早くも配信が始まった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」や「フェイブルマンズ」などの最新作を観たいのに、寄り道ばかりしてる……。今回の新旧「恐怖の岬」の後、なぜかフィリップ・マーロウもの新旧4本が続く予定。
●推定無罪(1990年)2:07 U-NEXT
家庭を持つ検事補のラスティ。美人で上昇志向の強い新人の補佐をするうちに不倫関係になるが、捨てられる。その彼女が何者かに殺され、捜査を命じられる。なぜかラスティが犯人であることを示す証拠が次々に出てきて逮捕されてしまう。絶対的に不利な状況、無罪を勝ち取れるか? という話。
製作シドニー・ポラック他、監督アラン・J・パクラ、主演ハリソン・フォード。弁護士のラウル・ジュリアって、「アダムス・ファミリー」の!
面白かった! ミステリーや裁判ものだけど、これはもうスリラー。怖い怖い。いろいろ釈然としないまま終わるのかと思ったらそういうことか! なんか正義を信じてがんばる男の話というイメージだったけど、ぜんぜんちがった。翻弄されるハリソン・フォードの表情がイイ。
・ところで、裁判が終わって集まる記者が掲げてるマイクロカセットレコーダーが大きく映るが、カセットが入ってないぞw たぶん小道具として配られて箱から出したばかりの新品で、スピーカー部分にシールが貼ってある。
●恐怖の岬(1962年) 1:45 U-NEXT
刑務所から出て来た男。有罪になる証言をされた逆恨みで、弁護士とその家族に付きまとう話。
監督、J・リー・トンプソン。弁護士役がグレゴリー・ペック、出所した男のロバート・ミッチャム、割といい人の役ばかりの印象だけど、この映画の彼はヌメヌメしてて怖い。見始める前はグレゴリー・ペックのほうが凶暴な男を演じるのかと思ったくらい。あと、「サイコ」とかよく見かけるマーティン・バルサム。テリー・サバラスも出てる。
音楽はバーナード・ハーマンで、白黒の端正な描写の画面と合わせてヒッチコックを思い起こさせる。
おもしろかった。弁護士のグレゴリー・ペック、正義を貫きたいのは山々なのに、次第に違法な対抗手段に出ざるを得なくなって表情や背中が硬直した感じになってるのがイイ。調べたら、大昔にテレビで観た「アラバマ物語」も同じ1962年! そちらでもアメリカの良心を体現する弁護士の役。「恐怖の岬」のほうが半年早い。
・マーチン・スコセッシ監督とデ・ニーロによるリメイク版「ケープ・フィアー」(1991年)は見たことあるけど、デ・ニーロなりきりでがんばってるな〜と思う割には怖くなかった印象。確認したら、グレゴリー・ペックとロバート・ミッチャム、マーティン・バルサムの3人がリメイク版にゲスト出演してたんだ! 見る順番ミスったな。もう一度見よう。
●ケープ・フィアー(1991年) 2:08 U-NEXT
「恐怖の岬」のリメイク。監督マーチン・スコセッシ、プロデューサーにキャスリーン・ケネディやスピルバーグもいたんだ。先日見た「帰って来たドラキュラ」(1968年)のフレディ・フランシス監督が本作の撮影監督。
主演ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス、オリジナルの3人も出演。ジョー・ドン・ベイカーはいい顔だなあ。
あれ? 9年前に見た時とずいぶん印象が違う。デ・ニーロが役作りをめちゃくちゃがんばってる印象が強すぎて、バランスが悪いと思ったんだけど、今回は怖いし面白い! オリジナルがテコになってるかな。
いろんな要素を拡大してることで、感情が激しく動くようにしてあるのがわかる。ノルティは後ろめたいところのある品行方正とは言えない男。デ・ニーロはさすがにやりすぎ感はあるけど、水を得た魚のように「復讐の執念で刑務所内で勉強してやたら賢い本領を発揮しはじめ、体も鍛え抜いた最強のサイコパス」を演じてる。何を恨んでるのか具体的に示されるので納得できる。
前作ではステレオタイプの純粋ティーンエイジャーだった娘のキャラクターが、それで一本映画が撮れそうなくらいグレードアップしてる。ジュリエット・ルイス、むかつくティーンエイジャーの感じが上手すぎて本気でムカツク!w
ノルティの視点では、「妻や娘さえも思うようにならなくて、(彼基準で)割とまっとうに生きてきたはずなのに、なんでこんな災難がふりかかるんだ」と、イライラする感じ。実はこの状況を招いた負目もある。過去の自分の生き方が積もり積もって厄災を招いてしまった。その厄災の象徴としてのデ・ニーロ、という構図。怖いというより、過去の自分に追い詰められて絶望する感じ。
・音楽はオリジナルのバーナード・ハーマンの曲をエルマー・バーンスタインが編曲・指揮して使ってる。めちゃくちゃイイ。
・ロバート・ミッチャムが警部役で出てきたとき、うわっ!ヤベッ!って思っちゃった。グレゴリー・ペックは意外な役。マーティン・バルサムはちょっと歳取りすぎてて面影が薄い。3人を登場させたのはちょっとお遊びがすぎると感じた。
・本編でネタにされてるけど「恐怖の岬」って「Cape Fear」っていうノースカロライナ州南部の実在する地名なのね。内容と直接関係なくて奇妙な感じ。
0 件のコメント:
コメントを投稿