2019/12/13

最近観た映画メモ「プラン9・フロム・アウタースペース」他

ロープ(1948年)
波止場(1954年)
南太平洋(1958年)
プラン9・フロム・アウタースペース(1956年)

なぜか観てない映画落穂拾いシリーズ、いろいろ寄り道したせいで、これから毎日1本観ても年内に70年代半ばまでしか行けなそう。。。

●ロープ(1948年)
ヒッチコック初のカラー作品。全編ワンカット撮影した風に作られてると知り、観てみた。リアルタイム進行でワンカットという特殊な作りのせいか、1時間20分と短い。背中の黒い陰などでカットの継ぎ目を目立たなくする方式。多少不自然だけど、ずっと連続したワンカットという感じは出てた。ずっと同じ室内での会話劇なので、映画というよりもこぢんまりした舞台を見てるよう。と思ったら、舞台劇の映画化だった。怪しい関係の若い二人の男が、曲解したニーチェの超人思想(人間社会の常識やルールを超越した存在みたいなものらしい)に基づき自分らの優越性を証明するために友人を殺して死体を隠し、悪ノリでその部屋で被害者の親や恋人など集めた
パーティまでやる。そこへ呼ばれた恩師で哲学の先生(実にいい味出してるジェームズ・スチュワート、ボケーっとしながら鋭い指摘をするなどちょっと刑事コロンボ)が違和感に気づき、、、って話。ヒッチコックのいつもの「決着ついてからの長い説明台詞」は苦手だけど、おもしろかった。っていうか、哲学をちゃんと教えられなかったジェームズ・スチュワート、殺人の正当化をブラックジョークとして延々しゃべるようなお前のせいじゃん!とか思ったw

●波止場(1954年)
エリア・カザン監督。元ボクサーで港湾労働者のマーロン・ブランドが組合を牛耳るギャング=自らや兄(ロッド・スタイガー)も一味、のボスに反旗を翻す話。自分が間接的に関わってしまった殺人の被害者の妹や行動派の神父のおかげで、チンピラにすぎなかったブランドが本当の勇気に目覚めていく。今まで見てきた映画のニューヨークとは別世界の貧しい最底辺、アメリカ映画らしくない暗い雰囲気。白黒の画質が良くて見入ってしまう。きちんと要点をおさえた感じの語り口で、とても端正でわかりやすかった。ヒリヒリするキツい映画だけど、良かった。ところで、港で殺人に関わったことをヒロインに告白するセリフが汽笛にかき消されて聞こえない場面は、「火の鳥未来編」でロックがコンピュータ「マザー」に「別れなさい」と言われ、ガード下で彼女に何か言うが騒音にかき消される、の元ネタだな! あと、60年代にコンテナが普及する前の港湾労働って本当に大変そう。エリア・カザンは元共産党員だが赤狩りで仲間を売ったとされ、共産主義に反対の立場をアピールする傾向があったらしい。組合を乗っ取ったギャングはソ連中央執行委員会のカリカチュアか?

●南太平洋(1958年)
戦後すぐのリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世の大ヒットミュージカルの映画化。太平洋戦争前半の南の島での恋愛を描いた戦争映画。日本兵もチラッと出てくる。もちろん恋愛の比重が大きいというかほとんど。画面はめちゃくちゃ豪華。序曲もインターミッションもあって超大作の貫禄。南の島の美しいこと! 主人公の若い看護婦とプランテーションやってる壮年フランス人、偵察任務でやってきた中尉と現地の娘、二組の恋愛話。おもしろいかといえば、戦争中に何やってんだ??って感じw 軍事行動的にも間抜けな失敗が結果的に陽動作戦になって大成功とか、ユルユルだし。歌はもちろん良い。ただ、歌い始めるといちいち円形のボカシやカラーフィルタがかかって極端にドラマチックな色調になるのは非常にウザいw カメラ目線で歌うのもヤメテw 現地の人はポリネシア人、気のいい土産物屋のおばちゃんと娘がベトナム人、どういう島なのか? ピューリッツァー賞をとった実話短編集に基づくとのこと。珊瑚海とソロモン諸島あたり、ガダルカナル島へも行ったらしい。劣勢だった米軍が反攻に転じる時期で、大艦隊が出てきたりするから珊瑚海海戦のあたりか。と思ったら、タヒチがモデルでロケはハワイだそう。この時期にF6Fヘルキャットが出てくるのはちょっと早すぎるぞw サントラ盤も持ってるのに本編を観たことなかった。キャプテン・センシブルのカバーで「ハッピートーク」を大好きになって、それでサントラも買ったんだった。ところで、配信を見始めたら、歌のときだけ字幕がない! 何だこりゃ?? CDのブックレットに歌詞あるかもと、ちょっと探してみたけど無かった。ネットの歌詞を翻訳しながら見れないこともなさそう。音楽検索アプリShazamで聞き取ってタイトルを見つけ、検索して翻訳する方法でなんとか観れた。映画のリズムも何もあったもんじゃないがw

●プラン9・フロム・アウタースペース(1956年)
エド・ウッド監督。「史上最低の映画」ということになってる(もう一つの史上最低の映画は「死霊の盆踊り」で、こちらもエド・ウッドが脚本・原案・製作)。1時間19分と短い。空飛ぶ円盤が地球人に警告するためにやってきて、墓場の死者を蘇らせるという話w クライマックスの宇宙人の演説を聞いてるうちに表現は安っぽくても、けっこうちゃんとテーマを伝えようとしてるのかも?と錯覚しそうになったけど、やっぱウッドは何も考えてなくそれっぽい場面とセリフで繋いだだけっぽい。ヴァンパイラやトー・ジョンソンの姿や演技に思わず吹き出してしまうw 逆説的に、稚拙な映画に見えないようにするには何に気をつけるべきか?がよくわかるかもしれない。カメラが完全固定とか、一回で済むカットを何度も繋いで往復とか、セットにこだわりがなさすぎとか、昼と夜のシーンがちぐはぐとか、文学的で大袈裟な言い回しを会話の最後に付け加えるとか。的確な演技指導が無いためか、俳優たちが「こんな演技でいいんだろうか?」のおっかなびっくりな感じがうかがえるしw ただ、映画の出来としては史上最低かもしれんけど、志というか情熱はわかる。腕や目が伴わないだけで。配信にティム・バートンの「エド・ウッド」があったので関連シーンを見直してみた。「プラン9・フロム・アウタースペース」の各シーンの再現度がすごい。「エド・ウッド」が白黒で撮られた理由がよくわかる。ヴァンパイラはリサ・マリー。トー・ジョンソンもなり切ってる。トー・ジョンソンって、「MAD」だっけ? 点描画のコミックをよく見たなあ。「エド・ウッド」ではオーソン・ウェルズのシーンが大好き。

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