2020/08/04

最近観た映画メモ「ヤング・ゼネレーション」他

70年代の洋画はここまでで終了。この後、70年代後半の邦画をいくつか観る予定。

ヤング・ゼネレーション(1979年)
アルカトラズからの脱出(1979年)
北極の基地 潜航大作戦(1968年)
ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど(1979年)
テン(1979年)

●ヤング・ゼネレーション(1979年)

ライムスター宇多丸氏が生涯ベストと言ってた映画。採石産業が衰退した町。イタリアかぶれで自転車好きのデイブを含め4人の仲間は大学にも行けず就職もできずの中ぶらりん。採石業をやめて中古車屋をやってる父親との確執があったり、近くの大学の女の子に恋をしたり、そこの大学生とケンカしたりするうちに、自転車レースで地元民としての存在を示すチャンスが来る、というような話。ひどい邦題w

ピーター・イエーツ監督。4人のうちデニス・クエイドは「アポロ13」などで尾藤イサオ似で記憶あった。ジャッキー・アール・ヘイリーは最近チラチラといろんな映画に出てるね。主人公のデニス・クリストファーは、マイケル・セラとイメージかぶった。

面白かった。巧みに綴る青春もの。モラトリアムな若者たちの定番的描写やエピソードが連続するのに、ぜんぜんダレない。あこがれのイタリアチームの仕打ちと挫折もイイ。親との話もよかった。クライマックスの自転車レースは超盛り上がった! 「スタンド・バイ・ミー」の4人の続きみたいな感じもあったり。

●アルカトラズからの脱出(1979年)

ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演。テレビで観たことあるはずだけど、細かいこと忘れてた。1960年、サンフランシスコ湾の孤島アルカトラズ刑務所に移送されてきた脱獄常習犯のモリス。いじわるな所長や執拗に襲ってくる囚人ウルフがやっかいな中、親しくなったり旧知の囚人たちと不可能と言われた脱獄に挑む、という話。実話ベース。

割と淡々と話が進む。かなり賢い設定のモリスが、所長や悪い囚人をあしらったり良い囚人とうまくやったりの、「いい感じ」に見惚れてたら、そういえばこれって「脱獄もの」だった! あの「バレるかバレないか」の苦手なストレスがやって来た。と思ったら、それほどキツくならないうちに解放された。これはいい映画だw 面白かった。

絵を描くことが生きがいのドクが絵を禁止されておかしくなるのキツい……。所長のパトリック・マクグーハン、自信あるんだかないんだか、目がぎょろぎょろしたり泳いだりして楽しい。ウルフは淡々としたストーリーに起伏をつけるために映画的に(わざとらしく)付け加えられたキャラなんだろうけど、まんまとハマって効果を上げてるのは流石。

●北極の基地 潜航大作戦(1968年)

60年代作品を1本挟む。「アルカトラズ」の所長役のパトリック・マクグーハンの過去作にこの「北極の基地 潜航大作戦」を見つけた。これ、映画音楽全集で気に入ってたテーマ音楽(ミシェル・ルグラン)の一つ。その全集の解説でどんな映画かだいたい知ってたけど、まったく見る機会はなく、40年以上すっかり忘れてた。映画関連の本やテキストにもこの映画が話題にされてた記憶ない。世界的に忘れられてる映画? (allcinemaのコメントが0件w)

60年代のシネラマ超大作風味。序曲から始まるし、インターミッションもある。ジョン・スタージェス監督、アリステア・マクリーン原作。マクグーハンの他、ロック・ハドソン、アーネスト・ボーグナイン、ジム・ブラウンなど。

ソ連の人工衛星が撮影したマイクロフィルムのカプセルが浮氷基地ゼブラに落下。米ソによる争奪戦となり、基地からSOS。米原潜の艦長ファラデイが命令を受け、海兵隊や謎の諜報員らしき男を乗せ、北極へ向かう、という話。

インターミッションまでの前半はひたすら原子力潜水艦の航海。いいから早くストーリーを進めてくれ!と言いたくなるところだけど、艦内の丹念な描写は飽きさせないし、浸水事故があったりして盛り上がる。水中の特撮もなかなか良い。

