今朝観た一本を追加して映画メモが3本揃ったので溜めずにアップ。次回はしばらく先。
●若草物語(1949年) 2:01 アメリカ U-NEXT
「子供向け/ロマンス」とのことで、このあたりは完全に抜けてたジャンル。テイストがほとんど「世界名作劇場」。検索したら、1987年に「愛の若草物語」、1993年に原作続編からの「若草物語 ナンとジョー先生」と、2度も世界名作劇場になってた。
監督 マーヴィン・ルロイ。出演 ジャネット・リー、ジューン・アリソン、エリザベス・テイラー、マーガレット・オブライエンなど。
マサチューセッツ州の田舎町。(現在は南北戦争に従軍中の)父親の投資失敗で貧乏になってしまったが、つつましく楽しく暮らしているマーチ一家の四姉妹と母親。隣の富豪の息子が帰ってきたことをきっかけに社会と関わりを深め、成長していくという話。
さすが、よかったです。前半、大昔の少女マンガのような素敵でのんきな話かと思ったら、どんどん「人生の現実」な方向へ。それぞれの個性の描写やぶつかり合いからの成長。終盤、すごい勢いで何度も時間がジャンプしていく感覚はすごい! 長い原作をやむなく省略しただけなんだろうけど。
原作者ルイーザ・メイ・オルコットの分身の次女のジョーの自伝的な内容も。家計を助けるために扇情的な小説を書いてた件は実話だそう。「若草物語」の印税で家族の借金を返す以前、別ペンネームで大衆向け扇情小説やスリラーなど大量に書いてたとのことで、スティーブン・キングみたいだな。
・画質が悪すぎて残念。ディテールはほとんど見えないし、「絵本のよう」と称賛されてるのに色がスカスカ。高画質で見たい。
・四姉妹を演じる女優たちの歳が一致しないのは確かに気になる。原作では5歳差が女優の実年齢では20歳差。
・長女役のジャネット・リー。「サイコ」(1960年)の印象が強いけどすごい清楚で美しい。この作品でも「お金に執着が強く」となってるのは偶然?w
●静かなる男(1952年) 2:09 アメリカ U-NEXT
完全ネタバレなしで見るには、配信サービスなどの映画紹介に重要なネタバレがあるので、読まないように! 「アメリカ帰りの正体不明の男」として見るほうがいいです。無理かもしれんけど。
ジョン・フォード監督が親の出身地のアイルランドを舞台に作った映画。これで4回目のアカデミー監督賞を取ってる。主演のジョン・ウェインもアイルランド系。ヒロインはモーリン・オハラ。家の所有者の夫人役のミルドレッド・ナトウィック、最近見たことあるなと思ったら「三人の名付親」の瀕死の母親! 音楽はヴィクター・ヤング。
アメリカから故郷のアイルランドの村へ戻ってきた男ショーン。荒れ果てた生家を買い戻すが、同じくそれを欲しがっていた村の有力者ダナハーの反感を買ってしまう。さらに、有力者の妹メアリー・ケイトと恋仲になったため、事態がややこしい方向へ……というほのぼの人情コメディ。
よかったです。のんきで楽しくノスタルジックでやたら美しい映画。アイルランドの田舎の習慣/因習に捉われすぎな人々と、合理的なアメリカ帰りの男、という対比。
帰郷とはいえよそ者の男が村の人々に歓迎され好かれ、対抗する有力者ひとり(と腰巾着)だけが嫌われてるパターンはめずらしい。ジョン・ウェインが無条件に「めちゃくちゃいい奴」設定w
モーリン・オハラの登場シーンは鮮烈! すごく美しいんだけど、骨太でたくましい感じ。まだ細い頃でも長身のジョン・ウェインとよく似合う。この10年後に「マクリントック」(1963年)という夫婦喧嘩コメディ西部劇が作られてる。
・イニスフリーという村は架空だけど、アイルランド西部のコングという村を中心にロケされたそう。現在は「有名な映画のロケ地」として観光化されてる。
・「若草物語」と同じく画質が非常に悪い。ところが、途中で吹き替え版に切り替えたところ、なんと吹き替え版はすごい高画質! 字幕版は「ジョン・フォード大全集」とかの格安DVD用映像をそのまま使ったんだろう。
・時代設定が後半になるまでわからなかった。冒頭の汽車の他は馬車しか出てこない。終盤になってようやく自動車や電話が出てくる。昔の写真を見て言うセリフから、1920年頃かな?とわかる。
・大勢が「うおおお!」って一斉に動く感じって黒澤明がよくやってたね。影響受けてる?
・ゆったり時間を使ってるためか、キャッキャウフフの場面が異様に長く感じられる。ジョン・ウェインがやってるんだぞw
・「夕陽のギャングたち」(1971年)でジェームス・コバーンがアイルランド系のショーンという名前だったな。
・帽子を使った印象的なシーンがいくつもある。帽子を投げるのにはどんな意味が? アイルランドのことわざで「行く手に大きな壁が立ちはだかっていたら、その向こうに帽子を投げろ。」というのがあるらしい。「帽子を取りに行かなくちゃいけない状況を作る→積極的に困難を乗り越える」らしい。前途多難を表現? その後で大嵐になるし。
●白い恐怖(1945年)1:50 アメリカ U-NEXT
いやー、ミルクが光るやつだと思ってたのに最後まで出てこなくてw 途中でコップのミルクが出てくるそれっぽいシーンもあったのに。ミルクが光るのは「断崖」(1941年)でした。
監督:アルフレッド・ヒッチコック、出演:イングリット・バーグマン、グレゴリー・ペック。
ある精神病院に新任の病院長エドワーズ博士がやってきて、勤務医のコンスタンスと恋に落ちる。エドワーズは白地の縞模様を見るとパニック発作を起こすのだった。そして、彼はエドワーズ博士ではなく別人なことが判明する。本物のエドワーズ博士は行方不明になっており……という話。
記憶喪失や精神分析に関わるサイコスリラーと思って見てたら、しっかりミステリーものだった。
楽しめなくもなかったけど、いろんな要素を都合よく貼り合わせた印象で、「うまい!」とか「さすが!」とは思わなかった。それでもイングリット・バーグマンのプロモーションビデオ的にそれだけでも楽しめたけど。グレゴリー・ペック、若くて細い!
淡々とした描写なのに四六時中鳴り続け、大げさに盛り上げようとするミクロス・ローザの音楽がやかましいw 夢の表現の美術にサルバドール・ダリが関わってる。
・先日の「放射能X」に似た趣向があるけど、すごい変w
・同じシーンで後の「ダイヤルMを廻せ!」(1954年)と同じ撮影方法してるけど、出来はイマイチ。
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