2021/03/24

最近観た映画メモ「ビクター/ビクトリア」他

ようやく本来の「なぜか観てない映画を観るシリーズ落穂拾い編」の80年代映画に戻れた。どんどん消化しておく。

●ビクター/ビクトリア(1982年)

ブレイク・エドワーズ監督。ジュリー・アンドリュース、ロバート・プレストン、ジェームズ・ガーナー。音楽はヘンリー・マンシーニ。

1934年パリ。仕事が無く酒場の歌手のオーディションに来たソプラノ歌手。そこをクビになったゲイの芸人が彼女の持ち味に気付き、男装させて「ゲイの歌手」として売り出してみたら大成功。アメリカから来たギャング関係らしい男が惚れてしまい、、、という話。

最初の数分のいくつかのシチュエーションでがっちり「つかみはOK」状態。おもしろい! そっか、エドワーズ監督的に、先日観て面白かった「テン」と同時期の作品なんだ。……と思ったんだけど、中盤以降、失速。「バレるかバレないか」のサスペンスをちゃんと盛り込めばよかったのに、どうでもいい感じのドタバタコメディになっちゃってもったいない。

それでも、ジェンダー的な概念を揺さぶるテーマはなかなか。ミュージカルとしても楽しい。アカデミー賞7部門ノミネート、作曲賞受賞。アカデミー助演女優賞にノミネートされたバカ女役のレスリー・アン・ウォーレンって、先日観た「メル・ブルックス逆転人生」のホームレス娘!

「テン」はジュリー・アンドリュースの無駄遣いだったけど、こちらは最高! もともとのボーイッシュっぽさも、女性らしさも、歌も、コメディエンヌとしても、魅力を存分に発揮。この時47歳。70年代以降は精彩を欠いてたけど、代表作ってもいいんじゃないか?

スチル写真で損してるかも。公開当時から「僕らのジュリー・アンドリュースが生真面目っぽい男装」ばかり強調されてたから。実際には男装シーンは少ないし、ショーも華やか。

1933年のドイツ映画「VIKTOR UND VIKTORIA/カルメン狂想曲」がベースというかリメイク。YouTubeで見てみると、テイストは似てる。原作のほうが大作っぽい。カツラを取ることを『実は男でした』の記号に使ってるのは原作からなんだ。僕的には違和感あったけど、80年代に通用したのかどうか。
https://youtu.be/KXS6ALMggfM

●2010年(1985年)

公開当時にオールナイトで観に行ったのに、後半は居眠りがちでちゃんと見れた気がしなかったので再見。目を開けたら木星がいきなりああなっててびっくりしたな。あと木星がどうにかなる点でほぼ同時期の「さよならジュピター」と印象が混じってる。

キューブリックの「2001年宇宙の旅」の続編。アーサー・C・クラーク原作。ディスカバリー号の木星探査失敗とボーマン船長の行方不明事件の米ソ合同調査。ディスカバリー号計画の責任者フロイド博士やHALの設計者らも木星軌道へ同行する……という話。ピーター・ハイアムズ監督、ロイ・シャイダー、ジョン・リスゴー、ボブ・バラバン、ヘレン・ミレン、キア・デュリア。

感動的にまとめてあって悪くない。HALもよかった。ラストのアレはすごいスケールの感動をくれる。オカルトっぽい要素がちょっと唐突だけど。ただ、80年代特撮黄金時代なのに、どうにも画面が粗い。緻密さがなく、美しくもない。マスクのフチが見えてたり黒味のコントロールが甘かったり。光の塊が飛んでいく描写が特にひどい。前作はキューブリックの美意識があったからあの画面だったんだと再確認。

最も時代感覚が混乱した映画かもしれない。なにしろ、2001年を描いた1969年の映画の続編として作られた、2010年を舞台にした1985年公開の映画を、当時と2021年の今、観たわけで。1985年の25年後の未来世界が、2021年からは11年前の過去。(「ニューヨーク1997」も似た感覚あったな。1997年を描いた1981年の映画を2014年に観た点で。あと、「バック・トゥー・ザ・フューチャー Part2」も描かれた2015年が到来したときはおかしな感覚だったな)

「2001年宇宙の旅」から「2010年」まで16年。ずいぶん昔の映画の続編作るなあ!と思ったけど、85年から2021年まで36年www ひっくるめて大昔!

85年にはまだソ連の脅威というか冷戦の最中。劇中でも相当の危機。前半でロイ・シャイダーが海岸で操作してるのはApple IIcらしい。液晶はApple IIc Flat Panel Display Moduleか?

・「2001年」ではタブレットも使われてたのに、10年後のコンピュータは、でっかいデスクトップマシンやゴテゴテの機械。あのタブレットはただの「端末」でHALとか大きなコンピュータに繋がってたのかもしれんけど。あと、「2001年」ではブラウン管に見えるものを極力排除して液晶っぽいディスプレイを先取りしてたのに、「2010年」ではブラウン管丸出し。

・あと、「ずっしり重い金属のゴテゴテ機械の塊」な宇宙船について。「2010年」のレオーノフ号がそうだし、「さよならジュピター」もそうだった。必死で軽量化してなきゃいけない宇宙船なのに不自然に重そうなのがリアル感を削ぐ。「SW」などではメカを金属の薄板で覆ってる感じがリアルだった。白くペイントしてあることも多いし。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FIWC7VK/ref=atv_wl_hom_c_unkc_1_40

●いちご白書(1970年)

「いちご白書をもう一度」って、ばんばひろふみが荒井由美に依頼して書いてもらった曲だったのね。75年にヒットしたらしい。歌詞の内容から「いちご白書」が映画なことは知ってたけど、話題にされてるのを読んだり聞いたりしたこと無い。忘れられた映画なのか? ってのを先日思い出して検索したら、配信されてるじゃん! 観てみた。

スチュアート・ハグマン監督、ブルース・デイヴィソン、キム・ダービー、バッド・コートって「ハロルドとモード」の!

コロンビア大学の学生による占拠事件。興味ないくせに、たまたま見かけた女の子リンダに惹かれて潜り込んだ学生サイモンの、州兵突入により強制排除されるまでの体験、という話。

あんまり面白くなかった。アメリカン・ニューシネマの流れなんだろうけど、テキトーにカメラを回して気分で編集みたいな感じにユルユルだし。学生運動の「考えなしに雰囲気で参加してる若者のリアルな気分」を描写。この時代にありがちなカメラの動かし方や編集がちょっとウザく、60年代末の気分を盛り上げるw

先日の「ハンバーガー・ヒル」で、兵士たちが本国の反戦デモや学生運動のことを苦々しく話してたけど、そっち側。作者=主人公は学生運動をかなり白けた目で見ている。

主題歌「サークル・ゲーム」、イイ! ジョニ・ミッチェルの曲のカバーだそうで。時代を代表する雰囲気のこの曲がこの映画の主題歌ってことさえ知らんかった。なぜか「2010年」がかぶる→「ツアラトゥストラはかく語りき」が流れるのと、若きボブ・バラバンが出てるのと。

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