2025/06/07

最近観た映画メモ「ミッシング」他


蒲郡ロケ映画特集その2。古い映画としては他に「彼岸花」(1958年)や「イチかバチか」(1963年)などある。機会があれば観たい。

●無頼 人斬り五郎(1968年)Amazonプライム(日活プラス)

名振会の会長を殺害して服役していた五郎。仮釈放され、獄死した弟分の頼みで彼の姉を探しに降り立った町。ボイラーマンとして住み込みで働くことになったホテルの受付の女性は、名振会に父親を殺された過去を持っていた……という話。「無頼シリーズ」第4弾。

監督:小澤啓一。出演:渡哲也、松原智恵子、小林千登勢、佐藤慶、大滝秀治、他。

渡哲也主演のヤクザ映画なんて、ロケ地が目的でなければ見るはずもなかった。こういうのは良い機会。渡哲也のかっこよさに驚く。口調とか真似されたんだろうな。暴力、宿命の悲しさ、男気など数珠繋ぎ、意外に面白かった。歌はさすがに上手い。

ロケ地。木造時代の蒲郡駅(名鉄側)が、架空の「三河石浜駅」として出てくるのは貴重。数年後にビルに建て替わる。画質が非常に良く、駅入り口と周辺が詳細に映る。西側、渡哲也が歩いて行く路地入り口に、今も近くで営業している中華マルナカの旧店舗が見える。その奥に映画ポスターが見えるのは蒲映だろう(続いて映る路地の奥や繁華街は蒲郡ロケではない)。東側に映るのはマルホンごま油の竹本油脂の旧社屋。

遠景に回転展望台が見える三ヶ根山スカイライン。三州園ホテルは行ったことないけど、現在は廃墟として有名らしい。松原智恵子が受付をしていたフロントの壁や階段が廃墟写真と一致する。渡哲也が蛇口をいじってた円形風呂も。

伊勢湾フェリーの港は伊良湖港。「ウルトラセブン」第46話もこのあたりで撮られた。

クライマックスの舞台となる吉良町の塩田は、1974年ごろに見に行った記憶がある。枝条架は当時すでに使われなくなってたはず。1つか2つ遺構として残してあったんだろうけど詳細不明。

・渡哲也がさりげなく「SAVE THE CATの法則」を実演!

・1999年に北村一輝主演でVシネマとしてリメイクされてる。

●だれの椅子?(1968年) 1:29 日本 Amazonプライム(日活プラス)

監督:森永健次郎、出演:吉永小百合、渡哲也、杉良太郎、山本陽子、他。配信サムネールはなぜか脇役の永井秀和と川口晶。

新任の英語教師として桜丘高校にやってきた吉永小百合。人気国語教師の渡哲也と親しくなるが、大きな会社の御曹司でプレイボーイの杉良太郎からプロポーズされ……という話。

高校教師の渡哲也 同年の「無頼 人斬り五郎」とは別人に見えるw 新人の高校教師の吉永小百合、忙しかったんだろうな、アップで映ると顔の肌荒れが痛々しいし、疲れてるのか23歳にしてははつらつさが薄い気がする。

ほのぼの青春ものというか、たいして起伏のないエピソードの羅列に油断してたら、後半は感動してしまったw

ファーストシーンの印象的な「振り」からの、思ったとおりのベタなどんでん返しのハッピーエンド。超平和バージョンの「卒業」のラストシーンというか。これもまたロケ地絡みでなければ見るはずなかった映画、収穫でした。よかったです。

ところで、「吉永小百合の映画」なためか、渡哲也はそこにいただけで実はほぼ何もしてない。渡哲也視点では「ガツガツせず、いい人でいれば、やがて幸せが転がり込む」という物語w

ロケ地は、豊橋駅前、桜丘高校、岡崎城、前島(うさぎ島)、竹島、三ヶ根山の山麓園と補陀ヶ池、豊橋の丸物百貨店、西浦温泉のホテルたつきなど。杉良太郎の家の会社として映るマキタの本社が安城とは知らなかった。

●ミッシング(2024年)  1:59 日本 Netflix

監督:𠮷田恵輔、出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、中村倫也、他。

6歳の娘が行方不明になり、母親の沙織里は必死で探すが手がかりは得られない。ネットでは誹謗中傷され、彼女の精神は次第に崩壊していく。地元テレビ局の砂田はニュース番組の取材を通して良心的に捜索活動を助けてくれるが、上司の方針と相入れず……という話。

𠮷田監督の「空白」(2021年)では娘を失った父親(古田新太)が暴走するが、壊れかけた母親の表現は、ほぼ女性版「空白」。主人公が同じ境遇の人と出会ってしまうシチュエーションは「空白」でもあったな。

めちゃくちゃキツイ映画だけど、後味は悪くない。石原さとみは泣き叫んだりイライラしたりブチ切れたり、ちょっとやりすぎとも思える超熱演。これで第48回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を獲ってる。蒲郡ロケ映画「ゾッキ」(2021年)では主役の一人だった森優作が演じる弟もよかった。

現代のネット社会とマスコミの役割。テレビ記者の中村倫也がほぼ主演にも思えた。ローカルテレビ局内の確執もさりげなく描かれる。登場人物の配置が絶妙。あちこちに「ああ、この人はいい人だなあ」という人物が出てきてホッとする。

「空白」よりも蒲郡ロケはずいぶん少ない。大半が沼津などの静岡県で撮られてる。蒲郡駅前(みかんポストが映る)、蒲郡市役所(沼津警察署となってる。正面入口と中、モザイク壁画が見える)、形原漁港など。

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