2019/12/17

最近観た映画メモ「おかしなおかしなおかしな世界」他

バルカン超特急(1938年)
恐怖の報酬(1953年)
エデンの東(1954年)
おかしなおかしなおかしな世界(1963年)

●バルカン超特急(1938年)
ヒッチコックのイギリス時代最後の作品。主人公の女の子が親切にしてもらった老婦人が、走る列車の中で行方不明になり、誰もその老婦人を見ていないと言う、、、どこへ? という、「行方不明もの映画」でよく引き合いに出されるのでぜひ観ようと思ってたサスペンス映画。前半三分の一は列車の遅れで足止めを食ったホテルでのドタバタコメディ。多い登場人物を描写するのに必要だったんだろうけど、間抜けな感じが漂う。怖い映画と思い込んでたけど、なんだこりゃ?と思ってたら列車が出発した中盤からがぜん面白くなってきた。後半も基本コメディ調で、列車を使った仕掛けはもちろん、格闘や銃撃戦、ロマンスや音楽、不倫カップルや魔術師、いろんな要素を詰め込んでよくまとまった娯楽映画。洒落たラストで後味も良かった(おいてけぼりの婚約者はおいといてw)。前半のちょっと長すぎるコメディは英国人が登場する部分が多く、それはもちろんイギリス映画だからで、ヒッチコックの英国人としての自虐ギャグなんだろう。クリケットと紅茶の時間w ところでタイトル、原題は「バルカン」も「超特急」も関係なく、単に「The Lady Vanishes(婦人の消失)」w 邦題のほうがおもしろそう。

●恐怖の報酬(1953年)
イヴ・モンタン主演。昔、テレビで後半だけ観たことある。ロイ・シェイダー主演のフリードキンのリメイク版(1977年)もやはり後半だけテレビで観たはず。流れ者の吹き溜りになってるほとんど「どん底」の南米のある町。油田火災を消すためのニトログリセリンを積んだ2台のトラックの運転手募集、
報酬の大金に釣られて志願した4人の運命。大筋も結末もだいたい知ってるのに、トラックの全行程にずっとドキドキバクバクしっぱなし。体がこわばって疲れるw ホント面白かったなあ。。。ただ、2時間28分のうち出発するのは1時間もたってからで、前振りがちょっと長すぎるかな。唐突に教訓的なラストもあんまり好きじゃない。昨年公開されたフリードキンの完全版も配信始まってるので近いうちに観る予定。こちらもトラック以外の要素がカット部分の復元により多く追加されてるらしい。

●エデンの東(1954年)
エリア・カザン監督、ジェームス・ディーン主演の他2作は昔テレビで観たけど、これだけなぜか観てなかった。旧約聖書のカインとアベルの物語を元に第一次大戦参戦直前のカリフォルニアの農家の家族の話。う〜〜〜むむ、確かに名作だわ。愛を渇望するジミーの演技っていうか存在感そのものが胸に迫る。大豆畑ではしゃぎまわる明るさもいいし。「ジャイアンツ」でも似たようなキャラクターだったな。これの後亡くなってしまうから撮影時は23歳くらいだったはずだけど、子供と言っていいくらい若い。役的には18歳くらいかな。

●おかしなおかしなおかしな世界(1963年)
警察から逃走中に自動車事故で瀕死の老人が口走った「大金を公園の大きなWの下に埋めた」、居合わせた4台のクルマの人たち「最初に見つけたヤツが総取り」ってことになり、公園目指して大レース。道中、トラブルの連続、クルマ乗り換えたり飛行機に乗ったり。決着ついたかとおもいきや、そこからまた大変なことに……って話。6年生ときテレビで観てめちゃくちゃ面白かった(1975年2月2日 日曜洋画劇場)。1975年冬公開のドリフ映画「正義だ!味方だ!全員集合!!」をたまたま映画館で観たとき、クライマックスのドタバタが「おかしなおかしなおかしな世界」のパクリというか同じネタ(メンバーが電線に引っかかって感電w)があったの覚えてる。で、子供のときに面白かった映画、それも56年も前のドタバタコメディなんて、今観たらつまんないんだろうな……と思ったら、めちゃくちゃ面白かった!! スーパーシネラマ、序曲やインターミッション付きのおなじみ超大作構成。ジェリー・ルイス、キートン、三ばか大将、ジョー・E・ブラウンなど有名コメディアンがチョイ役で顔を出す。ブレイク前のピーター・フォークも出てる。60年代初頭って感じの楽しい音楽もカラフルなでっかいアメ車やセットなど画面も豪華。笑わせようとふざけてるヤツがいないのがすごい。金に目が眩んでるからなんだけど、全員すごい真剣で必死w 4組の道中の段々と混乱を極めていく様子と、追う警察。警察署内でも老警部(スペンサー・トレイシー)が人生の坂を転げ落ちていくw それぞれの話に切り替えながら進行していくんだけど、2時間35分、ダレるところがまったくない。あと、子供のときには汲み取れなかったいろんなものがあって、ホントめちゃくちゃおもしろかった。ガソリンスタンド店をぶち壊すのと、パイロットが酔い潰れてしまった双発機のところは最高で完璧。まあ、たまたまリズムにノレたから面白かったのかもしれなく、ノレなければ長くてつまらないのかもしれない。古いスタイルのドタバタ映画なのは確かで、それも当時でもこれほどベタなドタバタは古く見えたはず。ドタバタの集大成の超大作を用意して、老コメディアンに引導を渡す的な意味があったのかも。この映画って滅多に話題にされないなあ。配信もビデオマーケットのみ。DVD買っておこうかなくらいの。

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