナー主演の別の映画の企画を、サバタの人気にあやかって正式に使用権を得た上で製作された。同じ俳優が役柄を変えて数名出演。似たようなキャラも出てくる。

↑ということになってるけど、調べるとそんな単純な話ではなさそう。そこらへん調べる前に観始めたこの映画についての印象↓

ブリンナー、「リー・ヴァン・クリーフを超えてやるぞ!」って気合いが入ってるのはわかるんだけど、初登場シーンからして、やりすぎで超絶ダサいw 「オレのほうがカッコイイだろ!」って声が聞こえてくるw

たぶん「サバタ=黒ずくめの男」が「荒野の七人」のクリスとかぶるためか、工夫したようだ。黒シャツをはだけて胸を見せた上で、でかいネックレス、ビラビラの装飾(フリンジ)。同じくビラビラ付きポンチョを羽織ってる。足し算した結果のカッコ悪さだろうw おまけに、ブリンナーってこんな体だっけ?くらいの超ムキムキだし。

(リー・ヴァン・クリーフは「荒野の七人・真昼の決闘」(第4作)でユル・ブリンナーが演じてきたクリスの役をやってるという、相互主役交換w)

……で、後でわかったこと↓

イタリア公開時は「インディオ・ブラック」という別ヒーローの映画だった! 珍武器やトリック、キャラクターの構成も似てる、おそらくサバタの二匹目のドジョウとして撮られたんだろう。確かに、劇中でユル・ブリンナーは「インディオ・ブラック」とも呼ばれている箇所がある。

ところが、英語版など吹き替え版を制作する際に、「もうこれサバタってことにしちゃっていいんじゃない?」になったようだww

リー・ヴァン・クリーフにはちゃんと続編への出演オファーがあったのは事実。しかし、脚本が気に入らず断ったとのこと(ギャラが折り合わなかった説も)。そこで、ユル・ブリンナーを起用し、その企画を「インディオ・ブラック」として撮った。しかし、海外配給の時点で、「やっぱサバタとして売る方がいいよね?」になった、が自然かな?

ただ、映画の中で彼を呼ぶ口が「サバタ」と動いてるように見える箇所もあるらしい。後で差し込んだか?

……成り立ちについては以上。あとは普通に感想。ではなく、この映画の変なところ一覧w

「サバタは稼いだ金を教会/孤児院に寄付している」という「良い人」設定だけはわかる。

字幕のせいもあるだろうけど、とにかくわかりにくい。始まってすぐ、サバタを探していたという男から仕事を頼まれるのだが、よくわからない。「スキメル大佐を知ってるか?」で、お金をもらって出かける。男が何者かも、何を頼まれたかも、ぜんぜんわからない! 普通わからんと思うぞ?

登場人物が何のために何をやろうとしてるのかまったくわからないため、ぜんぜん面白くない。リー・ヴァン・クリーフが出演を断ったのはそのせいか?w

中盤過ぎた頃にようやくわかるのが、「革命軍の男に雇われたサバタは、悪い政府/オーストリア軍のスキメル大佐から金を強奪しに行く。その金で革命軍は武器・大砲を買う予定」なのだった。それが説明されないまま、やたら濃いディテール満載(↓)で映画が進んでいく……。

◯ちょっとネタバレ(ストーリーには関係ない前半の濃いディテールです)。

・酒場で、因縁をつけてきたオーストリア人貴族との決闘。サバタは武器を手に取らず腰掛けたまま、足元のライフルをチラッと確認、「いつでもどうぞ」。バキューン! くるりん、テーブルにドサッ! で貴族の死に顔がカメラの前に。このシーンは完璧! 何度も見返したくなる!

・ユル・ブリンナーが酒場でテーマ曲をピアノで弾く、は、まあ良い。次に謎の男が同じ曲を弾き、「練習の賜物」とか言うw あげくのはて、その男と二人でシューベルトの連弾曲「4手のための幻想曲」を弾き始めるのだ。頭おかしいww

・その「謎の男=バランタイン」は、以前からサバタに付かず離れずの追っかけだったり相棒だったりするらしい。ピアノ弾きな上に画家でもあったりして、知らない間に敵方の懐に入ってたり、裏切りの機会を伺ってるなど、いわば峰不二子的なキャラ。分厚いメモ帳を持ち歩くw

・サバタの連発マガジン銃。最後の弾丸は葉巻w

・スキメル大佐の部屋にある大きく精巧な帆船模型。単なるインテリアかと思ったら、模型の大砲で人を撃ち殺すww 同じ部屋の描きかけの肖像画は、後で、なるほど!ってなる仕掛け。

・鉄球蹴り投げ男と、処刑の前の「死のフラメンコ」w

・なぜかオルゴールにメロメロになる男

・サバタを慕う孤児院の少年がテイタム・オニールみたいで、やたらかわいらしいw

などなど、書ききれないけど、そういった細部は見どころ満載! ただ、物語として面白いかというと……とてもつまらないw

とはいえ、爆破シーンはなかなか良いし、バランタインのせこい裏切りも笑える。特に、熊みたいな男を演じるイグナツィオ・スパッラの愛嬌のある演技は好き。

・参考、直訳原題

第1作「西部悪人伝」→サバタ
第2作「大西部無頼列伝」→アディオス・サバタ
第3作「西部決闘史」→帰ってきたサバタ

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