「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ 落穂拾い編」の本筋としての、もう3本。三つともコメディ。
●ダウンタウン物語(1976年)1:33 U-NEXT
禁酒法時代のギャングの血生臭い抗争を子供が演じてミュージカル仕立てにしたもの。マシンガンからはクリーム。パイ投げ。クルマは足漕ぎ。基本的にはよく作り込まれた「ごっこ」なんだけど、カリカチュア化してあることで、逆に生々しい抗争が透けて見えなくもないw
子供たちがみんなイイ! 彼らはリアルタイムで僕とほぼ同世代なのだが、写真付きのキャストのリストを見るとちょっと感動する。ほとんどが40年以上たった今も俳優してるらしい(敵方のボスの俳優は早逝してる)。
ビジュアル的に、当時からスターだったジョディ・フォスターを押し出してるものの、主役ではない。
ベビー・フェイスという役だったデクスター・フレッチャーは「ボヘミアン・ラプソディ(監督代行)」や「ロケットマン」などの監督に出世!
彼らのその後を追ったドキュメンタリー「Bugsy Malone: After They Were Famous」(2003年)がYouTubeにある。あの顔が大人になってる! その時ついでに、大人になった彼らが演じるシリアスバージョンも撮ればよかったのに、と思ったら!! ごく一部だけど衣装も揃えてやってくれてる!
苦手なミュージカル部分もぜんぜんOK。楽曲はポール・ウイリアムズ。主題歌は当時FMラジオを録音して何度も聴いたので覚えてた。タルーラの歌も45年ぶりに聴けて感激。ただ、歌のほとんどは子役は歌ってなく、吹き替えだよね?
アラン・パーカー監督。「ミッドナイト・エクスプレス」「フェーム」とか有名な監督なのだが、「小さな恋のメロディ」の脚本を書いた人なのか!
ってことは、ロードショー誌買ってた時代の子役出身スター3人、トレイシー・ハイドがアラン・パーカーと縁、パーカーがジョディ・フォスターと縁、ジョディ・フォスターが演じたテレビ版の「ペーパームーン」でテイタム・オニールと縁、って繋がるわけだ。
●何かいいことないか子猫チャン(1965年) 1:48 U-NEXT
ずっと観たかった。オープニングにぶっ飛ばされる。バート・バカラック/トム・ジョーンズの主題歌と毒々しい色のアニメーション、最高!
「カジノロワイヤル」のオープニングと同じ作者だろうなと調べたら、リチャード・ウィリアムズ。すいません、名前ちゃんと覚えてなかったんだけど、「カジノロワイヤル」や「ピンクパンサー」のオープニング、「ロジャー・ラビット」などでアカデミー賞もいくつか。で、あのバイブル本「アニメーターズ・サバイバルキット」の作者! ……史上最高のアニメーターの一人だったんだ!
あらためて「アニメーターズ・サバイバルキット」をめくってみたら、先日書いた「フラゼッタの絵を動かしたCM」も彼だったのか! 誰なのか認識しないで名前書いてた orz
クライヴ・ドナー監督、ウッディ・アレン脚本。ピーター・オトゥール、ピーター・セラーズ、ロミー・シュナイダーなど。ウルスラ・アンドレスやリチャード・バートンも。「007/カジノ・ロワイヤル」(1967年)といろいろかぶる。
こういった英国おふざけコメディは苦手と思ってたけど、2年前に「カジノ・ロワイヤル」再見したらやたらおもしろかったので、これもぜんぜんイケるはず、と思ったのだが……ものすごく面白いわけではなかった。クライマックスのドタバタは楽しそうw
艶笑コメディ、後のウッディ・アレンの男女がくっついたり離れたりジタバタしたり的な映画の原型?
セラーズが旗に体を包んでボートで焼身自殺しようとするシーン(赤地に青十字の旗)。気にはなってたけど、次に観た映画「クロコダイル・ダンディー」でホテルに掲げられてるのと同じ旗! 調べたら、ノルウェー国旗。なぜノルウェー国旗を巻くのか意味があるんだろうけどよくわからない(バイキングの葬式という説も)。
トリビアページによれば、その旗のシーンのためにノルウェーでは上映禁止(?)らしい。旗は関係ないけど「男が川辺で自殺しようとしてるところに関係ない男が居合わせて」のシチュエーションはチャップリンの「街の灯」の、石を足にくくりつけて川に投げようとしてるシーンのオマージュ。
前半でカフェに(画家の)ロートレックが歩いてくるんだけど、よく見たら彼が座るテーブルには耳を切ったばかりで包帯に血がにじんでるゴッホと帽子をかぶったゴーギャンがいるぞ。もう一人は誰だ?と検索したら、エミール・ゾラだそう。
冒頭の三階建ての家の窓の中の芝居を真横から撮る感じはもしかして「ぼくの伯父さん」の真似? 家は、エクトール・ギマールというパリのメトロの入り口で有名な建築家の作だそう。
全部は追えないけど、そういうトリビアがたくさんあるんだろうな。パロディやオマージュなどのネタも。あと、ウッディ・アレンは脚本の報酬が安いのに驚いて、演じるほうもやろうと自分の役を入れたとかなんとかw
リチャード・ウィリアムズ
https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Williams_(animator)
カジノロワイヤル
https://www.artofthetitle.com/title/casino-royale-1967/
タイトルシークエンスを集めたサイト
https://www.artofthetitle.com/
「何かいいことないか子猫チャン」トリビア
https://m.imdb.com/title/tt0059903/trivia/?ref_=tt_ql_trv
ロートレック、ゴッホたち
https://myfavoritepeterotoole.tumblr.com/post/180854244047/whats-new-pussycat-1965-directed-by-clive
●クロコダイル・ダンディー(1986年)1:37 U-NEXT
大変な話題作だったけど、なぜかまったく見る機会がなかった。オーストラリアの奥地で暮らすクロコダイル・ダンディーと呼ばれる男を取材に来たニューヨークの新聞記者スー。取材中に命を助けられたスーは、彼をNYに連れてくる……という話。ピーター・フェイマン監督。ポール・ホーガン主演・脚本。
野生の男がNYでチグハグなことやったり大暴れするというイメージだったけど、ぜんぜん違ったw
意外性は少なめで、地味に落ち着くところに落ち着く、大人のための抑えたコメディって感じ。田舎者ではあるけど文明人だしフレンドリーな紳士。オーストラリアでは普通に仲間と仲良く暮らしてたわけで。野生っぽさは自ら演出してたりもするw
悪者がほぼ誰もいない世界。多少いじわるだったとはいえ元婚約者の男もかわいそうw
スー役のリンダ・コズラウスキーとホーガンはこの映画が縁で結婚したそう。
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