2007/07/28

ZBrush Toys 4 - 複製・塗装

どんどん行きます。原型が完成し、複製作業へ。


シリコーン型取り。レジン注入。


型からはずしたところ。タコのHatchaの型にトラブル発生。狭い足の間のシリコン型がむしれてちぎれてしまった。見ると、いかにもちぎれそうな形状。型を作り直したところで、2~3個もつかどうか。ちぎれた部分を型にはめこんでレジン注入してみたところ、問題なく使えるようなのでそのままでいくことに。

4つ同時進行。注入してから型からはずせるまで1つあたり20分くらいなので、4つ同時進行なら1時間に12個ができそうなものだけど、実際には1時間に6~8個がせいぜい。計約50個を複製するのに丸一日かかる。


バリ取り作業。


塗装中。下地はラッカースプレーおよびエアブラシ。他はすべて筆塗り。十数個を塗るだけならステンシルを作る時間で筆で塗れちゃうだろうと思ったら、やはりすごい時間がかかった。塗装には作業時間全体の半分くらいを費やした。

2007/07/27

ZBrush Toys 3 - レジン置き換え→表面を整える

う〜むむ。やはり、何ヶ月もたってからブログに書くのは、リアルタイムにくらべるとテンションが落ちる。作業やってる最中は「これを見てくれ〜〜っ!」って熱いけど、今は単に記録って感じ。まあ、これをやらないと次に進めない感じもあるので、なんとか全部書きます。


ABS樹脂の出力をレジンに置き換えする。置き換えせずいきなりサーフェイサーやパテを塗ってもいいんだけど、元が無くなるのが心細いので。


レジンに置き換えしたもの。


グレーになると粗さがよく見える。こんなすごいボコボコ状態。こいつを埋めて滑らかにする。


で、濃いままの瓶入りサーフェイサーを思いっきり厚塗り5〜6回。


一度目の削り。


一度や二度ではこの穴ぼこは埋まらない。パテを擦り込んだりして埋め、またサーフェイサーを塗り、数度繰り返す。


7回目くらいの状態。あとは仕上げにサーフェイサーのスプレーを吹く。

原型が完成。







これが2月7日から5月3日にかけての作業。間あきすぎだけど。

2007/07/24

Flock - The Social Web Browser

FlockというMozilla系のWebブラウザ。The Social Web Browserと銘打っており、ブログやソーシャルネットワークや写真共有サイト、YouTubeなどのWeb2.0的オンラインサービスをよく利用する人のための機能を満載。Blogger、Typepadその他の数々のブログサービスと連携でき、Flockのエディタ機能で書いて簡単に投稿できるのが売り。Flickrにはドラッグ&ドロップで写真をアップできる。

My Worldという画面では、登録してある自分のブログやFlickrやWikiなどのブックマーク、ニュース、メディアなどが表示され、投稿やアクセスがいきなりスタンバイ状態になっているし、メディアバーにはFlickrやYouTubeの最新投稿などを表示される。

まだver.0.9のベータ版だし、日本のサービスには未対応。例によってWindows版のほうが快適なんだろうなと思ってさっきダウンロードしようとしたところ、なんと!Firefoxではウイルス検査に引っかかってダウンロードが無効になってしまう。たぶん問題は無いんだろうけど。

なかなか便利なので、Macでは投稿専用ブラウザとしてしばらく前から使っていた。投稿済みも書きかけも、Flock内にも保存されているので管理がラク。Bloggerのブログエディタにテキストだけでなく写真を直接貼り付けできればな〜と思っていたのだが、今やってみたところ、Web Clipboardツールを利用すればおもしろいことが可能なことがわかった。

あらかじめ、使う可能性のある写真をFlickrにどんどんアップしておく。Flickrの写真をいくつでもFlockのWebClipboardにドラッグ。で、ブログエディタにWebClipboardから写真をドラッグすると、テキストの中に好きなサイズで写真を配置することができる(FlockでFlickrの写真を表示するとFlockアイコンが出て、「ブログ作成」「メールでシェア」も直接できる。それどころか、普通のサイトでも写真を右クリックすると、同じこと+「WebClipboardに送る」が可能)。ブログの中の写真をクリックするとFlickrで写真が表示される。

この方法で「写真選び」「Flickrにアップロード」「Bloggerに投稿」が同じ流れの作業の中でできてしまう。特に、「アップロードする写真をフォルダから指定・選択」する操作が一つもいらず、すべてドラッグ&ドロップで可能なところがいい。こりゃ〜簡単便利! いや、ブログの写真がFlickrの写真にリンクされているものはよく見かけるけど、ごく普通のやり方なのかな?。Flock、もうちょっとちゃんと使い方を探ってみます。

■追記
便利は便利にちがいないけど、実際に投稿を作成してみたところ、ちょっと引っかかる点が。というのは、Bloggerの投稿内の画像をFlickrで用意してドラッグ&ドロップで編集・公開した場合、BloggerのサムネールまでFlickrサーバーからの引用表示になる。ということは、Blogger内のコンテンツがFlickrに依存している形になり、Flickrが無くなったりサーバーのアドレスが変わったりすると、Bloggerの写真も全滅ということに。う〜ん。独立完結型にしておきたいから、Bloggerの投稿にFlickrを利用するのはやめておくことにする。
ただし、他社のFlickrではなく、同じGoogle社のPicasaウェブアルバムに写真をアップするならいいかもしれない。

2007/07/23

オリンパスショートアニメ3本目、配信中



3本目がアップされました。これで全部です。

CON-CANムービーフェスティバル

オリンパスのサイトでは直接見れます。

オリンパスのアーカイブサイト

Web 上のショートフィルム映画祭「CON-CANムービーフェスティバル」に協賛のオリンパス株式会社の依頼で、30秒のアニメを3本作りました。僕を 含めて5組の作家が作ったアニメが各ショートフィルムの冒頭にランダムに流されます。

2007/07/21

Safari3 パブリックベータとメイリオフォント

Safari3パブリックベータが配布されている。さっそくMacとWindowsXPにインストール。WindowsでSafariを初めて使ってみた印象は、とにかく表示が速い(速いのはHTMLメインのページに限るらしいけど)。びっくりしたのは、デフォルトフォントがメイリオ。いつから入ってるんだ?インストールした覚えはないけど。Safariといっしょにインストールされたか、Windows Updateに含まれてたのか。

メイリオフォントはOSXみたいにアンチエイリアスがかかるきれいなフォント。Windows Vistaの標準フォント。Safariでいつものページを見ると、 Windowsで見ている気がしないほど美しい。あんまりきれいで新鮮なので、FireFoxやIE7やXPのフォントを全部メイリオに変えてみた。おー!Windowsじゃないみたいだ。「メモ帳」とかの他のソフトでもメイリオを使うといい感じ。3ds Maxのメニューの文字がメイリオだと、別のソフトみたいだ。

ただ、メイリオって平体かかって見えるのと、ClearTypeの設定の具合なのか、ソフトによってアンチエイリアスのかかりが少し違っている。Safariで見るのがいちばんきれいかなと思ったら、ちょっとにじんで太く見えすぎっぽい。でも、Firefoxなど他のソフトだとちょっとやせて字間が離れて見えてしまう。でも今までに比べたら格段にきれい。画面を見るたびにげっそりしていたテキスト表示ガタガタが解消されたのはうれしい。Vistaが使ってみたくなった。

Safari3ベータは、日本語の打ち込みができないのと(表示されないこともあるらしい)、ときたま落ちるのが残念。ブログのコメントなどを書くときに狭いテキストフィールドをいくらでも拡大できる新機能が使ってみたかったんだけど、日本語が打てないんじゃ役に立たない(コピペは可能)。

そうそう、僕的にうれしいのが、Bloggerで新しい投稿を作成するとき、本来HTMLが使えるリッチテキストの編集機能(15個の機能ボタンと2枚の編集タブ)があるのに、Safariではスペルチェックと画像の挿入しか(ボタンが2つしか表示されない)できなかったが、フルに使えるようになった。日本語に対応した正式版が楽しみ。

2007/07/18

ZBrush Toys 2 - スタート

1月後半、4つの3DCG原型を作成。ZBrushでおおまかに形を作り、目などのポリゴンの押し出しなどをmodoでやってからZBrushに戻って微調整して色塗りと仕上げ。OBJでCinema4Dで読み込み、STLファイルで出力。








リアルファクトリーさんのところで
Dimension BSTというマシンで出力。

熱で溶かしたABS樹脂を積層させる方式。
積層には一体あたり6〜8時間ほどかかる。この4体の場合、欲張って4体いっぺんに出力。丸1日以上かかったそうだ。最大A4縦程度のサイズの出力が可能だそう。

白い樹脂と同時にグレーの樹脂で支えを生成しながら積層するので、このような台状のものが一緒にできる。

支えを取り外した。

2007/07/14

ZBrush Toys 1 - SIGGRAPH2007告知

(7.14の分ですが、Siggraph期間中くらいは上げときます)

Pixologicのニュースレターに僕のフィギュアが!


