「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ、落穂拾い編」、しばらくぶりに70年代後半の続きに戻ったけど、60年代も一本混ぜた。7月中に70年代クリアは無理っぽくなってきたw
ウィズ(1978年)
ダーティファイター(1978年)
天国から来たチャンピオン(1978年)
卒業(1967年)
●ウィズ(1978年)
シドニー・ルメット監督、ダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソン。僕的完璧映画の一つ「オズの魔法使」のモータウン的リメイク。歌もダンスもセットや美術もイイのに、一本の映画としては、う〜〜ん、ものすご〜くつまらなかった。
「映画の面白さ」って、僕的に「次にどうなるのか早く見せてくれ!」が一番大きいんだけど、一般的にミュージカルってその瞬間のパフォーマンスを楽しむものだから、物語を引っ張る力はどれもだいたい弱い(「ウィズ」の場合、ストーリーは知ってるわけだし)。歌に時間を取られる分、ストーリーは薄いし。そのへん、アクションやドンパチ主体の映画も同じだけど。
ドロシーは24歳という設定だけど、ティーンな感じで演技してるダイアナ・ロスはこの時34歳。さすがに入り込みにくい。舞台ならアリかもしれんけど。「ドロシーのキャラクターに無理がある」と、最初の監督が降板したらしい。あと、痩せすぎてて病んでるように見えてしまう。大スターを使って映画が失敗したとしたら、どうせなら既存の大スターではなく、無名の女の子をデビューさせればよかったのになあ。ホイットニー・ヒューストンとか当時15歳だし。
ブレイク前のマイケル・ジャクソンは20歳。後の凝った動きじゃないけど、魅力的なダンス。歌も表情もイイ。これが見たかった。黄色いレンガの道を行くときの歌は最高。この映画の音楽監督をしてたクインシー・ジョーンズ(中盤でピアノ弾きとして出演も)との出会いが1年後の「オフ・ザ・ウォール」、4年後の「スリラー」につながったそうで。
マイケル・ジャクソンの31年後や、中盤の大掛かりなダンスの舞台となるワールド・トレード・センターの、23年後を我々は知ってるわけで。1978年から見て42年後ってとんでもなく未来なんだなとか思ったw
終盤で出てくる男、「大陸横断超特急」のリチャード・プライヤー!
●ダーティファイター(1978年)
クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック。「ハロルドとモード」のルース・ゴードンがやかましい婆さんを演じてる。
そこら中で喧嘩騒ぎを起こしてるトラック運転手で賭けストリートファイターのファイロ。酒場で見かけた歌手に一目ぼれ。突然去った彼女を追い、友人とオランウータンといっしょに旅に出る。因縁のある中年暴走族や警官も後を追う。ってコメディ。
いや~、つまらなかったw イーストウッドの無駄遣い。孤高でストイックな雰囲気を漂わせてる割には、失礼で傍若無人な態度で無関係な男たちを挑発して乱闘騒ぎを起こすヤツに共感はしにくい。バート・レイノルズあたりが演じてたら雰囲気出来たんじゃないかなあ。
ただ、カントリーミュージックと男たちのダラダラした感じは好きw 観る側もダラダラしながら観れば天国。
●天国から来たチャンピオン(1978年)
ウォーレン・ベイティ製作・監督・主演。ジェームズ・メイソン、「シャンプー」に続いてジュリー・クリスティ起用。
アメフト選手のジョーは夢だったスーパーボウル出場直前に事故死してしまう。天国の入り口に連れてこられるが、天使のミスで死ぬのは本来50年後だった。天使長ジョーダンと地上に戻り、火葬されてしまった体の代わりの体を探す……というコメディ。
昔、テレビで観たことあって面白かったはずだけど、今回もめちゃくちゃ面白かった。幸運にもまだ生きてて体と魂が自前な僕らとしてはいろんなことができるぞ、ちゃんとやらないと!的に元気が出る映画。天使の後出しルールとかちょっと気になるけど、ファンタジーにツッコミは無粋w ラストなんかほぼ「君の名は。」w
ただ、よく考えると納得しづらい。だって結局、ジョーの魂は存続したかもしれんけど、個人のアイデンティティとしては、天国にも行けず、ただ消滅しただけじゃん。いいのか?
ところで、天使長「ジョーダンさん」。手塚治虫のマンガで何度か天国の係員のジョーダンさんが出てきたはず。キリスト教でそういう人物かなにかいるのかと検索したら、この映画のリメイク元作品の「幽霊紐育を歩く(Here Comes Mr. Jordan)」(1941年)の天国の係員のジョーダンさんから取ってたのかも。そちらもAmazonやAppleTV配信にあったのでそのうち見よう。(2001年にもリメイクされてる)
●卒業(1967年)
「クレイマー、クレイマー」を観ようと思ったら「卒業」もほとんど覚えてないので先に観ることにした。ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス。
大学を卒業して実家に帰ってきた、ボンボンでボンクラのベン。父親の会社の共同経営者の夫人に誘惑されて溺れ、様子がおかしくなってくる。何も知らない両親に夫人の娘との交際を勧められ……という話。
面白かった! 以前観たのがいつだったか、1977年の月曜ロードショーかな。サイモン&ガーファンクルの歌や、ロマンチックっぽく語られがちなラストの印象ばかり強かったけど、こんなはっきりと笑える映画だったんだ。それも大爆笑のw
誘惑する夫人も悪いとはいえ、どうしようもない青二才のボンクラ野郎が周囲の人間関係全部を破壊していくコメディ。ラストのバスの中での二人も「どうすんだこれ??w」って感じで。
ベンもモラトリアムは隠蓑みたいなもんで、ストーカーか変質者並みにどうかしてるけど、家族や周囲もエレーンさえも全部がなんかバランスを崩した変な人たちばかり。登場人物でまともなのは教会への道を教えてくれるガソリンスタンドの人くらいかw
30歳のダスティン・ホフマンが20歳のベンを演じてるわけだけど、上手すぎるw 夫人とのやりとりは最後まで全部面白い。アン・バンクロフトの有無を言わせない感じが最高w この時36歳(設定だと出来ちゃった婚で学生結婚だから40歳くらいかな?)。昔は「えええ!あんなオバさんと??」と思ったけど、今なら普通に若いw
あと、明るく強い感じのあるキャサリン・ロスだから「え?なんでまだベンに好意持ってるの?」って不自然さがあるけど、もっと母親に支配されてる的な陰のある女優だと、腑に落ちる感じでもっと良かったかも。シシー・スペイセクとか。
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