2024/12/13

最近観た映画メモ「REBEL MOON」


●REBEL MOON パート1:炎の子(2023年) 2:16 アメリカ Netflix
●REBEL MOON パート2:傷跡を刻む者(2024年) 2:03 アメリカ Netflix

パート1と2で前後編。ザック・スナイダー版「スター・ウォーズ」とか「七人の侍」とか言われてるSF映画。SWの一部にしてもらおうとルーカスフィルムに売り込んだけど実現しなかった企画を元にしてるそう。

監督:ザック・スナイダー、出演:ソフィア・ブテラ、ジャイモン・フンスー、エド・スクライン、ペ・ドゥナ、他。

辺境の惑星の農村。帝国の巨大戦艦と重武装の軍隊がやってきて長老を殴り倒し「10日後にまた来るから小麦を全部よこせ」。帝国から脱走して村に潜んでいた女性と村の男が中心となり、村を救うための戦士を集めに旅に出る……という話。

モロに「七人の侍」や「荒野の七人」な設定、カーーッと燃えざるを得ないだろw と思ったけど、あれ?おかしいな? ぜんぜん面白くない……。面白さのエンジンが動かない。パート2の前半は特に、それっぽい設定のキャラクターが集まって空虚なお芝居してるように見えてしまった。パート1・2ともにクライマックスはさすがに見応えあるものの、ラストのパート3に繋げるためのセリフの連呼が虚しい。

約1時間ずつ長いディレクターズカット版はどうなんだろ?とチラ見してみたら、R指定版とのことで、大人向け(ソフィア・ブテラが大胆シーン)やスプラッタ的なエグいシーンが多いようだ。あのロボットの活躍シーンもあった(控えめだったロボットがパート2クライマックスで突然大暴れしてたけど、他のシーンもあったんだ)。映像的にはこちらのほうが満足するかもしれない。

監督インタビューによれば、「ディレクターズ・カットは、これらの2作品の別世界版です。はるかに神話的かつ奇妙で、私が意図したSFユニバースの脱構築的な性質をたっぷり含んでいます。(配信中の)PG-13版は、過度な性描写やバイオレンスがないため雰囲気を設定できず、奇妙なほど真面目なっています。」とのこと。

……通常バージョンは、「毒気を抜いたお子様向けバージョン」ってことかorz それはひどい、というか、もったいない。もしパート3が公開されるなら、その時にディレクターズカット版を見てみよう。

評価は非常に低いらしい。allcinemaでは、パート1・2とディレクターズカット版合わせて4本にレビューが2つしか投稿されてない。

・説得力が弱い原因のひとつが経済スケールのアンバランス。帝国の巨大戦艦がやってきて、小さな村の小麦を全部よこせって……。「七人の侍」では「小さな村 vs. 生きるのに必死で野武士に落ちぶれた者たち」だった。

・村人たちが戦士を雇う、ってより、主人公の個人的な事情によるところが大きい。それもたまたま出会うんじゃなく、スカウト。戦士たちの応じた動機も弱く見える(パート2で唐突に全員にそれぞれ説明させてる)。

・ラストで「勝ったのは百姓たちだ、わしらではない」的なセリフが出たらどうしようかと思ったけど、さすがにそれはなかったw

・いつものザック・スナイダーの得意技、華麗なアクションにスローモーションをまぜるあの手法が、「ここカッコイイからよく見ろ!」って押し付けに見えてしまう。

・そもそも、ドンパチシーンに興味がなくなってる僕が面白いと感じる映画ではないかも。そういう意味では、ド派手なドンパチシーンが大好きな人は大丈夫だろう。

・画面周辺が歪んだブレか二重ボケみたいになってる効果は非常に気持ち悪い。たぶん、乱視の見え方に似てるからだろう。他にもレンズフレアなど光の効果が過剰で見にくいシーンが多い。

・人物たちの配置、背景はCG合成か全周囲LEDディスプレイなんだろうけど、広くないスタジオで撮ってる感がしてしまう。マンダロリアンなどでも同じような狭さを感じた。

・村や農民。いかにもいろんなものを混ぜた明らかにナンチャッテ農民文化を感動シーンにフィーチャーするのは悪手では?? 衣装もごく普通のTシャツだったりして萎える。

・あの頭おかしい提督、爬虫類的で非常にキャラ立ちしているものの、異様な小物感。何かに出てきたキャラに似てるんだけど、なんだっけ??

