2012/10/24

CLIP STUDIO PAINTとドローイング

●紙に描くときの手の動きの観察から

紙にはサッサカ描けるのにペンタブレット(板タブ)では自由自在に描けないのはなんでだ? ってことで、手の動きを観察してみると、左手で紙をものすごい頻繁に回して描きやすいように傾けてるんですよね。絵を描くのは右手が主役な気がするけど、左手が紙を動かしてる働きも大きい。ほとんど両手で描いてる。

PhotoshopやPainterにも「画面の回転」があってよく使うけど、回す操作ってけっこう面倒。ショートカットキーを押しながら、ペン/カーソルを回す操作のために動かすもんだから、描いてる箇所からカーソルが離れてしまうのもマイナス。描いてた位置にペンを戻すのにひと手間多い。右手を動かさずに紙だけ回したい。

intuos5のマルチタッチ機能を使うと「左手の二本指ジェスチャーで画面を回転」が可能だし、WACOMもそういう使い方前提でマルチタッチ機能を搭載したわけだけど、実際やってみると思うように回ってくれない。ホイールを使えば描いてる位置からカーソルを離さずに回転できるけど、キーボードから手が離れてしまう。せめて中央のボタンがスクロールになってりゃある程度は使えるのになあ。というわけで、やはりショートカットを使うほうがマシ。

そういえば、ショートカットで45度だか30度だか画面回転できるソフトがあったような気がするけど何だっけな・・・? ComicStudioかな? ・・・で、Twitterで教えてもらったのがCLIP STUDIO PAINTなのでした。セルシスの製品。ComicStudioとIllustStudioの後継だそう。

●キーボードショートカットの設定など

Photoshopではドローイングに便利なように「五本指ショートカット」を設定してるのですが(リンク参照、その後変更したショートカットもありますが)、まったく同じにCLIP PAINTも設定。鉛筆を使いながら消しゴムを使うような「ショートカットで一時的にツールを切り替え」 もPhotoshopと同じ。

肝心の「画面回転」は、初期設定では15度ずつの回転だけど、30度に変更しました。回転ショートカットは「-」と「^」ですね。遠い〜〜〜! と思ったら、これも変更可でした。五本指ショートカットの上方の「Q」「W」を割り当てました。「R」にズーム、「Y」に画面回転解除、「E」には投げ縄選択。あと、Photoshopの「ゆがみフィルタ」と同じ「command+Shift+X」をメッシュ変形に割り当て、などなど。

●Photoshopでドローイングとの比較

というわけで、Photoshopとほぼ同じ使い勝手になりました。ぜんぜん違和感なく使えちゃう。ってことは、Photoshop使ってもたいして変わらんってことなのですが、どこにアドバンテージがあるのか? 「ショートカットで設定した角度ずつ画面回転できる」と「ストロークの滑らかさがPainter的に調整できる」、「その場で左右反転」くらいか。惜しい点は、「画面操作の動作がちょっと重いこと」と「メッシュ変形はPhotoshopのゆがみフィルタのように自由自在じゃない」くらいかな。

Photoshopでいうところの「背景」がなく、描けるのはレイヤーって点。消しゴムで消すと透明部分のチェッカー模様が出るのがウザいのでわざわざ背景に白のレイヤーを作ったりしてたけど、透明部分の「表示色2」も白にするとチェッカー模様が見えなくなった。まあ、これでなんとか。

あと、どんなに使いやすくてもCLIP PAINTはPhotoshopじゃないってことくらいか。別のソフトと併用する煩雑さ。機能がかぶるソフトを使い分けるのってめんどくさい。でもまあ少なくとも、提出する用の線画ラフのフィニッシュには重宝しそう。いつもPhotoshopで描いたガタガタヨレヨレの線画ラフ出してて恥ずかしかったから。

●Painterとの比較は?

なんでPainterと比較しないの? って件。仕上げまで2Dのイラストを仕事で描く機会がほぼなくなってるので、Painterから遠のいてます。Painterはブラシの性能は文句なしでも、投げ縄ツールがめちゃくちゃ遅く、頻繁に切ったり貼ったり繰り返す下絵やスケッチに不便だったりするんですよ。切り抜き移動すると必ずレイヤーになってしまう点も。なので、ドローイングはPhotoshopを使ってたわけです。

念のため、CLIP PAINTとPainterの書き味をくらべてみた。細かい調整って点では「入り・抜き」を除けばさすがにPainterの書き味はさすが。でも、「無段階ズーム」と「ショートカットでツール一時切り替え」がないのでドローイングの快適さは段違いにCLIP PAINTやPhotoshopのが上。

で、新しい形を描いていくって意味では、やはりPhotoshopのほうがやりやすいかなあ。ブラシの性能が悪くても、選択や移動や変形などのレスポンスの良さの快適さが勝ってる。

●ドローイング専用として

CLIP STUDIO PAINT、僕的にはドローイング専用ですので、その他の機能については言及しません。っていうかまったくいじってないのでわかりません〜。2Dのイラストレーターの間ではすでに相当普及してるようですよ。

僕としては、最初に予想したとおりの使い方になるかな。Photoshopでおおよその形を作ってから、必要があればCLIP PAINTで線画ラフの清書って感じで。・・・・などとここまで書いた後で、CLIP PAINTでちょっとややこしいラフを描いてたところ、う〜〜〜むむ。やっぱいいわ、これ。なんかもう、いつもの「うーん、描きにくいなあ。紙や液タブで描けばもっとはかどるのに」的なモヤモヤがぜんぜん出てこない。やっぱ紙廃止の突破口になるのか??

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