このメールをクリックするとPixologicのSIGGRAPH2007の告知ページに飛ぶんだけど、そのページの下に10種のYoshiiフィギュアが勢揃い! シーグラフのブースでZBrushを買った先着100名に僕のフィギュアがついてくるそうです。
PixologicのSIGGRAPH2007告知ページ

あと、Pixologicサイトのトップページの下にも3体います。これ、動くしフキダシが出てカワイイ。
http://www.pixologic.com


つまり、10種類を各10個で計100体(ZBrushロゴ入りの限定版)のフィギュアをPixologic向けに制作しました。ノベルティにしたいとの話があったのが今年の正月。ちょうど、3D出力の話の真っ最中だったので、これはチャンス。これ用に新しく6体をデータ作成して出力したのは2月の初め。しかし、TV-Dog・Kuma-Jiro・Cal・Ga-Duckの制作のため中断、その後、例のショートアニメの仕事やその他もあって、制作作業がスタートしたのが4月後半。結局完全終了してアメリカへ発送できたのが6月末。その後ちょっと大変な仕事が入ってたのが昨日終わったので、ようやく割と普通のスケジュールに戻ったところです。

ブログに載せる手間も惜しい状態だったのですが、これから載せていきますので。
ZBrushCentralにはすでに載せ始めてます。

2007/05/17

ZBrush3!!!


予定日よりほぼ1日遅れでZBrush3ついにリリース!待ちきれずインストール。記念画面キャプチャ。
http://www.pixologic.com/

↑くわしくはPixologicやオークやボーンデジタルのサイトを見てください。すんごい新機能のオンパレードです。他のソフトがスカルプト機能などを追加してZBrushに追いついているような雰囲気を醸し出してましたが、はるか先をぶっ飛ばしてます。そして、ちゃんと3Dソフトらしくなってきました。

しばらく時間がなくて新機能はまだ何もいじれないけど、基本的な操作は2とあんまり変わってないので、慣れてる操作はそのままやれそう。この赤いマテリアルはモデリングワックス風らしい。シャドウがリアルタイムでつくのがすごい。

2007/05/15

オリンパスショートアニメ2本目、配信中



2本目がアップされました。2本目ですが、エピソード1です。都合で1本目はエピソード2だったのです。2本とも、音量を修正しタイトル画面をつけた、最終版です。

CON-CANムービーフェスティバル

オリンパスのサイトでは直接見れます。

オリンパスのアーカイブサイト

Web上のショートフィルム映画祭「CON-CANムービーフェスティバル」に協賛のオリンパス株式会社の依頼で、30秒のアニメを3本作りました。僕を 含めて5組の作家が作ったアニメが各ショートフィルムの冒頭にランダムに流されます。1ヶ月ごとに切り替わり、3ヶ月で3本が流れます。

2007/04/26

Toys - Ga-Duck & Cal 発売

One up.6周年記念限定カラーバージョンの2つのフィギュアを発売します。
各20個と生産数が少ないのでお早めに。

発売日=4月28日(土)
価格=各4000円(税込)

予約は
One up.(東京、中野ブロードウェイ内)
http://www.one-up.org/

"Ga-Duck" (H80mm x W48mm x D63mm)



"Cal" (H59mm x W60mm x D58mm)


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I release 2 toys on April 28th.
They are for "One up. 6th Anniversary EXCLUSIVE".
Limited color version, each 20pcs.

One up. (Tokyo)
http://www.one-up.org/

2007/04/24

Toys - まもなく完成

塗装作業進行中。まもなく完成。数日以内に詳細をお知らせします。

アヒルの網焼き?

