2020/07/25

最近観た映画メモ「ブリキの太鼓」他

タイム・アフター・タイム(1979年)
アルタード・ステーツ(1979年)
ファンタズム(1979年)
ブリキの太鼓(1979年)

ペース落ちたけど、まだ続く70年代作品。あまり面白くなかったり興味を持てない映画の場合、続きを見るのが苦痛で何度も止めてしまい、それで時間がかかってしまう。

思ったのは、ラストまで見てしまいさえすれば、あのシーンもこのシーンも、もう一度見るのはそれほど嫌じゃなく、冷静に楽しめるかもなあと。ストーリーの中で面白さのためにうまく機能していない要素は、ストーリーから離れてしまえば面白いネタになることもある。

そのへん、一本筋の通った面白さで見るか、ネタの宝庫として見るか、だろうな。両方をうまくコントロールして見られれば最高。面白くもなくネタにもならない、って映画もあるけどね。

あと、見てるときはそれほど楽しめなくても、記憶になってから思い起こしてあーでもないこーでもないと長く楽しめる映画もある。今回だと「ブリキの太鼓」なんかどちらかというと早く記憶から追い出したいとか思いつつ、後からジワジワ来るんだろうなあ。

●タイム・アフター・タイム(1979年)

19世紀末のロンドン、作家のH・G・ウェルズがタイムマシンを発明。友人たちを招いてお披露目してたところに、警察が来て「切り裂きジャックが現れたので、このあたりを捜索中」。来ていたはずの友人の姿が見えず、彼の鞄には犯行の証拠、おまけにタイムマシンが消えている! マシンは自動操縦で戻ってきたものの、ウェルズにとって理想世界である未来に殺人鬼を放置するにはいかない!と、追跡を開始する……という話。

ニコラス・メイヤー監督。マルコム・マクドウェル、メアリー・スティーンバージェン(「バック・トゥー・ザ・フューチャーPart3」でもタイムトラベルもの)、デヴィッド・ワーナー。音楽がなんとミクロス・ローザで、最晩年の作品。ちょっと大げさな音楽。

「ロンドンで友人の集まりから突飛な話が始まる」っていろいろあるよね? 「80日間世界一周」や「マイフェアレディー」もそうだな。ちょっと芝居がかったテイストが面白いと思ってたのに、79年に来たらなんか普通の映画になっちゃう。ビクトリア時代の男が79年のサンフランシスコに現れて、ひととおりのコメディっぽいシチュエーションもやってくれるけど、まあ中途半端かなあ。ロマンチックでもサスペンスでもあったりするけど、どれも一通りって感じ。

っていうか、マクドウェルが切り裂きジャックかと思うじゃんw デヴィッド・ワーナーは体力のありそうな卑劣漢がハマってる。髪型まで「ノーカントリー」のシガー(ハビエル・バルデム)っぽい。ミニシリーズ「ホロコースト/戦争と家族」とかも含めて、この人いろんな映画で見たような気がするけど、マーティン・ランドーと混同してたかも。

あと、メアリー・スティーンバージェンは古風な顔なんだからビクトリア時代の人であってほしいwとか。現代の女性的にあまり特別感がない。っていうか、マクドウェルとスティーンバージェンがこの映画がきっかけで一時期結婚してたなんて知らんかった。

タイムマシンでやってきた未来が1979年で、2020年からすると41年前の大昔。思い出したのはやっぱ「スタートレック4 故郷への長い道」、カーク船長たちが80年代のサンフランシスコに現れる。スタトレ映画で有名なニコラス・メイヤー監督、「タイム・アフター・タイム」と「故郷への長い道」、どちらも脚本も書いてる。こういうのが好きなのね。

●アルタード・ステーツ(1979年)

スターログ誌なんかであの不気味なビジュアルは知ってたけど、観たことなかった。ケン・ラッセル監督、ウィリアム・ハート。ドリュー・バリモアの映画デビュー作とのことだけど、幼児。特殊メイクはディック・スミス。

科学者エドワードは人間の体には太古からの進化の記憶が残ってると考え、ドラッグや浮遊タンクを自ら使用して実験してる。メキシコで強力な秘薬を手に入れて実験したところ、猿人に戻ってしまい……w という話。

お話としてはあんまり面白くない。精神世界への旅みたいなふりをして、ドラッグによるスーパートリップの感覚を映像として追求した映画って感じか。「2001年宇宙の旅」のスターゲイト的なドラッグ映像のオンパレードで、1979年の映像技術的には相当がんばったんじゃないかと思われる。まあ、今の目で見ちゃうとね。

同じく科学者の妻との関係の話は、真理の追求か?愛か?みたいなところもあったりする。それより、猿人になったエドワードの行動がおかしくてw

ウィリアム・ハート、ときどき若い頃のスティーブ・ジョブズに似てる。

●ファンタズム(1979年)

両親を失った兄弟。弟マイクは、兄の友人の葬式で葬儀屋の男トールマンの奇妙な行動を目撃する。兄とともに謎を解くために行動を始める……という話。ドン・コスカレリ監督の夢を映像化したそうで。超低予算映画だけどそこそこヒットして続編がいくつも作られてる。葬儀屋トールマンが西川のりおっぽい。

いろんな要素を詰め込んでどれも消化不良の上、「夢でした」w う〜〜〜ん。つまらなさの点では「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ」を9年前に始めて以来のワーストかもしれないw カルト映画的にツッコミを入れて楽しむならアリかもしれんけど。

不安定な少年の幻想を描いたとかで評価してるレビューもあったりするけど、僕的にはあんまり。各場面とストーリーがちゃんと繋がらずちぐはぐで思わず笑ってしまう。だったら全体のストーリーは無しで「こんな夢を見た」の羅列というか短編集でも良かったのに。

コスカレリ監督、「ボーイズボーイズ」は良かったらしいが未見。「ミラクルマスター」は映画館で観たけどイマイチだった記憶。生頼範義のポスターはめちゃくちゃかっこよかったなあ。

●ブリキの太鼓(1979年)

ドイツとポーランドの国境の特殊な都市ダンツィヒ。自らの意思で3歳で成長を止めたオスカルが、母親や父親たちwと祖母、街の大人たち、サーカス団の小人たちと関わりつつ、ナチスの興亡の時代を傍観者的かつミクロの視点から目撃する、という話。小説ではこの後も物語が続くそう。音楽はモーリス・ジャール。

目をカッと見開き太鼓を叩き、奇声でガラスを割るオスカルの描写、グロテスクな大人たちの醜態など、強烈なビジュアルが満載。白黒映画に着色したようなテイストから始まって、これほど完璧なビジュアルの映画もそうそう無いかもしれない。ドイツ軍もいっぱい出てくるし、ノルマンディーのトーチカなんかも。

団長さんはかっこよかったなあ。そういえば、ナチスの興亡を少年が目撃するって点では「ジョジョ・ラビット」と共通するね。

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