後半は基地への行軍とフィルム探し、ソ連部隊の到着、対決。う〜〜ん、緊迫感ほとんどゼロ。北極シーンはいかにもスタジオ撮影で、寒さすら伝わってこない。ミグ戦闘機のミニチュア特撮はイマイチとはいえ、「お!やるじゃん」とか思ったのに、クライマックスではソ連の戦闘機としてF-4ファントムの映像が使われてるし。

主役4人の男たちはそれぞれカッコイイ。マクグーハンは特に。ソ連の指揮官も立派に見える。そこらへんの描写に集中すればそこそこイケたんだろうけど、超大作感を出すためにいろいろ無理した結果、バランスが非常に悪くなってる印象。

●ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど(1979年)

「スター・ウォーズ」で人気が出たハリソン・フォードの初主演映画。イマイチな評判は知ってた。ピーター・ハイアムズ監督、レスリー=アン・ダウン、クリストファー・プラマー。音楽はジョン・バリー。前半はヴィヴィアン・リーの「哀愁」をモチーフにしてるらしい。

第二次大戦中のロンドン、米爆撃機の操縦士ハロラン中尉とイギリスの看護婦が出会って恋に落ち、出撃の合間に逢瀬を何度も繰り返す。しかし、彼女には夫も子供もいたのだった。……というメロドラマ。その夫が関わる軍の諜報作戦がハロラン中尉の任務に絡んできて、後半は「潜入もの」になる。全体としてはそこそこ面白かった。

「潜入もの」の何が苦手かというと、作り手がどの水準で「バレる・バレない」を設定してるかわからないのが最もツラい。この映画の場合、どう考えても設定がゆるゆるで無理目な潜入なので、初期の時点で「もうダメだ〜」と思うし、なんでハリソン・フォードとクリストファー・プラマーがこんなことさせられてるんだ?ってかわいそうになってくるw

っていうか、こんな「やたら偶然に頼ったメロドラマ+通り一遍のゆるい潜入もの」にハラハラさせられてる自分に腹が立つw

そういえばハリソン・フォード、これの直前の「ナヴァロンの嵐」でもドイツ語話せないのにドイツ兵になりすまし、話しかけられて適当に「ヤー! ヤー!」とか言ってた気がする。

ファルコン号じゃないけど、爆撃機の操縦席に座るハリソン・フォードを堪能できるよw B25の実機が出てきて「おお!けっこう本格的!」と思わせるものの、何度出撃してもほぼ同じ絵面が繰り返されるばかりなのは残念。

ハノーバーって2000年に万博やったドイツの町と思い込んでた。ハノーバー・ストリートってロンドンの通りの名前なのね。劇中に地下鉄ピカデリー線のHanover Street駅入り口が出てくるけど、廃止された駅名にも見当たらない。

●テン(1979年)

ボー・デレクが水着で走るあのポスタービジュアルが強烈すぎて、わけのわからないイメージだった。タイトルでは「テス」、内容では「ウーマン・イン・レッド」と頭の中で被ってた。1〜10点で女性を評価して「10点満点」というタイトルの由来も強調されすぎててミスリードされてた。

要するに、中年の危機に陥った作曲家が恋人を差し置いて、街で通りすがりに一瞬見かけた「10点満点の女性」に勝手に片思いしてジタバタする、ちゃんとした正統派コメディだった。ブレイク・エドワーズ監督、ダドリー・ムーア、ジュリー・アンドリュース。

面白かった。さすが「ピンク・パンサー」の監督! ダドリー・ムーアがいちいち全部面白い。中盤まで、先入観に惑わされてどう見ればいいのか混乱してたけど、情けない男の七転八倒を描写するコメディとわかったら、もう楽しむだけ。

ジュリー・アンドリュース、38歳の役だけど当時40歳代前半、しかし50歳代半ばに見えてしまう。そんなにうれしくないサービスショットもちらほらあったり。わざわざミュージカル女優っていう設定。この後の「ビクター/ビクトリア」も同様、夫のブレイク・エドワーズ作品だからの参加? ダドリー・ムーアが身長めちゃ低いせいでひどくアンバランスに見える。

音楽はヘンリー・マンシーニ。ジュリーの歌もいくつもまともに入ってる。ダドリー・ムーアもミュージシャンでもあるので、ピアノ弾きながら作曲したり歌ったりするシーンも多く、けっこう見応えある。

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