「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ 落穂拾い編」は古い順リストにしてあるんだけど、一番上に残ってた上から3つ。20〜40年代の残りは「若草物語」(1949年)のみ。たぶんまた増えるだろうけど。
ゴールデンウイーク頃から、「早くも配信スタート!」の新しい映画もいくつか観たんだけど、それはたぶん次回。もうちょっと前の話題作が後回しになっていくw
●バグダッドの盗賊(1940年) 1:46 イギリス・アメリカ U-NEXT
先日の「ROOM237」にちらっと巨人ジーニーが瓶から出てくるところが引用されてた。「スター・ウォーズ」ブームの頃に、元祖特撮ファンタジー映画としてハリーハウゼン映画などと同じくあこがれだったけど、今まで観る機会がなかった。
目が見えない乞食=実はバグダッド王アーマドと、犬に変えられた泥棒少年アブー。それはアーマドを追放して王座を狙う宰相の魔法によるものだった。隣国バスラの美しい姫に恋したアーマドだったが、同じく宰相も姫を狙っていた。アーマドとアブーは牢獄で意気投合。逃げ出してバスラに。宰相と姫を追跡するも、二人は宰相の魔法の嵐で遭難して離れ離れに。少年は拾った瓶から出てきた巨人ジーニーと千里眼ルビーを手に入れにヒマラヤへ飛行する。アーマドは捉えられて処刑されそうに……という話。
書いてても混乱する。現在と回想を行ったり来たり、舞台もどんどん変わる。ちょっとわかりにくかった。
監督ルドウィッヒ・ベルガーとマイケル・パウエル。主役はインド系少年のサブー・ダステージャー、ジョン・ジャスティンなど。
「子供向けの荒唐無稽なおとぎばなし、多少の唐突な展開はしょうがない」と思ったのだが、冒頭の預言者の「少年の救世主が空からやってきて正義の矢を放つ」。これが一本通ってたのね。Amazonプライムに吹き替え版があったのでざっと見直してようやくちょっとわかった。
・カラー作品で特撮満載。画質は悪いけど、基本的な特撮は網羅。アイディアぎっしり。カット切り替えでスタジオ撮影と屋外撮影で同じシーンの照明が極端に違うのは残念。
・大仏とそれを守る緑色の人々の描写がひどくグロテスク、差別的で引くw
・タイトルがイメージと違う。「バグダッドの盗賊」って「開けゴマ」とか蛮刀を振り回す油ぎった男たちを想像するけど、盗賊=さわやかな泥棒少年w
・日本版のポスターの絵。もしかして武部本一郎?
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・1978年の「バグダッドの盗賊」、観に行った。たぶん「ナバロンの嵐」と同時上映だったはず。パンフレット持ってたけど、ほとんど記憶ない。
●ガリバー旅行記(1939年) 1:14 アメリカ Amazonプライム
フライシャー兄弟の作品として短編シリーズ「スーパーマン」(1941年〜)や長編「バッタ君町へ行く」(1941年)などと同じく有名作品だけど、見たことなかった。監督はデイブ・フライシャー。
ガリバーの船が難破。小人たちが住む島に流れ着く。小人たちはガリバーを縛り上げる。そんなとき、結婚式の歌をめぐって隣国との戦争になるが……という話。
フライシャー兄弟のフライシャー・スタジオ作品の初の長編映画。ディズニーの初長編「白雪姫」(1937年)に続けと制作された作品で、予算も期間も制作スタッフも「白雪姫」より格段に少ないながらも、大ヒット。
「スーパーマン」と同様に主要人物にロトスコープを使ってる。ディズニーの「白雪姫」なども実写人物のトレースはやってるけど、フライシャースタジオが元祖だそう。
小人たちのコミカルな表現は「白雪姫」の七人の小人に対抗したかったんだろう。っていうか、それをテーマとして作った映画としか思えないくらい延々続く。映画の半分以上、小人たちの気の遠くなるような細かい動きで構成されてる。
