2024/01/17

最近観た映画メモ「オルカ」他



●マイ・エレメント(2023年) 1:41 アメリカ Disney+

ピクサー作品。ピーター・ソーン監督。火・水・風・土などのエレメントが住むエレメントシティ。昔、この街にやってきてお店を開いて苦労してきた「火エレメント」の夫婦。娘エンバーは父からお店を継ごうとがんばっていたところ、癇癪をおこして店の地下室を破壊。流れ込んできた水といっしょに入ってきた「水エレメント」の検査官のウェイドと恋に落ち……という話。

せっかく「ズートピア」でこれ以上ないほど人種や偏見の問題を、動物キャラたちの物語に鮮やかに昇華してたのになあ。同じようなテーマ(人種や移民や差別のこと)をわかりやすく表現しすぎでクドく感じる。ひねってないというか。二人の心の動きや収束も。エンドタイトルの絵で示される物語のその後も、やりすぎに見える。

とか言いつつ、まんまと感動させられてしまう。こういう映画は苦手だw

途中であれ?と思って確認したら、ソーン監督は韓国移民の息子なんだ。いろいろ腑に落ちた。メイキングというかソーン監督のドキュメンタリー「マイ・エレメントが起こす奇跡の化学反応」も見た。両親の店をモチーフにしてるんだそう。

ピクサー的にも、「あの夏のルカ」「私ときどきレッサーパンダ」など、それぞれの監督の出自を含めた実体験バックグラウンドにして一生懸命に語ると観客にも響く。ソーン監督は今までもずっとピクサーでは縦横無尽の大活躍。「カールじいさんの空飛ぶ家」の韓国人の少年はソーン監督がモデルだったり。

・「期待される自分」と「本当の自分」の葛藤が原因の神経症を癒す映画って解説があった。なるほど。

・ファンタジーというか寓話なので普通はスルーでいいと思うんだけど、、、、エレメントそのまんまの種族なことに必然性を感じなかった。普通は、そのエレメントの性質を人間その他のキャラクターに見立てて使うわけで。エレメントをキャラクターにするのはソーン監督が子供の頃に元素周期表をアパートに見立てて、元素をキャラクター化してたのが元になってるそう。本作では四元素にしてるけど。

●オルカ(1977年) 1:32 アメリカ・イタリア U-NEXT

ニューファンドランド島の海に潜って調査してた女性海洋生物学者、サメに襲われかけたところをシャチに助けられる。同じ場所でそのサメを捕まえようとしていた船長、ターゲットを変え、シャチを生け取りにしようとして失敗。妻子を殺されたシャチが船長に復讐する話。

製作がディノ・デ・ラウレンティスで、超一流スタッフ揃い。監督マイケル・アンダーソン、音楽エンニオ・モリコーネ。リチャード・ハリスとシャーロット・ランプリング主演。

ロードショー誌とか買い始めた頃に宣伝されてたけど、観ないまますっかり忘れてた。まだ「ジョーズ」からの動物パニック映画ブームの余韻が残る頃だった。ただし、「オルカ」はただの動物パニック亜流作品とは一味ちがうものというのは知ってた。

シャチはホオジロザメなんかとは格が違う! めちゃくちゃ賢いし、ってしつこいほどの前振り。それを学者として説明するシャーロット・ランプリングのキャラ。硬すぎる。リチャード・ハリスは無邪気なだけで根はいいやつって感じがとてもイイんだけど。

助手の彼女はボー・デレク!「テン」(1979年)で10点満点美女を演じてブレイクした2年後とぜんぜん雰囲気ちがう。「カッコーの巣の上で」の大男、ウィル・サンプソンも出てる。

静かな悲劇。あちこちなんとなくギクシャクしてるけど。「ジョーズ」とは別方向の映画にしようとしてるからか、逆に共通する部分が目立ってしまってるのは宿命か。ラストで滑り落ちるアレまで同じ。

・先日、『「ゴジラ-1.0」って「オルカ」だな』というコメントを見て、ゴジラを見に行くなら先に「オルカ」を見ておかなくちゃと思ってリストに入れたけど、結局ゴジラは見に行かなかったw

・「ORCA」のロゴが丸っこい書体でかわいいw

●2300年未来への旅(1976年)1:58 アメリカ U-NEXT

同じく、マイケル・アンダーソン監督。マイケル・ヨーク、ジェニー・アガター、ピーター・ユスティノフ、ファラ・フォーセット他。先月、ジェニー・アガター71歳の誕生日って記事がFacebookで流れてきて、その時にこの映画をリストに入れておいた。

若者ばかりの理想郷のようだが、人口爆発を防ぐため30歳になると新生という名目で殺される社会。コンピュータ「マザー」に支配されている。逃亡者を捕らえたり処刑するサンドマンの主人公ローガン。マザーから寿命操作で脅迫され、逃亡者が逃げる先と言われている「サンクチュアリ」を探るよう命令される。逃亡を企てるグループのジェシカを伴って逃亡者となったローガン、、、という話。昔、テレビで見たことあるはずと思い込んでたけどほぼ記憶なかった。

70年代前半って地味だけど良質なSF映画がいくつもあったけど、あんな雰囲気。「アンドロメダ…」「ソイレント・グリーン」「ウエストワールド」「未来世界」「赤ちゃんよ永遠に」とか。翌年の「スター・ウォーズ」公開でSF映画のイメージがガラッと変わるのだが。あ、そのルーカスの「THX 1138」も同じ系統か。近年だと「ガタカ」もちょっと近い。

「抑圧されてると気づかず幸せに暮らしてると思い込まされてる世界で、主人公がカラクリに気づいてしまい、その世界からの脱出や反抗を試みる」的なものが多かったのは、暗い時代だったんだなあ。

画面に出てくる全てが「スター・ウォーズ」前年とはとても思えないセンスの古さ。50年代風を狙って作ったのなら別だけど。。。冒頭の未来都市のミニチュアセットは非常に良くできていて(とはいえ大阪やモントリオール万博風ってことは60年代末風)、ライティングも素晴らしいのだが、なんで手持ちカメラで撮影するかなあ。。あと、ボックスというロボット……ホント真面目にやってくれよ、トホホって感じ。

面白かったかというと、う〜ん、ダメだった。でも時代が変わる直前の「SF映画」の立ち位置が非常によくわかり、全編興味が尽きない。それはそれはとても面白いのだが……。

・覚えてたシーン「ワイヤーで水平に吊られた無数の全裸の人体」はこの映画じゃなかった。人体冷凍保存のシーンを混同したか。検索すると「吊られた人体」は「コーマ」(1978年)という映画らしい。「 2001年宇宙の旅」のリバイバルと同時上映という説もあるようで、それで観たのかな?

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