小林旭ってあまり見たことがなかった。学生の頃、地元のヤオハンのショッピングセンターで片岡鶴太郎のショーがあって、やってたネタが小林旭「自動車ショー歌」のモノマネなど。ああ、なんとかいう俳優のモノマネだろうな。くらいだった。
(↑ ショーを終えた鶴太郎につきまとってサインもらったり駅までついていったりした。というのは、当時「ビートたけしのオールナイトニッポン」に鶴太郎がレギュラーとして出ており、このままついていけばたけしに会えるかも!と思ったのだったw)
あと、大瀧詠一の「熱き心に」。「アキラのさらばシベリア鉄道」ってのもあるけど、完全に自分の歌にしてしまう強さ! 1985年当時、「昔の俳優」ってイメージだったけど、まだ47歳だったのか。いろんな歌を歌ってるけど、本当に上手いと思う。
ヤンマーのCM「赤いトラクター」(1979年〜)の歌もとんでもなく上手い。っていうか、高校生の僕には「トラクターを無理やりカッコよく見せてるヘンテコCM」でしかなかったが、今ならカッコよさを理解できる。歌詞の冒頭「風に逆らう」って、流れものシリーズのタイトルからだったのか。
最近は「マイトガイチャンネル」ってYouTubeのチャンネルもやってるのね!
●ギターを持った渡り鳥(1959年) 1:18 日本 Amazon(日活プラス)
監督:斉藤武市、出演:小林旭、浅丘ルリ子、金子信雄、宍戸錠、他
函館へやってきた流れ者、滝伸次。ケンカをきっかけに地元のボス秋津に雇われ、アミューズセンター建設のための立ち退きの仕事に関わる。土地を狙われた海運会社社長の妻は秋津の妹と判明。秋津はヤクの取引にも手を出しており、その取引にジョージという殺し屋が現れ……という話。
有名な「渡り鳥」シリーズの第一作くらい見ておこうと。定番ストーリーなのでそこそこ面白いけど、小林旭も宍戸錠も、あまりに若すぎて違和感がw
先日の「風に逆らう流れ者」(1961年)は「流れ者」シリーズ。内容がかなり似てるけど、シリーズものってそういうものなんだろう。↓
「流れ者が馬車の荷台に乗って現れ、酒場でケンカし、地元のボスに雇われ、関係者の女性と親しくなり、歌い、ライバル登場、船の上で撃ち合い、悪者は捕まり、流れ者は去っていく」、これだけの情報ではどちらの映画かわからないw
・西部劇風。主題歌まで「シェーン」(1953年)の「遥かなる山の呼び声」に似せてるw
・やはり「ナイトクラブのフロアダンス」のシーンがあるw
●南国土佐を後にして(1959年) 1:18 日本 Amazon(日活プラス)
ペギー葉山の歌「南国土佐を後にして」の大ヒットにより制作された映画。葉山自身も多少不自然ながら出演してる。小林旭はこの映画の主演でスターになり、以降、同様の設定で「渡り鳥」シリーズなどが作られる。
監督:齋藤武市、原作・脚本:川内康範、出演:小林旭、浅丘ルリ子、南田洋子、他。
賭場の暴力沙汰で服役していた「ダイスの目」と呼ばれた凄腕のサイコロ名人の譲司。出所し、更生を誓い、故郷の土佐に戻ると、恋人は彼女の父親の借金のカタに地元のヤクザと婚約させられていた。再就職を図るもチンピラに妨害され、ついに東京に戻るが、そこでも……という話。
もう以前の世界には戻らない!と決心してる小林旭を、これでもかと妨害してくるチンピラたちにボルテージが上がる上がるw 誓いを破った割にはラストが弱いかな……。
ペギー葉山といえば「ドレミの歌」。映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1964年)ではなく1960年に渡米の際に見たミュージカルの歌を持ち帰って紹介したんだそう。僕的にはNHKの「歌はともだち」。オバチャンってイメージだったけど、この映画ではかなり若い!
・劇中、小林旭がモテモテw クリント・イーストウッド監督主演映画並みw
・「青い山脈」でも芸者役だったけど、南田洋子って完璧にきれいだな。
・小林旭にしつこくまとわりつくベレー帽の男は西村晃。いい味出してるなあ。
●幕末太陽傳(1957年) 1:50 日本 Amazon(日活プラス)
これまで日活映画で見てきた一枚看板のスターたちが、大挙して時代劇に登場。オールスター隠し芸大会のようで、楽しい!
監督:川島雄三、出演:フランキー堺、石原裕次郎、二谷英明、小林旭、芦川いづみ、左幸子、南田洋子、金子信雄、山岡久乃、岡田真澄、菅井きん、小沢昭一、西村晃、などなど大勢。脚本に今村昌平も。
幕末の品川。ある遊郭に仲間を連れてやってきて豪遊する佐平次。仲間を帰した後も居座って何日も勘定を渋り、ついには一文無しを白状。「居残り」として勝手に働きはじめる。ところが佐平次は異様に有能で、八面六臂の大活躍。遊郭内のさまざまなトラブルも次々に解決し……という話。
最高に面白かった! 高杉晋作などたむろする攘夷武士、女郎たちのキャットファイト、心中騒ぎ、遊郭の主人夫婦、ろくでなしの若旦那、借金のカタに働く大工の娘、などなどいろんなエピソードが絡むノンストップコメディ。大爆笑シーンがいくつもある。U-NEXTを復活させたらもう一度じっくり観てみたい。
落語の実写化?と思ったら、やはり古典落語「居残り佐平次」をメインに、「品川心中」「三枚起請」「芝浜の革財布」などいくつかの落語からのエピソードが散りばめられてるそう。落語に詳しくなくてもったいなかった。YouTubeで聴いてみよう。
斬新すぎて反対され実現しなかったという幻のラストシーン、「佐平次が撮影セットを抜け、スタジオから飛び出し、現代(昭和32年)の品川の街を走り抜ける傍に、洋服に着替えたキャストたち」。冒頭の現代の品川の描写と対になってる。これは見たかった! メル・ブルックスの「ブレージング・サドル」(1974年)だ。
↑ 小沢昭一によれば、反対されて実現しなかったのではなく、撮影がある程度進んでからそのラストシーンに決めたものの、俳優たちをもう一度勢揃いさせて現代シーンを撮るのは俳優のスケジュール上むずかしく、断念したとのこと。
https://kogotokoub.exblog.jp/22989177/
佐平次に死の影がまとわりつくのは唐突な気がしたけど、病気だった川島監督の個人的な思いからだったそうで、それが墓場からの逃走→幻のラストシーンで大きな開放感につながるという仕掛けだったそう。二重に残念。
・攘夷武士のグループ、石原裕次郎、二谷英明、小林旭たち、ちょんまげ姿でイキイキダラダラしてて素晴らしいw タイトルの「太陽」は「太陽族」から。
・都々逸「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい」、聞いたことはあったけど、検索してみたら、へ〜!
・まさかと思うけど、「攘夷武士たちが決闘することに→ジャンケンみたいなゲームw」って、「キャシアン・アンドー」シーズン2 第2話の元ネタ?
・川島監督が生前にフランキー堺と約束していた写楽の映画は後に「写楽」(1995年)として実現。写楽は真田広之、堺は今話題の蔦屋重三郎を演じた。
・川島監督の他の作品も観たくなった。「サヨナラだけが人生だ」は聞いたことある。遺作が蒲郡ロケ映画のひとつ「イチかバチか」(1963年)。配信されてない。
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