面白かったかというと……、数秒に一個は挿入されてる細かいギャグはどれも笑えないし、とにかくクドい、しつこい。小人たちがドタバタしてるだけでストーリーがまったく進まないのにイライラしたw 1939年にしてはセンスが古すぎるかなあ。
動きは細かい。「バッタ君街へ行く」でも思ったけど、なんちゅうか、加減を知らないというか、労力と効果のバランスを考えたら普通はやらないようなことまでやってるというか、恐れ入る。日本の「桃太郎 海の神兵」(1945年)にもそんな感じあった。
あと、やはり「白雪姫」の「ハイホー」などに対抗しようとしたんだろうけど、挿入歌はとても良い。冒頭の小人の歌もいいし、物語の核心となってる2つの歌と、クライマックスでの処理と。作曲者のラルフ・レインジャーは数々の映画音楽を手がけてるのだが、なんとプレスリーの「ブルー・ハワイ」の作者! (映画「ワイキキの結婚」(1937年)のために書かれた)
●三人の名付親(1948年) 1:45 アメリカ U-NEXT
イエス・キリスト誕生に居合わせた「東方の三博士」をモチーフにしたクリスマス向け西部劇ファンタジー。ジョン・フォード監督、出演 ジョン・ウェイン、ペドロ・アルメンダリスなど。音楽は「駅馬車」などと同じリチャード・ヘイグマン(同じメロディが出てくる)。
銀行強盗の三人が砂漠へ逃亡。水を求めて給水所へ向かうが、したたかな保安官に読まれて待ち伏せされる。裏をかこうと別の道を行くと、遭難した馬車で瀕死の母親に遭遇。赤ん坊を託される。育児書と練乳と聖書を手に三人は逃亡を続けるが、目的地の前には過酷な砂漠と山脈が……という話。砂漠の広大さや砂嵐の描写がすごい。
おもしろかった! 三人の悪党たちが、赤ん坊と聖書をきっかけに他者のために生きる聖人のようになっていく。昔、テレビで後半を見たと思う。ピートの最期と、赤ん坊を抱えながらよろよろ歩くジョン・ウェインを死んだ2人の幻影が励ますところ、記憶あった。
ただ、うかつにも重要な伏線の回収を見逃した。くやしい! 見直してみると、保安官のセリフの字幕は断片的でわかりにくいけど、「マヌケな亭主」で気がつくべきだった。
しかし、観客と同等の情報しか与えられていないジョン・ウェインたちもそれに気づいてなきゃいけないわけだが、そんな描写あったかな? とチェックすると、亭主はバカだマヌケだとは言ってるけど、繋がりに気づいてると思われるセリフはなかった。う〜んん。
・冒頭とラストで唐突にフィーチャーされて浮いてる銀行頭取の娘は何? ジョン・ウェインが出所したらくっつくんだろうけど。
・「銀行強盗に失敗し」と書いてある解説が多いけど、強盗は成功してるよね? 小ぶりな袋だけど金は手に入れてる。後でいろんなもの捨てて身一つになるけど、袋は最期まで出てこなかった。確認すると、キッドが馬上で袋を受け取り、撃たれて落馬したときに落っことしたらしく(映像では確認できない。立ち上がろうとするとき左上にある黒いのがそうかも……)、三人が逃げた直後、道に落ちてるのを頭取が拾ってると判明(ただし、キッドが落馬したのとはどう見ても別の場所)。なにしろ画質が悪くてわかりにくい!
・同じ原作の映画化はジョン・フォードが二度やってる他にも何本もあるそう。また、この映画をベースにした映画も多いとのこと。レナード・ニモイが監督した「スリーメン&ベビー」(1987年)は知ってたけど、今敏の「東京ゴッドファーザーズ」もそうだとは知らなかった(「三人の名付親」の原題は「3 Godfathers」)。そのうち見てみよう。
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