ワイヤレスMightyMouseに単四電池


ワイヤレスMightyMouse、おおむね気に入ってるのだが、単三電池を二本入れるとかなり重く、一本だけでもまだ重い。なので、軽い単三リチウム電池が推奨されている。ふと思いついて、エネループの単四電池一本を、ゼムクリップを折り曲げてマイナス側に挟んで入れてみたら、リチウム電池よりも軽い!電池交換の頻度は上がるだろうけど、軽く動いて快適!

2007/04/21

Toys-アヒル・カエル、塗装中

とりあえずの数だけ複製が終了。スプレーで塗装中。
しかし、せっかくやる気になって勢い込んで塗装しようとしてるのに、天気が悪かったり風が強かったりで、タイミングをずらされてばかり。風向きによっては隣の部屋に流れてしまうので、天気のコンディションが良くても断念しなきゃならないことも。次からはプライマー吹き以外はホントに全部を筆塗りにするかも。

2007/04/15

Toys-再開


ブランクが長かったので、実際のところ何がどういう流れで制作が進んでいたのかよくわからなくなってます。iPhotoの写真を並べてもあちこちを飛び飛びに制作してるので、まとめるのが困難。

2月初めまでは1月から継続して原型を作ってて、アヒルとカエルを発売しようと言ってましたが、2月は3D出力の2体をワンフェスで見本展示するために塗装までやりました。それは追々載せていきます。実は他にも進めてるものがあったりしますが、混乱しそうなので、また。(写真のファイル名の日付を見ればいつの作業なのかバレバレ)

まず、アヒルとカエルを4月下旬までに発売するのは確実です。One up.さんの6周年記念企画の限定カラー版として各20個。通常版はたぶん各30個ですが、こちらの発売はもうちょい先になります。

アヒル原型完成。

カエル原型完成。実は1月末。

とりあえず限定カラーバージョン向けに複製。複製作業自体は2月中頃でした。カエルのほうは撮り忘れた。

アニメ制作完了

ショートアニメ、先週前半でなんとか完了しました。5月と6月に一本ずつ配信されますのでまたお知らせします。日刊デジクリの連載に制作記を書いたので見てねー。

日刊デジクリ「グラフィック薄氷大魔王[89]ショートアニメ制作顛末1 準備篇」

次はフィギュア制作。

2007/04/02

オリンパスショートアニメ配信中


Web上のショートフィルム映画祭「CON-CANムービーフェスティバル」に協賛のオリンパス株式会社の依頼で、30秒のアニメを3本作りました。僕を含めて5組の作家が作ったアニメが各ショートフィルムの冒頭にランダムに流されます。1ヶ月ごとに切り替わり、3ヶ月で3本が流れます。

CON-CANムービーフェスティバル

オリンパスのサイトでは直接見れます。

オリンパスのアーカイブサイト

2月末くらいからかかりきりでした。っていうか、「3本作りました」と言っても、実は完成したのは1本。まだ2本は制作途中〜。

2007/03/29

「ケーぶるちゃん」スクリーンセーバー

ケーブルウエストのキャラクター「ケーぶるちゃん」のスクリーンセーバー(Mac/Windows)がダウンロードできるようになってます。

ダウンロードページ



時計バージョン。ときどき表情が変わります。らくトリちゃんが秒針になっててかわいいよ。


カレンダーバージョン。ケーぶるちゃんがときどきポーズを変えます。

2007/03/26

Mac上でWindows版ソフトを動作させるソフト

こんなのあるんだ!知らなかった。WindowsOSが不必要で、OSX上でWinソフトをネイティブに動かせるそうだ。

CrossOver Mac 6.0 英語版

すべてのWinソフトが完全に動くわけじゃないらしいけど、安いし試す価値アリ。

2007/03/19

Get a MacのCMの真実

へえ〜〜っ!そういうことなんだ!

ASCII.JPのコラム「Macをはじめよう」

Macの「Get a Mac」CMの本家版でMac君を演じているJustin Longという俳優は、「賢くてカッコイイが気取らない若者」と思いこんでいた。実はJustin Longは「マヌケでボンクラでイケてないヤツ」「当代随一の軟弱・迷惑系の役者」というイメージで知られてる俳優なんだそうだ。そんな彼でもMacを使いこなせる、というところがミソらしい。で、逆にカッコよく見えるという効果。Long氏は比較広告がキザでイヤミにならないようにするには、ボンクラなイメージの自分が適役ということをちゃんと理解して演じているとのこと。

