U-NEXT「まもなく終了」を先に観る特集。なかなか先に進めない原因の、「まもなく終了」と「有効期限のポイント消化」は一ヶ月ごとに来るw
●ハンバーガー・ヒル(1987年)
ベトナム戦争、1969年。ある丘を確保する過酷な戦いに臨む空挺師団の話。ジョン・アーヴィン監督。大勢の若い俳優が出てるけど、見覚えあるのは「アイアンマン」とかに出てるドン・チードルと、ドラマ版「シャイニング」(1997年)でジャック・トランスをやったスティーヴン・ウェバーくらいか。兵士を演じる俳優たちの年齢が僕と同世代ってところに感慨。
戦闘中でない日常の描写がすごくイイ。隊にはいろんな境遇やいろんな考えの人がいて、故郷での人生を中断されて兵士になってる。誰もここにいたくないって感じがリアル。戦場に戻って来ざるを得ない男もいる。新兵も配属されてくる。戦闘シーンは、今となっては割と淡々としたおとなしい描写に見えてしまうけど、不必要な誇張がされてないってことか。
4大ベトナム戦争映画では「プラトーン」が印象近いかな。でも、大勢のキャラクターが入れ替わり立ち替わりの群像劇っぽいので、より現実的な感じはした。もちろん、楽しい映画じゃなく、はやく終わってくれ。僕だってそこにいたくない!って。
●くもとちゅうりっぷ(1943年)
戦時中に作られた、16分の短編アニメーション。白黒。ずいぶん前に知った、というか中1頃に百科事典のアニメーションの歴史の項目で知ったはず。ようやく見れた。
てんとう虫の女の子を巣へ誘惑するクモ。救いの手を差し伸べるチューリップ。ミュージカル仕立て。同時代のディズニー作品とはもちろんくらべものにならないけど、戦時中にここまで力を入れて作ったのはすごい。
クモのキャラクターは今はキツいだろう(実はけっこうえげつない悪役なのに、ぜんぜん悪く見えないw)。嵐のシーンで出てくるミノムシはめちゃくちゃカワイイ! ここだけ、現代のキャラとして通用しそう。
●桃太郎 海の神兵(1945年)
「くもとちゅうりっぷ」を観てしまったら、こちらも観ざるを得ない。桃太郎一行を日本軍、鬼ヶ島をアメリカ軍(というよりイギリス軍に見える)に見立てた、思いっきり国策アニメーション。雑誌「FRONT」みたく、必死で背伸びして文化的な豊かさを見せようって意図があったのかも。たぶんアニメーションで戦ってたんだろう。
観るのはかなりしんどかった。現地の動物たちを巻き込んだ明るい八紘一宇な思想もキツい。しかし、戦争末期にこんなに手の込んだアニメーションを74分って驚異的。「桃太郎の海鷲」(1943年)に続く2作目。ストーリーは太平洋戦争初期の雰囲気なのに、時間かかりすぎて戦争末期に。アニメーターの大半が招集されてしまい人手不足も。瀬尾光世監督。
絵の様式が未完成で、全体に洗練されてない。動かす必要がないところまでしつこくグニャグニャ動いてて違和感ある。メインキャラのアップの描写はクドくて見てられないものの、遠景での省略描写、水に映った描写などは、良いところも多い。やはり、メインでは力みすぎてる感。
大勢の動物キャラがミュージカル仕立てでいっしょに何かしてる系の描写が多く、時間も長い。気が遠くなるような作業量。完成度は別として、圧巻。
「くもとちゅうりっぷ」のてんとう虫キャラと同じく、口の表現が奇妙。戦後マンガの様式成立前のおちょぼ口がいっしょうけんめい動く様は、浮世絵からの表現の呪縛から逃れられないんだろうか。
クライマックス前の鬼ヶ島の歴史のパートは作風がぜんぜん違って大人向けなシルエット調でなかなかイイ。やはり、「子供向け表現はどうすべきか?」って部分で四苦八苦してたんだなとわかる。
音楽や歌などは、僕的にもなつかし目な60年代のNHKの子供向け番組に雰囲気が残ってる。
飛行場や空挺部隊の描写など非常に濃い。綿密に取材したんだろうなあ。戦闘シーンも非常に生々しい。山下大将か、、、、。
あ、あのキャラはw っていうか、ハリウッド映画大好きでアメリカも大好きだったはずの日本人がこのアニメーションを作ってるときどう思ってたんだろ。あと半年ほどで敗戦。
セルが貴重品で、撮影後洗って再使用してたってのは泣ける。NHKがビデオテープを上書き使用してたみたいな。
「桃太郎 海の神兵 / くもとちゅうりっぷ デジタル修復版」カップリングのブルーレイがあるのね。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01ELLY78O/ref=pe_1895532_416442742_em_1p_0_ti
●男はつらいよ(1969年)
シリーズ第一作。山田洋次監督。渥美清、倍賞千恵子。テレビドラマの最終回の不満を受けたリブート版がこれ。なんとなく大昔から続いてた映画シリーズってイメージだったけど、1969年が小1だった僕的にはほぼ現代。69年の風景ってマイルドでいいねw
20年ぶりに柴又に戻ってきた寅さんが、妹さくらのお見合い会席をぶち壊して逃亡し、旅先で偶然出会った幼なじみの冬子に入れあげる……という話。
途中まで寅さんがウザすぎたけど、中盤以降はさすがに引き込まれた。日本人的に何かツボを押されるものがあるんだろうな。特別出演の志村喬の重み! 「マドンナに惚れる→ダメでした」が、やたらあっさりしてる印象。盛り込むことが多すぎたのか。
驚くのは、テレビドラマ版を経ているとはいえ、渥美清演じる寅さんのキャラクターの完成度。第一作で完璧に完成されてるってすごくない? と思ったら、ドラマ版は26話もあったのか。そりゃ完成されてるわ。
1976年、中1の1月前半、友達といっしょに「トラック野郎」を観に行ったら終わってて、しかたなく、「男はつらいよ 葛飾立志篇」とドリフ映画「正義だ!味方だ!全員集合!!」を観た。テレビで断片的に見る以外でちゃんと観た「男はつらいよ」は今回第一作を見るまでその一本だけだった。(その直前に「ジョーズ」を観たことが、その後の進路を決めるきっかけになったのだった)
●東京物語(1953年)
小津安二郎監督。笠智衆、原節子、杉村春子、山村聡、香川京子がカワイイ! カメラ固定で往復するアレを積極的に見たいとは思わなかったけど、やはりウザい。カメラが向くたびにいちいちこちらを振り向き直されるのは、僕的にものすごく苦手。神経を逆撫でされる。
尾道から東京に出てきた老夫婦。長男や長女をたずねるもそっけなくされが、8年前に戦死した次男の妻だけはあたたかく接してくれるが、、、という話。
親子や家族のリアルの話。ほのぼのしてるようで、ちょっとキツい話。前半、これはちょっとノレないかなとも思ったけど、後半になったら没入してた。さすがに良かったです。
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