2021/04/19

最近観た映画メモ「カリフォルニア・ドールズ」他

「なぜか観てない映画を観るシリーズ落穂拾い編」の80年代の追加分。

●ピーウィーの大冒険(1985年)

ティム・バートンの劇場映画デビュー作。ダニー・エルフマン音楽。ポール・ルーベンス=ピーウィー・ハーマン。

お気に入りの自転車を盗まれたピーウィが、インチキ占い師のせいでアラモ砦を目指して旅に出るが、、、という話w テレビで人気が出たキャラクターを使って一本映画を、って感じなんだろうけど、目覚めのシーンから頭おかしい。

キャホキャホ言いながらおもちゃで遊ぶ幼児のような大人は、怖い。白塗りの顔やアクションはサイレント時代のドタバタコメディのよう。

現実にいたら疎外されたり気味悪がられたりするにちがいないピーウィーだけど、映画の中ではいじめられたりもせず普通の人たちと完全に対等なのね。

そんなピーウィーと、初監督作品で舞い上がってるティム・バートンのマニアックな作風の掛け合わせ。イメージは強烈。ティム・バートンは以降の作品で応用してるようなネタをやりたい放題やってる。その割に、おもしろいかどうかといえば、う〜ん。

当時、あんなブームだったのに突然いなくなった……と思ったら、この人も変態で逮捕されてたのねorz

で、25年後の2016年に「ピーウィーのビッグ・ホリデー」ってNetflixオリジナル映画で復活。

中盤で、アラモ砦のガイドが観光客に「日干しレンガ=アドービ」を紹介してて、「みなさんいっしょに『アドービ』!」って復唱させてた。この映画を当時に見てたらMac使い始めたときに「あ、あのアドービ!」って思っただろうな。。

●カリフォルニア・ドールズ(1981年)

ロバート・アルドリッチ監督、ピーター・フォーク。バート・ヤングって「ロッキー」エイドリアンの兄ちゃん! 日本のミミ萩原とジャンボ堀がちょっとだけ出る。レニー・モンタナって見たことあると思ったら、「ゴッドファーザー」の!

実力はあるのに今ひとつパッとしない女子プロレスの美女タッグチームとマネージャー。お金もなくなって泥レスなど含む屈辱的な旅巡業を続けるが、ついにチャンスをつかむ。という話。

しみじみ良かった。女子プロレスは筋書きのない真剣勝負として描かれてて、けっこう燃える。「やられてやられて最後に逆転!」にまんまと乗せられてしまうw

興行師やライバルチームや大物選手など、たくさん出てくるいろんな登場人物の配置がすごく良くて、彼らがいるだけで説得力持つ。あと、ストーリーがぜんぜんひねってなくてストレート、意外性もほとんどないのも合ってる。

若い世代と中年世代で見るところがちがうだろうな。僕的にはピーター・フォーク演じる中年男のマネージャー、ダメダメに見えるけどそれなりに一生懸命に仕事してて味わいがあって素晴らしい。僕的には彼の奮闘だけで全編もつ。あちこち旅するアメリカの片田舎や工業地帯のリアルな感じもイイ。

https://video.unext.jp/title/SID0029248

・うん、傑作と思った。男の世界を描いてきたアルドリッチの遺作がこれかよ??的なレビューもあったけど、ぜんぜんいいじゃん、て。これ含めてアルドリッチ作品は6本観たけど、どれも良かった。
・何年か前に「七人の侍」と「荒野の七人」を続けて見直したら、格が段違いでびっくりした。

●ガープの世界(1982年)

男要らない主義の母親を持って生まれたガープは成長して小説家をめざし、家族も持つ。母親も本を書いて大ベストセラーとなり、女性運動のリーダー的な存在になるが、、、という話。

ジョージ・ロイ・ヒル監督、ロビン・ウィリアムズ、グレン・クローズ、ジョン・リスゴーが強烈なイイ役! あと、アマンダ・プラマーって、「パルプフィクション」冒頭の強盗の女。クリストファー・プラマーの娘だったのか! 確かに顔が似てる。

レビュー見ると、「冗長でクソ」とか言ってる人と「傑作!」って人に分かれる。僕には面白かった。人生のいろいろが凝縮されてる。「フォレスト・ガンプ」的なホラ話っぽさもある。変な母親の話もいいし、妻との山あり谷ありもじーんと来た。ジョン・リスゴーがめちゃくちゃ良くて、全部持っていく感じw

「プー」は、歪んだ視点ではあるものの、コメディリリーフ的なものかと思ってたら、とんでもなかった。マジだったんだ。女性運動の根本となる動機を持ってるらしく、重い。それがアメリカ特有の暴力的な行動に結びつく怖さ。

ロビン・ウィリアムズ30歳くらいなのに、50歳くらいの小太りの中年に見えてしまうのだけ残念。

●ロジャー・ラビット(1988年)

テレビでチラ見したくらいで全編ちゃんと観たことなかった。1947年、探偵のエディはスタジオから依頼されてカートゥーンのスター、ロジャー・ラビットの不調の原因と思われる、彼の妻の浮気調査をする。そこから大きな陰謀が浮かび上がってくる、、、という話。

ロバート・ゼメキス監督、ボブ・ホスキンス、クリストファー・ロイド、ジョアンナ・キャシディ。音楽アラン・シルヴェストリ。

ワーナーブラザーズのルーニー・テューンズの印象が強かったけど、この映画自体、ディズニー映画なのね。いろんなカートゥーンアニメ会社のキャラが入り混じって出演するんだけど、各社に出演・権利交渉したんだろうな。スピルバーグ製作総指揮ってことで、同じく膨大な数のキャラを共演させた「レディ・プレイヤー1」は初めてじゃなかったんだ。

冒頭のアニメーション、すげえ! 空間と動き。緻密な描写。古き良きカートゥーンアニメのエッセンスをゴージャスなエアブラシ陰影付きのフルアニメーションで再現。「リトルマーメイド」で復活する直前のディズニーアニメの底力って感じで鳥肌立つ。

で、映画として面白いかどうかというと、クドかったw 人間とカートゥーンキャラの共演がよくできてるとはいえ、30分くらいで慣れてしまうし、カートゥーン的リアクションやネタをいちいち再現してお約束の羅列として見せてくれるのがどうでもよくなってくる。陰謀というかミステリー要素があまり面白くない。クリストファー・ロイドのムダ遣い感w

・1988年の当時どう思ったかというと、「お金かけて労働力を注ぎ込んで力技で作ったビジュアルなのに、けっこうガクガクしてあちこち破綻してるし、このへんが限界かorz」だったなあ。ようやく限界突破したCGアニメ映画「トイストーリー」が7年後。

・1992年の「クール・ワールド」。ラルフ・バクシ監督でブラピとか出てる映画。こちらもアニメと現実の世界が入り混じるかなり似たタイプの映画。エアブラシ陰影がなくベタっとした絵なんだけど、こっちのほうがカートゥーンと現実の共演的にはなじむと思った。やはり映画的にはおもしろくなかったけど。

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