2019/12/31

最近観た映画メモ「真夜中のカーボーイ」他

ネバダ・スミス(1966年)
アルジェの戦い(1966年)
暴力脱獄(1967年)
真夜中のカーボーイ(1969年)
If もしも....(1968年)

リスト、これで60年代まで完了。

●ネバダ・スミス(1966年)
スティーブ・マックイーン主演。敵役の一人はマーティン・ランドー。両親を三人組の悪党に殺されて復讐の旅に出る少年の話(前半は16歳らしい)。最初は無鉄砲な復讐の執念だけだったけど、いろんな場所でいろんな人に会ったり、過酷な体験を繰り返して成長していく。何年後って示されないから冒頭以降は少年が何歳になってるのかよくわからないけど、この時マックイーンは36歳、少年〜若者の話としてはかなり無理があるw けど、無教育な青二才をうまいこと演じてるのはさすが。マックイーンってそれほど好きじゃないんだけど、面白かった。アルフレッド・ニューマンの、いかにもこの時代の堂々とした西部劇って感じの音楽も良かった。

●アルジェの戦い(1966年)
フランス領だったアルジェリアの独立戦争のきっかけになったテロリスト=レジスタンスたちの絶望的な戦いを描いた映画。白黒の生々しいドキュメンタリータッチ。イタリアとアルジェリアの合作映画ってところがミソで、第二次大戦後も植民地にこだわっていたフランスの黒歴史。舞台となったカスバはジャン・ギャバンの「望郷」でも出てきた迷路のような街。「シェルブールの雨傘」で彼氏が徴兵で行っちゃうのがアルジェリア戦争だったな。エンニオ・モリコーネとジッロ・ポンテコルヴォが音楽。どちらがやった部分かわからないけど、爆弾を仕掛けに行く
シーンなんかで流れるの音楽が四つ打ちのミニマルテクノみたい。面白いかどうかで言うと、なんか記録映画を見てるようで、娯楽映画的な盛り上がりは少なかったかな。

●暴力脱獄(1967年)
めちゃくちゃ良かった・ポール・ニューマン主演。ジョージ・ケネディもめちゃイイ。たぶん最初期のアメリカン・ニューシネマ。酔っぱらってパーキングメーターを壊して捕まったルーク、囚人たちの人気者になるが、大人しくしてりゃすぐ出られるのに無謀にも何度も脱獄を繰り返す。反骨だけが純粋にあり、目的などなく、明るい笑顔で絶望へ突っ走る。「バニシング・ポイント」や「カッコーの巣の上で」など思い出す。もちろん「大脱走」への返歌とも言えるし。ゆで卵50個の早食いw 過酷な作業を楽しい作業にしたりも痛快w 母親のシーンもボクシングのシーンもよかったなあ。「いいシーン」がいっぱいある。ルーク=キリストな仕掛けはわかりやすい。しかし、ひどい邦題。原題「Cool hand Luke」はポーカーのシーンで皆が認めざるを得ないカッコいい勝ち方の「(ポーカーの)いい手」から。調べると「大胆不敵なルーク」とか「すごいやつ、ルーク」的なニュアンスらしい。冒頭から「もう70年代に近づいてる」って空気の音楽(ラロ・シフリン)がよかった。

●真夜中のカーボーイ(1969年)
ジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマン主演。イケイケのジゴロになろうとテキサスの田舎からニューヨークに出てきた勘違いカウボーイコスプレ男のヴォイト。ほぼホームレスのホフマンがマネージャーになるがうまく行くわけがなく、、って話。前半はコメディのようだけど、ヴォイドは現実に目覚め、友情は育つもののどんどん絶望的になっていく。「イージーライダー」でもあったけど、当時の流行なのかサイケデリックな妄想みたいな映像がけっこう長くてちょっとダレた。それ以外は面白かった。「卒業」でブレイクしたホフマンの次回作だったそうで、足が悪くゲホゲホ咳き込んでるめちゃくちゃ不健康でマイアミに憧れる小男。めちゃくちゃ良かった。あと、映画館で会う学生(ボブ・バラバン)って、「ゴーストワールド」(2001年)のイーニドのお父さん! あと、テレビにウルトラマンの1シーンが出てくるw ところで、映画音楽全集にも入ってたジョン・バリーのハーモニカ入りのテーマ曲はなじみ深いんだけど、それとは別の冒頭やエンディングで流れるカントリー調の歌! これ、77年頃にラジカセでFMを直接録音できるの知った頃に録音した映画音楽の10秒くらいの断片、「すごいイイけど何の曲だったんだろう?」って40年以上も謎だった曲!w ハリー・ニルソンの「EVERYBODY'S TALKIN(うわさの男)」。フレッド・ニールという人の曲のカバーだそう。調べるとヴァン・ダイク・パークスがプロデュースしてるアルバムもある。聴いてみよう。
https://youtu.be/9lb5LdJ7cLc?t=41

●If もしも....(1968年)
リンゼイ・アンダーソン監督、マルコム・マクドウェル主演。伝統のある厳格な寄宿制のパブリックスクールの生徒三人が武装して反乱を起こす話。学生運動の時代に体制に反抗する学生の姿はカタルシスをもたらしたんだろう。ただ、厳しいのは確かだけど、学校自体はそれほどひどくないように見えるのは日本人だから?w カラーの場面と白黒の場面の使い分けが妙。最初は妄想のシーンが白黒かと思ってたけど、次第に現実と妄想が逆転していくってこと? もともとカラーのシーンが妄想とも言えそう。「If」だしね。どちらで見るかで一粒で二度美味しいんだろう。体制側もしっかり反撃するのがおもしろいw 「時計じかけのオレンジ」と同時期の禍々しいマクドウェルを見たかったらおすすめ。っていうか、キューブリックはこの映画を観てマクドウェルを起用したそうで、ほとんど同じキャラ。トラヴィスって名前はスコセッシが「タクシードライバー」で流用。

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