2024/07/19

最近観た映画メモ「エターナル・ドーター」他



●her/世界でひとつの彼女(2013年) 2:05 アメリカ U-NEXT

GPT-4oの声がこの映画でAIを演じたスカーレット・ヨハンソンの声に似てると話題に。ちょっと前には普通の女の子っぽいAIとの自然すぎる会話ができるcotomoというおしゃべりアプリが話題になってた。それで5月半ばに見始めたのだが、仕事でバタバタしてて、結局2ヶ月もかかってしまったw

手紙の代筆ライターとして長年勤務してる男。妻が出ていってしまって暗い毎日の中、最新OSに搭載されたAIのサマンサと出会い、恋に落ちる、というファンタジー。

スパイク・ジョーンズ監督/脚本、ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、AIの声はスカーレット・ヨハンソン、日本語吹き替えでは林原めぐみ(「VIVANT」でも翻訳アプリの人工音声を演じてた。あ、逆か。これの吹き替えやってたから「VIVANT」で採用されたのか。)

11年前にはちょっと未来的だったのかもしれないけど、2024年の今ではほぼ現実の話に見えるのが面白い。2011年にiPhoneのSiri登場、2013年にAmazonのEcho登場というタイミング。

おもしろかったけど、気になった点↓

・一般的な恋愛感情の移ろいを、「AIが相手という設定」でカリカチュア化して浮かび上がらせるわけで、気恥ずかしさばかり強調されて居心地悪い。あまりのキャッキャウフフぶりにもちょっとあきれる。

・「AIが彼女」にエイミー・アダムスは共感するものの、元奥さんはドン引き。僕もたぶんドン引きする派かもw 

・AI搭載の「OS」と言うのなら、もっと面白いネタを入れられたのに。出始めのサービスという設定なんだし。アップデートネタがあれだけじゃもったいない。

・「あなたのために」と、AIが裏で余計なことを画策するのは完全に恐怖映画。

・AIに取り残されて、やっぱ人間同士だなってハッピーエンド……え?それだけ?

・業務で書いた手紙の著作権は誰のもの?

●マッドゴッド(2021年) 1:23 アメリカ U-NEXT

「スターウォーズ」シリーズなどでストップモーションアニメーションを手がけたフィル・ティペットが、中断を挟んで30年もかかって完成させた映画。映画監督のアレックス・コックスが出演。

「地球最後の男」の命を受けた「暗殺者」が地下へ地下へと降りていくと、そこは荒廃した地獄のような世界だった。ここを爆破するため時限爆弾をしかけ……という話らしいことは、真ん中くらいにならないとわからない。

う〜〜ん、「素晴らしい造形のオンパレード」ってことならある程度退屈でも見応えあるかもしれんけど、そうでもないし。

デヴィッド・リンチの最も気持ち悪くわけわからない部分を十倍強くしたのが映画一本分まるまる続く感じ。「地獄めぐり」と表現してる人もいるけど、限度を超えた狂気と悪趣味と汚さと気色悪さ。なんとなくユーモラスなのが救い。

作りたい気持ちはわかるけど、見る方の身にもなってくれと言いたくなるほど、タガが外れた映像。素晴らしい技術は、その技術を活かす監督がいてこそ、ってことなんだろうなあ、と思った。

ただ、100%趣味に走ったライフワークの自主映画(制作費はクラウドファンディング)なわけで、「やりたい放題やれて、おめでとう」と言うべきか。第三部まで計画中らしい。

たぶん破壊と再生がテーマらしいけど、説明は何もない。「2001年宇宙の旅」(1968年)のあからさまな引用が出てきたりするけど、たぶん説明が一切ないのはその影響? 説明をぎっしり入れてもおもしろかったと思うけどなあ。

・フィル・ティペットは監督としては素人だよねと思ったら、「スターシップ・トゥルーパーズ2」(1997年)で監督やってるのか。

・気色悪いシーンはおいといて、中盤の戦闘シーンはなかなかよかった。

・冒頭で、横山宏さんのマシーネンクリーガーがロビー・ザ・ロボットといっしょに登場!中盤にも出る。

●エターナル・ドーター(2022年)  1:38 イギリス・アメリカ U-NEXT

ティルダ・スウィントンが母娘二役、監督 ジョアンナ・ホッグ。制作総指揮にマーチン・スコセッシ。A24映画。

女性映画監督とその老いた母親が、森の奥の古い大邸宅のようなホテルにやってくる。目的は、母親の思い出の場所で誕生日を祝うことと、母親をテーマに脚本を書くこと。しかし、ホテルはなんとなく不気味。母親が語る思い出話が娘の精神を追い詰めていく、脚本執筆は進まない……というような話。

めちゃくちゃよかった! 異様に静かな映画なんだけど、まったく退屈しなかった。ティルダ・スウィントン主演ってこと以外、事前情報ゼロで観たため、どういう方向に話が行くのか途中までまったく予想できず、ずっと頭の中がグルグルしてた。

これ、サイコホラーと呼んでいいのかな? 「シャイニング」を思い起こす要素もある。現実ではないんじゃないか?とか、めちゃ不安にさせられる。結局は、「ああ、やっぱりね」だったんだけど、そこは欠点ではない。

全編不協和音のような嫌な感じが漂ってたけど、「永遠に娘」であることにも娘は納得できたようで、後味は明るくさわやか。

二役のスウィントンのほぼ独演会。ティルダ祭り。ときたま出てくるスウィントン以外の人も、役割に応じてめちゃハマってる。不安を煽るいくつかのフェイントも良かった。犬がかわいい!

同監督の「スーベニア2部作」の後日譚のような映画とのこと。ティルダ・スウィントンと実の娘が共演だそうで、そちらもそのうち観てみる。

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