2020/10/03

最近観た映画メモ「ミッドサマー」他

今回は「ミッドサマー」とか、新しめの頭おかしい系の映画ばかり。9月半ばまでに見た映画だけど、メモをアップするのまた忘れてた。7月から集中的にやってたTDW制作がラストスパートに入ってて、映画観る気がぜんぜんしない。リストは冬になる前に消化できそうとか書いたけど、年内ギリギリかなあ。。。

ヘレディタリー/継承(2018年)
ミッドサマー(2019年)
もう終わりにしよう。 (2020年)
オーヴァーロード(2018年)

●ヘレディタリー/継承(2018年)

「ミッドサマー」を見ようと思ったんだけど、アリ・アスター監督の前作の「ヘレディタリー」が長編デビュー作で大傑作ホラー。しかも、「ミッドサマー」はこれの拡大バージョン的なものらしい、ということで予習として観てみた。

非常に嫌な支配的人物だったらしい母親が死んだ。耐えてきたアニーはカウンセリングに通い、禍々しい過去を語る。自身にも夢遊病が原因の恐ろしい過去がある。おばあちゃんっ子だった娘は異様な行動を繰り返し、アニーを拒絶し続ける。しかし、息子が運転するクルマの事故で娘は死ぬ。カウンセリングで知り合った女性の誘いで、アニーは降霊術に手を出す。夫と息子は嫌がるが……というような話。

面白かった! レビューに『ホラー版「普通の人々」』とあったのが決め手になって観たんだけど、確かにそんな感じかも。「普通の人々」もホラー並みに怖かったけど。「ヘレディタリー」は家族が崩壊していく怖さ、登場人物の足元がずれていく怖さ。それに加え、もう一本大きな柱の怖さが次第に高まってくる。そういう展開とは思わなかったw

「ヘレディタリー」ってタイトルが「遺伝性」や「代々の」って意味だそうなので、わかりやすいかも。しかし、って覚えにくいタイトルだなあ。あと、トニ・コレットの顔芸w

いかにもなホラー表現は少なく控えめで、その分、こちらの頭の中に怖さが形成されてく感じ。まあ、ゆったりしているというか、ちょっと時間を贅沢に使いすぎてる感はあった。もっとチャッチャと進めていい気もする。

●ミッドサマー(2019年)

家族を失ったダニーと、彼女の恋人を含むアメリカの大学生たち3人。留学生に故郷の夏至祭に誘われ、一行はスウェーデンへ出かける。そこはキリスト教以前の土着宗教のコミューン。不思議な儀式が行われて、アメリカ人の常識が通用しない世界だった……という話。

半年前の話題作、ようやく観れた。アリ・アスター監督の前作「ヘレディタリー」同様、突き放されて感情移入させてくれないのに、ものすごくじっくり丁寧に描写され、どんどん入り込んでしまう。後半では気が狂ったような状況に。ラストも含め、なんとなくキューブリック「2001年宇宙の旅」みたいな味わいがあるw

いちおうホラーの一種ということになってるけど、異文化の深淵に取り込まれたとき、人はどうなるか?的なものでもあったりする。いろんなナントカ祭とか奇祭になんとなく馴染みがある日本人的には、キリスト教文化圏の人がそういったものに触れたときにどう感じるかを異文化側から眺めるような感じもあって興味深いw

冒頭の絵をはじめ、見るからに伏線や仕掛けが張り巡らされてて、とてもじゃないけど一回じゃわからないこと多い。考察記事もいっぱいある。そのうちもう一度観てみる。スウェーデンのコロナ対策は、こういった生に執着しすぎない考えが根底にあったのかってのも。

老人を演じたビョルン・アンドレセンって「ベニスに死す」の美しい少年!!

●もう終わりにしよう。 (2020年)

チャーリー・カウフマン監督。「ヘレディタリー」のトニ・コレットがやっぱ顔芸で出てるw ほぼ密室の会話劇。日本語音声があればなあ。

ジェイクと別れようと考えてるルーシー(名前がはっきりしないけど)。二人は雪の中の長いドライブの末、夜になってジェイクの両親のいる実家に到着する。変なテンションの両親と犬がいるのだが、なんとなく理解の外にある感じだし、犬も時間の流れも変だし、めちゃくちゃ居心地が悪い。用事があるので帰りたいのだが、というところから始まる話。

見たことないタイプのスリラーで、どうラストに着地するのかまったく見当がつかなくて、めちゃくちゃ不安だったw ちょっとした不安な描写が少しずつ拡大されて迫ってくる感じ。何もかも現実じゃないかもしれない不安。記憶の中というか脳内の迷路なのか? 少しずつ気が狂っていく、というか、気が狂っていたことが少しずつ明るみに出るというか。全編、たぶん妄想の中。

いくつかの解説記事を読んでみたけど、いろんな人がいろんなこと書いてるw かなり高度に知的な映画らしい。たぶん原作を読めばはっきりするんだろうけど。用務員の○○じゃないかとか。

解釈とかおいといて、表面だけ観ても、ものすごい不安や不快や狐につままれた感とか、すごくイイよ。とりあえず、「オクラホマ!」を観たくなったw

●オーヴァーロード(2018年)

ノルマンディー上陸作戦の直前、ナチ占領下のフランスの町の教会にある無線施設を破壊するために降下した兵士たち。何か秘密の研究施設があることに気が付き……という話。ナチが出てくる安手のオカルトやゾンビ映画を本気で作り直すとどうなるか?という映画らしい。J・J・エイブラムス製作。監督はしてないのね。

普通に面白かったけど、あくまで「くだらない娯楽映画を本気で作った」という感じで、僕的には空振り感もあった。せっかくの機上〜降下シーンや緊迫した戦闘シーンも、ゾンビのための前振りでしょ?って知ってるから、ノリきれないというか、せっかくの道具立てがもったいない。子供の使い方、イマイチだよねえ? など、あちこち徹底されてない。悪役のナチ将校が魅力的じゃないし。

あと、黒人の主人公はネズミも殺せない優しい性格とはいえ、兵士なのに任務を最優先に考えないのはやっぱ引っかかった(先日の「1917 命をかけた伝令」と同じく)。ラストの建物から脱出するワンカットはスゴい。たぶんグリーンバック撮影なんだろうけど。

カート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子、ワイアット・ラッセルの顔がイイ。ウディ・ハレルソンを若くしたみたい。

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