2020/08/09

最近観た映画メモ「幸福の黄色いハンカチ」他

70年代後半の邦画の続き、これでようやく80年代に進めるけど、また新しめの映画を4本か8本挟む予定。

ところで、「下落合焼とりムービー」は、ずいぶん前にビデオマーケットで見つけてたのだが、昨日レンタルしようと思ったら、消えてる! ちょっと前には確かにあったのに。7月末までだったか。と思ったら、新しくYouTube映画とAmazonプライムで配信が始まってた。そっか、なんとなく仕組みがわかってきた。

いくつかの配給会社や配信会社の取り決めで、どれを入れたらどれを消すとか協定があるのかも。YouTubeとAmazonはほとんど配信タイトルは同じっぽいし。

復讐するは我にあり(1979年)
幸福の黄色いハンカチ(1977年)
下落合焼とりムービー(1979年)

●復讐するは我にあり(1979年)

今村昌平監督、緒方拳主演。三国連太郎、倍賞美津子。5人を殺して逃亡していた詐欺師の連続殺人犯が逮捕され取り調べを受けている。過去に遡り、彼がどんな行動をしてきたのか、生い立ちから描く。実話をモデルにした小説が原作。

行動原理がぶっ壊れた鬼畜な男の行動を淡々と、しかし嫌ったらしくウエットに描く。妻や父親、逃亡先、それぞれどうかしてる人ばかり。タイトルはキリスト教的に「復讐は私(神)がやっておくから人間は手出し無用」的な意味らしい。敬虔な信者のつもりの父親が、息子の行動によって報いを受ける話でもあるんだろう。

みなさん完全になりきってる演技すごい。見応えあったけど、すごい嫌だったw もう一度観たいとは思わない。やはり邦画の「生すぎる」感じが苦手。潜伏先の浜松の話し言葉が三河弁とかなり似てて、僕的に「生っぽさ」を増幅されたw

1979年時点で15年ほど前の60年代前半を描いてるけど、時代考証にはあほぼ無頓着なのは残念。企画段階では「ジョーズ」みたいに連続殺人犯が来るぞ!的ホラー映画にするアイディアもあったらしいけど、それも面白かったかもね。

●幸福の黄色いハンカチ(1977年)

「ジョーズ」を観た後、ロードショー誌など買って読むようになり、「アカデミー賞」ってものに「特別にすごい賞」というイメージと憧れを持つようになっていた頃。突如、日本アカデミー賞なるものが出てきた。第一回で、この「幸福の黄色いハンカチ」が賞を総なめにしてたのを、苦々しく眺めてた高校一年の僕w 「ハリウッドの真似っこだし、狭い業界内の褒め合いみたいで気持ち悪っ!」って。それで、この映画を観たくないと強く思ったのだった。

山田洋次監督、高倉健、武田鉄矢、桃井かおり、倍賞千恵子。網走刑務所で刑期を終えて出てきた男。ともに失恋して北海道で出会った男女のクルマに乗り込み、いっしょに旅をすることになる。別れた妻は男を待っているだろうか?という話。

観てみた。シンプルでわかりやすくて良い。ラストのアレにはまんまとやられたw 1時間半のしかけがあそこに集中するんだもんなあ。若い武田鉄矢のヌメヌメした気色悪さと演技がものすごくウザいw 桃井かおりも若すぎて戸惑うw 音楽は大昔の教育映画のように異様に古いのがちょっと嫌。

デジタルリマスター版ということで、1977年の普通の地方の感じが非常に鮮明に見れておもしろい。北海道だけど、開拓団というか簡素な夕張炭鉱の住宅周辺以外は、そのへんの町の駅とか商店とか食堂とか、ものすごく見覚えある雰囲気が懐かしかった。

食堂といえば、網走の食堂の壁のメニューが映るんだけど、1977年でも現在よりちょっと安いかせいぜい半額くらい。安さが売りの店だったら同レベル。43年も前なのに。日本の物価は上がってないなあと実感。

あと、ラーメン屋の出前の女の子が岡本茉利。僕的には、タイムボカンとか洋画吹き替えの最も好きな声の声優。あの声で「ニラレバ炒めとライス」とか言ってて感激w 山田洋次作品的には「男はつらいよ」の常連だったのね。

●下落合焼とりムービー(1979年)

山本晋也監督、所ジョージ他。「ケンタッキー・フライド・ムービー」に触発されて、赤塚不二夫を中心に、当時の日本で最高に面白いとされていた人々が寄ってたかって作ったコメディ。

ものすごくつまらないと聞いてたが、なるほど、びっくりするほどつまらない。一つも笑えない。カメラの前で変な人たちが変なことやったりふざけたりしても、ちっとも面白くないことがよくわかって勉強になる。

ただ、赤塚不二夫の(存在しない)原作ギャグマンガを忠実に実写化したと捉えると、なんとなく「このネタはおもしろいはず」という雰囲気はわからなくもない。まあ、実写には向かなかったということだろう。撮り始めてすぐダメと判明したはずだけど、そのまま完成させちゃったのはすごいかも。

所ジョージの初期イメージって確かにこんな感じだったけど、現在までよく生き残ったなあと感慨。

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