●エイリアン:ロムルス(2024年) 1:59 アメリカ Disney+
ウェイランド・ユタニ社の植民星の鉱山で過酷な労働に携わる人々。休暇申請を却下されたレイン(と、弟のように大切にしているアンドロイドのアンディ)は、仲間に誘われて、自由に生きられる星を目指す旅に加わることに。まず、漂流するユタニ社の巨大宇宙船から冬眠ポッドを盗み出す必要がある。巨大宇宙船に潜り込んだ彼らは、秘密裏に輸送中だった無数のエイリアンの幼生を目覚めさせてしまう……という話。
監督 フェデ・アルバレス、 ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン他。
若者の一行が次々に犠牲になるホラー映画の形式になっており、意外に軽い。初期の「エイリアン」をなぞるファンサービス的なシーンがいくつもある。しかし、「決め台詞」まではやりすぎ。
恐怖映画としての原点回帰かもしれないけど、決定的に異なるのは、観客はエイリアンがどういうものかあらかじめ知ってること。そのへん、ユタニ社の目的なども合わせて「再登場した意外な人物」から説明を聞ける。これにはちょっと感動したw
・前半、ああ、レプリカントたちはこういうところで働かされてたのね、って「ブレードランナー」と錯覚してしまう。どうせなら同じ世界の話として繋げちゃってもいいかも。ただ、ここの鉱山では会社の待遇にデモする連中がいたりして、比較的ゆるい支配なんだろうな。
・フェイスハガーが飛び跳ねて襲ってくるのはGと同じ怖さw
・重力発生装置を使ったネタの数々は面白かったけど、宇宙船の外側にまで効くのって変じゃない?(っていうか、遠心力じゃない人工重力は不可能ってことになってるのだが)
・終盤のアレ、養分もなしに数分であんなに育つのは違和感。CGだか着ぐるみもひどい。ギリギリ保ってたリアリティが崩れ去る。
●ドリーム・シナリオ(2023年) 1:42 アメリカ Amazonプライム
地味に暮らしていた大学教授の男ポール。なぜか世界中の人々の夢にポールが現れるようになる。人気者となり、広告会社からの話も舞い込むが、一転……という話。
監督:クリストファー・ボルグリ、出演:ニコラス・ケイジ。アリ・アスター製作。A24映画。
あの太眉毛男のネットミーム「夢男/This Man(作られた都市伝説だそう)」がヒントになってるらしい。筒井康隆「俺に関する噂」も思い出す。「男の密かな願望が実現、調子づいてチヤホヤされたあげくに地獄へ真っ逆さま」を、ネット社会にうまく載せており、説得力がある。
ニコラス・ケイジのなりきり教授がハマってて良い。面白かったけど、ちょっと不満も。このアイディアの行き着く先がSFなのはわかるけど、余計だったと思う。不思議で変な話のまま終わってほしかったかな。
●関心領域(2024年) 1:44 アメリカ合衆国・イギリス・ポーランド Amazon
アウシュビッツ強制収容所の所長ルドルフ・ヘス(あのヘスとは別人)は真面目に職務をこなす優秀な男。彼の家は、収容所に隣接して建っており、妻や子供たちや使用人たち、犬もいる。妻によって完璧に整えられた広い庭。そこでの暮らしは一見、豊かで平和に見えたが、認知は次第に歪みつつあった……という話。
監督:ジョナサン・グレイザー(あの「ジャミロクワイ」のMVの映像作家)。出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー他。A24映画。
ものすごい映画だった。ほぼ静止画のようが画面が何分も続くような、ゆったりとした時間の使い方。画面的にはほとんど何も起きてないようにも見えるけど、全編が恐怖で埋め尽くされている。
冒頭には序曲まである。映像がめちゃ美しい。音もすごい。豊かな生活の背景音は、悲鳴や怒号や乾いた銃声、焼却炉が稼働する音。煙。人々の何気ない描写に違和感が混じる。最後のアレは「それでも、良心のかけらでも残ってると信じたい」ってことかな?
関心領域(The Zone of Interest / Interessengebiet)とは、ナチスが強制収容所のある周辺の地域を婉曲的に呼んだ用語とのこと。自分たちの領域以外に関心が及ばない状態とかけてるんでしょう。
・「ヒトラーのための虐殺会議」(2022年)とセットで観るといいかも。
・あの家というか、温室のある広い庭、滑り台のあるプールではしゃぐ家族のカラー写真が残ってるのね。映画ではめちゃリアルに再現されてる。庭の姉妹と将校たちの写真もある。犬は黒くない。
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