日本のタレントにたとえるといろいろ思い浮かぶけど、なるほどねえ〜。

2007/03/12

Web3D、3D HORIZONで作ってみた


http://www.yoshii.com/web3dtest/kujiratori2.html

せいじんさんに教えてもらった3DHORISZONで作ってみたWeb3D。
テクスチャサイズを512x512にしなきゃいけないところで引っかかった以外はめちゃくちゃ簡単。デモ版は1000ポリゴンまでだけど、これは508ポリゴンだから、もうちょっと品質上げられそう。

3DHORIZONに対して、STRATA LIVE 3Dのすごくいい点は何だろう? メタセコイア以外も使えるところかな?

■追記
ちょっと検索してみたら、Web3Dっていろいろありますね。
EYES JAPAN Web3D Project
特別なプラグイン無しで見れる3DHORIZONやSTRATA LIVE 3Dは良いと思う。ややこしい見せ方をするのでなく、単に3Dのキャラクターをぐるぐる回して見せるだけなら、安い3DHORIZONは非常にヨイ。

2007/03/10

STRATA LIVE 3D

STRATA LIVE 3Dギャラリー

STRATA LIVE 3D

これいいなあ。作ってみたい。QuickTime VRよりぜんぜんいい。STRATAを持ってないと使えないのかな?
そういえば、PDFの中でこういうのができるって言ってたけど、どうなったんだろ。

2007/03/02

ZBrush3発表

さんざん待たされた2.5をすっ飛ばし、5月15日にZBrush3が出るそうです(Mac版はリリース日未定)。

http://zbrushcentral.com/zbc/showthread.php?t=042491

機能紹介のムービー、笑っちゃうくらいスゴイです。ゲーム会社やハリウッドのCGプロダクションはケタ違いの効率アップが図れそう。

PainterX発表


PainterXが発表されました。昨日、PainterXの発表会で新機能のデモンストレーションをしてきました。
概要です。

●作業領域
パレット配置の保存と似てますが、作業領域はパレットの構成だけでなく、「ブラシツールやマテリアルの内容を作業に合わせてあらかじめ構成しておくもの」です。コーレルの人に「ぜひこれについて触れてください」って言われて「地味なのになあ」と思いながらいじってみたところ、これはびっくりするほど良いです。PainterXの目玉機能と言ってもいいくらい。

たとえば、僕は普段、ほぼチョークとエアブラシと水滴のいくつかしか使わないのですが、何百のブラシの中からいちいち選ぶのは面倒。なので以前はブラシが入っているフォルダの中身を捨てたり入れ替えたりしてました。PainterXでは必要なブラシだけ選んで構成できる。このデモのために「グリッドの説明」「スマートペイント」「リアルブリスル」など用意し、切り替えて使いました。カラーマネジメントやブラシトラッキングの設定まで、それぞれの作業領域セットに保存できます。

多機能になりすぎてブラシ選びも大変だったPainterを、目的に応じて自分に合わせてブラシ構成ごとカスタマイズして保存しておける。これで、アーティストはPainterの都合に合わせる必要がなくなり、自分の作業環境を自由に構築して、いつでも目的に応じて切り替えられる。つまり、簡単に自分だけのPainterを組めるということ、です。で、構築した作業環境はどんどんブラッシュアップしていけるし、書き出して他のマシンでも自分の環境をいつでも使えるということ。

●黄金分割とレイアウトグリッド

黄金分割はもっとも美しい分割比率と言われているもので、名画の多くはこの比率が構図に含まれてるらしいです。使い方としては、構図や配置に迷ったとき、この機能を使って最も美しい配置を探る、というようなもののようです。

今までもグリッドはありましたが、透明度の変更すらできない不自由なものでした。新しいレイアウトグリッドは、いろいろ変更、不透明度も変えられ、設定を保存もできる。

グリッドというのはそれほど重要と思われてないでしょうけど、実はすごくありがたいのです。タブレットで描く場合、水平・垂直の感覚が鈍くなります。手を水平に動かしたつもりでも傾いた線を描いてしまう。それでタブレットの角度を微調整するわけですが、同時に、画面にうすーくでもグリッドがあれば、水平・垂直の感覚を失わずに描くことができるのです。白い画面に新しく描くときはグリッドは必須です。

