2024/07/25

最近観た映画メモ「スペースマン」他



ここ半年くらい「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ 落穂拾い編」のリストに入ってなかった映画ばかりになってる。本流に戻らないと。

●ラスベガスをやっつけろ(1998年) 1:58 アメリカ U-NEXT

kibookiという作家の映画キャラクターのフィギュア/CGシリーズ。「シャイニング」とか「ナポレオン・ダイナマイト」とか「ノーカントリー」とかいろいろある。非常によくできてて感心する。その中に不明なやつがあって、検索したらこの映画だった。あのシリーズになるなら、いい映画に違いない!ってことで、観てみた。

監督 テリー・ギリアム。ジョニー・デップはハゲ散らかし、ベニチオ・デル・トロは20kg増量。ゲスト的に登場する有名俳優いろいろ。「バッファロー'66」(1998年)との頃のまん丸なクリスティーナ・リッチが見れる! 偶然だけど、先日観た「マッドゴッド」に出演のアレックス・コックスが脚本に参加。

ベトナム戦争が影を落とす1971年。豪華なオープンカーを借り、ラスベガス近くで行われるバイクレースの取材に向かうドラッグ中毒のスポーツ記者と弁護士。最初からひどくラリっており、現実と幻覚の境目がない。一応取材に行くものの途中で放り出し、ホテルの豪華な部屋に戻ってドラッグ三昧、カジノで醜態……というようなコメディ。

イカレた若者たちのデタラメな馬鹿騒ぎ、って感じの映画はたいていウンザリしてしまう。この映画も、冒頭の色味がクドい広角レンズ映像と二人のデタラメぶりに「こりゃたぶんダメだな」と思ったのだが、最後まで面白く見れてしまった。主に、2人のメーター振り切れなムチャクチャ演技のおかげ。青アザだらけだったろうなあ。

テリー・ギリアムの映画ってその場その場の映像というか絵作りを楽しむ感じ。ストーリーで引っぱってくれなく、退屈してしまうことが多い。これも途中で目的が飛んじゃってストーリーがあやふやになっちゃってるのに、二人を見てるだけで最高だった。

面白かったなあ。やはりkibookiが選ぶキャラにハズレなし。他にも未見がいっぱいあるのでそのうち観てみよう。

・後片付けとかしなくていいんだったら、ホテルの部屋をあんなにめちゃくちゃにして無軌道やってみたいと思っちゃったくらい。酔っ払いながら見るといいかも。

・全編ドラッグ漬けの映画にしては、きつい暴力や18禁的な描写がほとんどなく、割と健全。

・幻覚のVFX的描写もあるにはあるけど、少なめ。コウモリが襲ってきたりカジノ客たちが爬虫類になったりはよくできてる。顔が悪魔のように変形するやつはイマイチ。

・ジョニー・デップ、「ブラックスキャンダル」という映画でも禿頭にしてるのね。確かに異様さが似合う。

・ジョニー・デップが半年も付き人をしてまで観察し、そっくりに演じてるという原作者ハンター・S・トンプソン。自分を取材対象の世界に入れ込んで一人称で主観を含めて語る「ゴンゾー・ジャーナリズム」で有名な人だそう。基本的には原作に沿ってるらしい。

「世界一のならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの規格外エピソード集」

・「GONZO ならず者ジャーナリストハンターSトンプソンのすべて」(2011年)というドキュメンタリー映画があるそう。

●スペースマン(2024年) 1:48 アメリカ Netflix

「宇宙飛行士と巨大クモ」ってビジュアルからは予想もつかない内容。監督 ヨハン・レンク、出演 アダム・サンドラー、キャリー・マリガン。宇宙クモの声にポール・ダノ。イザベラ・ロッセリーニって名前知ってるなと思ったら「ブルー・ベルベット」(1986年)の!

