2023/12/09

最近観た映画メモ「イニシェリン島の精霊」他



マーティン・マクドナー監督作品を2本。どちらもすごい良かった。特に「ヒットマンズ・レクイエム」。こういうのが好み。

●イニシェリン島の精霊(2022年) 1:55 アイルランド・イギリス・アメリカ Disney+

1923年、アイルランドの島の寒村。冴えないがいい奴のパードリックが、長年の親友だった初老の音楽家コルムから唐突に絶交されてしまう。関係の修復を試みるが、「これ以上話しかけるな、さもないと、、」と恐ろしい予告をされ、事態はとんでもない方向へ転がっていく、、という話。

マーティン・マクドナー監督。コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドンなど。

窮屈な狭い狭い閉鎖された社会のイヤ〜な閉塞感。退屈と絶望しかない島。居心地が悪ければ外の世界へ行くことだってできるのに。閉鎖社会的に、教会のスキャンダルも匂わされてる。外は外で内戦が続いており、不穏。

マクドナー監督の前作「スリー・ビルボード」や、先日見た「セブン・サイコパス」と同じく、気持ちにいろいろ引っ掛かりを残すので、満腹感がしばらく続く。いい映画だ。

アホ男ドミニクは主人公を客観的に映す鏡? 主人公もアホだがイイ奴だったのに、最低のヤツになってしまった落胆。妹のケリー・コンドンのみ、まともに見えて、ホッとする。あと、コリン・ファレルの八の字眉毛が雰囲気を和らげるw

象徴的に出てくるロバちゃんかわいい。犬も。

●ヒットマンズ・レクイエム(2009年)イギリス・アメリカ 1:47 U-NEXT

マーティン・マクドナー監督。「インシェリン島」を逆さにしたような映画、ということで、予定になかったけど観てみた。同じ主役コンビ。コリン・ファレルとブレンダン・グリーソン。「インシェリン島」の13年前でちょっと若い。二人の仲がよかった頃って感じにも見えてじんわり来る。

ロンドンの殺し屋の二人。ヘマはあったものの、ひと仕事終えてベルギーの古都ブルージュに潜伏して観光でもしていろとボスからの指令。新米でアホのレイを年上でベテランのケンは暖かい目で見守る。ぶつくさ言いながらもデートしたりブルージュを楽しみ始めたレイ。しかし、ヘマの落とし前をつけさせるよう、ケンに過酷な命令が下る……、という話。

コリン・ファレルはアホだけど、やさしい。ガサツさと繊細さが同居してる。グリーソンも思慮深くやさしい。なのに殺し屋っていうおかしさ。っていうか、登場人物のほとんどが(あの彼でさえ)いいヤツなことがわかって、この(クソと連呼される)世界も捨てたもんじゃないなって気分になる。

静かなコメディ。細かい伏線をいちいち回収や、ネタを2回ずつ使う構成、など、脚本芸w いろいろ「うまいなあ!」って感心。すごい良かった。

ボス役のレイフ・ファインズは「シンドラーのリスト」の収容所長の人! 小人のジョーダン・プレンティスもめちゃくちゃいい役。ベルギー娘のクレマンス・ポエジー、笑顔が「ノーカントリー」のハビエル・バルデムの作り笑いそっくりでちょっとこわかった。脇役や小さな役の人も全員イイ。

「赤い影」のオマージュが入ってるそうだけど、観てる最中には気がつかなかった。 

0 件のコメント: