前回から10日もたってるけどイレギュラーで追加した2本のみ。他にも60年代の石原裕次郎や三船敏郎の戦争映画をマイリストに追加したけど、「なぜか観てない映画を観るシリーズ落穂拾い編」を終えてからにする。このペースじゃ今年中に終わらない。
●パシフィック・ウォー(2016年)
「ジョーズ」でも語られた「インディアナポリス号の悲劇」を描く映画。原子爆弾の部品をテニアン島に運んだ後のまだ極秘任務中に日本の潜水艦に撃沈され、鮫の海に放り出された乗組員たちの運命。マリオ・ヴァン・ピーブルズ監督。ニコラス・ケイジがマクベイ艦長役。伊58艦長は竹内豊。竹野内豊かと思ったら別人の俳優。いい役。
タイトルが出てすぐの初っ端から「ライトグレー塗装の零戦が爆弾ではなく増槽をつけたまま編隊で飛んできて特攻する」はいくらなんでもひどい。検索すると、なんとこの攻撃は零戦ではなく陸軍の隼部隊だったとのこと。何ひとつ合ってない。
娯楽大作っぽい雰囲気を出したかったんだろう、ダンスシーンや恋愛要素や親友話や黒人と白人の水兵たちの確執など(監督は黒人)、要素が多すぎて過剰感。帰国後の軍事裁判や伊58艦長との話などはなかなか良かったんだけど、やはり描写が雑なのが残念。特に、あのラストに行き着くまでの経緯がすっ飛ばされてて、ものすごい唐突感。
全編、CGが信じられないほど安っぽい。前半の回天攻撃のところなんか、ニュースのために即成で作った説明CGのよう。
その回天シーン、何がどうなってるのかよくわからなかった。何度か確認したら、「インディアナポリス号で行われた砲撃訓練」と「伊58潜水艦が商船を回天で攻撃」っていう無関係の2つのシーンを関係あるように編集してたのか……なぜ?? フェイント?? 両者に因縁があるように誤解してもらうのを狙った?
(回天の実際の突入時は潜望鏡を見ながらじゃなくほとんど勘に頼った操縦で、当たらないことも多かったらしい。あと、あそこまで回天と搭乗員を描写したのなら、使わなかった理由と搭乗員の反応はちょっとでも入れてほしかったな)
しかし、今さら「タイタニック」の沈没シーンの表現をひとつひとつ真似する必要が?? 20年近くたってるのにCGが退化してるぞ。。。他にもCGというかデジタル合成のひどいアラがあちこちにあって、ギョッとさせられること度々。
サメ映画としてもどうなんだろ。まったく怖くないし。やっぱサメを見せすぎなんだろうなあ。あと、襲撃シーンが全部同じフォーマットで最後に画面が赤くなるパターン。もうちょっとなんとかできなかったのか。。
内容以外の要因もあったんだろうけど、結果、製作費4000万ドルに対して興行収入が210万ドルっていう、桁違いの大コケ。。。
正直いうと、描写や表現に大きな難はあるものの、退屈はしなかった。こだわりの目で見なきゃそんなに悪くない娯楽映画なのかも。「パールハーバー」+「タイタニック」+「サメ映画」+「ア・フュー・グッド・メン」?
原題の直訳は「インディアナポリス号 勇気ある男たち」で、「パシフィック・ウォー」って邦題なんだ、、、ひでえ。
などなど、映画メモが長い映画ほど楽しめている証拠。その意味ではめちゃくちゃ面白い映画かも。コメント欄に続くw
◯雑な画面処理にギョッとしてスクリーンショットした3つ。
(上)テニアン島の基地。距離感がおかしい。様々な要素を合成してるけどパースが合ってないっぽい。
(中)右上の漂流者は「画面的にちょっと足りないので足そう」ってことだったんだろう。単に重ねてあるだけ。波が素通りしててものすごく不自然。
(下)ピックアップトラックが止まり、男が降りてドアを閉めるが、まったく揺れない。たぶんこのクルマは静止画のCGを書き割りのように合成。他2台のクルマも同様。
おまけ。「ジョーズ」の「インディアナポリス号の悲劇」のシーン。古傷を見せ合うところからのこのシーンは今見てもホントによくできてるなあ。スクリーンショットを撮るために見返したけどやはり引き込まれた。
76年に見た時、原爆の部品を運んだ後のインディアナポリス号が日本の潜水艦に撃沈された話は本で読んで知ってたため、「あ、あの話だ」ってわかった。鮫の海に放り出された水兵たちの過酷な運命を語るロバート・ショーの表情が素晴らしい。
「漂流者たちが円陣を組んで近づいてくる鮫を叫んだり叩いたりして追い払う」や「知り合いが漂ってたのでゆすったら下半身がなかった」とか「発見されてから救助されるまでの間が最も怖かった」を「パシフィック・ウォー」でも少しはやってくれたら、映画の世界つながりでの大きなリアリティアップになったのにな。あるいはクイントって名前の水兵を出すとかw
そういえば、ロバート・ショーの話ではイタチザメだったのに、「パシフィック・ウォー」ではナショジオまで持ち出してホオジロザメを強調してた。
●人間魚雷出撃す(1956年)
インディアナポリス号を撃沈した伊58と搭載回天の搭乗員たちの話。「パシフィック・ウォー」を日本海軍側から描く。「マクベイ艦長の裁判に呼ばれて証言する伊58の橋本艦長」から始まる(実際には予備尋問のみで帰国させられた)。古川卓己監督、石原裕次郎主演、長門裕之他。
伊58の作戦行動は史実よりかなり盛り気味(伊58ほとんど唯一の戦果であるインディアナポリス号撃沈の他、フィクションで大戦果を上げまくってる)なものの、おおまかには沿っている。「インディアナポリス号攻撃の際、回天を使わなかった理由と搭乗員の反応」はさすがにちゃんと描いてる。
僕的に「パシフィック・ウォー」の裏返しとして興味アリアリで観たから大丈夫だったけど、たぶんあまり面白い映画じゃないかも。特に、後半の爆雷攻撃なんか緊迫シーンなはずなのに、あまり盛り上がらなかった。
石原裕次郎の魅力が発揮できてない? 長門裕之は初々しいw それでも、艦長と回天搭乗員たちの心や交流、他乗組員たちの明るさなど、よかった、っていうか潜水艦って楽しそう!って思っちゃうくらい描写が明るいw
撮影の潜水艦は何を使ったんだろう? 実写や本物を使ってる部分はビジュアル的には相当ハイクオリティだけど、ミニチュア特撮部分はイマイチ。水面スレスレで撮らなくちゃいけないのに、俯瞰で撮っちゃ台無し。
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