謎の粒子の雲を調査するため太陽系の深淵まで189日かかってやってきたヤコブ船長ひとりが乗る宇宙船。残してきた出産間近の妻レンカは、仕事にしか興味のないヤコブに失望し、離婚を決意。ヤコブも破局を悟っており、孤独と不安に苛まれている。そんな時、巨大なクモのような生物が宇宙船内に現れ、「痩せた人間よ、おまえの助けになろう」と言われる……という話。

よかったです。宇宙SFではあるけど、非常に内省的で個人的な内容。仕事に夢中な男は程度の差はあれそういう傾向あるんだろうけど、僕なんか特に思い当たりすぎて、グサグサきてしまう。若いやつはみんな見ておくといいかも。

孤独や内省的なテーマに宇宙SFは都合いいんだろうな。「惑星ソラリス」(1972年)や「インターステラー」(2014年)にも共通。「ゼログラビティ」(2013年)や「アド・アストラ」(2019年)もか。

あと、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」など宮崎駿作品に影響されてると思われる箇所がいくつかあって面白い。

・アメリカ映画だけど、チェコのSF小説が原作なので、出てくるのはチェコの宇宙船とチェコ人で、不思議な感じ。意外な国の宇宙船も出てくる。

・宇宙船の外観の描写はほとんど出てこないけど、船内の無重力描写は非常にこなれてて感心する。なのに、「ゼログラビティ」や「アド・アストラ」や他古くからの宇宙SF映画と同じく、宇宙速度やサイズ感や慣性の法則を舐めてるのは残念。あれじゃ大海原をプカプカ漂流してるのと変わらない。

●フォー・ルームス(1995年) 1:37 アメリカ Amazonプライム

クエンティン・タランティーノが3人の監督に声をかけ、4人で撮ったオムニバス映画。大晦日の夜、ロサンゼルスのホテルの4つの部屋の物語。ティム・ロス演じる新米ベルボーイは4本全てのエピソードで奮闘する。

第1話「ROOM 321 お客様は魔女」
脚本・監督:アリソン・アンダース 出演:マドンナ他
集まった6人の魔女が儀式を行う。儀式に必要なモノの一つが足りず、ベルボーイはその入手に協力を強いられるという話。

第2話「ROOM 404 間違えられた男」
脚本・監督:アレクサンダー・ロックウェル 出演:ジェニファー・ビールス他
大晦日パーティをやってる部屋からの注文で氷を届けに行ったベルボーイ。間違った部屋に入ってしまい、間男と勘違いされて男に監禁されてしまうという話。

第3話「ROOM 309 かわいい無法者」
脚本・監督:ロバート・ロドリゲス 出演:アントニオ・バンデラス他
子供たちを置いて楽しみに出かける夫妻にベビーシッターを依頼されたベルボーイ。姉弟のメチャクチャに振り回されたあげく、とんでもない事態に見舞われるという話。

第4話「ペントハウス ハリウッドから来た男」
脚本・監督:クエンティン・タランティーノ 出演:タランティーノ、ブルース・ウィリス、マリサ・トメイ他
ハリウッドから来た有名監督と友人たちの相手を上司から命じられるベルボーイ、ヒッチコック劇場「リオから来た男/邦題「指」(1960年)由来の過酷な賭けゲームの執行役を頼まれる、という話。

う〜ん。1995年当時はスタイリッシュだったのかもしれんけど、軽薄に走りすぎててちょっとウザい。主役のティム・ロスは動きも発声もノリ切れてない感。

それでも、第3話はかなり良かった。アントニオ・バンデラスと子供たちと、「足が臭い」からの見事な展開とカオス! あの役はバンデラスにゆかりの深い女優だそう。第4話のクライマックスからエンドタイトルへの流れは、さすがタランティーノって感じの鮮やかさ。

・「楽しい時間を凄し続けてください」ってw やっぱ配信の字幕はイマイチか。手書き風の小さい文字だけど、オリジナルの字幕なのかな?

・レンタル時間が終了する前に、タランティーノ担当の第4話を見直してみた。ベルボーイがペントハウスに入ってから6分・次が9分くらいの長回しなのね。舞台劇のよう。俳優たちがガヤガヤしながら「賭け」の一点に流れ込む感じが非常に良いな。

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