●調和パレット
二枚の画像の色調を合わせる機能。カラーセットの色を使ってポスタライズする機能がありましたが、それの進化したようなもの。複数の写真の色調を合わせるのに非常に便利。画像処理ソフト的にとても実用的。

●スマートペインティング
Painter9.5で追加された、写真を自動的に絵画に加工する機能(以前のクローン描画を高機能にして簡単に使えるようにまとめたもの)を大幅に機能アップしたもの。

まず、太いストロークが画面をおおまかに塗りつぶし、中くらいのストロークが塗り分けをし、細いストロークが細部を描く、ということが自動的におこなわれます。写真の輪郭や明暗の移り変わりに応じて、ストロークの方向が変わっています。スマート設定のチェックだけはずすと、細いストロークが輪郭をなぞりながら描かれておもしろいです。

これは、Painterが絵が描ける人たちばかりでなく絵が描けない人たちにも、写真を絵画風に加工するソフトとして登場して以来初めて、人間が手を下さなくても、輪郭を意識した描画ができるようになった、ということ。つまり、今までは機械的に写真から色を取ってきて無造作にストロークをばらまくだけでしたが、PainterXのスマートペインティングは、賢いです。

●リアルブリスル
油絵の具系、油彩系の新しいブラシです。今までにもかなり本物そっくりな油彩ブラシがいろいろ搭載されていましたが、リアルブリスルは次元が違います。(ところで、カーソルにも大きな機能アップがあります。ブラシゴーストの強化をオンにすると、カーソルにブラシサイズだけでなく、ペンの角度が表示されます。さらにワコムタブレットのオプションのペン「マーカーペン」を使うと、ブラシの軸の回転まで関知、その回転も示されます。まあ、ちょっと動作が重くなりますが)

リアルブリスルは、ブラシの毛の一本一本がキャンバスとどう接触し、その時絵具はどういう混ざり方をするかをシミュレーションしています。マーカーペンを使うと、平筆をねじりながら描くような、自然な描画が可能。非常にリアル。

■まとめ
派手な新機能という点では、PainterXでは、「スマートペイント」と「リアルブリスル」くらいのもので、これはこれでもちろんスゴイ機能なのですが、今回のバージョンアップは、地味でも「作業領域」「グリッド」などのように制作のプラットフォームとしてのPainterの足下を固める機能アップが多いと思います。あと、僕的にうれしい地味な改良として、キャンバスとレイヤーでテクスチャの位置がずれなくなったことも。

あと、最近のPainterのリリース直後の「.0」のバージョンは、変な仕様変更や不具合が残っている、というのがありました。なので、8.1とか9.1とかのアップデータが出てようやく完全に使えるようになる、という感じでした。しかし、今回のPainterX、10.0は、最初から完成度が高く、僕もすでに仕事に使っています。というのは、インテルMac対応というのもありがたいんで。もちろんWindowsVistaにも対応しています。

最近はそれほど聞かなくなりましたが、「Painter6」、正確にはPainter6.1が最高のPainterと言われてきました。確かにPainter6.1は機能のバランスが絶妙で、完成度の高いバージョンでした。僕の印象では、8.1のカスタムパレットの復活でまともに仕事に使えるものに戻り、9.1でズームの仕様が修正された時点でPainter6は完全に越えたと思いました。PainterXでは、ペイントソフトとしてさらにその先へ到達しています。

以上がデモで話した内容です。

他に、触れなかった改良点としては、
●ツールパレットの「消しゴムツール」でブラシサイズ変更と不透明度変更のショートカットが効くようになった。
●新しくツールパレットに入った「覆い焼き・焼き込みツール」でもショートカットが有効。
●カラーマネジメントの強化(ICC4.0準拠)
●動作が速くなった。起動も数秒以内(デモで作業環境を切り替えるときに一瞬落ちたけど、数秒以内に起動しなおして継続できたのにはちょっと感動)。
などなど。あと、500個限定ですが、缶パッケージも復活。

記者発表に雇われたデモンストレーターの立場だけでなく個人的な感想としても、PainterXはかなりよく出来ていて、完成度が高いです。もちろん、ここをこうしてほしい、という要望はまだありますけど。9.1でズームの仕様変更を強力に要望して実現したことと同様、今回、レイヤーでのテクスチャのずれの修正が実現して、僕的には非常に満足してます。

コーレルのプレスリリース

ITmediaニュース