・無理に旗を対応させることないのに……。

・衛生兵がかわいそう……。

・70年代日本アニメの宇宙戦艦風w

・石炭で動いていた昔の軍艦のように黒煙を吐きながら飛行するマシンは新鮮!

・最近の映画の吹き替え全般に言えるけど、声優が美声すぎ演技がアニメっぽすぎる。基本的に吹き替えで見る派だけど、この映画の吹き替えには耐えられず、半分くらい字幕で見た。

・あと、やはりそうか、と思ったのは……「宇宙SF」の絵面自体に特別な魅力を感じなくなってる、と。「スター・ウォーズ」の実写ドラマも同様。以前見た「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」(2017年)など、高校生とき以来夢見てた「美麗精細なSFアートが完璧に動く映画」なのに、その絵面にはそれほどワクワクしなかった。。。

●ジョン・ウィリアムズ(2024年) 1:46 アメリカ Disney+

偉大な映画音楽作曲家のドキュメンタリー。監督:ロラン・ブーズロー、製作や出演にスピルバーグやルーカス、J.J.エイブラムス、ロン・ハワード、セス・マクファーレンなど有名人大勢。

「すばらしき映画音楽たち」(2017年)という似た感じのドキュメンタリーもあったけど、こちらはジョン一人を追う。くわしい経歴や時代ごとにいくつかの代表作を解説。

僕は初めて買ったレコードが「ジョーズ」(1975年)のサウンドトラック盤なのです。リアルタイム視聴で言えば、NHK少年ドラマシリーズ「少年カウボーイ」(1974年10月〜11月)のテーマから数えて50年!

例の「映画音楽大全集」の付属ブックレットのおかげで「ジョーズ」の前にも編曲家として「屋根の上のバイオリン弾き」でアカデミー賞を取ってたのは知ってた。「スター・ウォーズ」(1977年)どころか1970年頃からすでに巨匠だったのだ。で、現在92歳。ちょっと前に引退表明したけど撤回、元気に活動してる。

最近知ったのは「宇宙家族ロビンソン」など昔のテレビドラマの音楽を多くやってたこと。このドキュメンタリーでは初めて知って驚いたこともいろいろ。作曲家としてブレイクする前はジャズピアニストとして、スタジオミュージシャンとして有名作曲家といろいろ仕事してる。ヘンリー・マンシーニの「ピーター・ガン」他、有名曲でピアノ演奏で参加。

その後、編曲家として「ナバロンの要塞」などいろいろやったそう。そのへんも含め、中学時代の映画音楽カセットテープにだいたい入ってるやつだったりして、「そうだったのか!」の連発w

ただ、こういう偉大な個人を追うドキュメンタリーってどうしても「ヨイショの嵐」になってしまう。作曲家や演奏家として偉大なだけじゃなく人間的にも本当に好かれてる人らしいのでしかたないけどw

・「プライベート・ライアン」のテーマ曲「戦没者への賛歌」ついて、感じていたとおりのこと(勇気を称える鎮魂歌=兵士たちの犠牲の上に今の世界が築かれている、を音楽で表現)がまさに語られててドキドキした。

・ところで、初めて買ったレコードが「ジョーズ」、について。蒲郡ユニーのレコード店でLPを買ったのは事実だけど……。前段があって、「ジョーズ」のレコードを買ってきてと父に頼んだら、買ってきてくれたのは「ジョーズ」人気便乗の「スーパージョーズ」というディスコ曲のEPだったw

0 件のコメント: