2021/02/27

最近観た映画メモ「エレファント・マン」他

「なぜか観てなかった映画を見るシリーズ 落穂拾い編」、今回はかなり濃い。これらを今まで観てなかったのは確かに損してたかも。

●エレファント・マン(1980年)

19世紀イギリス、体がひどく変形する病気のためエレファントマンと呼ばれ、見せ物になっていた青年、ジョゼフ・メリック。彼を保護して研究しようとする医師。彼を自分と同じ人間として捉えられる人々と、化け物としか捉えられない人々。

デヴィッド・リンチ監督・脚本。アンソニー・ホプキンス、ジョン・ハート、アン・バンクロフト、ジョン・ギールグッドなど。R2-D2のケニー・ベイカーが顔出しで出てる。メル・ブルックスもプロデューサーとして噛んでて、音楽のジョン・モリスはブルックス映画の多くを担当した人。「卒業」のアン・バンクロフト、2005年に亡くなるまでブルックスの奥さんだったの初めて知った。

評価が高いことはなんとなく知ってたけど、デヴィッド・リンチだし、キワモノかと思ってたら、、、 何この完璧映画! ビックリした。「イレイザーヘッド」はまだ実験映画というかやりたい放題のアート作品って感じだったけど、こちらはものすごく映画としてちゃんとしてる。

普通の人間として生きようとするエレファントマンと同じく、隅々まで神経使って「普通の良質な映画」であろうとしてるように見える(リンチらしい映像コラージュは数カ所だけ)。

白黒画面がめちゃくちゃ美しい。撮影監督のフレディ・フランシスは、ハマーフィルムでドラキュラやフランケンシュタインもの、それに「人類SOS! 」などを監督・撮影してた人だそうで、さすが!

「1981年の日本での興行収入一位を記録」って、そこまで大ヒットしてたんだ。専門学校入ってすぐの頃だけど、なんで観なかったんだろ。

ラストシーンで使われてる曲、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」っていうのか。いろんなところで使われてて気になってた。

●霊幻道士(1985年)

キョンシーブームは知ってたけど、まったく観る機会がなかった。サモ・ハン・キンポー製作。ホイ三兄弟のリッキー・ホイ、ラム・チェンイン、ムーン・リーなど、僕が観た範囲の香港映画でもよく見る顔の俳優たち出演。

富豪の父親の改葬を依頼された道士カオ先生。遺体はキョンシー化しかけていて処置をするのだが、弟子のミスで完全にキョンシーとなって逃げ去ってしまう。という話。女幽霊や変な警官などいろんなキャラやエピソードが入り混じって面白かった。終盤のアクションがちょっと長すぎてしつこかったくらい。

で、重大な勘違いが判明。観ようと思ってたのは「霊幻道士」ではなく「幽幻道士」だったw 台湾映画って記憶してたのになぜか「霊幻道士」は香港映画だし、子供のキョンシーは出てこないし(「ドラゴンボール」のチャオズみたいな)。「幽幻道士」は「霊幻道士」のヒットを受けて製作された亜流映画のひとつだそう。しょうがない、見直す。

原題はそれぞれ「殭屍先生」と「殭屍小子」、つまり霊幻道士も幽幻道士も和製タイトルだった。なんだぁ。

●幽幻道士(1986年)

「霊幻道士」に影響されて撮られた台湾作品。日本ではこちらのほうが本家のように思われてる。旅芸人の親方と4人の男の子がキョンシー一行と出会ってしまい、不運に巻き込まれる。対抗するのは道士おじいちゃんと孫娘のテンテン。あと、ベビーキョンシー。なるほど。「鳩ポッポ」w

中盤までのテンテンや男の子たちの活躍など子供向け作品的にそこそこ面白かったけど、クライマックスのアクションとかイマイチ。あと、配信用映像にVHSビデオを使ったんじゃないかと思うくらい画質が悪いんだけど、これでもデジタルリマスター版。日本語吹き替え版のみ。

テンテン、大人が考える色っぽい女性キャラを小さい女の子に詰め込んでる感じ。当時は良かったんだろうけどかなり違和感。
https://yugen-rairai.com/

●太陽を盗んだ男(1979年)

沢田研二主演の、理科教師が原爆を自作して政府を脅迫する話。ヒットしたと思い込んでたけど惨敗だったそう。長谷川和彦監督。沢田研二31歳!の魅力満載映画。菅原文太46歳、池上季実子20歳。

大すじとしては面白かったし、特別な熱気もある。しかし、今まで観てきた70年代大作日本映画と同様、「娯楽映画としてちゃんとサービスしないといけない」精神なのか、本筋と関係の薄いアクションシーンが余計というか、せっかくの核心部の魅力やリアリティを薄めててもったいない気がした。冒頭のバスジャックのエピソードやヘリまで使った派手なカーチェイスなどなど、丸ごと要らなくない? 

鬱屈した昼間の日常と、夜生き生きと原爆を作ってる対比などすごくイイんだけどそういうところの印象が弱まっちゃってる。Wikipediaによると、削ぎ落として密度を高める方法とは逆だったようで、脚本に書かれてたこと全部を撮影し、1時間分は未使用になったそう。作る側の思い入れもあったんだろうけど。

◯余談。カーチェイスシーンで、上京直後の90〜92年に住んでた芝浦あたりが映る。田町ハイレーン(ボーリング場)の駐車場入り口が映ってる奥にコンクリート製の三角の塔がある。当時、これは何だろう?海が見えてた頃の展望台かな?とか思ってた。

映画の中では塔に「大協石油」と看板がかかってる。ガソリンスタンドだったんだ。ストリートビューを見ると、2013年頃に取り壊されて現存しない。検索するといろいろ出てくる。西部警察でも映ったらしい。あと、パトカーが横転するのは東京ポートボウル前、ジュリアナ東京があったところ。
http://tatazumai.c.ooco.jp/arc/tokyo/arc_tokyo13.html
https://jj1wtl.at.webry.info/201401/article_5.html

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