2024/07/30

最近観た映画メモ「放射能X」他






●少林サッカー(2001年) 1:52 香港 U-NEXT

CGと特撮でマンガ的表現を追求した映画の元祖? ずっと見たいと思ってるうちに23年も経ってしまった。監督・主演 チャウ・シンチー、他出演 ン・マンタ、パトリック・ツェー、ヴィッキー・チャオなど。

昔、八百長に関わって再起不能にされたかつての名選手ファン。陥れたのは今はサッカー界の有力者ハンだった。ファンは街で極貧だが少林拳の達人シンに出会う。ハンを見返すため、シンの修行仲間を集めてサッカーチームを作ることを思いつく……という話。

面白かったw バカバカしいし、わかりやすいし、やりすぎなほどマンガ的。やりすぎに戸惑ったり唐突だったりして引くし、テンポが変なのが難点。でも、スポ根!どん底からの奮起、修行、躍進、愛、挫折、危機、意外な助っ人、栄光! 

・U-NEXTで観たのは1時間52分(ラスト、唐突にぜんぜん面白くないNG集が始まり、延々続く。いらない!)。日本公開版はNG集がカットされた1時間49分。Amazonプライムの吹き替え版は1時間50分で、たぶん同じもの。インターナショナルバージョン+NG集が1時間26分。Amazonプライムの吹き替え版が1時間25分なのでたぶん同じ。冗長なシーンも多かったので、うまく刈り込んであればテンポ良いのかもしれない。

・シンチー監督は「キャプテン翼」にインスピレーションを得たと言ってるそう。「少林サッカー」より後だけど、島本和彦の「逆境ナイン」(2005年)にも共通するテイスト(見たのは2011年5月13日! そんなに前か……「なぜか観てない映画を観るシリーズ」を始めて9本目の映画だった)。

・ファン役のン・マンタって、志村喬に似てるよね?

●放射能X(1954年) 1:32 アメリカ U-NEXT

「核実験の放射能の影響で巨大化、または、蘇った○○が人類を襲う」はブームというか、当時の不安を切実に反映したものだったんだろう。「原子怪獣現わる」(1953年)が前年、第五福竜丸事件がほぼ同じ頃、「ゴジラ」が半年後の公開。

ゴードン・ダグラス監督。主演のジェームズ・ホイットモアはキャリア長いそうだけど、「ショーシャンクの空に」(1994年)の老図書館係!

ニューメキシコ州、警官たちが奇妙に荒らされたキャンピングカーを発見、人はいなくなっており、なぜか砂糖が消えている。その後、近郊で同様の事件がいくつも発生。足跡サンプルから、核実験の影響により巨大化したアリの仕業と推測した老アリ学者と、同じく学者の娘が現地にやってきて調査。やはり3m以上に巨大化したアリが数千匹に増殖、すでに女王蜂たちが分蜂(?)のため飛び立ってしまっていた……という恐怖SF映画。

意外に面白かった。きっちりとした見せ方、謎の生物SFパニックから刑事もの、軍隊登場で戦争もの、子供のうまい絡め方など、娯楽映画としてちゃんとしてる。ただし、人物キャラクターは揃ってるのに人間ドラマは薄い。

・SNSでよく流れてくる1950年代の怪奇/SF映画。古さを感じさせない白黒の鮮明な映像の断片。この映画もその一つだった。

・巨大アリの巣に入って行って火炎放射器で戦ったり卵を焼き払ったりするのは「エイリアン」シリーズとほぼ同じ絵面、元ネタのひとつだろうな。軍隊突入も「エイリアン2」っぽい。

・前半で昼間にいかにもハリボテな巨大アリを見せちゃったのは失敗だろう。暗い地下での巨大アリはそれなりによく出来てて怖いのに。暗い中だけで見せればよかった。

・「オープニングのパートカラー映像が話題に」って、あれだけ? ホントに話題になったのか??

●禁断の惑星(1956年) 1:38 アメリカ U-NEXT

昔、テレビで見た(たぶん1978年6月28日の水曜ロードショー)。半年以上待った「スターウォーズ」の公開直前、3月には「未知との遭遇」も観に行ったし、新しい時代の特撮SFへの期待がピークに達していた頃。

「禁断の惑星」はSF映画の古典として名高いのは知ってたけど、そんなタイミングで見てしまったため、古色蒼然としたビジュアルにものすごくガッカリしたのだった。「イドの怪物」のアニメーションも「絵やん!」ってw

それから45年以上たった今、SNSにときたま流れてくる「禁断の惑星」の映像断片はよくできてる印象が強くて、そのうちもう一度見ようと思ってた。

監督 フレッド・M・ウィルコックス、主演 レスリー・ニールセン!(似てるなあと思ったけど、本人だったw)、ウォルター・ピジョン、アン・フランシスなど。

23世紀、20年前に消息を絶った移民団の生存者を探すため惑星アルテア4に訪れた、アダムス船長と部隊が乗った宇宙船。「帰れ」と警告を受けるが着陸。いたのはモービアス博士とその娘、それにロボットのロビーだけだった。博士はこの星の20万年前に滅びた種族の歴史や技術、遺構などを紹介してくれるが、宇宙船では異変が起き始める……という話。

う〜ん、ストーリーのテーマや理屈などは以前よりは理解できたと思うし、映画として画期的だったのはよくわかってるつもりだけど、印象としては45年前とあまり変わらなかった。というより、当時は気にならなかった部分が見えてしまって残念。背景はほとんど書き割り丸出し(マットペイントではなくスタジオの壁面に描いてあるように見える。あまり上手くない)。博士の娘の扱いなど今の感覚ではかなりひどい(おいおい娘! 船長!w)。

それでもていねいに作ってあるのはよくわかる。ビジュアル的には、当時の最新SFというよりは、50年代以前のパルプ雑誌含めた古いSFビジュアルの総決算という感じか。地下施設なども20年代の「メトロポリス」を感じたり。

・序盤の大気圏突入前カットなど、非常に鮮明でよく出来てる。タイトルバックの文字はパルプ雑誌テイストで非常にカッコイイ! (「マーズアタック!」(1996年)を思い出したけど、確認したらそれほど似てない)

・宇宙の効果音は「ポヨーン、ピヨーン」の電子音で旧時代のもの。ミュージックコンクレートのよう。エコーなどのエフェクトも非常にクドくて耳障り。当時は新鮮だったんだろう。影響は大きかったんだろうな。円谷作品などでも踏襲されてたし。

・やはりこれも前回の「スペースマン」で書いた、「宇宙SFによる内面/潜在意識の話」。シェイクスピアの「テンペスト」が下敷きになってるそうだけど、元を知らないのでよくわからない。

・ラストで説教というかテーマの解説のようなセリフ。「放射能X」でも博士のテーマ語りがあった。昔のSFものってそうだったねw 「この物語は荒唐無稽なようですが、こんな深い意味があるのです」という言い訳に聞こえなくもない。

・「イドの怪物」はディズニーのアニメーター、ジョシュア・メダーによるもの。やはり、ディズニー然としていて映画のテイストに合わない。ブラスター銃の光線などもぜんぜん迫力がないし。

・人気が出たロビー・ザ・ロボットをフィーチャーした続編というかスピンオフ「宇宙への冒険」(1957年)というのがあるのは初めて知った。ロビーの直接の影響は「宇宙家族ロビンソン」のフライデーや「キャプテンウルトラ」のハック、「宇宙戦艦ヤマト」のアナライザーなどいろいろあるね。

・ずいぶん後のドラマ作品「宇宙家族ロビンソン」(1965〜1968年)はこの作品の設定をそのまんまファミリー向けにアレンジした感じ。撮影スタジオや限定されたロケーションでの登場人物の会話劇って感じは「宇宙大作戦」もそうだし。

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